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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第567堀:イフ会談前哨戦

イフ会談前哨戦




Side:ポープリ・ランサー ランサー魔術学府学長




さて、唐突ではあるが、私こと、ポープリは今の状況に困っていた。

目の前に広がるのは静寂ではなく、意図的な沈黙。

誰も、お互いに口を開くことが無い。

まあ、それだけならさっさと離れればいいじゃないかと思うのだけれど、この場にいる人物たちは、そうもいかないのだ。

なぜなら、このイフ大陸に存在する6大国の王たちが今この場に集結しているからだ。

ただ空気が悪いという話ではない。

国としての面子をかけた戦いがまずは沈黙から始まっているのだ。

流石に、この後に控えている重要な会談の為に、ここで戦争という選択肢は取らないと思うが、このままでは話が進まない。

どうしたものか……。


というか、なんで仲の悪い国同士も含めて、一か所、エナーリアの王都に集結しているかというところから考えないといけない。

そもそも、この集まりは、この後にあるウィードとの会談の為の集まりである。

約半年ほど前に6大国各国で起こっていた、簡易魔剣を使った王都襲撃事件に起因する。

その本当の原因も、我が師コメットや、ヒフィー神聖国を束ねるヒフィー神、そしてエクス王国の国王であるノーブル神たちが、望みの果てに出した答えだった。

魔剣を量産して各国を併呑し、統一国家を作り平和を作り、魔力枯渇問題に取り組む。

そういう裏の事情があったのだが、ロガリ大陸から来た、ユキ殿たちの行動によって全て阻止された。

完膚なきまでに封殺だ。

しかも、裏の事情というように、この事件は表向き、簡易魔剣を発掘した大規模な犯罪集団が原因だということになって、収束を見せている。

そして、この事件の最大の首謀者であるノーブルは敗北の結果、ユキ殿の思想に賛同し、このイフ大陸で戦いが起こらないように、ゲートを使った流通システムの構築に力を入れることになる。

わざわざ、事件を引き起こした犯罪集団がエクスにいたということにして、汚名を被る真似をしてまでだ。

まあ、それを理由に賠償として各国に犯罪者集団から接収したということにしているゲートを設置し、チャラにしているようでもあり、そういうところはやり手である。

このゲートの設置により、6大国による小競り合いですら収束しつつある。

下手に戦争を起こそうとすれば、他の5大国が全て敵に回るからだ。

ゲートによる流通システムは何も物資だけではない、人の移動も容易だ。

つまり、援軍がすぐにやって来られる。しかも1か国どころか5か国が同時にくる。

こんなのは攻める側として悪夢でしかない。物資は無限ではないものの、延々と運ばれてきて、兵も補充される。攻めたとしても先に攻めた国の息が切れるのは目に見えている。

ということで、このゲート流通システムを提案した張本人であり、各国の魔剣事件を未然に防いだユキ殿をエクスのノーブル王が名指しでを称賛し、ウィードという別大陸の国家出身だということを宣言して、今回の事に至るのだ。

その結果、全員が未知の大陸の出身であるユキ殿と繋ぎを作ろうと必死なわけだ。

ま、普通なら外交官でも適当に選出して、その人が対応するというのが普通の流れなのだが、今回、ユキ殿の件は各国の王が出張ることとなった。

なぜ各国のトップが出張ってきたのかと言えば、ユキ殿のイフ大陸での立場が問題だったのだ。


私のランサー魔術学府に来た時には既に、ジルバ、エナーリア両国の王位継承権はないとはいえ王族の血縁者というわけのわからない立場を持っていた。

その理由はジルバとエナーリアで大暴れをして、体面上、身内が暴れたということにするためだった。まさか、10人にも満たない傭兵団に王城を制圧されたとかいえばトップの権威は失墜するからね。現体制を維持するためにはある意味妥当といえる。

ここまででも異常なのだが、我がランサー魔術学府に於いて、アグウストの元筆頭王宮魔術師の孫のクリーナ、ローデイの公爵家次女のサマンサという、2人の学生と婚姻を結び、二か国ともからそれなりの地位を貰い、どちらの国でも魔剣事件を未然に防ぐような立ち回りをしている。あ、アグウストはヒフィー神聖国との戦争回避だったね。

