第551堀:ハイデン殴り込み隊結成
申し訳ありません。
撮り溜めしていた、アニメや映画、心霊番組みてたら爆睡してて、気が付いたらこの時間でした。
事故などではありません。
ごめんなさい。
ハイデン殴り込み隊結成
Side:ユキ
最初はどうなることかと思っていた、ハイデンとフィンダールの会談は問題なく終わり、両国間での一時停戦が成った。
非公式ではあるが、これを成功させたというのは大きい。
これで、背後を気にすることなく、ハイデンへ向かえるというわけだ。
しかし、新たなる問題も出てきた。
尤もな話だが、リラ王国の残党が動いているなら、フィンダール側にもリラ王国の残党が入り込んでいていてもおかしくはない。
今までの度重なる作戦の失敗で、路線変更になると面倒になる。
その路線変更は、ハイデンで色々やるのではなく、フィンダールを主体に切り替える可能性だ。
この会談自体も秘密裏だし、現在の叡智の集の目的は魔力を集めることらしいから、フィンダールに狙いを定める理由はないと思うのだが、警戒することに越したことはない。
そういうことで、ハイデンで俺たちが動いて情報を集め、その情報如何でフィンダールの方は今後の行動を決めるということになった。
普通であれば長期的になるのは確実で、一度報告しなければいけないような内容だが、俺たちウィードのメンバーが関わるなら一か月二か月ぐらいで決着がつくはずだ。
これで何とかならなくても、必要な情報は集まるだろうし、行動を決めるのには問題ないはずだ。
「あとは、誰がフィンダールの代表としてついてくるかだけど……」
そう、あとはフィンダールの誰がハイデンの殴り込みについてくるのか。
表向きにはリラ王国の件があって協力をとは言えない。
だが、何かしら協力していた方が、ハイデンとフィンダールの友好的に後々役には立つので、秘密裏にフィンダールの所属とは名乗らず協力者が付いてくる話になったのだが……。
「この度のハイデンへの同行は私が行うことになりました。ご迷惑かとは思いますがよろしくお願いいたします」
「あ、ども」
なぜか、スタシア殿下が同行者になっていた。
嬉しそうに、キャリー姫と話すスタシア殿下を見て俺は言い知れぬ不安を抱く。
「おーい。ジョージ殿下、ジョージン殿どういうこと? そっちの御国は他国への諜報活動に王女様を選ぶ習慣でもあるのか?」
「ないですよ」
「ありませんな」
「じゃ、なんでスタシア殿下なんだよ。今ようやく、キャリー姫と感動の再会したところだろう」
「だからですよ」
「珍しく、我儘を言いましてな。二度も妹を失うわけにはいかない。今度こそ守ってみせると」
あー、そっちですか。
「でも、将軍の仕事はどうするんだ?」
「いえ、そっちはどうせバイデで表向き待機命令ですし、私やジョージンもいますから」
「何、他の皆も、気持ちを汲んでくれて、スタシア殿下はちょっと調子が悪くてウィードで養生しているということで口裏を合わせてくれましたぞ」
何その優しい世界。
俺の職場にもないですかね?
「今後の友好の為に協力は絶対にしてほしいところですし、ならば最初から仲がいい、姉上とキャリー姫を一緒にした方がいいということで」
「話は分かりますが、危険が無いとは言いませんよ?」
「まあ、絶対はないでしょうが。ユキ様達がやられるならどうしようもないでしょう。それに、スタシア殿下は顔が知られていない。そういう意味でも同行者としては都合がいいのですよ」
「ああーなるほど」
確かに、常にフルフェイスヘルメットを被っていたから、素顔を誰も知らない。
俺たちと一緒にハイデンに行っても、フィンダールと手を組んだとは言われないわけだ。
それでいて、実はフィンダールの王女様だし、それが叡智の集をたたき出すのに協力したという事実があれば、あとで策謀を巡らせハイデンをーとも言いにくくなるわけだ。
「仕事中はあのフルフェイスをつけますし、鎧はハイデンのモノを用意していただけるとカミシロ公爵殿に快諾してもらえましたし、所属としてもフィンダールと思われることはないでしょう」
