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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第548堀:次なる一手と野暮な話

次なる一手と野暮な話




Side:ユキ




さてさて、なんか宇宙開発とかで話はずれたりしたが、本題であるセラリアというウィードの女王との謁見の約束は取り付けたので、俺はフィンダール帝国御一行の所へと戻る。

ラッツに連絡を入れると、どうやらジョージン殿の要望でこの前行った飲食店にいるらしい。

ジョージン、キャサリン、カグラを連れて初めてウィード訪問した時の店で、カグラが潰れた時の話だ。

今回はシェーラとアスリン、ラビリス、フィーリアはいないが、代わりにラッツ、ヒイロ、リーア、サマンサがいるから問題はないだろう。

というか、気に入ったんだな。ジョージン。

ま、飲み屋は大事だよな。仕事に追われる男にとっては。


「いらっしゃいませ!! 3名様ですか? って!? ユキさん!? ヴィリアちゃん、ドレッサちゃんも!?」


飲食店のバイトであろう女性が驚く。

顔見知りだったっけ?

いや、ちょっとまてよ。かなり前にリエルに振り回された移住者だったか?


「リュンだったかな?」

「あ、はい!! そうです。覚えていただいて光栄です!!」

「随分なれたみたいだな」

「はい。皆さん優しいですし、ウィードを作ってくれたユキさんたちのおかげです」

「まあ何度もいうけど、場所は整えたけど、それでも本人が頑張らないとだめだからな。今の結果はリュンが頑張った結果だ」

「ふふっ、ユキさんも相変わらずですね。で、3名ですか? それとも他の奥様たちが沢山来ますか?」

「あ、いや。先にラッツたちが団体様連れてきてないか?」

「あ、そっちですね。来てますよ。こちらです」


リュンに案内されて店の奥に歩いていくと、他のお客に料理を持っていく男性の店員とすれ違い、その店員がこっちに振り返る。


「あ、ユキさん」

「ん?」


誰だ? 見たことは……あるな。

店員の服装で印象が変わってて一瞬わからなかった。


「クロッシュもここで働いてるのか」

「ええ。まあ、臨時ですけど。あれです、冒険者ギルドからですよ」

「へー。普通に冒険者やってるのか。冒険者は向いてないとか言ってなかったか?」


このクロッシュとかいう青年はリュンと一緒にウィードに移住してきたのだ。

一緒とはいうが、ただウィードに移住した日が偶然同じなだけであり、幼馴染とかそういうのではないらしい。

そして、物語になるような冒険者になって一旗揚げるとかいう、タイプではなく、普通に都会で働きに来ただけという堅実な青年だ。

なんでそんなに詳しいかというと、リエルがリュンと一緒に振り回したからだ。

その結果多少フォローすることになって顔見知りになっている。

まあ、個人的にラーメン屋の常連でもあり仲良くしている。

と、その堅実なクロッシュが冒険者ギルドの依頼でここにいるってのはなかなか珍しい。


「あ、いえ。リュンのお願いで仕事を受けたんですよ。個人的に受けても良かったんですが、冒険者ギルドの実績もあれば色々就職に便利だって言われて……」

「ああ、なるほどな」


ウィードに存在する冒険者ギルドは、ここ最近妙な発展を遂げている。

いや、元々そういう側面はあったのだが……。

簡単にいうと、命を懸けて冒険をする、マジな冒険者という枠。そして、戦争が激減したことと、ウィードのゲート流通機能などで、いろいろな需要が拡大し続け、仕事に対して圧倒的に人が足りなくなっており、国や企業から命の危険の無い一般的な仕事を受ける、所謂一般仕事の枠。

無論、日本からすれば垂涎の社員雇用もごく当たり前にある。

まあ、基本的な生活レベルが低いから、それがいいのかはよくわからんが。

基本的に衣食住に給料ありという奴だ。未だに国民年金とかはなく、老後はどうなるんだろうなーとは思う。

ウィードは流通の中心なので、ここに仕事を探して、他国の募集に応じてまた流れるというのもよくある。

よりよい雇用システムというのが出来ているというわけだ。

と、話がそれたが、クロッシュの言っている就職に有利というのは、いろいろな仕事を冒険者ギルドで受けて成功している実績があれば、それ相応の判断能力や経験があると判断されるわけだ。

個人の性格とかも冒険者ギルドに情報を貰えばいいし、採用する方もなにも知らない相手を判断することはないので喜ばれている。

ということで、いまや小銭稼ぎと言われていた部類の仕事は実は全体的に評価が上がって侮蔑の輩は減ってきている。

しかし、ドレッサたちが馬鹿にされたように受け入れられない者もいるので、今後、命の危険がある冒険的な仕事と一般的な仕事は、ギルド自体を分けたらどうかという話が挙がっている。

