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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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落とし穴107堀:あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます



Side:ユキ



普通の日であれば、ほとんどの人は寝ているような時間帯。

只今時刻23時43分。

その時間になっても我が家では、子供たち以外はしっかり起きて、宴会場に集まっていた。


「もう、今年もおわりかー」

「早かったね」

「……今年は色々ありすぎた」


リエル、トーリ、カヤが今年を振り返り始める。

確かに、カヤのいう通り、今年は色々ありすぎた。


「今振り返ってみれば、ありすぎたですむけど、当時はどうなるかと思ったわよ。何せ、ユキさんたちが消えたんだから」

「そうそう。あの時は、もうこの世の終わりかと思いましたよ」

「ええ。本当に……」


そういってうんうん頷いているのは、エリス、ラッツ、ルルアだ。

この3人は俺たちが新大陸に誘拐、召喚されたことを聞いて、ずいぶん荒れていたと聞いている。

というか、普通、知り合い、家族が誘拐されたら誰だって慌てるし、攫った相手を恨むのは当然だ。


「私やリーアは護衛する立場であのざまでしたからね。自害も考えましたよ」

「私はあの時なにも考えられなかったよ。気が付いたら数日経ってたし」

「リーアは本当に茫然自失というやつじゃったな」


護衛だったジェシカとリーアはさらに輪をかけてひどい状態だったのは聞いている。

ジェシカは俺が攫われるのを指をくわえて見ている、待機しているように言ったし、いや、誤解はあるが、ジェシカが下手に召喚に割り込めばどうなるかわからなかったし、こっちに残されるメンバーにちゃんとした報告をしてほしかったというのがある。

リーアは、家に戻ってから先に部屋に戻ったところで、俺がいなくなった瞬間には立ち会えなかったのが相当ショックだったのだ、気が付いたら数日という状態だったらしい。

最後にデリーユだけは、残ったメンバーの中では唯一冷静でいた。

昔の経験が生きたといえば皮肉かもしれないが、それもまた経験であり、デリーユがみんなの正気を保っていたといってもいいだろう。


「ウィードの方も大変だったのは知っていますが、飛ばされた私たちも大変でしたわよ?」

「……ん。いきなり激戦の地に子供たちや、妊娠していたミリーたちと一緒に放り込まれた」

「そうそう。おかげで、まだ未熟なヴィリア、ヒイロ、ドレッサを無理に使わないといけなくなったわ」

「ラビリスのいう通り、初めてのことだったので、あれは緊張しました」

「……ヴィリお姉嘘つき。ノリノリだった」

「そうね。ヴィリアはユキの役に立つんだって、先頭に立って暴れていたわよね」


そうそう。ウィードもウィードで大変だったが、新大陸に飛ばされた俺たちも大変極まりなかった。

ヴィリアたちの手まで借りるような事態だった。

というか、ミリーたちは妊娠していたし、飛ばされた主力の半分は表に出せなかったからな。


「僕たちはそのままダンジョンの奥深くで待機だったし、あれはあれで、精神的によく無かったよね」

「みんなに比べると、アレだけど。お腹の中に赤ちゃんがいたから」

「うん。お部屋で、私たちだけってのは結構心細かったね」

「……最初は、ユキたちと一緒にお腹を抱えて執務を手伝うって話もあった」


やっぱりというか、ダンジョンの奥深くでずっと待機、避難していた、ミリーたちはストレスが溜まっていたようだ。

カヤが言うように、妊娠しているのにもかかわらず、手伝うって話もあったが、それは最終手段であり、何とか待機、我慢してもらうことになった。

結果としては、すぐにウィードと連絡が取れて、荒事の方も、ヴィリアたちでも十分にやれる範囲だったのでミリーたちの出番はなかった。


「まあ、開通したらしたで、大変だったけどね。シェーラなんて、バイデでキャサリンと組んで領主みたいなものよ?」

「あはは。そこまではありませんけど……」

「いや。シェーラちゃんはすごかったよー」

「そうなのです。バリバリお仕事をしていたのです。兄様たちみたいに書類仕事をバリバリして、キャサリン姉様やフィンダールの人たちとも先頭を切って話し合っていたのです」


ラビリスやシェーラは実務能力としては、サマンサやクリーナ以上だったので、アスリンやフィーリアに手伝ってもらって、制圧したバイデの統治や、ウィードからの支援物資の補給、領主のキャサリンやフィンダールの面々との打ち合わせなど、八面六臂の大活躍であった。

この時ばかりは、ラビリスやシェーラに無理に背負わせた、ウィードの代表や、ガルツ外交官の経験が役に立ったと思ったし、アスリンとフィーリアに勉強を教えていて、本当によかったと思った。

なにせ、この世界の文明レベルは地球でいう、中世ヨーロッパレベル。

四則計算でもできれば、食うに困らず仕事に就ける。

つまり、地球は日本の現代教育をして、相応の学を身に着けていたアスリンやフィーリアはバイデでは天才レベルであり、キャサリンからバイデに就職しないかと打診を受けてたりもしていたらしい。


「よくよく考えると、突然のことで慌てはしたけど、備えていたかいがあって、ちゃんと対応出来たな。反省する点は色々あれど、みんなが今までちゃんと頑張ってくれたおかげだ。ありがとう」


