表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

668/2252

第555堀:方針決定

方針決定




Side:ユキ




叡智の集の背後に、この地域一帯の最大宗教ハイレの影あり。


そのスティーブの報告に頭を抱えた。

宗教問題。

これは現代の地球でも中々解決されない、難しい問題である。


世の中が厳しくなるほど、超越的な存在を頼りたくなるのが人の常であるし、そういう心の拠り所を作るのは悪いこととも思わないが、大抵、宗教は国に関わってしまう。

わかりやすい、意識統一手段であるし、国としても国民を扱いやすくなるという一面がある。

しかし、いや、だからこそ、時に宗教には国を超える力が集まる。

宗教に、信仰に、国境はないというどころか、国みたいに領土を維持する必要もなければ、国民を守る義務も存在しない。

と、悪いように言っているが、これはいい面でもある。

その宗教仲間であれば、国々を超えて支援を受けられる可能性があるからだ。


まあ、今の俺たちにとっては最悪なんだけど。

ハイデンの中で蠢いている謎の組織、叡智の集の裏にハイレ教ね。

事実であろうが虚実であろうが、荒れるぞこれは……。

なにせ、この一帯ではハイレ教はただの最大宗教ではない。

異世界の英雄を呼び、それと協力して魔王を倒し、魔物を排したと言われる神様。

この一帯では絶対的な信仰を持つ。

それはお互い争っていたフィンダールやハイデンも変わらない。この一帯のほとんどの国々はハイレ教を国教に指定している。

つまり、下手にハイレ教の事を悪く言えば周りすべてが敵になりかねない。

事実なら戦わないわけにはいかないし、虚実だったとしても、それを許してしまったハイデンはさらに荒れる可能性が高い。


「ともかく、これを伝えないとなー」


伝えずにハイデンを奪還してしまうのも手だが、そうなるとハイレに対する警戒は俺たちウィードが秘密裏にしなくてはいけなくなる。

もうこれ以上仕事が増えるのは勘弁です。

そして、ハイデンとかフィンダールは自分のお国ではないので、自分たちのことは自分たちで何とかしてもらいたいという気持ちもある。

とういうか、なんでこんな爆弾発言を伝えなきゃいけないのが俺なんだろうなー。

地雷原を逝くって感じでつらいんだけど……。

はぁー、予想ができる騒ぎであり、それは不可避であると思うとため息もでるよな。



「そんな馬鹿な!!」

「ありえません!!」

「……流石にそれは」

「どういうことよ!?」


と、フィンダールとハイデンの殿下たちとカグラは予想通りの驚きっぷり。

耳を塞いでいて正解だった。

横にいたジョージンやカミシロ公爵は4人の大声に耳をやられたらしく頭を振っている。


「先ほども言いましたが、落ち着いてください。そういう手紙が確認できたというだけです。こちらをかく乱するための手かもしれません。あからさますぎますからね」

「……なるほど。私たちの混乱を狙った可能性があると」

「しかし、直接確認するわけにもいきません」

「そうですね。スタシアお姉様の言う通り、下手にハイレに聞けば私たちが異端として扱われかねませんし、ハイレの名をかたる組織がハイデンにいたということを喧伝するようなことでもあります」

「でも、姫様。タークラムたちを糾弾して捕縛するさいにその手紙が見つかれば、混乱は必至です」


幸い、この4人は冷静に状況を理解できているらしい。

下手にハイレに問いただしなどできないのだ。

協力体制を取れればいいが、都合がよすぎるし、信用できないので、話すことはお勧めしない。

というか、「HEY!! あんたの所が裏で悪さしてたよね?」って言って「YES!!」って答える組織があるわきゃねぇ。

個人的にも神を語る、名乗る、宗教には偏見がありまくるからな。

リリーシュとか、ヒフィーとか、ノーブルとか、ノゴーシュとか、ノノアとか。


『『『へくしっ!!』』』


その上の駄目神がアレだしな。

俺に信仰という値があるのならば、零どころか、マイナスに振り切れていることだろう。


『くぉら!! もっと敬いなさいよ!!』


やなこった。

せめて今食っているであろう、ポテチを食うのをやめてからいえ。

油が漫画に移るぞ。


『ちゃんと手を拭いてるから大丈夫よ。あんたのそういう細かいところがダメよねー』


やはり、駄目神とか絶対にわかり合うことはないだろう。

漫画をスナックの油をつけたままの指でめくるとか、神への冒涜に等しい。


『私がその女神様なんだけど』


漫画の神様に謝れや!!

