落とし穴123堀:夏休みの計画
夏休みの計画
Side:ユキ
無事に嫁さんたちの許可及び協力も得られたので、夏休み計画が動き出したわけだが……。
「別に、ソエルの歓迎会以外ではやることないですよね?」
「まあ、夏休みだしな。海とか山とかレジャーか?」
「わざわざ、こちらの世界の人たちが、そんなことをレジャーとして楽しみますかね? 危険なのに。まあ、私が学生の時は宿題を終わらせるとか、バイトをして遊ぶお金を稼ぐとかしましたけど……」
「そうですな。確かに、わざわざ、イフ大陸から来るのですし、海はともかく、山はどうかと。学府は山間部のくぼ地にあると聞きますし」
そんなことを、次の日の日中、野郎どもで話し合っていた。
無論、嫁さんたちはいるが、夏休みというのを知っているのは、俺たち4人に限られる。
いや、文献で嫁さんたちは知っているだろうが、まずは俺たちで意見の出し合いということになった。
期限は今日まで。
短いかもと思うが、ソエル一人のために一週間、一か月も準備してはいられない。
あくまでも、ただの友人が来るような話だからな。
「となると、海、プール、スーパー銭湯」
「あとは……、あのお化け屋敷?」
「いや、あれはいかんだろう」
「お化け屋敷ですか?」
ソウタさんだけはあの場所をしらないから、首をかしげているが、あそこはよろしくない。
「いまだに人員整備が終わってないからダメ。あそこの仕組みもまだよくわかってないからな。ルナがここぞとばかりに、なにかちょっかいを出したら面倒なことになる」
「そうですねー。じゃ、お化け屋敷は無しの方向で」
「それがいいだろう。それに、ソウタ殿はお歳だからな」
「ははは。そうですな。今更激しい運動は堪えますな。それに、婆エノルの水着姿なんざ見てもうれしくないので、釣りですかなー」
「おいこら。そこのクソ爺」
話を聞いていた、エノルさんが腕まくりをしてこっちに来ようとするが、トーリ達に押さえられる。
「エノルさん。気持ちはわかりますけど、ここで暴れちゃだめですよ」
「後でぼこぼこにすればいんだよ。ね。エノルさん」
「……それより、ああいうことをいう人は放っておいてこっちで楽しむのがいい」
「……そうじゃな。あのクソ爺が悪いだけで、ほかの皆が悪いわけではないし、あれは放っておいて、楽しんでやるわ!!」
ナイス。トーリ、リエル、カヤ。
まあ、なんというか、ソウタさんもエノルさんもお互い年齢とか容姿で殴りあうの好きだよなー。
と、話は戻してと……。
「こほん。まあ、海に行ったら釣り組と海で遊ぶ組で分けていいかもしれませんね」
「ですねー。泳ぐのが苦手って人もいるでしょうし。コテージでのんびりお話するっていうのもありかもしれません」
「タイキ君の言う通りだな。私とソウタ殿はコテージでのんびりというのがあっているかもしれないな」
「日中は陽射しがきついですからね。釣りは夜釣りですかね」
「いいですなー。夜釣り」
「あ、それは俺もやりたいです」
「まあ、人工的に海を作って随分経つから、自然に穴場みたいなのはできてるかもな」
案外、夜釣りというか、釣りは楽しめるかもしれない。
どこに何がどれだけ釣れるとかは分からないからな。
「えー、ユキさん。僕はあまり釣りはしたくないよー。海で遊びたい」
「そうですねー。夏の日差しに耐えて竿を垂らすのは……」
「……私は別にいいけど。釣りはどちらかというと、ソエルには向かないかも」
「「「あ」」」
カヤに鋭いことを言われて、固まる俺たち男ども。
釣りが楽しいっていう女子はそう多くない。
ついでに、釣りがスポーツや遊びとして認識されたのは地球でも近年だからな。
こちらでは、釣りはあくまでも、食べ物を得るための手段でしかないわけだ。
それを遊びといわれてもピンと来ないだろう。
「まあ、防波堤で釣りをぼーっとするのもいいのですけれど、日中は遊びたいですわね」
「ん。ソエルにウィードの素晴らしさを教える。海は最適。というか、別に夏っていうのにこだわらないでいいと思う。雪山とかに行ってスキーも十分に楽しめるはず」