俺はそういって、頭を下げてお礼をいう。

こういう所はちゃんと言わないとな。


「当然ですよ。私たちは、旦那様の為にいるのです。夫婦は助け合うモノです。ねえ、デリーユ」

「そうじゃな。ルルアのいう通りじゃ。そして、妾たちが頑張ったのは事実じゃが、もちろん。ユキが一番頑張ったのは知っておる。のう、アスリン」

「そうだよー。お兄ちゃんが一番大変だったもん」

「まさか、英雄として召喚されたとは思いませんでしたからね」

「ジェシカのいう通り、驚いたけど、聞いてみればこれ以上ないってぐらいの話だしね」

「そうでしたわね。あの状況をひっくり返せるのはこの世界において、ユキ様しかいなかったでしょう」

「……ん。リーアやサマンサのいう通り、これ以上ないぐらいの人選だった」


とまあ、みんなも俺をねぎらってくれる。

こんな嫁さんたちと一緒になれたことを神に……、ではなく、俺の判断に感謝しよう。

神なんかに感謝した日には、調子にのるのが目に見えているからな。


「と、気が付けば。もうすぐ、新年だな」


長々と話していたが、時計を見れば、23時57分。

ラジオの方も盛り上がっている。


『さあ、今年も残すところ、3分を切りました!! 今年は、なんとセラリア女王陛下から、今年最後のお言葉と、新年最初のお言葉を続けていただく予定です!! 皆さん、静かにラジオに耳を傾けてくださいませ』


あー、セラリアの奴、新年のあいさつどころか、今年の締めも任されたのか。

収録は庁舎のスタジオだから、きっとイライラしてるんだろうな。


「セラリアお姉ちゃんが喋るんだー」

「楽しみなのです」

「そうねー。クスクス……」

「ラビリス。その笑いは、いい方向ではないですよね?」

「相変わらず黒いわね。ラビリスは」

「そういうドレッサはそろそろ食べるのをやめて静かに聞いた方がいいです」

「……ぐう」


ちびっこたちは仲良くラジオを聞いてるようだが、ヒイロは限界なのかこっくりこっくりしている。


「セラリアはきっとイライラしてるでしょうね。ねえ、ミリー」

「仕方ないわよ。去年までなら、一緒にこうしてのんびりラジオを聞いて、初詣とかに行ってたんだから」

「しっ、2人とも静かに。セラリアのあいさつが始まるわ」


エリスがそういって、みんなが一気に静かになる。

時刻は23時58分。


『えー、ウィードに住む国民、そして、他国から観光に来ている旅行者や冒険者の諸君。私がウィードの女王セラリアである。今年の締めくくりは、是非に私からの言葉でと、というリクエストがあったから、この場で話させてもらうわ。今年も、みんなお世話になりました。色々あった年だと思うわ。でも、ウィード国民のみならず、多くの人たちの手助けにより、無事に新年を迎えられることに、深く感謝するわ。……さて、そんな堅苦しいことを言っている間に、もう時間ね。カウントダウン行くわよ』


そして、今年は終わりを迎える。


『10、9、8、7……』

「「「10、9、8、7……」」」


皆もセラリアと一緒にカウントダウンを開始する。


『4、3、2、1……』

「「「4、3、2、1……」」」


『「「0」」』


ゴーン、ゴーン、ゴーン……。


教会の綺麗な鐘の音が鳴り響く。

毎度のことながら、除夜の重低音な鐘の音がこちらでは、鮮やかな音色で違和感なのは俺が日本人だという証拠だろう。

と、そこはいい。

さらば去年、やっほー新年。


『あけまして、おめでとうございます。さあ、新年よ。今年も一年、ウィードを盛り上げて楽しく行きましょう。まずは、新年のお祭りからね。楽しく、そして怪我などに注意して。あ、今年の福袋は2日からだから、初日に焦らなくていいわ。ああ、前日から並ぶのは近衛隊も導入して排除するからね。そこは注意するように。じゃ、私も家族の元で新年を楽しみたいと思うわ』


セラリアがそういうと、席を立つ音がして、すぐにラジオの司会にかわる。


『セラリア女王陛下はとてもご家族思いですね。私たちにも仕事が終わったらちゃんとご家族や友人と過ごして疲れを取るように言っておられました。さあ、私の仕事はこの新年を盛り上げるためにあります。と、忘れていました。私からも……あけましておめでとうございます!! 今から、教会の方へとリポートへ向かおうと思います!! 移動の間は、商店街の方の中継へと……』


そんな感じでラジオは続いていく。

そして、俺たちも、みんなと一緒に……。


「「「あけましておめでとうございます」」」


と、みんなで挨拶していると……。


ドタドタドタ……!!


「あけましておめでとー!! あなた帰ったわー!!」


そういって、セラリアが飛びついてきた。

それを受け止めつつ、よしよしとなでる。


「おかえり。というか早かったな」

「……ラジオ終わってから、一分経ってないですよ……」

「まあ、転移の指輪があるし……」

「本当に、ラジオから聞こえていたように飛び出してきたのね。後でラジオのディレクターとかになんて言おう……」

「そんなことはどうでもいいのよ!! 愛しい妻が帰ってきたんだから、ほら、お蕎麦!! お蕎麦よ!!」


「はいはい」


俺の新年は相変わらず、嫁さんたちのご飯を作るところから始まる様だ。

俺はエプロンをつけつつ、お蕎麦の準備へと取り掛かるのであった。


そして不意に、調理場の窓に映る自分に向かって……。


「あけましておめでとう」


そういうのであった。




はい。ということで、あけましておめでとうございます。

本年度もよろしくお願いいたします。


さてさて、ユキたちの今年はどんな激動の日々になるのやら。

それでも、マイペースなのはご愛嬌。


さて、ウィードも日本も、これから初詣と、福袋争奪戦が開始される!!

さあ、人込みの中に飛び込むのだ!!


ああ、いつもの通り、俺は家でぬくぬくしている。




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