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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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落とし穴137堀:今更ながらの話

今更ながらの話



Side:ユキ



その日は不意に聞きたいと思ったことがあって、いや違うな。

元から気になっていたことを、嫁さんたちに聞くことにした。


「食後に悪いんだが、ちょっと嫁さんたちに訊きたいことがあるんだが、いいか?」


俺がそう言うと、夕食を終えて、各々のんびりしていた嫁さんたちが一斉にこっちに振り向く。


「一体、改まってどうしたの?」

「旦那様一体どうしたのですか?」

「おとうさまどうしたの?」

「おとーさん?」


セラリアとルルア、そして娘たちも一緒に首を傾げる。

そこでやっと気が付いたが、子供達も一緒だと聞きにくいな。

思い付きで聞こうとする前に、もうちょっと考えるべきだった。

そう思って、予定とは違うことを言ってごまかそうと思っていると……。


「さ、サクラ様たち。お部屋でデザートのお時間ですよ」

「え? でも、おかあさまから、おへやでのしょくじはきんしされています……」

「うん。おへやよごすからダメって」


良い子な娘たちはちゃんと約束を守ろうとする。

というか、キルエの娘のシャエルは言葉遣いがもう、しっかりしている。

で、ラッツの娘であるシャンスはなんというか、なんか小動物のような印象が抜けないな。

まあ、年長の娘たちの中で唯一うさ耳が存在しているからな。

可愛がられているんだよなー。


「今日は良いんですよ~。ね。お母様?」

「……サーサリの言う通りです。シャエル、今日より、お部屋で食事する機会を設けます。ちゃんとお部屋を綺麗に使うことを覚えてください。メイドとして皆さまの補佐もちゃんとするように。シャンス様は丁寧ですから大丈夫ですよ」

「はい。おかあさま。おまかせください」

「わたしも、シャエルちゃんをてつだうよ」

「ありがとう。では、いっしょにいきましょう」

「みんなでじゅんびね」

「「「やったー!!」」」


そう言って子供たちは部屋を飛び出していく。

そして、サーサリが子供たちを追いかけようとして……。


「では、旦那様。ごゆっくりお話を」


笑顔で去って行った。

ああ、気を使わせたな。

それは嫁さんたちも分かったようで。


「なに? 子供たちの前じゃ話せないことなの?」

「トーリ、デリーユ、何か、血なまぐさい事件ってあったっけ?」

「えーと、殺人事件はないよ」

「そう言うのはないのう。となると、新大陸の方でまたなにか、拷問部屋でも見つけたか?」


ああ、まあ、普通はそっちの方だと思うよな。


「あ、いや、そんな大げさな話じゃないんだ。本当に今更な話で……」


本当にくだらない話なのだが、地雷になる可能性もあるので、そこで思わず口籠もってしまう。

とはいえ、不満があるのならちゃんと聞いておかないと、後々小火から大火事になってしまう可能性もあるわけだが……。

でもなぁ……。


「何、悩んでいるのよ。今更な話なら気にすることはないわ。あなたと私たち夫婦にそういう遠慮はいらないわ。ねえ、皆?」


セラリアがそう言うと、全員うんうんと頷く。

そこまで言われてしまうと、聞かないわけにはいかないよな。


「嫁さんたちは俺に不満ってないのかなってな」


と、素直に聞いてみると……。


「「「……」」」


全員が目を点にして沈黙してしまった。

で、その中で一番最初に口を開いたのはやっぱりセラリアで……。


「本当に今更ね。というか、あなたに不満があるわけないわよ。というか、もしあなたに不満があるようなら、他の男はトコトンどうしようもない連中になるわよ?」


コクコクと全員頷く。


「あーすまん。甲斐性とか、まあそう言うところではなくて、ほら、大勢の嫁さんを囲っている本人としては、一人一人を相手にできる時間がどうしても少ないだろう? というか、他に女を囲っているのは、こう、な」