あとは残る亜人達の国、ホワイトフォレストと、今回の事件の黒幕であるエクス王国だったが。

先ほど言った通り、エクス王国はユキ殿たちに封殺され、ホワイトフォレストに至っては我が師コメットに絶対服従といった感じだったので最初から味方という状態だった。

つまり、どの国も、ウィードという未知の大陸の国の出身という以前からユキ殿に頭が上がらないのだ。

なのに、さらに未知の大陸の出身であり、ウィードの王配であることが判明。

各国のトップが揃って頭を抱える姿が目に見えるようだね。

まあ、その実、さらに神様の複数と友諠を結び、上級神と言われるルナ殿の直属という立場があるとか知ったら卒倒しそうだね。


そのため、我先にユキ殿と接触して、今後の友諠とか便宜を図ってもらうために連絡を取ろうとした結果がこれなのだ。


『先にどこかの国と話し合いをすれば、他の国にとって優先順位をつけられたと思われかねない。それは今後の不和に繋がりかねないので、纏めて会談に臨むことにいたします。つきましては、各国で協議をして、ご一緒にベータンへおいでください』


という、連絡が届き、一番ベータンに近い、エナーリア王都に集結することになったのだ。

実は、ジルバ側とエナーリア側で半々で集まり、そこからベータンへという話を建前に、今後の戦略でも話し合おうという案もあったらしいが……。


『PS どっか1国に6か国全部あつまっとけ、直接いけるからできるだろう? 迂闊に談合されても嫌だろうからな。お互いの為にそうしとけ。あ、何人かはこっちの身内みたいなもんだし、こっそりやろうとしても無駄だからな』


というユキ殿の脅し文句でなしになった。

それが原因かは知らないけど、集まったエナーリアの会議室ではお互いに疑心暗鬼にでもなっているのか一言も口を開かない、各国の王たちの集いができていた。

お世話の為にこの場にいるエナーリアのメイドさんとか緊張で顔をこわばらせているよね。

可哀想に。


「……ふむ。いつまでも沈黙していても仕方がない。今日は世話になる、エナーリア王。お互いの血縁に苦労するな」

「ああ、そうだな、ジルバ王。せっかく我がエナーリアに来ていただいた各国の王の為にも、盛大に持て成さねばな。他の王たちもよろしいか?」


ようやく口を開いたのは、ジルバ王、帝国なのになぜか王なんだよね。まあ、帝国ってのは他国が言い出した結果なんだけどね。このジルバはこの6大国に比べて新参。

建国僅か200年ほどじゃないかな? 魔王戦役も知らないほど若い国なんだけど、それで、魔王戦役で残っていた国々を倒して今のジルバ国を作り上げた功績から帝国と呼ばれるようになっている。

で、そのジルバ王の言葉にこたえるのは、今回の集合国であるエナーリア王。

詳しくは聖王。ここは、名前からわかると思うけど、魔王戦役のあと、スィーア・エナーリア、つまり便利つえー剣、通称聖剣を持った勇者が作った国だ。

で、会話の内容はいつまでも沈黙しても仕方がないってことと、俺たち、ユキ殿と仲いいから、血縁だし。って牽制してるのか、それとも暴れられたことへの苦労を話したのか。


「おう。俺はかまわないぞ、エナーリアの。この国の料理は好きだからな」

「口を閉じていても進まぬな。まずは腹ごしらえか。楽しみだ、エナーリア王」


そう無難な返事を返すのは、ローデイ王と、アグウスト王。

ローデイ王は相変わらず脳筋の直感型だねー。

アグウスト王は歳を食ってるはずなのに未だ衰えを感じさせず凛としている。


「そういえば、ホワイトフォレスト王は何か食べれないモノとかは?」

「お気遣い感謝いたします、ノーブル王。私のほうは特に好き嫌いはありませんので」


そんな風に気安く話をするのは、亜人国の王であるホワイトフォレスト王と、事件の黒幕であるエクス国のノーブル王。

まあ、ぶっちゃけ、この2人がユキ殿の身内だよね。

というか、6か国の王都は全部ダンジョンの影響下で内容は筒抜けだけどね。

あー、恐ろしや恐ろしや。

そんなことを考えているうちに、料理が運ばれてきて、いざ晩餐会となる前に、ようやく私たちに声がかかる。


「さて、料理を堪能してくれ。と、いいたいところではあるが、この場にいるのは各国の王。そう簡単に出されたものに口をつけるわけにはもいかぬ。そういうことで、今回、毒物が入っていないかを確認するために、魔術学府の学長、ランサー殿にお越し願った」

