表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

670/2250

第557堀:大掃除開始

大掃除開始




Side:ユキ




『クレイ君。首尾はどうだった?』


映し出されるのはどこかの一室。

そこに映る人物はタークラムとクレイ。


『……申し訳ありません。どちらの作戦も失敗しました。さらに私が率いるハイデン、そしてバイデの部隊も召喚宝珠を奪われてしまいました』

『なんだと!?』


と、もうこれ以降は大っぴらに見せると不味い内容があるので、ヴィリアは当初の予定通りに映像を止める。

無論、これ以上確認をする必要性が無いからでもある。

謁見室にいる全員、関与を大声で否定したタークラムに侮蔑の視線を向ける。

さきほど、クレイを切り捨てる発言をしたからな。

ハイデン王はもう言い逃れはできんぞと言わんばかりに、無表情で口を開く。

いやー、記録映像からの犯罪証明コンボは楽だねー。

個人情報保護法とかないから楽に仕掛けられる。

日本だと迷惑条例とか、ストーカー防止条例とか、プライバシーの侵害とかで証拠にできても、記録を取った本人もしょっ引かれるからな。

こういうところは異世界万歳。

ま、後ろに組織、国というバックがいるから地球でもしょっ引かれる可能性は低いだろうけどな。

あれだ、町中の監視カメラみたいなもの。

そんなことを考えているうちに話は進んでいく。


「さて、皆の者。これ以上問答は必要なかろう。そこの2人を捕らえよ」

「「「はっ!!」」」


ハイデン王の指示で兵士がタークラムを取り押さえようとすると、沈黙していたタークラムが動きを見せる。


「動くな!! これが見えぬか!!」


そういってタークラムが懐から取り出してきたのは、マジック・ギア。

連中の言う召喚宝珠だ。

予定通りに追い詰めたら持ってきたマジック・ギアに手を出したな。


「まったく、どいつもこいつも崇高な目的の邪魔をする!! もうよい!! 貴様らは不要だ!! いでよ、異界の戦士よ!!」


タークラムがわざとらしくマジック・ギアを頭上に掲げると、マジック・ギアは光りだし、足元に多数の魔法陣が現れて、予定通りにリザードマンたちが召喚……じゃなくて転移してくる。

上手くいったな。

しかし、こうやってみると、やっぱりこの一帯で生きていられるのは、魔石が無くても生存できる生物学的に生きている生き物だけのようだな。

魔法生物は魔石が無くなると生きていけないから、感覚的にはイフ大陸の環境に近いんだろう。

まあ、俺たちが使う魔術に20倍の負荷がかからないだけましなんだが、ダンジョンDPの消費率がロガリ大陸の5000倍だったので結局イーブンかね。

と言っても、ルナに掛け合って2倍まで落としたからこの新大陸の方が総合的には動きやすいのかもしれない。



「な、なんだ、あれは!?」

「ま、まさか魔物か!?」

「タークラム!! 貴様、魔王に与したか!!」


この地の人たちにとっては見たこともないトカゲ男? リザードマンを見てうろたえる人たち。

体格的にも兵士たちを超える2メートルが平均的だからな、威圧感も半端ない。

ウィードではその恵まれた体格を有効活用して、重装歩兵扱いをしている。悪環境に強く、水陸両用なのが特にいい。


「ふっふっふ、お前ら全員皆殺しだ!! やれ!!」


不敵に笑うタークラムがそう指示を出し、リザードマンたちが一斉に動き出す。


「む、迎え撃て!! 陛下や姫様をお守りするのだ!!」

「「「お、おうっ!!」」」


未知の脅威に対して、勇気を振り絞り、職務を全うしようとする立派な兵士たち。

恐らくは勝てないとわかっているのだろう、だがそれでもと前に出る兵士たちは無為に命を散らすことはなく、リザードマンたちは一斉に扉の外へ走り出す。


「「「へ?」」」


その間抜けな声を上げたのは兵士だけでなくリザードマンを呼び出したタークラムも含まれていた。

そりゃそうだろう。向かってくるかとおもったリザードマンが一斉に逃げ出したのだから。

しかし、それはリザードマンと対峙した兵士にとっては逃げたように見えるが、謁見室の扉を守る別の兵士から見れば、自分たちに攻撃をしに来たように見えるのは当然で……。


「か、構え!!」

「「「は、はい!!」」」


槍と盾を構えるが、残念ながらその程度でリザードマンたちは止まらない。


ドゴン!! ゴガン!!