と、駄目神の相手は今はいいとして、お年寄り、もとい年長2人の意見はどうだろうか?


「……ともかく、幸いなのはユキ様が先にこの情報を押さえたことですな」

「そうですね。私たちがこれをどう扱うのかが重要でしょう」


こっちはさらに考えを先に進めているらしい。

そう。大事なのはこの情報をどのように扱うのかである。

見て見ぬふりをするのか、大事にするのか、それとも秘密裏に処理するのか。

どれもメリットがありデメリットが存在する。


「……見て見ぬふりはあり得ないな。一番悪手だ。姉上はどう思われますか?」

「そうですね。私もそう思います。ハイレ教が関わっていようがいまいが、見て見ぬふりをすれば、現場を見た者からこの情報が流れるでしょう。私たちの手から情報が離れ独り歩きするというのは、とても不味い気がします。といってもハイデンのことですので、キャリーの判断が優先されますが……」


スタシア殿下はそういって、キャリー姫に視線を向ける。

そのキャリー姫はスタシア殿下の視線を受けてすぐに口を開く。


「見て見ぬふりで放って置くのはあり得ません。下手にハイレが裏にいるなどと噂されれば、ハイレがどう動くか予想が付きません。しかし、大事にすればハイレが本当に裏で動いていた場合、雲隠れされるでしょう。ならば残されている道は一つ。秘密裏に処理するしかないでしょう」

「秘密裏にですか。姫様」

「ええ。カグラ。今の問題点はなんだと思うかしら?」

「えーっと、ハイレが関わっているかもしれないということですか?」

「はい。その通りです。それを知られることも、噂されることも今後の動きにとっては厄介でしかありません。ならば誰も知らなければいいのです」

「ということは、手紙自体を無かったことにするのですか?」

「ええ。それが確実でしょう。ユキ様に頼ることになりますが、内乱にちかい状態であるハイデンに、他からの横槍に対応している余力はありません。ハイレを問い詰めるのは、先にハイデンを落ち着かせてからです」

「話は分かりましたが、タークラムたち、この名簿に載っている連中がハイレとの関係を叫ぶのでは?」

「証拠がなければただのたわごとです。元々、魔物を使役するというのはハイレが語り継ぐ伝説からかけ離れた内容ですから。ハイレを騙る不信心者を処刑したといえばそれ以上追及はないでしょう。関係がないのであればですが……。ここで難癖をつけてくるなら、逆にハイレが裏で何か手を引いているとみるべきでしょう。それはそれでわかりやすいのです」

「なるほど。確かに」

「タークラムたちが何も言わない場合でも、関係している場合は何かしら動きがあるでしょうから、ここは私たちが動くのではなく、証拠は押さえつつ、知らないふりをしつつ相手が動くかを見極めるのがいいでしょう。どうでしょうか、みなさん?」


そういってキャリー姫は周りに意見を求める。


「問題ないと思われます。まずはハイデンを落ち着かせることが大事ですから」

「私もキャリーに同意します。それがいま取れる手段では一番確実かと」

「私も姫様の考えが正しいと思います。今、ハイレを相手にする余裕はありませんから」


フィンダールの両殿下とカグラは同意する。

あとは、ジョージンとカミシロ公爵だが……。


「理想としてはそれが一番ですな。しかし、現実はそれをどうやってなすかですな」


ジョージンは少し難しそうな顔をしながらそういう。

そう、言うのは簡単だがこれはかなり面倒な手回しがいる。


「そうですね。まず、手紙の回収はユキ様たちにお願いするとして、あとのタークラムたちの捕縛をするための罪状はどうするおつもりですか? その前に、陛下にも話を通しておかねばならない内容ですね。どうやってばれずに陛下と会うつもりでしょうか? 私たちはまだハイデンを堂々と歩くわけにはいかないのです」


カミシロ公爵の言う通り、タークラムたちを捕まえようにも、奴らは一応ハイデンの臣下。

そいつらを捕縛するには、王様の命令が必要不可欠だ。

そのためには王様に会って今回の話をする必要があるのだ。

しかし、王様に会いにいけばこちらが動いているのがばれて、逃げられる可能性もあるわけだ。

普通であればだが……。


「タークラムたちの罪状は明らかです。ユキ様たちが録画、録音をしてくれたおかげで、私たちへの暗殺、誘拐未遂はあきらかであり、国家反逆罪を十分適応できます。さらに私や公爵殿、カグラの証言があれば確実でしょう」


