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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第575堀:3度あることは4度ある?

3度あることは4度ある?




Side:ユキ




『ユキさん。見て見て、ちゃんと捕まえたよー。リユルたちも見てるかなー。お母さんたちがんばったよー』

『ユキさん。3人とも無事ですよ。問題なしです。これで安心してくれましたか? あ、ユーリは大人しくしていますか?』

『……ユキは心配しすぎ。この程度の事はこなせる。後片付けはスティーブに任せて、すぐにそっちに戻る。キッカと一緒に待ってて』


そう連絡してくるのは、亜人たちを簀巻きにしてつるしあげている、リエル、トーリ、カヤの獣人トリオだった。

3人が言うように、このイフ大陸会議を開催する前に無事に出産をして、母となった。

いや、前からセラリアとか出産した子供たちの世話とかをしていたから、前から母だというのは間違いないが、実子を生んだのは初めてのことだ。


だからこそ、大事を取って大人しくしてほしかったのだが、3人はここ2ヶ月ほど、新大陸のダンジョン奥深くで引きこもっていたのが堪えたらしく、今回の亜人の村の騒動を収めるために自分たちが出ると言ってきたのだった。

無論、俺は反対した。子供もまだ生まれて半月、トーリ、リエル、カヤもまだ出産して半月だ。

出産後、一ヶ月は普通安静にしておくものだ。産後の肥立ちが悪く命を落とす母親は現代でもそれなりにいる。

無理を冒して、気晴らしに行く必要などないと言ったのだ。

だけど……。


『いや、あなたの話は分からないでもないけど。ドッペルよね? 過保護すぎないかしら?』

『まあ、旦那様の心配もわかりますが、3人ともここ最近家ばかりでストレスも溜まっていますし、危険はそこまでないのですからいいのでは?』

『セラリアさんや、ルルアさんの言う通りだと思います。その……無理やりあの3人を家に押し込んでおく方がかえって心労を掛けることになるかと』

『そうじゃな。あの3人は体を動かすタイプじゃからな。二ヶ月近くもダンジョンの家に閉じこもっていてはストレスが溜まるわ。出産もして、肥立ちも悪くない。回復要員もおるし、セラリアの言う通りドッペルじゃ。あんまり我儘をいうでない。しかもあの3人なら亜人の村でも信頼が厚かろう。一石二鳥と思えユキ』


と、嫁さんたちに説得されて、3人の出撃を渋々認めたのだ。

で、その3人の子供たちはというと……。


「ほら、リエルお母さんだよー。リユル」

「あう?」


アスリンに抱えられて、リエルが映るモニターを見せられて首を傾げている、娘のリユル。

リエルと同じように、猫人族で、髪の毛の色はリエルよりも、白髪の少ないアッシュのような感じの子だ。


「ふぎゃー」

「大丈夫なのですよ。ほら、ユーリ、泣き止むのですよー。もうすぐお母さんが帰ってくるのです」


フィーリアにあやされているのは、トーリの娘のユーリだ。

こっちはトーリをそのまま赤ん坊にした感じの容姿だ。


「くー」

「キッカはぐっすり寝てるわ。マイペースなところはお母さん似ね」


ラビリスに抱かれているのは、カヤの娘キッカ。

こっちも母親の容姿をそのまま赤ん坊にという感じだ。

……なんで全部娘なんだろうか。

地球人と混ざると、アロウリト人は女の子しか産まないとかそういう呪いがあるのかと心配になってしまう。

と、そこはいいが、ついに生まれた、トーリ、リエル、カヤの娘。

獣人特有のお耳やお尻尾を携えていて、今や、我が家のアイドルであった。

勿論、ミリーの娘、ユミもアイドルであった。

そこに群がるのは大人たちだけではなく、3歳の娘たちもきゃっきゃと喜んで会いに来ていた。


……うん。

確かに、そんな毎日を過ごせば気が滅入るよな。

最初の内はいいのだが、毎日何度もあれば気が滅入る。

1人になる時間も欲しくなる。


「大体片付いたみたいね。で、ユキはこの件はさっき言ったように6大国が裏にいると思っているの?」


モニターを見つめていたセラリアは敵を示す赤い点が消えたのを見て俺に質問をしてきた。


「いないわけがない。という前提で動くべきだろうな。もちろん偶然の可能性がないわけでもない。が、今回のゲート流通での戦争抑制は、ロガリ大陸と同じく、イフ大陸でも好戦派の連中にとっては嫌な出来事だろうからな」