ほぼ一合で兵士たちは吹き飛ばされ、リザードマンたちは謁見室の外、城内へと散っていき、あちこちから悲鳴の声が上がる。

実はこれも予定通りだったりする。

これで、タークラムの持つダミーのマジック・ギアが危険なものであるというのをしっかり認識させることができたのだ。

城内で魔物が暴れれば認めないわけにもいかないだろう。

5分すればリザードマンたちは消えるし、いざ危ないと思えば逃げられる道具は渡しているから問題なし。

はてさて、城内は混乱の坩堝にあるが、代わりに謁見室は静かになっている。

そりゃーそうだろう。

タークラムが意気込んで呼び出した魔物は彼を守らずすでに外へと飛び出した。

つまり、馬鹿を守るものは何もない。

クレイはすでにドレッサによって沈められているから、本当に打つ手なし。


「その男を取り押さえよ!!」

「「「はっ!!」」」


ハイデン王の再度の指示により、ようやく取り押さえられる馬鹿。


「く、くそっ!? は、離せ!!」

「ああ、存分にあとで離して話してやろう。お前には聞きたいことが山ほどあるからな。連れていけ!!」

「「「はっ!!」」」


最初の粋がっていた表情もなく、あっけなく連れていかれるタークラム。


「兵を集めよ!! このタークラムの行動は事前に我が姪により伝えられており、同じような召喚宝珠という物を持っている連中も調べができておる!! ハイデンに巣食う魔王の配下を叩き出す!! 伝令!! 待機している隊に時は来たと伝えよ!!」

「「「はっ!!」」」


その宣言を受けて、慌ただしく動き出す人々。

謁見室は一転して司令室に変わり、そのまま細かい指示が行われていく。

門の封鎖とか、兵の招集、例のリストの貴族の捕縛にマジック・ギアの回収などなど。




「いやー。こちらの思惑通りに進んでくれますな」

「本当ですね。いつもこうならありがたいのですが」

「とりあえず。出番はなさそうだし、お菓子でも食べます?」

「お、いただきます」

「私もいいでしょうか?」


2人ともお菓子を食べられるぐらいには余裕があるみたいで俺の提案をあっさり受け入れる。

ここは大人の貫禄ってやつだよな。

と、お菓子お菓子、今日は……シュークリームの気分かな。

カスタードクリームだけでなくホイップのダブルクリームタイプだ。

これは好き嫌いが分かれるよな。

まあ、でもそれを知らないおっさん2人はどうでもいいか。


「どうぞ」

「ほう。これはまた初めてみる食べ物ですな」

「そうですね。これはどのように食べるのですか? デリーユ殿?」


カミシロ公爵はすでにシュークリームを手に掴んでいたデリーユに質問する。

いつもならリーアなのだが、いまはお茶をいれているので、シュークリームにかぶりつくことはできないでいる。

ちなみに、タイキ君、エオイド、アマンダは未だに公爵家にて待機。

馬鹿が攻めてくる可能性も捨てきれないから。


「ん? 特に何も作法とかはないぞ。まあ、ナイフ、フォークで切り分けて上品に食べるのもありじゃが、いちいち洗う食器を増やすのもめんどうじゃからな。こうやって手にもってかぶりつけばよい。もぐもぐ。ん、美味い。中のクリームと外の皮を同時に味わうのがポイントじゃ」