その通り。

証拠は山ほどある。


「タークラムはクレイと一緒に明日城へ向かい、あらぬことを陛下に吹き込み、キャサリン殿を逆賊に仕立て上げ、私たちがハイデン王都に着く前に状況を固めようとするらしいのですが、そこがねらい目でしょう。何から何までユキ様たちに頼り切りになりますが、すでにハイデン王都にゲートを開通させているので、明日、嘘を並べ立てるタークラムとクレイの前にバイデから私たちが乗り込み糾弾するのが一番いいかもしれません」


うん。

どっかの映画のあるあるだな。

だが、効果的でもある。


「邪魔が入る可能性は……ないですな」

「ユキ様たちも一緒に行くのであれば、安全は確保されていますね。しかも、ウィードを正確に知ってもらうのにはこれ以上に都合のいい場面もないですな」

「ええ。タークラムとクレイがこちらに襲い掛かってくれればこっちとしても嬉しい限りです。あえて望むならユキ様たちが置いてきたダミーを使って暴れてくれればすごくわかりやすいのですが、それは明日のタークラムたちが決めることですから」


そこはたぶん大丈夫だと思う。

ジョンの報告だと、タークラムの奴はマジック・ギアを持ち歩いているらしいから。

クレイの奴は俺たちと出くわすと逃げるかもしれんが、タークラムは使うだろうな。きっと。

ちなみにダミーは召喚されることはされるが、最初から逃亡しろって命令をだしているので、すぐに逃げ出す。そして5分後に消えることになっている。

つまりダミーは魔物を呼んでも戦力にできないってことだ。

追跡もついているし、分かりやすい無害兵器、じゃないな、手品道具になっている。

ちなみに協力してくれたのは、この前クレイに呼び出された、泥沼一帯のリザードマンたち。

野生の魔物にしては話が通じるタイプなので、アスリンを通じて、こっちで雇うことになったのだ。

自然界は生きるのに厳しいらしく、餌と住める場所が雇用条件だった。どこも大変だね。


「そしてその場を姉上も見届けると」

「ふむ。明日には決着ですか、それならばジョージンも一緒に来てはどうですか? キャリー姫、私は残念ながら顔を知られていません。そこでフィンダールの姫と言っても信じてもらえない可能性があります。しかし、ジョージンならば」

「それはありがたいのですが、絶対安全とは言えません。そこはどう思われますかジョージン殿。貴方は我が国でも勇名をはせるフィンダールの将軍です。タークラムの叡智の集だけではなく、いらぬことを企む連中はいるでしょう」

「なに、ユキ様たちがいますからな。そのような心配は要らぬでしょう。個人行動は控えます故。大捕物でもありますし、私も陛下に現場の出来事を伝えられるならそれに越したことはないですからな」

「そうですか。なら明日はよろしくお願いいたします」

「ただの見物になりそうですがな。しかし、問題が一点」

「何でしょうか?」

「ユキ様たちがさらに忙しくなるわけですな。この作戦の大部分はウィードに頼ることが前提ですからな」

「「「あ」」」


その事実に気が付いた3人とは対照的に、ジョージンとカミシロ公爵は苦笑いしながらこちらを見る。

そうなんだよ。

俺はこれから徹夜でお仕事だよ!!

スティーブとジョンに言って手紙の回収を頼んでハイレの関係をシャットアウトしないといけないし、ハイレ教会への監視派遣、あとはハイデン城への殴りこみ準備と、まあ色々。

話が早いのはいいけど、準備時間は少なくなるんですよね!!


あー、なんかハイデンはやっぱり俺の疲労狙ってんじゃねーかな?





とりあえず、ハイレのことは内密に馬鹿共の叩き出し作戦を決定。

次回、ハイデン王都はどうなるのか!?


あと、読者の中で、アロウリトの神様でマシな人って誰だと思う?

というかいた?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アロウリトの神様でマシな(ユキに迷惑を掛けていない) ・リリーシュ、ファイデ ・桜の&水の 日本出身だがアロウリトに来た時点でアロウリトの神に含まれる? ・今は亡き神
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