俺がそう言葉を濁すと、全員が納得したようにうなずく。


「あー、なるほどなるほど。お兄さんは、私たちがお兄さんに構ってもらえる時間が少なくて不満を溜めていないかってことですね」

「ああ、それなら。不満といえば不満ですね。正直、日々爛れた生活を送りたいです」

「エリス。本音がダダ漏れ。コホン。でも、そういう意味であれば、毎日イチャイチャしたいのは確かです」


ラッツたちの言葉に、嫁さんたちは全員頷く。

やっぱり不満は多少なりあるか。


「とはいえ。僕は充実してるから、この生活は好きなんだけどな」

「私もこの生活は好きです」

「……というか、ユキと2人きりだと、ズコバコやりまくりのアホ女になる気がする」

「あー、それはわかるのう。毎日やっては寝ての素晴らしい生活じゃな。まあ、体には悪そうじゃが。だから適度がいいわけじゃ」


でも、この生活も好きだともいうリエルたち。

何事もバランスってことか。

でも、俺が聞きたいのはそういうことではなく……。


「あー、わかった。お兄ちゃんは、一人じゃなく、沢山の女の人と付き合ってるのを気にしてるんだ」

「あー、なるほどなのです」


ここで、アスリンが大正解。

そう、俺が気にしているのは、そこだ。

一応皆、俺が嫁さんを増やすのは納得してくれているが、実は内心で嫌がっているんじゃないかってことをだな……。


「……本当に今更な話ね」

「仕方がないですよ、ラビリス。ユキさんの生まれは地球の日本、一夫多妻ではなかったのですから」

「そういうことだ。まあ、気になっているのは、本当に嫁さんたちは納得しているかってことだな。ラビリスの言う通り本当に今更だが、ちゃんと聞いておかないとって思ってな」


俺がそう言うと、セラリアが半目になって口をひらく。


「馬鹿じゃないの。私たち全員、ユキを独り占めにできたらってぐらい、いつも想像しているわよ。そして、他の奥さんと仲良くしているときは思わずイラッとする時ぐらいあるわよ」


セラリアの言葉にウンウンと頷く嫁さんたち。

だよねー。イラッとして当然ですよね。

さて、これをどう解消してもらうかだが……。


「でもね。私は、私たちは他の奥さんたちも大事なの。あなたを好きってことで団結している親友なの。今更私以外の女を追い出そうなんてことは思わないわ」

「はい。セラリアの言う通りです。確かに嫉妬する気持ちはありますが、それは家族間の可愛い物です。というか、正直この中の誰一人欠けても大変ですし」


ルルアの言葉に特に反応するのはジェシカたち。


「そうですね。特に外交官がいなくなれば死にますね。間違ってもサマンサやクリーナを離縁するとかはやめてください」

「ですわね。ジェシカさんも同じですわよ。イフ大陸はだれか1人でも欠ければ地獄ですわ」

「一国だけで精一杯。でもそれ以上に、ジェシカたちだけじゃなくて、みんな私たちにとって必要で、大事な家族」


納得の響き。

現在、外交官が1人でも欠けるととんでもないことになる。

でも、そういうことを抜いて、クリーナは大事な家族といってくれる。

そっか、皆ちゃんと折り合いをつけているってことか。


「はい。ということで、満足かしら、あなた?」

「ああ、良かった。安心した。皆は皆でちゃんと話し合っているんだな」

「ええ。あなたが心配したことなんて、とうの昔に解決済みよ。当初はどうかと思ったけど、こうしてルルアのおっぱいを堂々と揉めるのはいいわよね」

「きゃん!? ちょっとセラリア!?」


しれっと、セラリアは隣にいるルルアの胸をもむ。


「というか、ここまでよりどりみどりの美女が揃っていて、何であなたは理性を保っていられるのかが不思議よ。結婚した時も、これで毎日やれるのかと思えば、結局仕事ばっかりだし。普通なら、私たちにメロメロになって、一か月ぐらい全てを放り出してやりまくるのが普通じゃない?」

「いやいや、何を言っているんだ。セラリア」


なんか話が変な方向に進み始めた。

他の皆も、ウンウンと頷いているし。


「当時は対外的に急いで片付けなくちゃいけないことが色々あっただろう? 魔王とか、ランクスのこととか」

「そう言われれば、そんなことあったわねー。でも、リーアが来たときや、ジェシカ、サマンサ、クリーナの時も、結局全然よねー」

「そうだよ、セラリア。私の時なんておはようからおやすみまでずっと一緒にいたのに、全然手を出して来ないんだから」

「私の時もそうでしたね」

「確かに、ユキ様は私を妻として受けいれてくれても、ずいぶん長くお手は出されませんでしたわね」

「ん。ユキは恥ずかしがり屋」

「まてまて、その時リーアは従業員だったろう? ジェシカも捕虜。サマンサやクリーナが学生だったからな?」


俺に社員に手をだし、捕虜を手籠めにして、学生に手を出す最低野郎になれというのか!?


