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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第597堀:報告と第二次探索隊編成

報告と第二次探索隊編成




Side:タイキ




いやー、正直どうなるかと思った。

だってさ、いきなり消えたんだからさ。

どこかの学校の怪談に遭遇するってこんな感じなのかーって、妙な感想を抱いたぐらいだ。

まあ、ユキさんの事だし、ケロッと戻ってくると思っていたので、そこまで心配はしていなかったんだけど。

でも、ユキさんの奥さんたちは顔面蒼白。

そりゃそうだよな。

通算これで二度目だし、自分たちの目の前から消えるの。

可能性があるとは言ってはいたけど、実際起こるとやっぱり心は乱れる。

ルルアさんとかデリーユさんにガクガクされて、さあ助けろと言われ、カンナさん、エージルさんは国際問題になるのでは? と、別の意味で顔面蒼白になって、相談をされた。

無論、ガクガクされながら。

もうさ、いつリバースしてもおかしくないぐらいの状態だった。


ああ、正直どうなるかと思ったってのは、俺の事ね。


勇者、ガクガクされて嘔吐のち死亡とか洒落にならん。

いや、勇者じゃなくてもそんな死に方は勘弁だ。

飲みすぎで、夜中、嘔吐してそのまま窒息死とかそういうレベルだ。

あー、アイリ連れてくるべきだったか?

ルースの奴はどうにでもなると思ってやがるし。

わかってる? いま、俺をガクガクしているのって、ガルツ公認のデリーユ魔王だよ? そして後ろで涙ながら訴えているのは、元リテア聖国の聖女様ですよ?

俺のランクスより大国の重鎮たちで、そういう意味でも下手なことはできないんだが、それ以上に、ユキさんの安全対策で超絶性能になっている奥さんたちを相手に俺が敵うわけがない。

ああ、そういう意味で、ルースも口出ししない、できないのか。

ちくしょう。やっぱり勇者なんて、ただの便利屋じゃねーか。

身内に殺されるかもしれないという恐怖を抱きながらガクガクされること、3分ほどでタイゾウさんから連絡があり、無事解放されることになった。


『ユキ君たちは監視上は、まだその図書館に存在している』

「「「はい?」」」


タイゾウさん曰く、通常モニターでは発見できないが、コールの魔力監視モニターではこの3階に存在しているという。

現在北側の壁沿いにすごい勢いで移動しているとのこと。

とりあえず、俺たちも北側の壁がある通路に行ってみるが、ユキさんたちの姿を確認できなかった。


「角を曲がったとかじゃないですよね?」

『それは無い。というか、妙だな現在はタイキ君たちの後ろに反応がある』

「え。うしろ?」


振り返るが、もちろんユキさんたちはいない。


『今、君たちを通り過ぎた。……どうやら、同じ次元にいないという感じだな』

「次元って、いきなりオカルト的な」

『別にオカルトではない。君たちのおかげで現代科学研究の成果や、論文を読み漁っていて、別次元の存在は確認されている。別次元というより多次元、別世界というやつかな。素粒子加速の実験で重力子が消失しているという……』

「あ、すいません。簡潔にお願いします」


専門的なこと言われてもさっぱりわからん。


『つまりだ。似て非なる場所にユキ君たちはいるのだろう。それが思ったよりも近しいのか肉眼では確認できないが、魔力の監視には引っかかるということだ』

「……えーと、それで戻ってこれるんですか?」

『こんな現象は初めてだからな。私としてはなんとも言えない。が、噂話などのことから考えるに、そこまで時間はかからず戻ってくるとおもう。その予想もあってユキ君が自ら行ったんだからな』

「まあ、そりゃそうですね」


戻ってこれないところにユキさんが行くわけもない。

さらに、ドッペルだから万が一があっても戻ってこれるという保険もかけているから、そうそう問題が起こるとは思えない。


『それに、この手の現象に詳しそうな、秋天君に水龍殿までいるのだから、不味いことにはならんよ。最悪、この現象の起点となる場所はわかっているのだから、そこを弄ってみるというのもある。まだ焦ることではないな』