「たしかにねー。夏の風物詩というより、ソエルの歓迎会だもんねー」
「リーア、それなら。普通にウィードの街を観光することも抜かしてはいけないのでは? あれも十分に楽しめると思いますが」
そこで、サマンサたちイフ大陸組とリーアが意見を言う。
まあ、ソエルの歓迎会というのなら、別に夏の風物詩にこだわる必要はないのは確かだ。
が、これは俺たちの夏休みも兼ねているのだ。
「じゃあ、最初1日、2日はウィードの街観光で、その間にレジャーの方を整えて、3日、4日目からはレジャーって方向で。流石にあの場所を案内しないのはあれだしな」
「それがいいと思います。ウィードの街、そしてレジャーを含めて楽しんでもらいましょう。案外、ウィード観光案内の下地ができるかもしれませんね」
「エリスの言う通りですねー。これで、ソエルさんの商会が持つ顧客を、イフ大陸から引っ張ってこれるというわけです」
「エリスもラッツも抜け目ないわね。まあ、私もギルドで何か観光客向けのイベントを考えてみようかしら? 魔物退治ツアーとかかしらね?」
こっちのウィード頭脳組は今後期待される、他の大陸からくる観光客の為の、ウィード観光化、ツアーの設立に意識を向けているようだ。
元部下の現代表たちがひーひー言うことになるな。
「じゃ、話は決まったし、準備に取り掛かろう」
「「「はい」」」
ということで、さっそく準備に取り掛かったのだが……。
「「「むー」」」
なぜか、ちびっこたちは雑誌を見て悩んでいた。
何か仕事でも任せたっけ?
ちびっこたちは、既に学校は夏休みなので、午前中はゆっくりで、午後の外交官の仕事という感じになっている。
まあ、アスリンたちは真面目なので、午前中から出てきているので、今回のソエル歓迎企画もとい、夏休み計画はアスリンたちの夏休み開始でもある。
俺たちとは違い、この計画が始まってからは、完全に休みに入らせた。
外交官とか、バイデの仕事は他の人が代わりに入っている。
なので、この子たちがこんなに悩むことはないはずなんだが……。
とりあえず、聞いてみるか。
「どうしたんだ?」
「あ、お兄ちゃん。水着と浮き輪を選ぶのに悩んでるんだー」
「あとは、お菓子をたくさん買い込んで、じょしかいを開くのです」
「そうね。私たちはいつもは早めに寝ちゃうし、こういう休みの日は夜更かししてもいいわよね」
「そうですね。夜みんなで起きてわいわいやるのも楽しみですね」
「楽しみですね。最近は仕事が忙しくて早く寝ていますし」
「水着は結局、雑誌から選ぶことになったけどね」
「ドレお姉、仕方ない。作ってもらうには時間が無い。とりあえず、沢山遊べるように色々探す」
なるほど、遊ぶための用意で悩んでいるわけか。
準備に必要なモノとか、買い物の時間とか、色々書き込んである紙が見える。
あれだな。夏休みの計画表ってやつだ。
子供の頃書いたなー。
そんなことを思い出していると、後ろから現れた、タイキ君がボソッと……。
「夏休みの予定、大体その計画表通りに動いたことないですけどね」
「俺は宿題はさっさと終わらせる派だったからな」
「えー。真面目ですね」
「いや、先にやらないと大抵夏休みはトラブルというか、遠出があってな。やる暇がないんだよ」
「あー、旅行が多かった感じですか?」
「……まあ、そんな感じだな」
とりあえず、方針も決まったので、俺たちは各々準備を始めることになったのだが、これを機会に、他の連中にも声をかけることになった。
例えば、出不精のひっきー共。
「え? このくそ暑いのに、外で海で遊ぶか釣りだって? ははは、何を言っているんだい? そんなの頭がイカレテいる連中がやることさ。その前に、私たちはやるべきことがあるだろう?」
そう堂々とサイテーなことを言っているのは、俺と元は同じダンジョンマスターであるコメット。
「ほほう。俺たちがやることってなんだ?」
「ははは。ユキたちも冗談がすきだね。まあ、聞かれたからには答えないといけないだろう」
コメットはそう言って、ポケットからあるものを取り出してこちらに向ける。
