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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第796堀:宴会と目的

宴会と目的



Side:サーサリ



「あははは!!」

「おー、イケイケ。流石ミリーの姉ちゃんだ!」

「「「わははは!!」」」


そんな感じで、盛り上がっている傍らで、私たちメイドはせっせと魚を捌いて肴を用意しているのですよ。

あれ? 上手いことを言いました?


「でも、いいんですかね。先輩。あくまでも、港の案内のはずだったんですが」

「そうですね。普通であれば、不適切な状態ですが、ユキ様が無駄なことをするわけがありません」

「ま、そうですね。旦那様ならそういうことはしないですよね」


というか、たとえミスであろうが妙手に変えるというか、屁理屈をこねまくるというか。


「というか、ミリー様は素で飲んでませんか?」

「飲んでいますね。ミリー様はお酒が好きですから。そしていい肴もそろい踏みです」


確かに。

港で宴会に巻き込まれたおかげで、料理の材料には困らない。

ウィードのお魚はダンジョン品質で美味しいですからね。

他国では高額取引されている商品なんですよ。

それをこうして取れたてを捌いて、調理してっていうのはかなりの贅沢だったりします。


「おかげでレイク将軍たちは、ただの宴会だと思っているようですね」

「ですねー。ここまで陽気に飲んで食べてれば疑いようもないでしょう。あ、これが狙いですか?」

「おそらくは。デリーユ様まで飲んでいるころを見ると、できればレイク将軍たちに飲ませて反応を見てみたいのでしょう。まあ、食べるだけならそれはそれでよしです」

「お酒を飲んで、口が軽くなるならよし。飲まないにしても、魚を美味しく食べてもらえればそれはそれでよしって感じですか?」

「ええ。楽しんでもらうことが、我がウィードを示すのに一番良いですから。無論、お酒を飲んで、口を滑らせてくれればなおいいですが。と、はい。お刺身です。持って行ってください」

「わかりました」


そう言って、私は一旦調理の手を止めて、キルエ先輩が用意してくれたお刺身を旦那様とレイク将軍のところへ運んでいくと……。


「ほうっ……。これは……」

「うまい。このタレと魚の油が絶妙です」

「デリーユお姉ちゃん。おいしいねー」

「うむ。やはりアナゴはかば焼きに限るのう。あとご飯が必須じゃ」


そう言って、レイク将軍を含めて、アナゴのかば焼きに夢中になっていました。

なんて羨ましい!!

旦那様の料理は地球の調理方法で美味しいんですよ!!

とはいえ、今の私はメイドさん……。


「旦那様。ヒラメの刺身です」

「お、ヒラメまでいたのか。というか、この量からするとかなりの大物か」

「はい。すごかったですよー。それを、惜しげもなく提供してくれる漁師さんもすごいですけどね」

「後で、宴会に使った魚の代金ぐらいは支払わないと悪いな。と。ほら、サーサリとキルエの分だ」


旦那様はアナゴのかば焼きを渡してくれます。

今更遠慮するような間柄でも、主従でもありませんので、遠慮なくいただきましょう。


「ありがとうございます。流石、旦那様」


ちゃんとお礼を言って、かば焼きを受け取った私はそのまま先輩のところに戻ります。

あとは、あら汁の様子を見るだけなんで、のんびりやれると思っていたんですが……。


『こちらの魚は美味しいですな』

『気に入っていただけたのであれば何よりです』

『そして、漁の仕方もすごいですな。あのサハギン殿たち魔物と協力しあって魚を追い込む漁法をしているとは』

『まあ、ウィードでは珍しくないことですよ。ああそこで注意があるのですが、これはあくまでウィードだからできる方法で、其方には魔物がいないはずですが、間違っても真似をしないように。本来、魔物は人を食べ物ぐらいにしか見ていませんからね』

『ふむ。……そう言うものですか』


おっと、旦那様がコールをこっそりつなげて中継し始めたと思ったら、思いっきり切り込みますか。

さてさて、面白くなってきましたよ。

やっぱり、お酒や美味しい食べ物は口を軽くするんでしょうか?