それもそうか、かの酒呑童子と水神様も一緒なんだしな。


「所謂、幽世ってやつですかね?」

『私の時代では科学者たちに鼻で笑われるネタであったが、信心深い人は信じていたな。いま口にしてみれば案外、かくりよ、隔離する世という意味もあったのかもしれないな』

「ああ、だから見えなくなっているって感じですか」

『神隠し、結界なども案外同じような仕組みなのかもしれない。ああ、日本で研究ができればな』


それは勘弁。

日本でのその手の噂は死亡事故がつきものですから。

四谷怪談とか平将門の首とか今でも語り草というか、お祓いしてからじゃないと取り扱わないモノがいまだに存在していますからね。


『ともかく、ユキ君たちの現象は記録しているから、戻ってきたら解析を行う感じだな』

「ユキさんたちの方でも何か掴んでいるといいんですけどね」

『そうだな。と、ユキ君たちはいつの間にか、歴史書コーナーに戻っているな。移動が妙なんだが、とりあえず確認してくれ』

「了解」


まあ、無限ループ系なら移動が妙なのは当然だろう。

余りゲームをしないタイゾウさんにはなかなか理解できないモノなのかも知れない。

知り合いが実体験するとは俺も思ってなかったが。

で、歴史書コーナーに戻ってみると、立ち尽くすユキさんたちがいて……。


「よかったでず!! 戻ってきましだ!! 旦那様ー!!」


とルルアさんたちがユキさんたちに群がる。

ユキさんはルルアさんのおっぱいにおしつぶされ……じゃなくて抱きとめて、こっちを見て聞いてくる。


「どうなってた?」

「いきなり消えたという感じじゃな」

「ええ。トラップを踏んだ瞬間、この通路にいたメンバーが全員消えた感じですね」

「時間は?」

『大体、10分ほどだ』

「あ、タイゾウさん。ご心配おかけしました」

『いや、魔力反応は追えたからそこまで心配はしていなかった』

「どういうことですか?」

『ダンジョンのコール魔力監視下では存在していて、肉眼では発見できなかった』

「……記録取ってます?」

『もちろんだ。まあ詳しい話は、一旦戻ってだな』


そんな感じで一旦、戻ることになった。

メディカルチェックの結果、全員特に何もなく無事で、疲労も歩いただけなので、そのまま会議に移ることになった。



「これが、先ほどの映像だ」


タイゾウさんが流す記録映像では、カグラがトラップを踏んだ瞬間、その通路にいた全員が消失していた。


「範囲はおそらく、この歴史書コーナーの一列だな。本棚を挟んだ両隣にはタイキ君たちが控えていたが、こちらは飛ばされていない」


こんな感じで、当時のこちらの状況をユキさんに説明するタイゾウさん。

それが終わったあとは、ユキさんたちの状況の説明に移り、まあ、内容はどこかの怪談で聞いたことがあるような、無限ループの話だ。


「前後の壁がすぐ見えてたどり着けたので、ループは左右に仕掛けられていたと思う。ループ開始はここで、ここの地点を通り過ぎると起点に戻っていた」


どうやら、歴史書コーナーを中心とするようにループが組まれているような感じだ。

まあ、そこに留めておきたいって言うのがあるんだから当然だろう。


「その後は、一旦歴史書コーナーに戻って情報をと思ったら、リーアが何やら噂の話し声を聞いた。どうやらトラップの上にいる人にだけ聞こえるようだった」

「ん? その検証はしていないのかい?」

「ええ。いざ検証をしようと思ったら、元に戻ったんですよ」

「なるほど」


タイゾウさんは、ユキさんから聞いた情報をホワイトボードに書き記していく。


・3階歴史書コーナーでブロックを起点として出らなくなるようなトラップが発動する

・時間制限がある模様 約10分?

・トラップを踏んでいると噂の声が聞こえるかも?


まあ、色々とわかったように見えるけど……。


「まだ情報不足だな。検証が必要なのも多い。トラップを踏んで発動したのはカグラ君だったな?」

「え? あ、はい。それに、ミコスもいました」

「ふむ。2人でか、なら次はカグラ君とミコス君以外でトラップが発動するかを調べないといけないな。血筋なのか学院生などの条件もあるかもしれない。そして、本当に時間制限があるのかも要調査だな。案外気が付かない行動をとったから出られたという可能性もある」


確かに、そういった条件を絞らないと下手に深く調査はできないよな。


「次の探索はその条件を絞ることを重視しよう。まずは確実に帰還できるかというのを確かめるのが大事だ」


タイゾウさんがそういうとみんな頷く。

片道切符なんてこの異世界に来るだけで十分ですからね。


「……あと、このようなことを聞くのは、科学者としてはアレなのだが、ユキくんたちはあの空間にいて、嫌な感じなどはしたかい? 殺気というか、悪寒というか、まあ、そういう奴だ。個人的には剣を使っているせいか、そういう気配というのはあると思っているんだ。それを軽んじるつもりはない」


