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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第574堀:久々の登場で張り切る

久々の登場で張り切る




Side:モーブ




最初はまたどこかの集落から、この村に移住してきた連中かと思った。

この亜人の村はよくよくこうやって住人が増えるからだ。


元はといえば、この亜人の村はただのウィードとの出入り口に過ぎなかった。

ルナの奴にユキが調査を頼まれて、ゲートがつながった場所がただ単に亜人の村の近くだった。

イフ大陸の事を何も知らない俺たちは、とりあえず、ジルバ帝国の連中に襲われている亜人達を助けた。

今後の情報を得るためにもな。

ま、それが原因で色々巻き込まれて、亜人の村を守ることになった。

そして、このイフ大陸ではあまり立場の良くない亜人、つまりロガリ大陸で言う獣人やエルフなどの種族が庇護を求めて集まってくるようになったのだ。

今は、亜人の村というには結構人数がいるので、正直町と言っても問題ないぐらい人が集まっている。

まあ、そういう風に仕向けたんだけどな。ユキの奴が。


このイフ大陸において、この村にいる亜人は世界からの爪弾き者だ。

ホワイトフォレストの亜人たちのように、人と手を取り合うことを良しとせず、いつか人を蹴散らそうと憎しみを持ってきた連中だ。

下手をすれば、こいつらが暴走して暴れまわる可能性もあった。

だからこそ、ユキはこの亜人の村を守ると言って俺たちを置いた。

何か起こるなら、今亜人が集まっているこの村から騒動が起きるとみて。


それが、今日起こった。


「ようやくというべきか、ついにというべきかな」


俺はそう呟きつつ、コールのMAPに映る反応を見つめる。

この村に移住してきた連中かと思えば、規模がおかしい。

100人近い数が、しかも誰もが手に武器を持って近づいてきている。

やる気満々だ。

さて、距離はまだ十分にあるから、退避は間にあうはずだが……。

そう思っていると、ライヤが戻ってきた。


「村長には話してきた。直ちに、中央の集会館に村の皆を集めるそうだ。相手の距離はどうだ?」

「いや、まだかなりある。直線で3キロといったところだ。あと小一時間はかかるだろうな」

「小一時間か、村の人数から考えて避難するのは結構ギリギリだな。もっと索敵範囲を広げられたらよかったんだが」

「そういうわけにもいかねえだろ。こっちの土地は魔力の暴走がどうでるかわからないからな。先に察知できただけでも儲けものだ。で、カースの方は?」

「カースの方は援軍にきたスティーブたちを迎えに行っている。もうすぐ着くはずだ。ユキからの連絡はどうなった」

「今のところ変更はないな。村人を避難させて、スティーブたちの到着を待てだとさ。こっちから出て行って、殲滅しろってのはないな」

「まあ、当然だろう。まだ敵だと決まったわけじゃないからな」

「武装しておいていうか?」


俺がそう皮肉を言うと、今度はカースとスティーブが部屋に入ってきて俺の皮肉に対して答える。


「今は、近くのベータンで各国の王が集まって会議をしている最中ですからね」

「迂闊に血なまぐさいことはできないっすよ。ホワイトフォレストの立場も不味くなりかねないっすし、そうでなかったとしても、大将やジルバ、エナーリアが企んでけしかけたとか言われかねないっすからね」

「まったくめんどくさいことだねー」

「世の中そんなもんですよ」

「そうそう」


そういって、カースとスティーブも席に着く。


「で、2人が来たってことは準備はできたわけか」

「ええ。既にゴブリン隊が偵察に向かっています」

「偵察だけっすけどね。案外、道に迷ってましたーで済めばいいんすけどね」

「そりゃないだろう」

「だな。コール画面を見る限り、組織だった動きだ」


画面の中では赤い点が5つほどまとまった集団が、等間隔の距離をあけて10ほど近づいてきている。

その後ろに50ほど集まった集団がいる。

明らかに、先発隊と本隊といった感じだ。


「まあ、そうですね。でも、このタイミングが問題なんですよ」

「そうっす。このタイミングで襲ってくるってことは誰かが情報を流していたという感じっすね」

「いやいや、まてよ。それならベータンに直接行くだろうが」


俺はそういって2人の話を否定するが、ライヤは頷いて納得していた。


「なるほど。ベータンに直接攻め込めるわけもない。ここを落として、戦力として加えるつもりか。森に接しているし、少数でも行けると思ったわけか」

「もともと、ここを押さえている私たちに文句のある連中も多いですからね」

「おいらたちを倒せれば、どうにかなると思ったんじゃないっすかね? ま、問題は時期を正確に知っていることっすね。ゲート移動による時間短縮も考慮しているっすから、内部からなにか仕掛けているとみていいっすね」