それとも、だんまりを続けるのか!


「サーサリ手が止まっていますよ」

「あ、すみません」


と、いけない、いけない。

皿洗いの手が止まっていた。

皿洗いを再開すると旦那様たちの話も続く。


『先ほども話していましたが、魔物にご興味でも?』

『そうです。魔物に興味があるのです。……そうですな。良い機会だ、正直に話してもよさそうだ』

『大事な話であれば、場所を替えますが?』

『いや、ここの漁師たちにも聞いていただきたいのです。どうか、皆さま私の話を飲み食いしながらでいいので、聞いていただきたい』


おー!?

酒と食い物につられて、あの真面目な将軍が口を開くのか!?


カンッ!!


「いったー!?」


気が付けば、今度はお玉で一発頭を殴られてしまった。


「いい加減にしなさい。洗い物が進んでいませんよ」

「はーい。でも、面白くなってきましたね」

「不謹慎ですよ。厄介ごとではないといいのですが」

「いやー。この状況で厄介じゃないわけないと思いますけどねー」

「わかっていますが、願わずにはいられません」

「もしかして、先輩も休みを満喫したかったですか?」

「そう言う意味ではなく、旦那様の負担を増やしたくないという意味でです。まあ、旦那様たちとのんびり観光したかったというのももちろんありますが」


うわー。

キルエ先輩は素直に全部いうからツッコむところがないですよー。

そりゃ、私だって旦那様の負担を増やしたくないですよ。だって、旦那様の負担が増えるということは、私たちの仕事も増えるということ。

サマンサお嬢様だって、それに応じて危険に飛び込むことになります。

そして、なにより、先輩の言うように、私たちの観光旅行の時間が減る!!

これは痛い!!

ハイデンに来た時は、貴族の可愛らしい小競り合いを外野から見せられただけで、巻き込まれたわけじゃなかったですからね。


とはいえ、どんな問題が出てくるか気になるのも確か。

そして、その気になる答えはというと……。


『我がシーサイフォ王国はここ数年。海上で魔物との戦いを繰り広げています』


と、かなり斜め上の発言が飛び出した。

あれー? 新大陸って魔物が出てこないんじゃ?

そんな疑問を持ってキルエ先輩に視線を向けると……。


「私も詳しいことはわかりませんが、新大陸といっても、絶壁の山岳部から平地の間のことを言っているだけですからね。魔物がでないのもその限られた空間です。海ともなればその境はあいまいでしょう」

「あー、なるほど」


ハイレン様の女神としての力が及んでいる範囲の問題ってやつですね。

でも、それならここ数年っていう言い方はおかしいんじゃ?

海に出ているなら昔から魔物と遭遇することはあるだろうし、ここ数年って話じゃない気がするんだけど?

そう思っている間にも話を続けるレイク将軍。


『ウィードの方々の話を聞く限り、こちらの大陸?ダンジョン?では魔物はありふれたもののようですが、私たちが住む大陸では、魔物という存在は非常に珍しい存在です。ですが、海に面しているシーサイフォ王国では違うのです』

『魔物との接触があったと?』

『はい。ウィードの魔物の定義はしりませんが、我がシーサイフォ王国では研究の結果、体内に魔石がある生き物のことと定義しており、その魔物が最近確実に増えてきているのです。昔は、遠洋漁業に行ったさいにたまに見かけたという程度の話だったのですが、最近では近海で見るようになり、漁師に被害が出てきましたが、元々魔物は信じられておらず当初は重要視されておりませんでした。なにせ、我が大陸では魔物という存在は昔話の中ですから』


まあ、それはそうでしょうね。

見たこともないモノを信じろというのは酷ですからね。


『……聞きたいことは沢山ありますが、まずはレイク将軍のお話を続けてください』

『はい。ありがとうございます。ですが、軍の方もただの与太話と笑って放置出来ない事件がおきました。軍船に魔物の群れが襲撃してきたのです。最初に被害を受けたのは、巡回をしていた大型艦だったのですが、半数が死亡し、船は大破というすさまじい損害となりました』


ほほう。軍船がそこまでの被害を受けるとは、よほどの魔物だったのでしょうか?