「フィンダールとハイデンの友好を示す絶好のチャンスでもありますからな。ある意味、当然の選択とも言えますな。長年離れ離れになっていた姉妹がついに再会を果たし、協力して悪を倒す。どこぞの物語としても扱いやすいですな。国民の支持も得やすいでしょう。それは、ウィードにとっても好ましいことでしょう。それを支援した国としてちゃんとした評価も受けますから、今後の展開で侮られることも少なくなるでしょう」
「そこまで考えているなら特にいうことはないです。準備の方をよろしくお願いします」
「はい。では姉上と少し話してきます」
「私は軍の方へ通達ですな」
2人はそういってその場を離れる。
……ちっ。しかし、そこまで計算してやがるか。
悪くない話なのに……なぜだ。なぜなんだ。
さっきの会談でスタシア殿下に感じる言い様のない危機感は自意識過剰で結論を迎えたはずなのに。
同行するという話を聞いて、また嫌な予感がする。
「で、そういえばなんでカグラがここにいるんだよ?」
「え? 私?」
そう、なぜかハイデン殴り込みにカグラも参加している。
「カミシロ公爵、つまりお前の親父さんが同行するんだから、カグラが無理してついてくる理由はないだろう? ウィードか、バイデか、実家で大人しくしている方がいいんじゃないか? 戦力としては中途半端だしな」
「……ズバズバいうわね」
「なんだ。意外に乱戦とか慣れてるのか?」
「慣れてないわよ。……はぁ、実は姫様やお父様に言われて同行することになったのよ」
「なんでまた?」
「私を対ウィードの外交官として任命するんだって。そのためにハイデン王都への殴り込みに参加させて、その褒賞として、外交官としての地位を与えてごり押しするらしいわ」
「ああ、なるほど。参加もしてないカミシロ公爵の娘がウィードの外交官とか言われても誰も納得しないよな。学生だし」
「……経験不足の若造で悪かったね。これでも頑張ってきたのよ」
「頑張ってきたのを理解しているからこそ、対ウィードの外交官に推してるんだろうさ。そもそも、他の奴が外交官として来ても混乱必至で問題が起こること確定みたいなもんだからな。うちのトップ集団はほぼ女性だし」
「そういわれるとそうね。私たちの国々では女が要職に就くなんて余程じゃないとありえないし、私以外の人が外交官でくると憤慨するかもしれないわね。それだけで済めばいいけど、女はーとか言って高圧的に出たりしたら目も当てられないわ。ああ、だから私を外交官にって言ったのかな?」
「多分そうだろうな。慣れているカグラに頼んだほうが色々と得だと思ったんだろう。魔物の件もあるしな」
「あー。そういえば、フィンダールの両殿下には魔物の件は?」
「ウィードが魔物を配下にしている件は伝えていないからうかつなことは言うなよ。今は、ハイデンの掃除が先だ」
「わかったわ」
「あと、キャリー姫様たちに連絡を頼む。一時間後、会議室でハイデンへの殴り込みの詳細を決めたい」
「了解」
そういってカグラも俺から離れて姫さんたちの所へいく。
さて、俺も色々準備を整えてくるか。
ちなみに、フィンダールとのセラリアの謁見は延期になった。
どうせ謁見するなら色々終わった後がいいだろうということでだ。
特にフィンダールはウィードと険悪というわけでもないし、弁解の為の謁見は必要ないので、互いに面倒を終わらせてからゆっくりと話そうということになった。
いま謁見で変に約定を交わすと、連絡としてフィンダール帝都へ人が行かなくてはいけなくなるから、それは安全保障の関係でよろしくないという側面もある。
ということで、ハイデンへの殴り込み作戦には、動かせる戦力のほとんどをつぎ込める予定なのだ。
「スティーブ。ジョン。状況は?」
「ういっす。昨日の夜、逃亡したクレイ・イゴットは予定通りハイデン王都へ逃亡しているっす。ステルス迷彩は問題なく稼働中」
……クレイ・イゴット? 誰それ?
……はっ!! そうだ、カミシロ公爵領で俺たちを襲ってきた残念イケメン秘密結社の一員の奴か!!
ついでに、カグラの婚約者とか言いつつ、あっさりフラグをへし折って俺とタイキ君を絶望させた使えないやつか!!
今の今まで忘れてたぜ!!