「あ、そういうことか」


今までのイフ大陸の移動は徒歩か馬だ。

しかし、ゲートでの移動簡易化が進んで、大国同士の行き来が容易くなった。

つまりだ、今回の亜人達がこちらの会議があることを知ることはできても、ここまでタイミングよく攻め込めるわけがないのだ。

移動はほぼ一瞬だからな。

エナーリアからベータンまでは馬車などの移動になるが、それでも亜人たちはゲートを使えないので、移動時間で完全に出遅れる。

かなり前から予定を知って、集まっていないといけないことになる。

だから、カースやスティーブは今回会議をしている各国の身内の誰かが情報を流したと疑っているのだ。


『ま、そこらへんは詳しく調べないとわからないが、上層部は知らないっていってるから、排除して問題ない』

「うおっ!? って、ユキか。上層部っていうのは?」

『今、ベータンで会議しているメンバーだよ。ベータンの近くにある亜人の村に武装集団が近づいてきているって話をした。特に誰も動揺はしていなかった。ホワイトフォレスト王が責められるかと思っていたけどそれもない。たぶん、利権とか亜人憎しとかそこらへんで下の奴が勝手に動いているんだろうさ。まあ、裏はわからんけどな。ベータンのウィードの対処能力を見て色々計ろうと思ったのかもしれん』

「ふぅん。で、結局どうするんだ?」

『ああ、みんな知らぬ存ぜぬなら、こっちで処分していいってことだ。派手に捕まえて、こっちの力を再度見せつける方がいいだろうな。今後の為にも』

「よし。じゃあ、ぶっ飛ばしに行けばいいんだな」

『いや、全員はダメだぞ。ちゃんと少数は逃がして後を追う。巣穴に戻るだろうからな。そこをスティーブ達の偵察部隊に追わせる』

「わかった。そこらへんは手加減する。よし、ライヤ、カース。剣の国以来の大仕事だ。行くぞ」

「おう」

「はい」

「じゃ、おいらは後方に控えるっすよ」


方針が決まってさあ、仕事だと立ち上がった瞬間、ユキが待ったをかけてきた。


『ちょっとまて、援軍があるからそっちと協力してくれ』

「援軍? あの程度の数なら俺たちでどうにもなるが?」

『いや、気晴らしの部類だな』

「気晴らし? どういう……」


俺が質問をしようと思った途端、ドアが開いて援軍が到着した。


「やっほー。モーブさんたち、僕たちも手伝うよー」


そういって賑やかに入ってきたのは、リエル、トーリ、カヤだった。


「お前ら、なんでここに?」

「なんでって言われてもなー。僕たちも久々に動かないと体がなまっちゃうからね」

「新大陸では、妊娠してじっとしてましたし、精霊の巫女とかでうるさかったですから」

「……イフ大陸なら気分よく動ける。特にこの村なら」

「いや、そこはいいんだが、子供産んだばかりだろう? いいのか?」


そう。この3人、つい半月ほど前に出産したばかりなのだ。

産後は安静にするのが当然で、まあ一週間は大人しくしていないといけないし、子供の事もあるから、一ヶ月は付きっきりの方がいい。


「いいんだよ。そこは皆に頼んできたから」

「はい。安心して子供たちをまかせられます」

「……うっぷんが溜まっている。これは子育てにはよくない。ストレスを軽減するために必要なこと」

「……そうか。ユキ、いいのか?」

『あー、今まで、家にこもりっきりだったからな。俺としてはまだまだ安静にしてほしいんだけど、ドッペルだし、問題ないだろうって、他の嫁さんたちはいうから……』

「なるほど」


お前も、嫁さんには弱いよな。

まあ、二か月近くも家でじっとしていたら気も滅入るか。

亜人の村で待機だった時は、飛び出したい感情があったからな。その気持ちもわからないでもない。


「人数が大いに越したことはない」

「そうですね。ある意味、この村に初めて来たメンバーに近いですし、懐かしくもあります」


ライヤの言う通り、嬢ちゃんたちが増えることはありがたい話だ。

そしてカースの言う通り、ここに来た時のメンバーは俺たちに、獣人の嬢ちゃんたちとユキ、勇者の嬢ちゃん、ザーギスだったな。

いやー、もうずいぶん前の話か。

と、もう拒否できないし、やるなら楽しくいかないとな!!