「なるほど。これは手頃な菓子ですな。しかもやはり美味い」

「いやー。ウィードの食文化はうらやましい限りですな」

「はーい。お茶ですよー」

「あ、どうも。リーア殿。どうぞシュークリームですぞ」

「ありがとうございます。ジョージンさん。あむっ」


そんな感じで、控室のメンバーが和やかにお茶を楽しんでいると、扉が開かれて謁見室にいたメンバーがぞろぞろ入ってきて、キツイ視線を送ってくる。


「……ユキ。私たちが頑張っている間にお茶とかいいご身分ね?」

「ドレッサ。お兄様はいざという時の控えで……」

「お兄。ヒイロの分もちょーだい」

「あ、ヒイロ!?」

「私の分もあるわよね?」

「ドレッサまで、ああもう!! お兄様申し訳ありません!!」

「いやいや気にするな。ほれヴィリアも。キャサリンも遠慮なくな」

「はい。いただきます」


俺がそういって、4人の相手をしている間に、他のおっさん2人も……。


「……ジョージン。随分とゆっくりしているようですね」

「ははは。急いたところで何もできませんからな。休めるときにしっかり休む。それは上に立つ者としてではなく、人として当然のことですぞ」

「……最近になって理解しましたが、ジョージンは本当に口が上手いですね」

「何事もいいようというものです。そこはいいとして、シュークリームおひとつどうですかな?」

「もちろんいただきます。ウィードのお菓子を独り占めなどさせません」


とまあ、師弟関係のようなジョージンとスタシア殿下はそのままお茶に参加する。

のこるハイデン組は……。


「……お父様。美味しそうですね」

「カミシロ公爵殿。一人だけ美味しい思いなどありえませんわ。そうですよね?」

「カグラの分もちゃんとあるぞ。そして、姫様の分ももちろんございますとも」


そういってカミシロ公爵がシュークリームのお皿を差し出すと、別の方向から手が伸びて、キャリー姫やカグラがシュークリームを取る前に奪ってしまう。


「「あっ」」


いや、他の取れよ。

まだお皿には十分あるだろうに。

で、そこはいいとして、そのシュークリームをとった別の人物は……。


「本当に美味いな。ソウ。お前、こんな美味い物を食ってたのか。羨ましいぞ」

「お前が下をちゃんと管理できてなかったおかげだな。ソーグ」

「ぐっ。的確にえぐってくるな」

「それは当然だ。娘も危険にさらされたのだからな」


言葉を聞いただけだと、友達同士の何気ない会話に聞こえるが、実のところ、カミシロ公爵が話している相手は、ハイデン王なので、他の皆は驚いていて、カグラに至っては無礼を働いているといっても過言ではない親の行動に青ざめている。

先ほどの今までの経緯説明ではこの2人、ちゃんと主君と臣下としてちゃんとした言葉で会話していたからな。

まあ、あれだ。昔からのお友達でオフではこういう付き合いなんだろう。

常時奔放なローデイの王様よりもましだな。

あれはお金が無くなると城壁修理のバイトとかもするからな。


「お、お父様が、た、大変失礼なことを……」


だが、カグラはそういう関係以前に、臣下であるというのが先に立つ真面目ちゃんなので、必死に謝ろうとしている。


「ん? ああ、気にするな。ソウとはこんな関係だからな。カグラには言ってなかったのか?」

「当り前だ。我がカミシロ家はハイデン王家の部下として、友として支えると約束したのだからな。適当な教育や王を侮るような話ができるわけないだろう」

「お前はそういうところが堅いよな。娘が可哀想だ」

「お前に言われたくない。と、そういえば娘の方は無事なのか?」

「まだ4歳になるかならないかだからな。王位継承もさせるつもりはないし、狙われることはない」

「何度も言いますが、叔父様。私やお母さまに気を遣うことはないのですよ?」

「いや、今回のこともある。表向き戦争派として国を動かしてきたからな。この後、融和に舵を切るためにも、娘を王に据えるより、ここまで成果を出したキャリーが女王になった方が、今後の平和の為にもいいだろう」


ふーん。

この王様はこの王様でしっかり後々のことを考えているみたいだな。

というか、話を聞く感じ兄が亡くなって王位が転がり込んできただけなので、あんまり執着がないのかもしれん。


「というか、俺は外国で観光していたのに、兄が病気で倒れてつれ戻されたからな。キャリーに王位を渡すのは恨み返しとでも思ってくれ」

「……はぁ」


キャリー姫は大いにため息をつく。

なるほど。キャリーがここまで強かになったのは、この王様を反面教師にしたというのも原因にあるんだろう。


「さて、雑談ついでだ。このまま個人として、改めて挨拶をさせてもらおう。一応ハイデンの王である。ソーグ・ハイデンだ。姪やカグラ、果てはそこのソウまで助けてもらい感謝する。ユキ殿」

「いえいえ。戦争なんてまっぴらごめんですからね。金はかかるし、人もいなくなる」

「本当にそうだな。この件が落ち着けば、正式にウィードと話し合いたい」

「ええ。その日をお待ちしています」


とりあえず、ハイデン王とのコンタクトはこんな感じで和やかにすすんだ。

さーて、捕縛の方は上手くいくのかねー。





さて、普通の物語なら、めでたしめでたしなのだが、それで終わらないのが、この物語なのはご存知の通り。

この話ですら、ユキたちにとっては一つの出来事でしかない。

仕事はまだまだあるのさー。


人生そんなものだよね。


ああ、あと、今日仕事の昼休みでさ、近くの飯屋で昼ごはん食ってると不意に外を歩く学生が見えたわけよ。

高校生ぐらいかな? 男女でさ手をつないで仲良く笑いながら歩いてたわけ。

〇ねばいいのにと思ってしまった俺はけがれているのかなーとちょっとむなしくなった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