「……よし、クレイは俺たちが到着するまで、ゴブリン隊で監視。ジョンの方はどうだ?」
「ハイデン王都に至る道、及び王都内部の偵察は順調。ステルス迷彩は問題なく稼働中」
「よし、ジョンの方も現状を維持。しかし、イフ大陸のように魔道具の使用時間が短くなるということが無いのは幸いだな」
「そうっすね。おかげで、おいらたちはのんびりステルスで活動できるっすから」
「しかし、魔道具も魔物の魔石を使っているのになんで消滅しないんだろうな?」
「そこらへんはまだ詳しくわかっていないが、おそらく、魔物の体内に、魔石があるのが問題なんだろと考えている。スライムとかは連れて行った途端、魔石が消滅して体を維持できなくなって消滅したからな」
「それだと、おいらたちも体内に魔石があるっすよね? なんでなんともないっすか?」
「いや、ザーギスが調査したところによると、ゴブリン隊やオーク隊はこの土地にきてから体内の魔石が消失している」
「はい!? それって大丈夫なんすか!?」
「お前らがぴんぴんしているのが証拠だろう。しかし、ロガリ大陸に戻ると魔石が再生されているから、たぶん、魔物の体内にある魔石を一時的に消滅させるという何らかの現象が起こっているとザーギスは言っている。というか、お前らが魔物の枠からすれば不可思議なんだとよ。魔石が無くても活動できる魔物だからな」
「そんなことを言ったら、魔族なザーギスとか、魔力の塊みたいな妖精族のコヴィルとかはどうなるっすか?」
「そこらへんは詳しく調べてないからわからん。ゴブリンとオークはすでに存在が確認されているから、大丈夫だろうという判断だったしな。何もわかっていない魔族や妖精族をこの大陸に放り込むのは危険すぎる」
下手すればその場でさよならになりかねないからな。
「ま、徐々に解明されるだろう。話がそれたが、今はハイデン内部の叡智の集とリラ王国の残党との繋がりの確認、そしてハイデン王宮内部からこれと繋がりがあるアホ共を叩き出すことだ」
「叩き出す? 殲滅するんじゃないっすか?」
「組織化しているなら、こういう秘密結社の全滅は厳しいだろう。フィンダールにいたのがハイデンに流れ込んでいるということは、他国にも拠点があってもおかしくない。叩き出せばそっちに逃げるだろうさ。この件はダンジョンコアとかも関わっているからな、根の底をちゃんと調べないといけない。まあ、表向きはちゃんとハイデンを救うのにも協力するからいいだろうが、お前たちは最悪……」
「今後の為に、そいつらの逃亡を手助けしろってことか……」
「そういうことだ。嫌な仕事だとは思うが、全滅させて、足取りがつかめなくなって地下に潜伏される方が問題だ。わざわざ尻尾を見せてくれているんだ。尻尾だけでなく本体も引きずり出す。いいな?」
「「了解」」
「今のところはハイデンとフィンダールを安定させることが大事だが、俺たちの本来の目的はこの歪な魔力環境の調査だからな。悲しいことに、平和が俺たちのゴールではないんだよな」
「確か、駄目神の前任である中級神の取り巻きがいる可能性があるっていってたっすよね?」
「ああ」
「……はぁ、そうなると今後はさらに厄介になるかもしれないってことか。スティーブ、お前頑張れよ」
「ジョン!! お前も頑張るんすよ!! 働くんすよ!!」
「心配するな。仲良くこき使ってやるから」
「「……」」
そんな目で見ても駄目でーす。
というか、ハイデンの事を終わらせたら、俺はおそらく大陸間交流の方に戻らないといけないし、こっちの調査は主にスティーブとジョンの2人がメインになるんだぜ?
その状態でどちらかを遊ばせることなんてありえない。
仲良く仕事という地獄に落ちようぜ。
「はぁ、まあ仕方ないっすか。大将ほどじゃないし」
「まあな。今回の事件でカグラにスタシア姫だろ。それに比べればまだいいか」
「ちょっとまて。なぜここでその2人の名前がでる?」
「え?」
「はい?」
その何言ってんだこいつみたいな視線はやめろ。
あれは自意識過剰で終わったはずだろう?
そうだろう!?
「そうっすね。傍から見れば自意識過剰なだけっすね」
「だが、俺たちからすればフラグの塊にしか見えない」
「フラグとか言うな。ありえないから、ゲームのしすぎだゲームの!!」
「気のせいだといいっすね。あ、ジョン。おいら2人が嫁入りにきゅうり10本」
「賭けにならねえ。俺も嫁入りにきゅうり100本だ」
「てめえらいい度胸だ!! そんなことはあり得ないにきゅうり1000本だ!!」
そうしてここに秘密裏に賭けが行われることになる。
賭けはきゅうりなのでジョンが消費するしかないのだが……。
前書きでも書きましたが、ただの度忘れです。
休日で溜まってたことをやっていたら、投稿忘れてた。
でも、まだ次の日じゃないからセーフだよね!!
ということで、ハイデン殴り込み隊結成!!
どうなるのか!!