「よし。なら、俺たちからの出産祝いってことで、派手に暴れるか!!」

「よっしゃー!! モーブさん話がわかるー。僕張り切るよ!!」

「リエル。やり過ぎないようにね」

「……久々の実戦。油断しない」


リエルの嬢ちゃんは相変わらず少し調子に乗りやすいが、トーリとカヤの嬢ちゃんはいつものように冷静だ。

これならそうそう心配はいらないな。

俺の考えを呼んだのか、視線を向けたライヤとカースは頷いている。


「よし!! 俺たちが周りの先発隊を潰す!! 嬢ちゃんたちは、奥の本隊に飛び込め!!」

「まっかせて!! いくよ、2人とも!!」

「あ、リエル!!」

「……はぁ。変わってない」


その声と同時に駆け出す俺たち。

そして後ろから叫ぶスティーブ。


「ちょ!? 張り切りすぎ!! みんなわかってるっすか、てかげん!? おーい!! ちっくしょう!! 偵察隊に告ぐ!! リエルの姐さんたちが合流して切り込んでいったっす!! 先に仕掛けてにが……」


俺は知らね。

いや、俺たちはちゃんと逃がす。

怒られるのは嬢ちゃんたちだから問題なし。


「おいこら、大将!! 自分の奥さんぐらい言い含めろっす!!」

『いや、言ってるから多分大丈夫』

「多分ってなんすか!? たぶんって!? ちくしょー!! 待ってください、姐さんたち!! 聞こえてるっすかー!!」


スティーブもどうやら、俺たちとは別れて、リエルの嬢ちゃんたちと一緒に本隊に殴り込むようだ。

俺たちはそっと、分かれて、先発隊がいる方へと走っていく。


「いいのか?」

「いや、止められるのか?」

「無理でしょう。とりあえず、先発隊が村に仕掛けてくるのもめんどうですから、ちゃんと潰しておきましょう。これも立派な仕事です」

「そうだな」


そうだ。ライヤの言う通り止められるものではないし、カースの言う通り、先発隊を止めるのもちゃんとした仕事だ。

俺はちゃんと職務を守る冒険者の鑑だ。

そう、だから俺に責任はない。



ドカン!! ズドーン!!


ぎゃー!! ぐわー!!



そんな音がリエルの嬢ちゃんたちが向かった方向から聞こえるが、俺たちには俺たちの仕事がある。

走り抜けた先には茫然と空を見ている亜人たちがいた。主に犬耳とかが付いているから獣人たちがメインのグループだな。

未だに爆発音と叫び声に気を取られていて、俺たちの存在に気が付いていない。

その隙に、俺たちはその5人のグループの内、3人をカースの魔術で捕縛し、のこり2人は俺の剣とライヤの槍を首筋に当て、動きを封じる。


「き、きさま!!」

「なんだ。あっちのようにお空を飛びたいか? それとも、ばっさり行ってみるか?」

「……ぐっ。殺せ」

「遊びに来たとは言わないんだな」

「……あの村を解放しにきたのだ。亜人の未来のために」

「未来ね。……まあいい。ライヤ」

「ああ」


俺がそう声をかけると、槍を下げる。

俺も同じように剣を下げて下がる。


「なんのつもりだ」

「いや。もう少しよく考えてこい。話し合いなら応じる。それは今日よくわかっただろう。こっちとて好きで命を懸けて戦うわけじゃないんだ」

「……あっちの3人はどうなる?」

「捕虜だな。そっちがちゃんと話し合いにくるなら、解放してやるよ。信じられないっていうなよ? 今、お前たちが生きているのが何よりの証拠だろう?」

「……期限は?」

「お前らの拠点がどこにあるかわからんから、相談も含めて3か月ぐらいでいいんじゃないか。それ以降は保障しない。無理そうか?」

「……いや、それでいい。すまん。お前たち、必ず3か月で戻る」


そういって、2人は森の奥深くへ消えて行った。

さてさて、スティーブの部下が追跡しているだろうし、俺も他の先発隊の抑えに行きますかね。



ドカーン!! ぎゃー!!



そして響く爆音と叫び声。

あっちは、逃げられる可能性は低そうだな。

逃がそうとしても、腰が精神的にも物理的にも砕けていそうだ。





モーブたち久々の……ではなく、トーリたち参上!!


子供たちの話は次回に持ち越し。


そして、そろそろ落とし穴ですかなー。

内容は色々悩んでおります。

お楽しみに。

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