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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第801堀:おさかなさん

おさかなさん



Side:ミコス



アスリンちゃんがいろんな魔物を飼っているのは知っている。

私たちも随分お世話になったし、もふもふしていてとても可愛いのもいるのは知っている。

まあ、逆に気持ち悪いタイプがいるのも知っている。

とはいえ……。


ザッパーン……!!


「これはないかなー……」

「先輩。だめですって。アスリンちゃんのペットなんですよ」


横でソロが何か言っているが、そういうレベルじゃない。


「どうよ。カグラ、エノラ、可愛いペットだって」

「……か、可愛いと思うわ」

「ノーコメント」


カグラは外交官の意地を貫いて言っているが、同じ外交官であるエノラはコメント避けた。

ま、それが当然だよねー。

だって、目の前にいるのは、アスリンちゃんのペットである……。


「これが、シーラちゃんです」


そう笑顔で告げるアスリンちゃんの後ろには巨大なシーラカンスが顔を覗かせている。

どうみても顔だけでアスリンちゃんの三倍はあるように見える。

顔だけでだ。

つまり、体長はそれに応じてとんでもなく大きいということ。


「ほう。意外と大きいのう。どれぐらいあるのじゃ?」

「えっとねー。10メートルだよ」


全長10メートルの怪魚だって。

それが、アスリンちゃんのペットだってよ?

笑えるよねー。絶対私たちでは総出で当たっても勝てないってわかるもん。

アスリンちゃんに喧嘩を売った連中は魔物の餌確定だね。

と、そんな感じで、私たちが驚いている間にも、ユキ先生とレイク将軍は話を進めている。


「では、間違いないですか?」

「ええ。流石にこれほどの大物ではないですが、間違いはありません。シーサイフォに現れているのは、サイズ的には半分ぐらいですね」


この半分もサイズがあるんじゃ、人が戦えるような存在には見えないよねー。


「この半分ほどのサイズでですか。アスリン。こいつは小さくなれるか?」

「え? どーかな? どうシーラちゃん」


アスリンちゃんがそう怪魚に話しかけると、大きな口をパクパクと開いて何か返事をしているようだけど……。

傍から見れば、その光景はアスリンちゃんが食べられそうになっているとしか見えない。

シーラ……ちゃんの口はギザギザの鋭利な歯が生えそろっているし、よだれも滴っていて、他の見方が想像できない。

だが、この様子はユキ先生たちにとっては普通のことなのか、全く動じる様子はない。

一緒に見ているレイク将軍たちはシーラちゃんが口を開いた瞬間、思わず大きく後ずさった。

当然よね。

と、そんなことを考えている間に、シーラちゃんの体がみるみる縮んでいって、先ほどの半分ぐらいのサイズになる。


「お、すごいすごい! シーラちゃん」


アスリンちゃんがほめると嬉しいのかさらに口をパクパクさせる。

でも、やっぱり食べられそうになっているワンシーンにしか見えない。


「レイク将軍。このぐらいのサイズでしょうか?」

「え、ええ。ですが、あのお嬢さんは大丈夫なのでしょうか? あれは、多くの船や船員を食らってきた魔物で……」


そんな会話をしているユキさんたちの目の前で、突然シーラちゃんが大きく口を開けたまま飛び上がり……。


「ふあっ!?」


アスリンちゃんを食べちゃった……。食べた!?


「って、ちょっと!?」


まずいって、アスリンちゃん食べられちゃった!?


「あわわわ!?」

「お、落ち着いて、すぐに救出するわよ!! 最大魔力で海面に雷を落とせば……」

「カグラ、落ち着きなさい! そんなことをしたらアスリンまで感電しちゃうでしょう!!」


と、そんな感じで慌てふためいている私たちとは対照的に、ユキ先生たちはちっとも慌てていないけど、やはりレイク将軍たちは私たちと同じように慌てている。


「ユキ様!? お嬢さんが、お嬢さんが!!」

「ああ、問題ないですよ」

「大丈夫なのです。よくあることなのです」

「そうね。殺気は無かったし、単にじゃれついているんでしょう」

「最近私たちはしばらく新大陸、ハイデンの方にいましたからね」


そんな風に話していると、不意に海面に巨大な影が現れたかと思うと、アスリンちゃんを食べたシーラちゃんが海から跳ね上がって、こちらに向かって飛んでくる。


「うっそ!?」


私たちも食べるつもり!?

と、思ったけれど、どうも様子がおかしくて、私たちに狙いを定めることはなく、そのまま地面に激突した。


「もう。濡れちゃったじゃない!! いたずらはだめだよ!!」


そう、声が聞こえたかと思うと、続いて空からアスリンちゃんが降ってきた。

はい? 食べられてなかったっけ?


