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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第553堀:マジック・ギア・スティーブ 前編

マジック・ギア・スティーブ 前編




Side:スティーブ コールサイン:スティール1




既に世界は闇に包まれ、星の明りを頼りに森を進む。

人工的な光などなく、ただ自然の闇を駆け抜ける。


ピピッー!! ピピッー!!


そんな中、耳障りな音が聞こえておいらは通信を受け取る。


『こちら、司令室。スティール1聞こえるか?』

「こちら、スティール1。感度良好」

『よし。現状を報告せよ』

「逃がした鹿は予定通りに群れに戻る模様。進路は変わらずハイデン王都。この分だとあと30分ほどでハイデン王都に到着する」


おいらの眼前の空には人が一人飛んでいる。

それが今回のターゲットっす。


『了解。任務を継続されたし。主要街道の監視はすでにファング隊が行っている。後ろは気にせず、スティール1は隊を率いて潜入せよ』

「作戦の優先事項に変更はなしということでいいっすか? 作戦会議で別案とかは? おいらたちの先行隊が素直に受け入れられたっすか?」

『作戦の優先事項に変更はなし。本作戦会議にて、スティール隊の承認は得た。つまりスティール隊の行動は、上層部承認が取れている公式活動ということになる』

「そりゃよかったっすよ。味方にまで姿をさらしてはいけないのはめんどうっすからね」

『そうだな。これにより明確な方針が決まったわけだ。ということで、隊員全員に今回の経緯を説明するから、回線オープン指示を頼みたいが、ターゲットに見つかりそうか?』

「それは無いっすね。相手はお空、こっちは闇の森。相手から視認できる距離じゃないっすし、ステルスも使用してるから問題ないっす」

『了解。では頼む』


そういうことで、おいらはすぐに部隊の全員に回線オープンの指示をだして、司令室より今作戦の概要が伝えられる。


『スティール隊、及びファング隊の諸君。今一度、最初から概要を伝える。現在我が国はあるトラブルに巻き込まれ、他国同士の戦争へ介入という危険なことを行うことになったのはよく知っていると思う。しかし、問題はありつつも、その戦争の沈静化に着手したところとある問題が浮上した。戦争を促している、秘密組織の存在だ。その組織こそ現在諸君が追いかけているターゲットが所属していると思われる叡智の集、またはリラ王国の残党と呼ばれる集団である。理由は詳しくわかっていないがこの組織が、ハイデン内部で暗躍し、フィンダールとの戦争を促している。つまり、この戦争を沈静化するためには、こいつらをハイデンから叩き出す必要がある。そのためにも、決定的な情報、証拠が必要不可欠だ。上層部は諸君らの情報の回収を待ち、それを受け取って、ハイデンの中枢へ交渉に入ることになる。諸君らの情報収集が大事な足掛かりとなる』


なるほど。

おいらたちの情報や証拠を持って清く正しく、上層部はハイデンの掃除に取り掛かるわけっすか。

まあ、実力行使の血みどろだと、主犯以外もやっちゃう可能性があるし国力低下は必至っすからね。


『細かい作戦内容についてだが、まずはターゲットを追い、組織との接触を確認して、さらに追尾。拠点と思しき場所を見つけて情報や証拠を集めることになる。その後は得られた情報や証拠によって状況は変わるだろう。尚、今回は潜入作戦であり、そのことをよく理解して行動を願いたい』


無用な血は流すなってことっすね。

まあ、関係のない人をやっちまえば、見境ないとか批判は確実にあるっすよねー。

普通なら無茶振りなんすけど、おいらたちにはできてしまう不幸。


『尚、今回の騒動には、本来この地にいない魔物が絡んでおり、それを呼び出し使役する手段として、我が国も有するダンジョンコア、これを改造した魔道具、つまりこの地の技術では作れないものが関わっていることがわかっている。予定外の危険が発生する可能性は覚悟しておいてくれ。そういう理由により、魔物を呼び出す道具の話を露骨にしては問題があるので、今後ダンジョンコアや魔物召喚の道具は、マジック・ギアと呼称し、回収は最優先。敵の想定はダンジョンマスターに準ずるレベル。しかし、幸いといっていいかわからないが、先行して潜入しているファング隊によれば、ハイデン王都にはダンジョンの存在は確認はされておらず、ダンジョンの展開ができたことから、ダンジョンマスターがいる可能性は限りなく低い』


