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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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852/2207

第711堀:細々な調整と残りの用事

細々な調整と残りの用事



Side:ユキ



「おー、来たねー。ユキ」


そう言って、出迎えてくれるのは、なぜかベータンの領主ホーストではなく、エナーリアのエージルだった。


「おう。来たぞ。って、なんでエージルが出向かえに?」

「ん? 僕が迎えに来るのは不満かい?」

「いや、エージルは普通に美人で小さくて可愛いから、エージル自身に不満はない」

「ふぇっ!?」

「だが、ここはベータン。ウィード領だろう。なんでエナーリア所属のエージルが出迎えなのか疑問だ」

「ちょっ、僕を口説いているのか、まじめな話をしているのか、はっきりしよう」

「いや、口説いてどうするんだよ。素直にエージルが美人かどうかの話に答えただけで、なんで口説くになる。で、ホーストはどうした? イフ大陸の会議でいろいろまとまったって話を聞いてきたんだが」


そう、ホーストから、イフ大陸の外務省設立会議についての事前質問などがある程度まとまったので、一度足を運んでもらえればと言われてきたのだ。


「ちぇ、いい加減、愛人にしてもらわないと周りがうるさいんだけどなー。ま、ユキが僕に対して、女性として好印象を持っているのが分かっただけましだとしておこう。いや、さすがラビリスはともかく、アスリンやフィーリアに手を出しているだけはある。と、迎えの理由は、ホースト殿は、我が王や他国の王と絶賛会議中なのさ。だから代わりに僕が来たわけ。ジェシカも、サマンサも、クリーナもいないしね」

「あー、すまん。ちょっと、聞きたいことがあってな、嫁さんたちを集めてた。それでエージルが迎えに来たわけか」


お金のことを嫁でもない、エージルに聞くわけにもいかないからな。


「そうそう。ホースト殿のご婦人が迎えってのもあったんだけど、会議の話を知っている人がいいだろうってことでね。無論、僕がユキとラブラブなのも理由の一つかな?」

「はいはい。で、ホーストが出迎えもできないほど白熱しているのか?」

「うーん。ホースト殿は白熱していないけど、各国は外務省設立イフ大陸事前会議で白熱しているね。議長というか、ユキの報告役が席を空けるわけにもいかないだろう? かといって、会議が白熱している連中……ゴ、ゴホン。王様たちを勝手にウィード本国へ連れていくわけにもいかないし」

「なるほどな」


俺の許可なしに、勝手にウィードに送るわけにもいかんよな。

俺が来るタイミングは伝えてないし、ホーストは席を外せない。

だから、事情を知っているエージルが来たというわけか。

となると、エクスのノーブル、ホワイトフォレストのレフェストも勝手に動けんか。

そして、小国のヒフィー、魔術学院のポープリもだめだな。会議に口出しできる立場にないし、他国の使い走りになるのは問題がある。


「話はわかった。みんながいるのは会議場か?」

「うん。そうだよ」

「じゃ、行くか」


そういうことで、ベータンに用意しているイフ大陸メンバー用の会議場へと向かうのだが、その途中、会議場の姿を見て思いついた。


「ああ、そうか、各国に設置している会議場を見本に作ればそこまで混乱もないか」

「ん? どうしたんだい、いきなり?」

「いや、ウィード本国でも、大陸間交流のための会議場を作る話になっているんだけどな。どういう設計にするかで悩んでてな。で、目の前の会議場を見て思ったわけ。無駄に凝るよりも、混乱がないようにスタンダードに作るのがいいかって」

「なるほど。そりゃ、そうかもね。奇抜な建築なんてのは、お国の技術力、権威誇示とかに使えるけど、ウィードには今更不要なものだし、実用性重視のほうが、護衛の人たちも安心すると思うよ」

「だよな」


エージルの同意も得られたことだし、この案で行こうと思う。

で、そんなことを話しているうちに、ベータン大会議場へと到着する。

入り口には護衛の兵士がずらっと並んで厳重な警備態勢だ。

俺たちが近づくと、警戒した兵士たちが腰の剣に手をかけて待機して、隊長らしき人物が前に出てくる。

だが、俺はこんな奴は知らんぞ。


「エージル将軍。お戻りですか。後ろの人はどちら様でしょうか?」

「んー? おいおい。会議場を提供してくれている国の王配様にして、イフ大陸連合のまとめ役でもあるユキ様だよ。君たちは確か、ジルバ帝国の騎士団だよね? スティーブ将軍にえらく絞られたって聞いたけど、大丈夫かい?」

「ユ、ユキ様!? リストを持ってこい!!」


ほう、慌ててはいるものの、ちゃんとリスト表は確認するのか。

大陸間交流の主要人物を知らない警備とかあれだけど、まあ、写真とか扱ったことがない人たちだからなー。

しかし、ここら辺のことを周知していないのか、あのジルバ王は。

そんなことをしているうちに、警備を担当しているらしい、隊長さんはリストを確認して敬礼する。


「失礼いたしました!! まさか、先ぶれもなく、エージル将軍と共に来るとは思わなくて……」


あー、普通はそうか。

いくら偉そうに見えても、社会の常識と一致しないと警戒されるわな。

というか……。


「エージルは、俺を迎えに行くって言わなかったのか?」

「ユキ様が来ると堂々と言えば、迎えが仰々しく、そして混乱の原因になるかと思いましたので、避けさせてもらいましたが、ご不満でしたでしょうか?」


ちっ、こういう時は、しっかり将軍するよな。


「いや、それなら仕方がない。ジルバの騎士団もその勤勉さに免じて何も言わないが、そのリストはよく見て顔を覚えておくといい。まあ、顔が似ているだけというのもあるから、さっきの対応も問題はない」