でも、その魔物の正体を説明することなく、レイク将軍は事情の話を進めていきます。

ま、魔物のことは今は重要じゃないですからね。

シーサイフォ王国の事情を聞くのが先です。


『その報告を受けて、私も、いえ、国の上層部全体が魔物が本当に存在するのだと理解しました。それで、魔物による被害拡大を防ぐために、装備を増強し、単艦ではなく、2、3隻からなる艦隊で動くことになったのですが、海は広く、そして魔物の出現頻度が上がってきており、さらに被害は拡大。艦隊が全滅することもあり、事態は深刻化の一途をたどっております。何より問題なのは、魔物の出没地域がどんどん我が国の沿岸へと近寄っているのです。このままでは、我が国が誇る水産資源が回収できなくなります。既にその影響が出始めています。ですが、先ほど言ったように、魔物については私たちの国ですら最初は半信半疑で、内陸の国々に話をしてもまともに相手にされないと判断いたしました。そもそも魔物など見たことないですからね』


あの新大陸の人たちならなおのこと魔物を信じませんよね。


『……それで、魔物被害が出たというハイデンとフィンダール、そしてハイレ教の事件に目を付けたわけですか?』

『そうです。ある意味、我が国の上層部は、ハイデンやフィンダール、ハイレ教の方々には申し訳ないですが、この状況に喜びました。復興支援の軍を送り付けることで、魔物被害の解決の協力を取り付けられると』

『使者の返事を待たず、異常な速度でハイデンに軍が来たのは……』

『もう、時間がないと上層部が判断していたからです。無論、シーサイフォならば断られる心配はないだろうと考えて』


ああ、だから時間が合わなかったんですね。

返事の内容は気にしていなかったということですか。


「なるほど。恩を売っておいて、見返りを求める。というわけですね。断られようが、先に復興支援の軍を送りつけてしまえば、勝手に活動して戻ることも可能です。その後に協力を要請することも考えていたのでしょう」

「でも、戦争になる可能性も……」

「ないです。シーサイフォ王国は、ウィード以外の事、ハイデン、フィンダールの状況は把握していたでしょう? ハイレ教は元々戦争をするような組織ではありませんからね。他の2国もそもそも、大国であるシーサイフォをさらに敵に回そうとは思いません。どちらとも、味方につけようとするはずです」

「戦争中ならなおのこと、都合がよかったってやつですか」

「そう考えての派遣だったということですね」


うわー、あくどい。

いや、それだけ切羽詰まっているってことですか。

そんなことを話していると、旦那様がこう質問をします。


『レイク将軍。彼の軍が持っていた銃は、どれだけ魔物に通じましたか?』

『……あの武器をご存知ですか。まあ、元々の設計図はハイデンから流れたといっていましたからな。と、通じるかの話ですが、あの武器は人相手であれば、かなりの戦果を挙げるでしょうが、魔物相手にはそこまで効果はないですな。まあ、それでも矢で攻撃するよりはましですが。それであの装備を使っております』


まあ、そうでしょうね。

あの銃の魔術の火力はせいぜい対人戦ぐらいの威力でしたから。

そして、ようやくレイク将軍の狙いがわかりました。

この話を漁師がいる中で聞かせたのは……。


『ユキ様たちなら、我が国の状況に対応できると確信して、話させていただきました。どうでしょうか、漁師の皆さま。ユキ様、ウィードなら解決できると思うのですが……』

『そりゃー。大将ならやれるさ! なあみんな』

『おう。魔物の問題なんて解決できるさ』

『そうですか、やはり私の直感は間違っていなかったようです。ハイデン王が言った通りでしたな』


ウィードが協力要請を断りづらくするため。


「……あの将軍。やはり只者ではありませんでしたね」


キルエ先輩の言う通り、レイク将軍はやっぱり厄介な人でしたねー。




シーサイフォ王国は海上での魔物被害が出てきている。

それで、支援を求めるために動いてきた。


なぜ、魔物がシーサイフォの近海に現れ始めたのか?

原因は一体何か?

みんなはわかるかな?



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