「まあ、そうでしょうね。でも、各国の王たちが文句を言ってくると思ってたのだけど、それもなかったわね」

「そりゃ、最初に大きい釘を刺したからな。新大陸が見つかったから、特にそっちと積極的に交易する必要はないって」


俺がそういうと、セラリアはこめかみを押さえて、口を開く。


「そうだったわ。今更、私たちが企んだなんて言えるわけないのよね。信じられないなら、この話はなかったことにっていう。最悪の交渉をしていたわね」

「そうそう」


亜人の武装集団襲撃は関係のない国にとっては、ウィードが自作自演で仕組んだと思う方が当然だ。

なにせ、会議の予定を立てたのはウィードが主体だからな。

だが、それは大陸間交流をしなくていいという発言でかき消されることになる。

今まで骨を折って、大陸間交流の為に動いていたウィードがいきなり180°違うことを言い出した。

本来であれば、この件で、大陸間交流を進めたい国々はウィードに難癖をつけて有利な条件を引き出そうと頑張るだろうが、無理に大陸間交流はしなくていいよ。という特大の釘を刺したので、迂闊に何も言えなくなったのだ。


「この状況から見て、6大国の誰かが誰かの指示の下動いたとみるべきよね。真っ先に疑うべきウィードはこの大陸間交流自体を無かったことにしていいと言い出したのだから」

「そうそう。つまり、これで6大国の皆さんは身内の駆除に動くことだろうね。いい機会だから」

「……なるほど。今回のことで誰かが情報を流したということと、各国の王襲撃未遂が成り立つから、各国は大手を振って国内の現体制への反発者を強制的に捜査できるのね」

「いままで、表向き従っていた怪しい連中を、ちゃんと調べる理由ができたからな。身が潔白であるなら、調査に協力できるはずとか言って」


まあ、事前告知はいるだろうから、証拠は破棄されるけど、反対派のけん制にはこれ以上のことはないよな。

いや、6大国の王たちも馬鹿じゃないから、部下の怪しい奴らを一気にしょっ引くぐらいの行動はできるだろう。

身内に足引っ張られたくないし、さっき言ったように現体制の強化でもあるからな。

案外ほくそ笑んでいるところもあるだろうな。

邪魔者を大義名分で排除できるからな。


「……あなた。こうなることを予想していたの?」

「さぁーて、どうかなー。ま、追跡もスティーブたちが行っているし、今回の依頼主がいる国にはいい貸しができたわけだ」

「他の国も、あなたに相当借りができているわよね。今回のおかげで、現在の体制をより強化できるのだから」

「おお、そうなると。大陸間交流を進めたい人たちは幸せだな。よかったよかった」

「反対派にとっては、地獄よね」

「いや、別に。反対派もちゃんとしっかりした正当な手段で訴えればいいんだよ。裏でこそこそ動くからいけないんだ。まあ、それで、大陸間交流でもたらされる国益を超える何かを提案しないと、反対派はただの時勢を読めないバカって烙印が押されるけどな」

「それ、反対派に付くと負け確定じゃない」

「だからなおさら、反対派、好戦派は数を減らすだろうな」

「……更なる、戦力減衰。真綿で首を絞められるってやつね」


セラリアが苦笑いしながらつぶやく。

まあ、セラリアもこれぐらいは考え付くだろうし、どこの国でもこういうことはやる。

切っ掛けさえあればいい。だが、その切っ掛けがなかっただけ。

俺はその切っ掛けを与えただけ。


「でも、反発者がでていたらどうするの? さっきの会談、へたすれば6大国のどこかが抜けてもおかしくなかったわよ?」

「ゲートを押さえているエクスと、身内のホワイトフォレストがいるからな。既に2大国はこっち側だな。残り4大国が攻めてきたらそれこそ、大義名分でぶっ飛ばして、現体制をひっくり返して、ウィードと仲良くやろうって一派を押し上げることができるな。そもそも、ジルバ、エナーリアはこっちの実力を目の前でみてるからな、敵対するとは思えん」