「わ、私、みました。アスリンちゃんが海面からシーラちゃんをこっちに投げたのを」

「私も見たわ。アスリンちゃん、おそらくすぐに自力で脱出して、投げ飛ばしたのね」


あの巨体を? 海中から投げ飛ばす?

いや、アスリンちゃんはユキ先生直々に色々教えられているっていうのは知ってたけど、ここまですごいの?

だって、海中の魔物を相手にするには、ものすごい力の差がないとって……。

そう現実逃避をしている間に、アスリンちゃんは目の前でシーラちゃんの口に片手を突っ込み持ち上げる。


いや、持ち上げるといっても、身長はシーラちゃんのほうが大きいから、顔を少しだけ上げるぐらいになっているんだけど、それでもどちらが上なのかははっきりわかる。

そして、持ち上げた顔をグリンとこちら側に向かせて……。


「ほら、みんなもびっくりしちゃってるよ。ごめんなさいは?」

「すみませんでした」


そういって頭を下げるシーラちゃん。

って、しゃべった!?


「なんだ。シーラちゃんは喋れたのか」

「あ、はい。いつもは海中なんで、特に喋る必要もないので、最初、どう喋ればいいのか忘れてました」


なんか、声が若い男性の声で聞こえるのが腹立たしい。


「そうか。ならこれから喋りかたを忘れることは無いな。話し相手が増えるから」

「話し相手ですか?」

「おう。だけど、その前に陸に上がっていてきつくないか?」

「いや、大丈夫ですよ。陸でも呼吸できるんで」

「肺呼吸もできるのか?」

「ええ。アスリン姫は水陸両用だーって喜んでくれてます。陸で動くのも意外と、このヒレで……よっと」


その場で、シーラちゃんはヒレだけで体を持ち上け、四つん這い状態とは言え立ち上がって見せた。


「お前はもうすぐ陸に進出する魚類か」

「いやー、母なる海を離れて陸地を歩くロマンにあこがれていましてねー」

「意外と冒険家なんだな」

「いやー。それほどでもー」


そんな感じでユキ先生とシーラちゃんは普通に話しているけど、私たちからすれば、海に近寄らなければ大丈夫だと思っていた相手が、なんと陸に上がってこれることが判明したってこと。

しかも意外と機敏。


「……あれの野生って、勝てるかな?」

「私。食べられる自信ならあります」

「どんな自信よ…って言う私も食べられる自信はあるわね。カグラは?」

「無理ね。私たちは水中の魔物と戦う経験はないから、圧倒的不利よ。逃げるほうが賢明ね」

「でもさ、陸に上がって追いかけてくるんだってよ?」

「……その時は決死の覚悟で全力で迎撃するしかないわ」


と私たちがシーラちゃんを相手に勝てるかどうかを話しているうちにユキ先生たちの話は進んでいき……。



「ああ、私の同族がご迷惑を……。そりゃ、すいません」

「あ、いえ。シーラ殿が悪いわけではないでしょう。お気になさらずに」

「お気遣いどうも。でも、一つだけ訂正をいいでしょうか?」

「は? 何か間違ったことでも?」

「私の名前は『シーラちゃん』です。そこはお願いします」

「「「……」」」


相変わらずというか、アスリンちゃんの魔物たちは「ちゃん」までが自分の名前だと言い張ってきかない。

あ、いや、霧華さんとかは違うけど。

動物系はこのパターンが非常に多い。


「ま、そこは徐々に直していくしかないとして、シーラは今回の作戦に付き合え」

「ああ、そういう話ですか。だから話し相手が増えるってことですね」

「そういうことだ。レイク将軍どうでしょう?」

「む? シーラちゃ……こほん。彼を連れて行くのですか?」

「ええ。海の魔物を相手にするには、これ以上ない相棒でしょう」


あー、確かに、私たちが水中で戦うよりも、確実だと思う。

というか、シーラちゃんがいれば説得もできるかもしれない。


「なんか。私が盾みたいな言い方になってません?」

「気にするな。アスリンの役に立つって話だよ。それともなにか? アスリンたちに海を泳いでもらって魚の餌になれって?」

「そんなのはだめですよ」

「だろ? というか、海の魔物がそもそもどこから来ているのか、どういった事情でシーサイフォ近海に現れているのかを調べないといけないからな。そういう意味で、お前たちが最適だよ。ということで、どうでしょうか?」