ほっ。

無謀な潜入作戦にはなりそうにないっすね。


『すでに多数のマジック・ギアが、コール機能により、ハイデン王都の各所で発見されている。主に貴族区画に多いが、まずはスティール隊が追っているターゲットの接触を待つのが先だ。長々と話したが、先行している諸君らの頑張りが、平和への道を作るために必要不可欠である。作戦の成功を祈る』


そういって説明が終わる。

特においらは初めて聞くようなことはなかったっすね。


「はぁ。しかし、なんでおいらが潜入部隊を率いているっすかね」

「そりゃー、俺たちゴブリンっすからね。小柄で装備も小さくなるし、総合的にコストは低いし、潜入するにはもってこいですから」

「言われなくてもわかってるっすよ。それでも、こう面倒な仕事を回されるとっすねー」

「ま、それだけ大将に信用されてるってことでしょ」

「信用ねー。確かにそうっすけど……。と、ハイデンが見えてきたっすね。私語を慎むっす。ファング隊と連絡を取る。こちらスティール1。ファング1聞こえるか?」

『こちらファング1。感度良好。ノイズ存在せず』

「ターゲットがハイデン王都にもうすぐ着く。方位84。そちらで確認できるか?」

『……確認した。コール索敵範囲にも入っている。ターゲット追跡はこちらで引き継ぐ、一旦合流されたし』

「了解」


そういうことで、おいら達はファング隊と合流することになった。

日が落ちた街道には人気はなく、ただ暗闇が広がり、遠目にハイデンの明かりが見えるのみ。

そんな中、街道の脇、森の中からわずかな光が明滅を繰り返す。


『誘導する。こちらへ』


誘導に従って、森の中へ移動すると、カモフラージュされたダンジョンの入り口が存在している。

ぱっと見ではただの岩でしかないので、間違って一般人が侵入するようなことはないっすね。

中はお約束通りの防衛拠点ダンジョン構築で、通路は細長く、結構奥に本拠点があるタイプだったっす。

で、会議室に到着すると、そこにはファング隊の隊長である。ベジタリアンが存在していた。


「来たな。きゅうり食うか?」

「いらねえっすよ。たく、現場に来てまできゅうりかじってるんじゃねーっすよ」


そういつものお約束を話しつつ、席に着く。

部下連中もなれたもんで、野菜狂いは無視して普通に座っている。


「で、追跡はしているっすよね?」

「もちろん。ほれ、現在ターゲットはハイデンの東門に移動しているな」

「はい? わざわざ門から入るつもりっすか?」


会議室のモニターに映し出されたターゲットは確かに、ハイデン王都の東門に向かっているっす。


「公爵の暗殺とか公式なわけないからな。しかも作戦は失敗だろう? 空から堂々と戻るわけにはいかんだろう」

「ああ、なるほど」

「ま、そんな感じで、地面に降りたターゲットには盗聴器もつけているから直接後をつける必要はほぼないな。このハイデン王都内にいる限りは」

「じゃ、おいらたちはこのままお役目終わりっすか?」

「んなわけねえだろう。さっきの大将の連絡通り、情報と証拠集めだよ。ターゲットが接触した相手の家を捜索して、それから、王都に存在しているマジック・ギアの回収だな」

「ですよねー。まあ、そこはわかっていたっすけど。隠ぺい関係はどう思うっすか?」

「隠ぺい? ああ、結界でも張って隠れているってことか?」

「そうそう。叡智の集だっけ? 一応改造したダンジョンコアを使うだけの頭はあるっすからね。そういうのが集まっている場所は発見できたっすか?」

「いやー、生産拠点と思しき場所は発見できてないな。コール画面見ればわかると思うが、マジック・ギアに指定した魔道具系は所在がバラバラ。ハイデン王都で作っているとは思えないな。というか外部からの持ち込みが5つあったのを確認しているし、いきなりマジック・ギアの数が増えはしてないから隠ぺいの可能性は低いなー」


大将の予想が当たっているとみるべきっすね。

はぁ、厄介な。


「外部からっすか。やっぱり、本拠点はここじゃないとみるべきっすかね?」

「だろうな。幸か不幸か、ダンジョンコアでのコールで調べられない箇所は存在していない。お城の隠し部屋や隠し通路までこの半日で調べまくったからな。ここの住人のレベルもそこまで高くないしな。せいぜい、ロガリ大陸の平均兵士程度だな。まあ、将軍職とかは普通に高いが、普通に高いだけだからな」