「ユキ。もう私たち全員に手を出しているから。変わらないと思うわよ」

「言ってくれるなラビリス。でも、俺的には合法だったんだよ」


ほら、それなりに付き合ったしって感じで?


「本当に、そういうところは生娘みたいじゃのう。政治とかのやり取りに関してはえげつないのにのう」

「デリーユ。前も言ったが、それはそれ。これはこれってやつだ。というか、まあ、面倒に巻き込むこと確定だったからな。ほら、一人でも欠けたら大変って、言っただろう? それに巻き込んだってのがな」

「それも前に言ったじゃない。私たちは大事に飾られているだけなのは趣味じゃないのよ。好きで手伝っているの」


セラリアがそう言うとみんな頷く。

結局意識は前から全然変わっていないらしい。

俺にはもったいない嫁さんたちばかりだ。


「……みんな。ありがとう。改めて今までいてくれてありがとう。そして、これからもよろしく」


俺がそういうと、嫁さんたちは全員頷く。

いまさら言葉はいらないって感じだ。


「あ、でも、そういうことなら、私たちも今更なことだけど聞きたいことがあるわ」

「ん? なんだ?」

「ほら、あなたの好みの女性って聞いたことないでしょう?」

「いや、俺の好きな女性は嫁さんたちだけど……」

「違うわよ。ほら、理想の奥さん像とかあるでしょう?」


あー、そっちか。


「私も、昔はきっと強くてかっこいい騎士にでも嫁ぐとか思っていたんだけど、結果はこれでしょう?」

「これかよ」

「いい意味でよ。でも、ユキからそういう理想の奥さん像って聞いたことないでしょう? みんなも気になるわよね?」

「そうじゃのう。確かに気になる」

「確かに旦那様からそういうことを聞いたことはありませんでしたね」

「僕もユキさんの理想の女性って興味あるよ」

「……ある。どんな女性がいいの?」


おーっと、みんな興味津々な様子で、こちらに迫ってくる。


「お兄ちゃんはどんな女の人が好みなの?」

「教えてほしいのです。フィーリアは兄様の希望に近づいて見せるのです!」

「そうですね。ユキさんに喜んでほしいですから」

「さ、あきらめなさい。さっさと自分の口で言うか、私に読み取ってもらうか、その二択よ?」


ラビリスも迫って来ているので、下手なごまかしは無理か。

だから、俺は自分からラビリスの手を掴んで……。


「正直にいうけど。今更、どんな女性がいいかってのはないんだよな。さっきもいったが、みんながみんな違っていて綺麗だし、可愛いし、それが同じだと嫌だからな」


そう。俺の言うことを完全に聞く人形が欲しいってわけじゃないってのは前にもいったしな。


「こうして、みんなが自由でいるのが俺は好きなんだ」

「本音ね」

「そう。なら、こんなにうれしいことを言ってくれるあなたにご褒美をあげましょう。今日は仕事は休みね」


あれ?

なんか思いっきり地雷を踏んだようで、俺はそのまま嫁さんたちに食べられるのでした。


でも、今更な話だが、こういうことをちゃんと確認するっていうのも大事だよな。






今更ではありますが、気になることだよねー。

そして、ユキは今日も食べられるのでした。


まあ、ここのお嫁さんたちはちゃんと話し合って理解して、手を取り合っているのでした。

というか、理想のとか言っても、いまいちだよね。

自分のいうことをなんでも聞いてくれるって言うのが理想でよく上がるけど、それってロボットじゃんって話だよね。


世の中難しいもんだ。


ということで、お正月スペシャルは今日で終わりでございます。

次回からは物語が再開!!

ちゃんと予習復習を。

シーサイフォ王国からの軍がハイデン王都にまもなく到着!! これからどうなる?


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