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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第573堀:忘れられたモノたち

忘れられたモノたち




Side:ユキ




「思ったよりも、穏便でのんびりね」

「そうですね」

「アグウストがあの発言をしたときはどうなるかと思いましたけど」


そんな話をしているのは、セラリア、ルルア、シェーラの元王女組で、結構政治にかかわりがあった3人だ。

先ほど、ベータンでの大会談一日目が終わり、その様子を見ていた俺たちは今後の予定を話し合うつもりだったのだが、思ったよりも荒れることなく、会談が終わったことに対して、みんなで驚いているところだ。


「……不可解。あんな馬鹿発言したアグウストに対して、なんで各国はあんなに緩い制裁しかしない?」


なんて言うのは、一応アグウスト王から養子認定されてお姫様になり、建前上対ウィードの外交官でもあるクリーナだった。


まあ、俺やセラリアとしっかりした繋がりがある以上、ただの外交官ではなく、縁故での要職への任命だ。現代の地球ではありえないが、この世界の文明レベルでは当然だろうな。

下手に新たな使者を送るよりも、クリーナを使った方がやりやすいのは誰が見てもわかるだろう。直接、俺やセラリアに話ができるのだから、謁見までに時間がかかることもない。

逆に、俺たちからしても、クリーナが養子でお姫様認定されたので、アグウスト王に謁見を取り付けることも簡単になるだろう。というか、義理の父親に会いに来たといえばいいだけだからな。

こういう立場を利用した繋ぎの簡略化は現代でもよくあることだ。

公式ではないけど、非公式でさっさと面会できるのだから当然だよな。

クリーナ本人にとっては、約束を反故にされたという不快感もあるだろうが、それ以上にメリットの方が大きい。

ウィードを下に見ているという懸念もすぐにあの会談で潰した。

どこかの国があの適当な態度に業を煮やして文句を言うだろうと思って、別に無理に交流しなくてもいいですよ。と切り返したからな。

さぞ慌てただだろう。

まさか、大陸間交流をやらなくてもいいと言われるとはね。

お互い引けない話かと思って、揺さぶりをかけてみれば、ウィードはあっさり引いてしまった。

それで、アグウストはフルボッコ。

かと思えば、俺がいなくなった後は、ちゃんとフォローに回っているから、思ったよりもイフ大陸の連中も強かだね。

俺がそんな感想を抱いていると、クリーナのつぶやきに答えたのはサマンサだ。


「……おそらくですが、制裁が緩い理由はウィードの得体がしれないからですわね」

「ウィードの?」

「ええ。私たちは既に嫁いで、ウィードの内情はもちろん、ユキ様の本当の目的を知っていますから疑問などはありませんが、イフ大陸の国々にとっては未だよくわからない、他の大陸の一国家でしかありません。それらを踏まえると、ユキ様の今回の発言、無理に大陸間交流をしなくてもいいという発言は、攻め滅ぼすとも取れる内容に聞こえないこともありません」


まあ、考えられるよな。

それぐらい考慮に入れて動かないと王様は務まらない。


「攻め滅ぼす? そんな無駄なことをするわけがない」

「はい。ですが、それは私たちがユキ様のことを知っているからこそ。ですが、イフ大陸の方々はユキ様のことはもちろん、ウィードという国の立ち位置すらよく知らないのです。下手をすれば、先ほどのアグウスト王の発言が元で戦争になる可能性があると各国の王は考えたわけです」

「……話は分かる。だけど、それだとユキを非難したアグウストへの制裁を緩める理由にはならない。あれが周りの足を引っ張っている」

「だからと言って、アグウスト王を非難し続ければ、アグウスト国と他の国の関係が悪くなります。それが原因でイフ大陸での大規模な戦争が起こるかもしれないのはわかりますね?」

「ん。それはわかる。でも、それだとアグウスト対複数国家ですぐに決着がつくはず。わざわざアグウストを擁護する意味はある?」

「ありますわ。戦争となればお金はもちろん人材も資源もかかります。それを工面して、ようやくアグウストを打倒したとして、その後のアグウストの統治に各国が頭を悩ませることになります。その分大陸間交流が遅れるというのは非常にまずいことですし、ウィードがこれを狙っていると勘繰っている王たちもいるでしょう」