「……つまり、敵になるとしてもアグウストとローデイぐらいのもので、そこもゲート停止での物流を止めて、各国から四方八方攻めになるわね。というかゲートの有用性は理解できているでしょうから、エクスがウィードにつくといった時点で、敵対される可能性は限りなく低いわね」

「そういうこと。ある意味最初から出来レースだったわけだ。アグウストがいままでこっちの実力を測りかねていたから、動いたけど、今回のことで影響力を知っただろう。思ったよりも和やかに話が終わって俺としては不満」

「アグウスト内部はあなたに不満たっぷりの人が多そうだものね。それを叩き潰す機会がなくなったのは確かに痛いわね。味方の振りをしている奴のほうが面と向かって敵をやっている奴よりよっぽど面倒だわ」


セラリアの言うように、アグウスト王が思ったよりも穏便に済ませてしまったのが不満だ。

各国もフォローに回っていたからな。まあ、今更戦争なんか始めたら大陸間交流が延びるのは目に見えているからな。

正しい判断ではあるんだろうが、俺としては不満。


「ともかく、あとは細かい話し合いのあと、ロガリ大陸のメンバーと顔合わせだが、まあ、国内の整理もあるだろうから、もうちょっと先になるだろうな」

「約半年は必要よね。早くて2か月、3か月。その間に、新大陸の方を進めるつもり?」

「ああ。大陸間交流の方は、ウィードの方の体制が整っているからな、あとはウィードの皆主体で頑張ってもらおう」

「私たちにとってもいい機会ね。ウィードの民がどれだけ頑張れるようになったかしら?」

「なるようになるさ。失敗すればフォローをちゃんとしてやればいい。成功すれば褒めてやればいい。それが女王陛下の仕事だからな」

「失敗も成功も全て血肉となるか。そうよね。実戦に勝る経験はないのよね」

「そう。実戦に勝る経験はない。だから、俺は子育てを頑張るのだ」


そういって、俺はフィーリアがあやしているユーリに近寄る。


「よしよし」

「ふぎゃー……、ふえ?」

「あ、兄様」

「いいか? フィーリア?」

「大丈夫なのです。ほら、お父さんなのですよ」


フィーリアからユーリを受け取る。

お耳がぴくぴくしてこちらを伺っている。

うむ。かわいい。


「……お父さんがよかったのですね。フィーリアは少し残念なのです」

「じゃ、フィーリアは私が抱っこしてあげましょう」

「わわっ。セラリア姉様」


俺がユーリを抱っこして、セラリアがフィーリアを抱っこする。


「……あなた。娘たちとのんびりするために、あんな言い方をしたんじゃないでしょうね?」

「知らん知らん。おー、よしよし」

「きゃっきゃっ」


これで当分は、身内の掃除で忙しいことだろう!!

しばしの娘との一家団欒の為に激しく争うがいい!!


「セラリアもその辺にしてあげなさい。ユキは今回も失敗したんだから」

「お兄ちゃん。今度はトイレを我慢してて、限界になって駆け込んだ間だったよね」

「その分。トイレが長くなったのよね……。はぁ、膀胱炎とかの原因になるから我慢しないで行けばよかったのに」


……そう。

俺はまた失敗した。

今度はトイレを我慢した結果だ。

限界まで我慢したんだ。

いや、まだあと数秒は我慢できたはずだが、嫁さんたちから「うっとおしいから、さっさとトイレ行きなさい。漏らしたら、子供に会わせないわよ」と言われてトイレに駆け込んだ隙の出来事だった。


……子供の出産に立ち会えない駄目な父親が子供の為に時間を作ろうとして何が悪い!!





ということで、3人の娘も無事に生まれております。

ユキはまあお約束ということで。


さて、ここからは一旦落とし穴を挟みます。

そのあとは、再び新大陸へ!!


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