「聞き込みができたらよかったんすけどねー」

「流石に、オークやゴブリンが聞き込みすると目立つしな」

「はぁー。どこの土地でもおいらたちが陽の光を浴びるのは大変っすねー」

「ま、安全に大地に立てるだけましだろうさ。霧華とかリッチのアンデッド部隊はこっちに来れないことを悔しがっているからな」

「こっちに来た瞬間、死にそうっすからね。大将が生体実験をひょいひょいやるわけもないし、ザーギスやコメットさんの成果待ちっすねー。その間はおいら達の隠密活動ばかりっすか」

「適材適所ってことだな。俺たちオークはデブだし大きいからな。できるのは近場の森に潜んで拠点の構築とコール機能からの簡易的な情報収集ぐらいだ。その点スティーブたちゴブリンは小柄だから、迷彩装備をつけての潜入もそこまで問題にはならないからな。俺たちやスラきちさん、ミノちゃん、霧華たちの分まで頼むぞ」

「ジョンもフォロー頼むっすよ」

「おう。任せとけ。と、ターゲットが接触したな。映像、音声をここにまわせ」


話をしているうちに、ターゲットこと、クレイ……なんだっけ? まあいいか、クレイさんはお貴族様のお屋敷に入っていたっす。


『クレイ君。首尾はどうなった?』


そういっているのは、確か、要注意人物として挙がっている、バイデに援軍を率いてきたタークラムっすね。

やっぱりお前も関わってるっすか。

名前通りでありがたいっすね。


『……申し訳ありません。どちらの作戦も失敗しました。私が率いるハイデン、そしてバイデの部隊も召喚宝珠は奪われてしまいました』

『なんだと!?』


召喚宝珠?

ああ、改造というか改悪して機能限定したダンジョンコアのことっすかね?


『よくわからぬ連中がいて、公爵暗殺、姫、公爵令嬢の誘拐に失敗、私以外の部下は捕まりました』

『どういうことだ!? 何が起こった!? クレイ君、何かわからぬのか!? これでは、賢者様がお怒りになるぞ!!』

『落ち着いてください、タークラム様。些か失敗はしましたが、問題はありません。いえ、逆に絶好のチャンスでもあります』

『どういうことだね?』

『私たちが捕まった時にはすでに、あのリラ王国の差し金ではないかと疑っておりました』

『なに。どうしてそれを……』

『あのバイデにいる女がフィンダールと繋がっていたのでしょう』

『あの女か!!』

『そこを利用します。今回のフィンダール侵攻はバイデ領主の企みによるものと、先に我らが報告するのです。援軍であった私たちがとらわれたのですから信憑性は高いでしょう』

『なるほどな。それに乗じて召喚宝珠も取り戻し、公爵や姫という材料を手に入れ、バイデも確保できるというわけだ』

『その通りでございます。あの女はこの王都を警戒して近寄りません。それが今回は私たちにとっては僥倖でした』 

『そうだな。先にこちらで何もかも作り上げてしまえば、どうにもならんだろう。よし、さっそく私は明日陛下に進言する。クレイ君も一緒に来たまえ。証人だ』

『はっ』

『明日は大変になるぞ。今日は休みたまえ。君の部下もなんとか救出して見せよう。他の同志にも連絡を取らなければいけないし、明日の昼といったところか』

『タークラム様のご慈悲に感謝いたします』


そんなアホな話をしたあとは、クレイとタークラムは酒を軽くのんで寝入ったっす。


「この証拠で十分じゃないっすかね?」

「あいつらをしょっ引くのには十分だろうが、他の同士とか、賢者様とかいう奴の情報がないから行って来い」

「はぁ、やっぱり侵入するっすね」

「今回は、ノゴーシュの時みたいに地図がわかってないわけじゃないから楽だろ。サポートはするから心配するな」

「へいへい」


そういうことで、おいらたちはタークラムの屋敷へとお仕事に行くのであった。







ま た せ た な !!(大塚明〇風)


これから、メタルでなくマジック そしてギアで ソリッドでなくスティーブが始まる。


主演男優  スティーブ(スティール1)

助演男優  ジョン(ファング1)

助演男優  ユキ(上官)

あとその他 モブ


でお送りいたします。

果たしてスティーブは無事に任務をこなせるのか!!

次回を待て!!


PS:前回ゴブリンのことを姫様たちに言っていいの? という声が多数上がっていたので、そこらへんに追記を行いました。

簡単に言うと、ゴブリンとオークはこの一帯ではそういう種族とみられていて、魔物ではないので警戒されていないわけです。

さらに、ダンジョンDPの倍率説明が間違っていましたので5000倍から2倍の表記に変更いたしました。


毎度毎度、間違いを報告してくださる皆様に感謝を。

ありがとうございます。





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