「はっ。ありがとうございます!!」


そう労って俺たちは会議場の中へと足を踏み入れる。

中も巡回の兵やお世話のメイドさんたちがいて、騒がしいとは違うが、忙しそうだった。

そして、どうやら、中の警備にはベータンの者がついているらしく、俺の姿を見て敬礼したり、深く頭を下げてきた。

それを止めさせて、仕事に戻るように言うのがなかなか面倒だ。

知っていても知られなくても面倒だとはこれ如何に……。

あー、あれだ、関係者のパスカードを作ればいいのか。

ギルドカードの応用でウィードが身分証明書として使っている顔写真入りのやつ。

そうすれば不審人物の潜入も防げるし、侵入してきた場合は、入手しているパスカードを見れば誰が手引きしたのかもわかりやすい。

各地の会議場への導入は遅れるだろうが、ウィードでの大陸間交流第一回外務省設立会議には、パスカードを導入させよう。

そんな風に計画を考えていると、白熱している会議場へと到着する。


「まずは、外務省設立の話だろう? どこの産物を輸出するなどの話はいましても仕方ないだろう?」

「エクス王。危機感がなさすぎるぞ? 今のうちに話をねじ込んでおかないと、後手に回るだけだ」

「がっつきすぎだよな。ジルバのは。つい最近、小国の反乱抑えたばっかりだってのにな」

「だからだろう、ローデイの。とはいえ、私の方にも力を貸してほしいのだがな」

「エナーリアの話は、教会とのいざこざだったな。ヒフィー神聖国との折り合いも考えねばな」

「アグウスト王も、身内を諌めたばかりだが、大丈夫なのか? まあ、私のほうもエナーリア同様、亜人との交流に関しての話を進めてほしいのだが……」


と、話している内容はぐちゃぐちゃだった。

で、円卓の後方の書記台についている補佐官たちは、せっせと、会議の内容を記録していて大変だ。

その中に、ホーストも座っていて、疲れた顔をしている。

まあ、当然だよな。

勝手に会議を始めたってのはいい流れかと思っていたが、まとめ役がいないと面倒なだけだこれは……。


「ジェシカ、クリーナ、サマンサ、エージルは地元の王のところに行って落ち着かせろ。それと、そのまま記録役になってくれ。後で報告」

「「「はい」」」


そう言って、リーアを残して、みんなが行動するのを確認してから……。


「えーい、やかましい。会議も何もごちゃごちゃに言い合ってるだけじゃねーか」


俺がそういうと、視線が俺に集まる。


「む? 来たか」

「だれだ!! と、ようやく来たか。どんなものがウィードや他国で売れるかだが……」

「ジルバの黙っとけって。おー、助かった。まとめてくれ。どいつもこいつも自分の要望ばかりで、外務省の話にすすまねー。あ、でもさ、ラーメン屋をだな……」

「外務省の話の前に、エナーリアのだな……」

「私としては、この前の内乱についての保証がな……」

「ユキ殿か。外務省の話の前に詰めてほしい話があるのだが……」


だめだこいつら。

俺の対策会議の時はまとまってたのに、自国が落ち着いたら利権主張でどうしようもなくなってるな。


「落ち着け。特にジルバ、そっちの問題が終わったからといって、次の段階に進めるわけないだろうが、他と歩調を合わせろ。大方先に約束でもして優位に立ちたいんだろうが、あきらめろ。戦費の補填は徐々に回復しろ。一括でやろうとするな」

「ちっ。ばれたか」

「ばれいでか。とりあえず、外務省設立会議の前に起こってた問題は解決した。ジルバとアグウストの武力的な問題な。このおかげで、今この場に6大国のメンバーが集まっているわけだ。となると、次は会議をするついでに解決したい問題がある、エナーリアとホワイトフォレストのほうに協力しろ。いいな、ジルバにアグウスト?」


俺がそういってにらむと、おとなしく顔を上下に振る。


「なあ。俺のラーメン屋は?」

「ローデイの話は、第二回どころか第三回会議でも議題になることなさそうな話だからな」

「そりゃねーだろう。不公平じゃないか? ジルバ、アグウスト、エナーリア、ホワイトフォレストと助けておいて」

「それはわかってる。だから、会議とは別に、ラーメン屋のローデイ出店はさせる。しかし、予算とか職人の選出には時間がいるからな?」

「まじか!! よっしゃー!! ロンリ、俺は目的を達した。あとは任せる」

「任せるな!! 座ってろ!!」


席を立とうとするブレードのおっさんに、宰相ロンリさんが血管を浮かべて抑えにかかる。

ま、ここはいつもの通りとして……。


「まずは、エナーリアの王家と教会の対立だが、聖剣を使って見せる話だから、こっちで会場を用意するから……」

「ふむふむ。そのぐらいの時間があれば教会の連中も呼べるな……」

「で、ホワイトフォレストの亜人と交流の件は、その夜の食事会で……」

「そうですね。それが合理的ですね……」

「そこで、積極的に協力するのは、ジルバとアグウストな。これで、貸し借りのほうはある程度相殺できるだろう?」

「まあ、な」

「仕方ないか」

「何不満そうにしているんだよ。これが終われば、本題の大陸間交流へ向けての会議ができるんだから喜んで付き合え。ホースト、長引くから夕食はここでとる。すまないが用意させてくれ」

「はっ。かしこまりました」


そんな感じで、エナーリアの問題とホワイトフォレストの問題を片づけるために、俺たちは会議を進めていくのであった。






こんな感じで、イフ大陸の方は進んでいるようです。

こういう話し合いで全部すめばいいのにねー。


あ、話の流れを忘れている人は読みなおそう!!

これが、この必勝ダンジョンの標準だから。ごめんね。




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