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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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落とし穴110堀:冬の祭り

冬の祭り



Side:アスリン



今日はいつもより、素直に目が覚めた。

いや、なんていったらいいかな? こう、自然と目が覚めた感じかな?

爽やかに目が覚めて、掛け布団をどけて起き上がると、私の体をいつもよりも冷たい空気が包み込む。


「あっ」


この感覚を私は知っている。

寒いだけではない、わくわくがする寒さだ。

私は半纏を羽織ることなく、そのまま窓へと向かい、カーテンを開けると……。


「うわぁ……」


一面白銀世界だった。

私がその光景に見とれていると、一緒に寝ていたフィーリアちゃんも目を覚ます。


「……うにゅ? アスリンがいないのです? おトイレ? んん? この寒さは!?」


フィーリアちゃんも私と同じことを考えたらしく、すぐに飛び起きて、私がいる窓辺に近寄ってくる。


「あ、アスリン。お外はどうなっているのです?」

「すごいよー」


私はそう言って、フィーリアちゃんから窓の外が見えるようにその場から離れると……。


「ふぉぉぉぉーーー!! 兄様が積もっているのです!!」

「くすっ。お兄ちゃんは確かにユキだもんね」

「どうなのです。渾身のぎゃぐなのです」

「面白かったよ。あとで皆にもいってみようね」

「任せるのです。ですが、今はまず……」

「そうだね」


私とフィーリアちゃんは頷いて……。


「「お外で遊ぶ!!」」


今年初めての積雪。

遊ばなくてどうするの。

ということで、私とフィーリアちゃんはいそいそと着替えるのだが、ラビリスちゃんに、シェーラちゃんは起きてこないので、とりあえず、声を掛ける。


「ラビリスちゃん、シェーラちゃん、お外雪が積もってるよー」

「んん? ユキが積もってる? ユキは冷たくないわ。あったかいの、これは偽物……くー」

「ふえっ!? 雪がつもっているんですか!? 大至急、状況の確認をしないと。ウィード周辺の交通網が」


なんか、ラビリスちゃんはそのまま丸くなって起きる気配はなく、シェーラちゃんはパジャマのまま関係各所に連絡を取り始めた。

ある意味、いつもの通りの雪の日だった。

とりあえず、2人はいつものように忙しいので、私たちは着替えて廊下にでるといつもより冷たい空気が漂っている。

というか、廊下では白い息がでる。


「どうするのです? 兄様の所なのです? それともお外なのです?」

「うーん。まだ時間は早いから、お外に様子を見に行こう」

「わかったのです」


時刻は5時をちょっと過ぎたところ。

お兄ちゃんもお姉ちゃんたちもまだ寝ている。

朝ごはんの準備は6時からで、大体7時までに準備ができるから、無理に起こす必要はない。

ということで、2人で玄関に向かう。


「今回は同じ失敗はしないのです。ゆっくり、警戒して開けるのです」

「うん。がんばってー」


いつかの同じような雪の日、フィーリアちゃんは玄関を開けようとして、雪まみれになっちゃったことがあったんだよね。

注意して開けると、玄関の向こうには一面雪で真っ白になっていた。


「「おおーー」」


そういって、私たちは雪専用の長靴で外へと踏み出す。

さくっ、ぎゅっ、そんな雪を踏む音が響かせながら、私たちは雪の質を調べる。


「パウダースノーではないのです」

「これなら、雪だるま作れるね」


あまりにも寒いときは、雪がさらさらのパウダースノーっていう雪になっていて、なかなか握った程度じゃ固まらないんだ。

そうなると、雪合戦とか雪像作りができないので、ちょっと楽しさはへっちゃう。

でも、今日の雪は握ったらちゃんと固まるから、雪像作りに問題はない。


「じゃ、フィーリアちゃん」

「そうなのです。本日から、特別天候発令なのです!!」


特別天候発令ってのは、ウィードは本来、外の天候と合わせてダンジョン内、つまりウィードの天候も合わせているんだけど、色々なイベント時にはウィードの都合に合わせて、天候を変えるんだ。