「どういうこと?」

「イフ大陸で混乱が起きれば、ロガリ大陸に対抗するための戦力がそがれるという意味合いもあるのです」

「……ああ、アグウストの件は、ロガリ連合がイフ大陸を制圧しやすくするためにユキがわざと揺さぶりをかけてきたと思った?」


ぽんっと、手を打って納得するクリーナ。

そう。最後の和やかな談笑は、こういう背景も含まれていた。

アグウストが孤立して、戦争にでもなればウィードの、ロガリ大陸の思うつぼでないかという懸念もあったのだ。

だから、なるべく大国同士は仲良くしておこうという方向で固まったわけだ。


「そういう可能性を考慮したというべきですわね。実際私たちにはイフ大陸制圧なんてことに時間をかけている暇はありませんから」

「ん。その通り。ユキが会談で話した新大陸のことで忙しいというのは事実」

「ええ。ですが、ユキ様の実力を身をもって知っているジルバ、エナーリアはそう安易に信じられるわけがありませんわ。隙を見せて迂闊にユキ様と事を構えるようなことになれば、ベータンに近いジルバ、エナーリアが真っ先に潰されると思うはずです」

「なるほど。それは怖い。だから、万が一にもそんな隙を与えないために、イフ大陸でのつながりを強固にしようとしている?」

「そのとおりだと思いますわ。ですが、なにせ各国の王なのですから、他に思いもよらない思惑があるのかもしれません」

「話は分かった。でも、ユキはこれでいいの? アグウストに馬鹿にされたようなもの。謝罪だけ、私を守るためにイニス姫と交わした約束も反故にされた。ウィードにとっては不名誉であり、不利益になりかねない」


とりあえず、サマンサの話で大体の流れと意図を理解できたクリーナは、今度は不利益を被ったと思われる俺に話しかけてくる。

だが、俺は特に問題なく答える。


「え? 確かに、今回の件に対する謝罪は受けたけど、ヒフィー神聖国とか、竜騎士アマンダとか、アグウスト訪問の時の貸しの件はチャラになってないからなー」

「「「……」」」


皆の目が点になる。


「……理解した。アグウスト王はこの借りが山ほどあるからこそユキを非難した」

「……ですわね。何としても、今回の落ち度を突いて、今までの借りをなかったことにしたかったのですわ」

「ああ、そんなこともあったわね。今まですっかり忘れてたけど、アグウストでやってきたこともあるわよね。ジルバ、エナーリア、ローデイと違ってアグウストではあくまでもアマンダの同伴としてやってきたわけで、傭兵団への報酬を支払ったという事実しかない。実は一国の王配とその御一行だった。なんてわかればね」

「その分の配慮が必要になりますね。クリーナさんがお姫様になったというのも、そこら辺の考慮もあったのかもしれません。王配なんてしらなかった、賃金は支払ったで、終わりにできることではないですね」

「戦争になる事態を回避してもらいましたからね。しかも何も縁もゆかりもない他国の力でです。ランサー魔術学府は資金援助の件もありましたからまだ感謝の手紙でもよかったのかもしれませんが、ウィードに対してはそうもいきませんね」