ユキ先生はそう言って、レイク将軍に提案をする。


「ふむ……。私の独断では受入について答えられませんが、私といたしましては、いい提案かと思います」

「そうですか。ではよろしければ一度国に戻って許可を貰ってください」

「そうですね。我々と友好的で海中を自由に移動できる者たちと協力体制が取れるというのはありがたい話です。その時はシーラ殿、宜しくお願い致します」


そう言って、レイク将軍は堂々とした様子でシーラちゃんに挨拶をする。

そして、挨拶を受けたシーラちゃんも……。


「はい。その時はこちらこそよろしくお願い致します」


ペコっと、丁寧にあいさつをするシーラちゃん。

……あれ? 魚が挨拶っておかしい感じなのに、なんか普通にあいさつしたように見えた。


「あとは、細かい内容を詰めないといけませんので、会議室のほうへ」


シーラちゃんの確認を終え、本格的にシーサイフォ王国への救援内容を詰めるために会議室へ移動を開始する。

助けてほしいというのはわかったけど、具体的には何をどうしてほしいのかというのは聞かないとどうしようもないからね。




「さて、いったん休憩をと言いたいですが、時間がないので、お茶を飲みながら、進行させて頂きます」


そういって、ユキ先生は会議室についても休むことなく話を進める。

まあ、仕方ないよね。

今日までだもんね。レイク将軍のウィード訪問は。

距離的にはゲートを行き来するだけだから、問題ないんだけど。

軍隊を率いているんだし、予定通り帰らないとシーサイフォ王国の軍は不安になるだろうし、ウィードの評判はもちろん、ウィードを紹介したハイデンの評価まで落ちることになる。


「シーサイフォ王国が魔物への対策と、救援を求めているのはわかりましたが、具体的になにを達成すれば、あるいはここまでできればと思っていますか?」

「そうですな。この点については、予測を大きく超える話があったので詳しくは陛下に相談してから、ということになりますが、当初の目的は力や知識を貸して頂いて、少しでも魔物の被害を軽減できればと思っておりました」

「当初はハイデンだけの予定でしたね。それで知識というと……」

「はい。具体的に言うのであれば、魔術技術の伝授ですな」


レイク将軍は包み隠すことなく、そう告げて、辺りが静かになる。

ハイデンが誇る魔法技術、その知識を寄越せというのは、通常であればハイデンに喧嘩を売る行為に近い。

いや、だからこそ、戦争で弱ったところをって思ったんだろうけど。

そのため、カグラの表情は硬い。

お姫様がハイデンに残っていて、良かったよ。

こんなことを聞かされたら、その場で大憤慨の可能性があるもんね。


「ですが、ウィードの皆様とお会いできて、魔物問題への解決の糸口が見えてきました。それを踏まえると、事態の解決までご助力をお願いする形になると思います」


はっ、ウィードの力を魔物退治と原因が判明するまで借りたい?

ばっかじゃないの?

こんな無茶な話無理だって、ミコスちゃんでもわかるよ。

ウィードに力を貸してもらうってことの意味を理解してないとしか思えないね。

でも、レイク将軍はさらに話を続けて……。


「しかしながら、解決には長い期間がかかることが見込まれますので、ユキ様にずっと対処していただくことは無理であろうと存じます。そこで、ドレッサ殿を責任者として受け入れたく思っております」


はい?

ドレッサを責任者として?

なんでそんなことを?


「なるほど。ドレッサをですか。それはちゃんと履行されますかね?」

「まあ、そこは要交渉という形ですね。ああ、ドレッサ殿を派遣してくれることへの対価は支払いますよ」

「対価ねー。まあ、引継ぎを認めてくれるならいろいろやりやすいのは事実です。細かいところはシーサイフォ王国と直接というやつですね」

「はい。そこは当然です。私ごとき一介の将軍に国庫を左右する権限はございませんので。ですが、若者が育つ場所が欲しいのは私も同じですよ」

「お互いそういうのは苦労しますね」


そう言って頷き合うユキ先生とレイク将軍。

ああ、こんな時でもユキ先生たちは、未来のことを考えているんだ。

私たちは、その期待にこたえられるのかと、少し心配に……。


「「これで、思う存分訓練ができるわけだ」」


そう言って、こっちを見てほほ笑むユキ先生とレイク将軍に、なぜかすごく恐ろしいモノを感じるのであった。

……思う存分訓練って……まさか。




ということで、シーラちゃん初登場。

もうアスリンはどっかのトリ●ンやね!!

このネタが分かる人はかなりアニメファンですな。


ということで、今度からは海戦訓練。

カグラたちの運命は!?



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― 新着の感想 ―
[一言] トリトンは海のイルカと人魚族だけ…敵役のポセイドンの方が… アスリンは陸海空のモンスターテイマー(マスター?) 「ネクストライフ」のアネットに匹敵する。
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