「ポケ〇ンだよ!! 夏の大会が始まる!! レーティングを上げるために、切磋琢磨しないといけないだろう? 冷房の効いた、冷たいジュースのある部屋で!! あ、もちろん新作ゲームもやるけどね。ほら、ガンダ〇のネット対戦の新作でるでしょ?」
どこかの擦れた大人の意見というか、引きこもりのバカ野郎の意見なので、一緒に様子を見に来たヒフィーがすかさず、3TSをコメットから奪い取る。
そしたら、いきなりコメットの顔色が変わった、大事な相棒が詰まったゲームを取られたんだからとうぜ……。
「ちょっ!? さ、さわんなー!! ヒフィーには前科があるから!! 絶対触んな!!」
あ、いかん。
コメットが発狂しかけている。
確かにヒフィーには色違いを出したその場でリセットをするという荒業を何度か行ったことがあるらしい。
そのたび、コメットは涙で枕を濡らしたそうな。
俺も、脱力すること間違いなし。
そして今回は、そのヒフィーにゲーム機本体を、ソフト付きで奪われている状況。
下手すると、全ロストという悪夢に遭遇するだろう。
なので、すかさずヒフィーから3TSを預かり、すぐに返す。
「よ、よがっだー」
「まあ、返してやったんだから、話を聞け。別にゲームをしないというわけじゃない。そういうのは夜になってからだ。そっちの方が調子がでるだろう?」
「ん? 基本的に日中は仕事の研究で忙しいからね。さすがにその分別はつけているよ」
「そういうことだ。午前中は仕事で観光ルートの確認ってやつだ」
「えー……。それなら素直に、休みをくれれば……」
だめだった。趣味人にこういう言い方は良くなかったな。
「ヒフィー」
「はい」
「了解。仕事なら仕方ないね。だから、それ以上寄るな。この機械音痴が!!」
ふがー!! っと切れるコメット。
「あ、じゃあさ。夜はスマ〇ラもやろうよ」
「あー、なんのゲームをやるかは決めてないから、コメットの方で選んでくれ。ソエルとか、学府の人もくるから初心者にも優しい奴な」
「おーし、じゃあ、ドカ〇ンかな」
「「いやいや、それはない」」
俺とタイキ君でそれだけは否定しておく。
あれは友情クラッシャーと名高いゲームだからな。
そんな感じで、声をかけたあとは、迷惑をかけるであろう施設に挨拶をしておく。
どこかで拒絶があるかと思っていたが、今まで散々ロガリ大陸のお客さんを相手にしてきたのだから、特に問題はないといってくれたので助かった。
「で、ラストはお前だ」
「は? ラストって何よ?」
俺とタイキ君が最後に訪れたのは、ルナという駄目神のところだ。
今まで散々迷惑をかけられたので、先に釘をさしておくことにしたのだ。
「……ということで、イフ大陸からのお客さんがくるから、絶対何もしてくれるな」
「えー、こういう時のために作ったお化け屋敷とかは?」
「刺激が強すぎる。というか、まだキャストを迎え入れたばかりで整理も終わってねーよ。公開はできて9月ごろだろう」
「ぶーぶー」
「文句を言うな。手を出すな。とりあえず、9月オープンに向けて責任者はルナにしてやるから、こう子供から大人までのいろんな需要に合わせて、ちょっと怖い、怖い、超怖いとかに分けて作ってみたらどうだ? 前回のはまとめてだから問題だったてのもあるからな」
「あー、言われてみるとそうよね」
「それを考えておいてくれ。リリーシュとノノアでも連れてウィードの喫茶店でしゃべりながらさ」
俺はそう言って、お金を渡す。
「ふふん。よくわかっているじゃない。仕方がない。このスーパー女神様が素晴らしいお化け屋敷をプロデュースしてあげようじゃない。じゃ、さっそく行ってくるわ。あそこの食事してみたかったのよねー」
そう言って、俺たちの前から消えていくルナ。
「いつも忙しいって言っている割には、自由ですよね。ルナさん」
「ほっとけ。言うだけ藪蛇でしかない」
さて、俺たちも準備の続きを再開するか……。
夏休みの計画をちゃんと考えて実行できた人は手を挙げてー。
因みに自分は全然予定通りに進んだことはない。
さて、みんな夏を満喫してくれ。
自分は仕事だけどな。白目。