クリーナとサマンサはアグウストがなんであんな行動をしたのかを理解して、セラリア、ルルア、シェーラはなにかアグウストを憐れんでいる気がする。


「これで、アグウストもウィードに頭が上がらないわけですが。がっぽり儲けることができますねー」

「ラッツ、露骨にやっちゃだめよ。敵愾心を煽るから。ウィードは危険と思われて敵対されたら目も当てられないんだから」

「分かっていますとも。そこらへんは調整して、ちゃんと還元もして、ますますウィードに頭が上がらなくなってもらいましょう」

「そうね。ちゃんと援助もすればそこら辺の感情もあって、敵対するようなことは減るわね。まあ、技術交流とか、交易の品の検討もこれからだけど」


そんな、経済浸透作戦を話すのは、ラッツとエリス。

この話をアグウストは断るのは難しいだろう。

還元、援助もすると言っているのだから、下手をすれば喜んで土地を貸し出すかもしれない。

そうなれば、晴れてアグウストに王家肝入りのウィード商店が進出となる。


「ま、夢が膨らむ話はいいとして。この会談のおかげで、大陸間交流は前に進むだろう。だからと言って油断はできない、これからもみんな注意を払っていこう」

「「「はい」」」

「万が一、戦争でも起こればその分、イフ大陸の魔力枯渇が悪化する可能性も否定できない。そうなれば、大陸間交流が始まったことも踏まえて、介入しないわけにはいかない。それは面倒だ。何か起こるなら大事になる前にとめる。これはウィードやロガリ大陸の安全保障でもあるからな」


そう。イフ大陸の安定は、ロガリ大陸にとっても、ウィードにとっても大事なところだ。

勿論、魔力枯渇に関しても大事だ。

だから、この件でウィードが損をしていると考えるのは、ちょっと先を見ていないだろう。

まあ、それもゲートを使った国家間交流が進めば、難民が容易く移動を始めるから、戦争を始めたとたん人がいなくなって動けなくなるだろうが。

現代の地球では難民は受け入れる側の治安低下など色々な問題があるので、非常に嫌がられるが、幸い、好景気に沸いているロガリ大陸は人手が足らない。

どこの国も喜んで受け入れてくれるだろう。ついでにイフ大陸交流の為の足掛かりとして見るところも多数あるだろう。

そんな理由もあって、戦争は起こってもそこまで大事にはならないとは思う。

俺にとってはどっちに転んでもいいのだ。


「あとは、ロガリ大陸とイフ大陸の大会議で徐々に形になっていくだろうな。まあ、ウィードはその仲介を頑張ればいい。あまり派手に動くと嫉妬で面倒がおこるのは、この前のノゴーシュ、ノノアの件でよくわかってるだろう?」


俺がそういうとみんな苦笑いする。

まあ、あの神様の件はウィードに嫉妬というより、俺とタイキ君への嫉妬が原因なんだけどな。

ウィードも大国を盾に小物として動き回らないと、面倒に巻き込まれるという話だ。

大陸間交流の厄介事は大国に任せておけばいい。

俺というウィードを警戒しているイフ大陸も、大陸間交流に積極的に参加してこないところを見れば安心するだろう。野心なしということで。


「大陸間交流はこれからロガリ連合、イフ連合に丸投げというのはわかった。それで妾たちは、新大陸の方か?」


デリーユは楽しそうに話す。

まあ、デリーユが一番暴れられるのは新大陸だろうからな。


「その通り。こっちに一ヶ月ちかくかかったんだからそろそろ進展があるだろうさ。なあ、カグラ?」


俺がそういって、カグラに視線を向けると、他の皆のカグラを見る。

一気に皆の視線を集めたカグラは、一瞬ひるんだが、流石にもうこの面子になれているのか、すぐに気を取り直して、いつものように口を開く。


「……ええ。ユキの言う通り、ハイデンの方は落ち着きを取り戻しつつあるわ。フィンダール帝国とも会談が行われる予定だから、姫様から力を貸してほしいと連絡がきたわ。その際、ウィードの事も公表するつもりらしいわ。どうするの?」


どうするって、俺たちにとっては新大陸の事は重要ではあるからな。

協力しない手はない。

これで、晴れてハイデンとフィンダールから正式に認められて、新大陸調査に動きやすくなるだろう。

と、のんきに考えていると、不意にコール連絡がきた。


「モーブか? どうした?」

『亜人の村に武装した連中が集まりつつある。どうする? 蹴散らすか?』


あー、そっちがいよいよ動き出したか。

いままで沈黙してたのが不思議なくらいか?

いや、ベータンに各国の王が集まったからか。


「みんな聞いたな。防衛部隊を亜人の村に集めろ。ベータンのホースト、ノーブル、ヒフィー、ポープリ、レフェストにも連絡を取れ」


さーて、ここが大陸間交流のための本当の正念場かな。




そして亜人達が動き出す。

だが、それを迎え撃つのは……。


で、そこはいいとして、感想数がさっき見たとき8888だったのでなんか嬉しかった。


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