天候による行事のズレがないから、イベント計画をする人たちはすごく助かるシステムなんだ。


「わーい。今日から雪像コンテストだね」

「具体的には、雪像コンテストを発令して一週間後が審査日なのです。一週間あれば、色々な人がちゃんと休みを取れて、参加できるのです」

「おー、流石は雪像代表だね」

「えへん。なのです」


フィーリアちゃんは、鍛冶の腕だけじゃなくて、雪で像を作ることも得意でいつもお城とか作ってすごいんだ。

それで、お兄ちゃんたちが雪像コンテストを始めたときは、お客さんを集めるために、フィーリアちゃんと一緒に小さいけど、雪のお城を作って、みんなに楽しんでもらったんだ。

残念なのは、フィーリアちゃんは運営側なので、コンテストに出品はできないんだけど、まあ、フィーリアちゃんが出品すると、フィーリアちゃんが優勝しちゃうだろうって言われると、私も納得。

だって、フィーリアちゃんはすごいからね。

と、こんな感じで実績があるから、雪像コンテストの開催日を決めるのはフィーリアちゃんに一任されているんだ。

もちろん、細かいことはお兄ちゃんやお姉ちゃんたちが手伝ってくれるけどね。

特にお金とかはエリスお姉ちゃんに頼まないと、よくわからないんだ。


「じゃ、今日の朝ごはんにみんなに伝えないとね」

「そうなのです」


とりあえず、開催は決まったし、一旦お家に戻ろうとすると、お兄ちゃんがサクラちゃんとスミレちゃんを連れて出てきていた。


「2人ともおはよう」

「ままー。おはよー」

「まま。おはよう」

「はい。おはようございます」

「おはようなのです。ちゃんと挨拶ができるのはいい子なのです」


そういって、私たちがサクラちゃんとスミレちゃんの頭をなでると、気持ちよさそうにする。


「で、お兄ちゃん。2人を連れてどうしたの?」

「なにかあったのです?」

「いや、この2人がどうやら朝早く目が覚めたらしくて、外をみて興奮しだしたってルルアが言っててな。それで、よければ2人を雪で遊ばせてやってくれってな。まあ、他の子たちはまだ寝てたしな」

「「なるほどー」」


しかたないよね。

雪が降るんだから興奮しちゃうよね。

でも、他の子はまだ寝てるから、こっちに連れてきたんだね。

私たちと同じみたい。ラビリスちゃんはまだ寝ているし。

そんなことを考えている間に、サクラちゃんとスミレちゃんは、初めて雪を触って驚いたり楽しんだりしている。

雪はみたことはあるだろうけど、こんな雪が積もった日に連れだしたのは初めての経験だ。

赤ちゃんが下手に風邪を引いたら命に関わるからね。

ようやく3歳を過ぎたから、雪を触ってもいいだろうって判断が出たんだと思う。

だけど、初めての雪の歩行は3歳児には難しいみたいで……。


「ふぎゃっ!?」

「おねーちゃ、ふわっ!?」


雪に足を取られて、雪の中へと倒れこむ。

今日は精々15センチぐらいの積雪なんだけど、子供たちからすればかなり足を取られるんだろうな。


「つめたい!!」

「つめっ!? ぱぱ!! まま!!」


2人とも雪の中でじたばたしているので、お兄ちゃんと私たちで助け起こして、雪を払う。

うん。怪我とかはないね。


「冷たいだろう。それが雪だ」

「暖かくしないと風邪ひいちゃうからね」

「遊ぶのは朝ごはんを食べてからなのです。妹たちと一緒にあそぶのですよ?」

「「はーい」」


2人の興奮は一旦収まったようで、全員で家に戻り、2人はキルエお姉ちゃんに預けて、私たちはいつもの朝ごはんの準備に向かう。

その途中でフィーリアちゃんが雪像コンテストのことを話す。


「あ、兄様。そういえば、雪の質は十分なのです。特別天候発令をお願いするのです」

「おお。そういえば、あの雪なら十分だな。今年もいよいよ開催か」

「そうなのです」

「わかった。みんなには今日の朝食で伝えよう。となると、忙しくなるな」

「それについては提案があるのです。今年は色々な参加枠で展示を分けるのです」

「なるほど。そろそろいいかもしれないな」

「うん? どういうことフィーリアちゃん?」


お兄ちゃんはわかったみたいだけど、私にはちょっとよくわからなかった。


「えーとですね。去年までは、大人も子供も、職人も一般人も全部まとめて審査だったのです。そうなると、賞をもらえるのは、やっぱり腕のいい大人で熟練の職人たちが多くなるのは当然なのです」