「なるほど。それであれば、いちいち毒見をしなくて済むな」

「では、その横にいるヒフィー神聖女殿は万が一の毒が盛られていた場合の解毒役か」


視線が集まったので、私とヒフィー殿は席からたち、軽く挨拶をする。

そう、この場に私が呼ばれたのは、ユキ殿からの願いでもあるのだが、各国の王の安全確保という意味もあるのだ。

毒物検知はダンジョン監視システムで実際はいらないのだが、安心のためという奴。

ヒフィー殿も神聖国から回復魔術師の派遣をしている実績から呼ばれている。

呼ばれていると言うと、立場が下と思われがちだが、この6大国と肩を並べてこの場にいるのだから、実際はこの6大国と同じ立場と思った方がいいだろう。

ま、裏では私たちもユキ殿の手駒ではあるんだが。

そんなことは各国の王は知らずに食事を始めて、ようやく緊張した雰囲気が解けてきて、雑談が交わされてきて。


「しかし、ノーブル王。思い切ったことをしたな。我なら、あのゲート技術。自国だけのものにするがな」


そういって、ノーブル王に話しかけるのは、ジルバ王だ。

この両国は互いの眼前の敵の為に同盟を結んでおり、仲良く見えるが、お互いに気を許したわけではなく、国境では兵士がかなり配備されており、いつでも対応できるようになっている。


「さて、そうなれば、集中的に叩かれるのは我がエクスだからな。ゲート技術の提供を申し出た方が利益がある。それぐらいわかっているだろう。なに、そっちと同じだ。例の人物と同じく御せぬと思ったのだよ」

「ちっ。知っていたか」

「最初は噂話程度ではあったが、実際に目にしたからな。だからジルバ王も大人しくしているのであろう?」

「ああ。あれは何かおかしいと思っていたが、ここまでとは思わなかった」


私も、新任のダンジョンマスターかと思いきや、いや、新任なのは間違いなかったけど、既に大陸一つの魔力供給は安定させてこっちに来たとか思いもしなかったよ。

そんなことを考えていると、ローデイ王とアグウストの王が足を運んでくる。


「はっ。ジルバのも流石にユキ殿相手では大人しくなるか」

「……私のほうでは、腕の良い傭兵団ぐらいの認識だったのだがな」

「そりゃ、そっちはランサーの所の力を借りたからな」

「まあ、ジルバ王が大人しいというのはなかなか珍しい」

「黙れ、考えなしのローデイ、騎士ごっこのアグウストが」


おっと、ローデイ王とアグウスト王の挑発に少し切れたのかな?

私が出るべきかな? なんて考えていると、エナーリア王が間に入ってくる。


「まあ、落ち着けジルバ。この二国はユキ殿と繋がりが薄いから嫉妬しておるのよ」

「ああ、そうだったな。かの王配に公爵の次女、元宮廷魔術師筆頭の孫を宛がっただけだからな。爵位もくそもあったものではないな。我が国とエナーリアの王族の血縁でもある、ユキ殿に舐めた真似をしたものだ」

「はっ。それを言ったら、未だに王位継承権なしとかふざけているよな? こっちはそんな狭量じゃないからな。既にサマンサの方は、話し合ってこの通りだ」

「私の所も同じだな」


そういって、見せるように広げる羊皮紙には、こう書かれている。


『サマンサ・ヒュージを現王家の養子として迎え、王女として扱う云々……』

『クリーナ・ファイゲルを現王家の養子として迎え、王女として扱う云々……』


つまり、2人は王女になり、王位継承権がユキ殿に付随されるということが記されていた。


「あからさまな手段だな。こっちも既に王位継承権を認めることになっている」

「そうだな。そちらはいささか、露骨すぎだな。私たちは今までのユキ殿の功績を鑑みて王位継承権を認めるのであって、失態隠しのために養子を迎えてなどはせぬよ」


そういって、バチバチと火花を散らせる4か国。

どうしたものかなー。

というか、ユキ殿が王位継承権とか受け取るわけねーじゃん。

あの人、今のままでも手一杯なのに、いらぬ苦労が増えるだけだし。


「とりあえず。この件報告してきます」

「私も行きます。では、ノーブル、レフェスト、この場をお願いします」

「ああ、任せたし、任された。しかし、ユキ殿が王位や国などあっても邪魔なだけだろうにな」

「ですね。神によってダンジョンマスターと見出された人に、ただの人が定めた立場など邪魔でしかない」


うーん。

ノーブル殿の意見には同意だけど、レフェスト殿、ユキ殿はその神を敬っちゃいないよ?

だって、基本的に食っちゃ寝して、面倒事押し付けてくるからなー。

そんなことを思いながら、報告に戻るのであった。





このポープリの567の間に約一か月ほど調整期間が存在しておりますが、

この会談の流れをスムーズに理解するため、一か月は飛ばしております。

まあ、特になにかあったわけでもなく、トーリ、リエル、カヤが出産したぐらいなので、そこらへんは後日まとめてということになります。

まずは、これから数話お偉いの足の引っ張り合いをご覧ください。



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