表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョン運営本格始動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/2194

第76掘:重傷者多数色んな意味で

重傷者多数色んな意味で





side:ラビリス



ふう、いきなりダンジョンで死者とかでなくてよかったわ。

でも聞いた限りじゃ、あの冒険者達のミスみたいね。

まったく、どこにでも気が抜けてる人っているのね。

ユキももう少しは気を抜いてみたらいいと思うのだけど。

そう思って私はギルドマスターと話しているユキを見る。

彼はいつもいつも頑張ってる。

本人は自覚がないみたいだけど、私達は皆ユキは過剰に頑張りすぎていると思っている。

いつか倒れないかとても不安。


「……で、どう……はい、ええ。……」

「それは……で……」


でも、頑張っているその横顔も素敵なの。

ああ、ジレンマよね。

仕方ないから、夜ぐっすり眠ってもらうの、ユキに催眠魔術かけている理由。

ユキも承諾していて、しっかり眠れると喜んでいるからいいの。

色々していることも含めてOKなのよ。


「ねえ、ユキ。彼等はどうなの?」


セラリア様がユキに話しかける。


「ああ、とりあえずエルジュとルルアのおかげで一命はとりとめたようだ…だが」

「だが?」

「いやそれがですね……」

「普通に話してもよいじゃろう」

「グランドマスター、よろしいので?」


ロックさんが話していると、リテアから来た冒険者ギルド本部のグランドマスターが何かを伝えようとする。

いったい何か問題でもあったのかしら?


「セラリア様は此度のダンジョン評定を楽しみにしていらっしゃるとか?」

「ええ、それは勿論。初めてダンジョンを作り、その評価を決める大事な評定なのですから」

「それは、そうでしょうな。訓練用のダンジョンを作るさいわしも声をかけられましたが、年甲斐もなく心がおどりましたぞ」

「あた、グランドマスターもまだまだ現役ですわね」

「ほっほっほ。と、話がそれましたな。実はですな、今回の大ポカをかましてとてもお恥ずかしい限りなのですが、そのパーティーがある要求をしていましてな」

「要求? どのような?」

「いえ、難しい事ではございません。ルルア様やお手伝いのおかげで、彼等の怪我は殆ど完治しております」

「それはよかったですわ」

「で、彼等は怪我が治ったので今すぐダンジョン攻略を再開したいと言っておりまして。まあ、本人達も恥とは思っているのでしょう。なにせコボルトにやられたのですからな」


ああ、なるほど。

それは本人達はいい赤っ恥よね。

治ったのなら、何としてもちゃんとできると証明しないと面子もたたないわ。

でも流石に今日再度ダンジョンアタックね…。


「俺達は反対です。彼等は少し興奮しすぎている」

「そうですね。私もオーヴィクに賛成します。一度間をあけるべきかと、せめて一日は」

「だねー、僕もオーヴィクに賛成。ランク6でコボルトにやられるって…本当にランク6?」

「普通はしないミスです。ちょっとギルドの査定を疑うレベルですね」


トーリとリエルのお友達二人の冒険者は本日中のダンジョン攻略再開は反対と。

まあ、当然よね。


「そういえば、ロックさんにグランドマスター。彼等に対するギルドの対応などはあるのでしょうか?」


そういえば忘れていたわ、あんなミスをしたんですもの。

ギルドから何らかのペナルティはあるのかしら?


「普通は撤退なだけですから、何も処罰などは無いのですが……」

「今回はのう。ランク7のオーヴィク達の証言付きの大ぽかじゃからのう……」


2人ともそう言って、悩んでいる。

まあ、処罰するには早急すぎるし、かといってこんなミスをする連中をランク6にしてるのはギルドとしても何とかしたいはず。


「頼みます!! なんとか!! もう一度チャンスを!!」

「お願いします!!」


そんな風に話していると、件のパーティーが戻ってきてこちらに頭を下げている。


「あ、あの流石に今すぐはむりですよ」

「せめて今日一日は安静にしてくださいな」


エルジュ様とルルア様が彼等を追うようにこっちに来る。


「うーん、ならこういうのでどうでしょう? 今日はとりあえずお休みください。私達最高の治癒術士も安静がいると言っていますし」

「最高ですか…」

「あら、まあ」


なにかエルジュ様もルルア様も嬉しそう…っち。


「いや、それじゃ…」

「話はまだです。確かにお話を聞いた限り、ちょっとミスが酷いようにみえますが、初めてのダンジョン、そして一国の王女様や冒険者ギルドの重鎮などの前です。多少の緊張に伴うミスはあって当然です。ですので、このダンジョンの評定は一週間。その間の彼等の働きを見て、判断を下すというのはどうでしょうか? 今の状況だけで、彼等を処罰するのも酷でしょう」

「確かに」

「そうじゃのう。わしらもそれでよい。お主らは異論はないか?」

「ええ、もう一度チャンスがもらえるなら……」


これで、ひとまずはよしかしら?