「あ、わかったよ。だから、大人の部とか子供の部とか、冒険者ギルドみたいにわけて、みんなを評価してもらえるのにするんだね」

「そうなのです」

「そうだな。それに、今まで熟練者ばかりで参加をためらっていた人も、一般の部とか、子供の部で参加してくれるようになるかもしれないからな」

「もっと、多くの人が雪で遊ぶかもしれないのです。無論、サクラたちが遊べるコーナーとかを作ってもいいかもです」

「雪合戦とか、雪遊びコーナーだな。確かに、同じ場所でやると雪像なんかが壊れたりしてトラブルのもとになるかもしれないからな。そういう場所は必要だな」


そんなことを話しながらでも、私たちは普通に朝ごはんの準備を進めている。

もう、私たちにとっては当たり前のことだもんね。


「あら? 雪像コンテストができるほど降っているの?」

「あ、おはよー。ラビリスちゃん。シェーラちゃん」

「おはよー。なのです」

「ええ。おはよう」

「はい。おはようございます。それで、ユキさん。雪の影響ですが、ウィードのダンジョン外の周囲一帯は馬車での交通がマヒしています。今日一日だけならいいですが、数日続くようなら、雪かき公務ですね……。ウィード周辺の町や村はウィードからの仕入れが主なところも多いですから」

「まあ、その時はスティーブたち魔物部隊に任せればいいさ。それでウィードの魔物の評価も上がるからな。自然災害の時に活躍するのが一番評価を上げやすい」

「代わりにスティーブたちが、寒空の中での仕事になるけどね」

「どのみち、雪像コンテストの設営で駆り出されますけどね……」


スティーブたちはいつでも大活躍なんだよね。

ちゃんと褒めてあげないと。

そんなことを考えつつも、ラビリスちゃんやシェーラちゃんも来てくれたので、スムーズに朝ごはんの準備が整い、宴会場でいつものようにみんなで集まる。


「おみみがとれるから、子供達にはちゃんと耳当てを……」

「はいはい。トーリ落ち着きなって」

「まずはご飯を食べてから」


トーリお姉ちゃんは相変わらず、雪には色々あるようで、耳当てを離せないみたい。

そんなにひどい仕事だったのかな?

自然は厳しいってお兄ちゃんは言ってたし、色々大変なんだよね。きっと。

寒いお外でお仕事や体育はつらいから。


「トーリはいつもの通りだけど。フィーリアの話は分かったわ。予算は確保してあるから、任せて頂戴」

「ありがとうなのです。エリス姉様」

「ふふふ。雪像コンテストのグループ分けもいいアイディアです。その公布も含めて宣伝は私に任せてください」

「ありがとう。ラッツお姉ちゃん」

「とまあ、こんな感じで、今年も雪像コンテストを行うから、みんなまた忙しくなると思うけど、よろしくたのむ」

「「「はい」」」


そうして、ウィードの雪像コンテストの幕は開くのでした。



「さあ、フィーリアたちも去年のに負けないぐらいの、お城を作るのです!!」

「うん!!」

「そうね」

「コンテストの顔を作りましょう」


私たちも、コンテストで一番大事なお仕事をがんばろう。




一旦落とし穴。

だって、凄い寒波だしね。

このネタはやっておかないと。


皆さんは大丈夫でしたでしょうか?

九州はそこまで被害なかったけど、他はなんか雪がすごかったらしいね。


あ、そういえば、明日2018年1月30日 8巻発売。

気が向いたら買ってねー。


それとモンハンワールド楽しい。



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