確かに、タイゾウさんが言い淀むのもわかる。

殺気が!! 気配が!! とか日本で言えば頭おかしいんじゃね? って言われるだろう。

だけど、やっぱりそういう勘が働くときはある。

何がどういう理由でというのはわからないけど、この道は通りたくないとか、誰かに見られている?などは誰でもあることだろう。

ましてやここは異世界、直感を信じると言われて否定する気はない。

命の危険だけに絞れば、地球より確実に上だろうから。


「いえ。特にそんな感じはしませんでしたね。秋天、水龍は?」

「特に何もかんじなかった。ただ、楽しそうな感じはした」

『うむ。秋天様の言う通り、そういう負の念というよりも、童心のような遊び心を感じた。ソウタが何かを残したというなら納得できる話ではある。あれは、悪戯小僧であったが故に』


なるほど。

そういう勘の面でも危険はなさそうか……。


「なるほど。なら、そこまで捜査に当たって心配しなくてよさそうだ。では、次の探索だが、タイキ君たちに任せたいと思っている」

「え?」


なんでいきなり俺を御指名!?


「ユキ君を連続で向かわせるのは色々問題があるし、次の探索で謎を全て解明するわけでもない。私が行ってもいいが、万が一の時、無限ループなどを知っているタイキ君の方が対処しやすいだろうと思ってのことだ」

「そういわれると、そうですね。別にいいですよ」


御指名は驚いたけど、落ち着いて考えれば別に命の危険性はないのだ。

断る理由は特にない。

というか、こういうサポートの為に同行しているんだよな。

今後のランクスの為にも。

だけど、ユキさんたちとつるむと、こう、修学旅行の一環というか、学生の悪戯って感じがあるんだよなー。

良くも悪くも、俺にとっては楽しいからいいんだけど。


「タイキ君。快く引き受けてくれること嬉しく思う。では他のメンバーだが、水龍殿、経験者としてついて行ってはくれないだろうか?」

『構わないぞ。秋天様が連続で行くのもあれだ、私が同行する方がいいだろう』

「感謝します。残りだが、タイキ君の護衛であるルース殿、エージル殿、そしてアマンダ君、エオイド君で行ってもらおうと思う」

「はい? エージルさんもですか?」

「おや、タイキは私と一緒はいやかい?」

「いえいえ、でも、エージルさんは、立場的に不味くないですか?」

「何をいっているんだい。それを言ったら、ユキや君なんて王族だろう?」

「まあーそれはそうですが」


何というか、こう対応のレベルが違うというか、日本での無駄知識があるというか……。


「タイキ君。エージル殿の同行は私が頼んだのだ。彼女はイフ大陸では優秀な研究者だ。私が現場に赴けない今。イフ大陸の研究者の視点で見てくれるのは彼女だろう」

「いやー、そこまで言われると恐縮ですが、研究者としてはその不思議な空間には一度行って体験したいですね」


なるほど。

エージルさんは学者枠で付いてくるってことか、俺はユキさんやタイゾウさんみたいに詳しくないからな。必要だよな。


「わかりました。よろしくお願いします」

「うん。よろしくね。まあ、荒事は任せるよ」

「あの空間での荒事はきっと逃げますね」


身の毛もよだつレベルのモノが出ると思うね。気絶レベル。

そんな感じで話はまとまって、第二次探索の準備を始めるため席を立とうとしたら、今まで沈黙していたところから声があがる。


「あ、あのー!! 私たちがなんで一緒なんですか!?」

「ぼ、僕たちはあまり役に立ちそうにないんですが……」


そこにいたのはアマンダとエオイド。

ああ、そういえばこの2人が付いてくる理由は言ってなかったな。

言わなくてもわかると思ったんだけど。


「簡単。別学府の生徒視点ってのは要るだろう?」

「「それだけ!?」」


それだけじゃない。

大体こういう怪異に敏感なのは学生と決まっているんだ。

何かおこるなら、きっとこの2人だろう。

まあ、言うと行きたがらないだろうし、黙っておくが。


生贄じゃないよ? ほんとだよ?

身代わり山羊さんってところ。スケープゴートってやつ。

あれ? 意味同じか?






俺のターン!! 「身代わり山羊」をセット!!

ターンエンド!!


大事だよね。生贄って。

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― 新着の感想 ―
[一言] 霊感があったのは大学生まで、でした。 幽霊、ポルターガイスト(2回)に遭遇したのも大学時代。
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