「ちょっと、待ってくれ!! セラリア様に聞きたい事があるんだ!!」

「は? 私?」


え、何?

セラリア様に何か関係してる事あったかしら?



「今回のダンジョン攻略してる冒険者から旦那選びしてるって本当か!!」



空気が凍った。

…っは、なるほど。

わからなくもないわ、戦乙女と言われているセラリア様。

今まで言い寄ってきた男はその腕っぷしで排除、諸外国には自分より強い男としか結婚しないと言われているほど。

そして、今回のダンジョン評定。

これで、見極めをしていると思われたのね。

……でも、現実は非情なの。

質問をしている男はいたって真面目で、きっと頑張ろうとしているのだ。

だって、真剣だもの。


「ぷっ、ごめんなさい。そうね……」

「おっ?」


セラリア様はユキを腕を絡め取って抱き付くと……。


「まだ公表はしてないけど、彼が夫なのよ」


いい笑顔でその男に告げる。


「だからこのダンジョンは只の評価、評定クエスト。私の旦那選びはもう終わっているのよ」


ドサッ


セラリア様がそう言い切ると、男はその場に突っ伏した。


「おい大丈夫か!?」

「呼吸が止まってる!?」

「い、医者を!!」


エルジュとルルアが慌てて確認に入る。


「……とどめを刺すな」

「あら? 私は正直に言っただけよ?」


……でも確実にザックリ逝ったわね。


「あーそうか、まだ公表はしてませんでしたな」

「なんじゃ、ロック。知っておったのか?」

「はい、このダンジョンに移住してきた時に宣言されていました」

「なるほどのう。あの戦乙女がのう……あのユキとかいう御仁只者ではないのかのう?」

「どうでしょう、私個人としては、知略に富む方向と見ていますが」

「なんじゃ、実際の戦闘や動きなどは見たことがないのか?」

「ええ、ユキ代表は基本机の上仕事が多いですからね。私達と一緒で」

「それは、若いのに辛かろう……」


ロックさん残念。

ユキは知略だけじゃないわよ、他も引けをとらないわ。

いえ、多分、彼に能力で勝っているのはこの場ではいないのではないかしら?

本人は絶対いい顔で「そんなわけない。俺なんか下から数えたほうが早い」って言うでしょうね。


「ともあれ、これで本日のダンジョン攻略再開は見送りじゃな。オーヴィク君達はどうするかね? 君達は再開しても問題ないが?」

「いえ、僕達も今日はやめておきます。コボルトが殺気だってますからね」

「うむ、よい判断じゃ」

「まあ、代表に知り合いもいたので話も聞きたいのが本音ですね」

「ほほほ、よき友人にめぐまれたのう」


ラーリィだったからしら、彼女は今トーリやリエルと仲良く話をしている。


「……そういえば他のダンジョンにいった冒険者達はどうなるのかしら?」

「それは普通にダンジョン攻略ですから、そのままダンジョンですごして、攻略を継続ですな。まあ初日です、オーヴィク君達と同じように様子見で戻ってくるチームも多数いるでしょう」


なるほど、そういう風になるのね。

私がロックさんの話にうなずいていると、セラリア様がユキの腕を取ったままこちらにきた。


「グランドマスター、ギルドマスター、丁度いいわ。帰ってくる冒険者には私の結婚の事伝えてくださいな」

「いいのかのう?」

「先ほどの彼みたいに、期待を持たせるのも可哀想ですから」

「そりゃのう。でもよいのか? 彼をユキ殿を馬鹿にするわけではないが、それなりの者もいるかもしれませんぞ? セラリア様のお目に留まるような男が」


少し、もったいないと言いたげにグランドマスターがセラリア様にいうけど、彼女は笑顔を絶やさず……


「それはあり得ませんわ。私の目には夫だけですから」

「これはこれは、老人の余計なおせっかいでしたな。その件しかと伝えましょう」

「ええ、お願いします」



そのあと、オーヴィク達と同じように下見で帰ってきた冒険者の内、何人か呼吸不全になったとかならなかったとか……。


男もお姫様をお嫁って夢を見るモノなのね。

どうだ、恐ろしいだろう!!

セラリアだってあんな感じなるのよ!!

あと、男の気持ちになって胸が痛いのも耐えろ!!


明日は執筆やすむかもしれん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あとがきを読んだ時の反応「グフォッwwwww胸が痛すぎて泣けるでしょwあれww」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