で、クロッシュはそういう一般的な仕事を受けているのである。

まあ、子供用の訓練ダンジョンにはいって鍛錬はしているようだが。

クロッシュのようにレジャー感覚でダンジョンを冒険する人も多くそれから冒険者を真剣に目指す人もいるので、冒険仕事と一般仕事でギルドを分けるのは面倒ではという話もある。

結局、管理する所は同じだしな。


まあ、それもミリーが復帰、出産を終えてから本格的に検討するということになっている。

……世の中難しいということである。


「あのお兄様。お話し中、申し訳ないのですが、フィンダールの皆さまの所に行かなくていいのでしょうか?」

「あ、すまん。クロッシュ、また屋台でな」

「はい。じゃ」


そういって、クロッシュは仕事に戻っていく。

クロッシュと話して再認識したが、ウィードだけでもまだまだ仕事があるのに、なんでこう色々仕事が増えるかね。

呪われてるよなー。


「こちらです」

「ありがとう」


俺はそういって中に入ると、フィンダールの使者の半数がすでにお腹を抱えて死んでいた。

いや、食い倒れていた。


「すまん。リュン、ちょっと長時間いるかもしれない。店長に言っておいてくれ」

「あ、大丈夫ですよ。ラッツさんからそういわれていますから。で、ユキさんたちは何か頼みますか? ビールですか?」

「いや、少し真面目な話があるから……ウーロン茶で」

「私もそれで」

「私は唐揚げとレモンスカッシュで」

「はいはい。お待ちください」


リュンも注文を聞いてその場から離れていく。

さて、すでに死屍累々なんだが、どうしたもんだか。


「お兄さんこっちですよー」


ラッツに声を掛けられて部屋の端を見ると、主要人物たちはそこに集まってのんびりしていた。


「あ、これはユキ様!! 部下たちが失礼をしました!!」


俺の登場に気が付いたジョージ殿下と女性が慌てて立ち上がり頭を下げる。

何を謝っているのかと思ったが、食い倒れている連中がいたな。

いつもの光景だからなんにも気にしていなかった。

大体、初めてウィードに来る使者は食いだおれるのがデフォルトだから。


「はは、料理を楽しんでいただけたようで何よりですよ。しかし、失礼ですが、ジョージ殿下のお隣の女性はどちら様でしょうか?」


こう右目上から眉間を通って斜め下に切り傷があるのに、美人としか表現ができない女性が立っている。

髪は金髪、ブロンドではなくマジの金髪、ゴールド。白髪ではなくシルバーって感じのやつ。

その髪を後ろお団子にしてまとめているから、きっとかなり長いんだろう。

スタイルは残念ながら、男物の鎧を着こんでいるのでよくわから……。

ん? その鎧には見覚えがある。

まさか……、俺がそう考えていると、ジョージ殿下と知らない女性が申し訳なさそうに口を開く。


「えーっと……、今更ではありますが、改めてご紹介いたします。我が姉であり将軍のスタシアです」

「顔を見せるのが遅くなり誠に申し訳ありません。恥ずかしながらこのように顔に傷がありますので、お見苦しいとは思いますがご容赦ください」


あー、食事時はヘルメット取るって言ってたっけ。


「いえいえ、騎士に負傷はつきもの。勲章ではあっても恥ではないでしょう」

「はっ。そういっていただけると幸いです」

「私の奥さんも生傷絶えないですから」


うちの女王は今は多少大人しくなっているが、出会った直後は先頭で戦う派だったからな。

体の方は生傷が絶えなかったせいで、結構古傷が残っている。

本人は全然気にしていないけどな。


「……奥様と言いますと、女王陛下の事でしょうか?」

「ええ。ま、昔はスタシア殿下のように将軍だったので」

「そうなのですか。で、話を急いで申し訳ないのですが、こちらにユキ様が来られたということは、女王陛下との謁見の話でしょうか?」

「はい。その通りです。食事中申し訳ないかと思いましたが、早い方がいいかと思いましてお邪魔させてもらいました」

「いえ。早急な対応に感謝いたします。で、謁見はどのように……」


俺がそう答えると、居住まいを正し聞く体制に入る。


「結論からいうと、謁見は可能です。ですが……」

「何か問題でも?」

「その前に、このウィードに滞在しているハイデンの方々とお話してはどうでしょうか?」

「「!?」」


その言葉に驚く2人。


「まさか!? このウィードにハイデンの使者が!? いや、何もおかしい話ではないですね。このゲート技術があるのですから、バイデで確保しているキャリー姫やカミシロ公爵の娘がいてもなにも不思議ではない」

「……なるほど。ジョージの言う通りなにも不思議ではないですね。しかし、ジョージン。知っていましたね?」


察しのいいスタシア殿下は驚いていないジョージンに視線を向ける。


「知ってはおりましたが、場合によっては流れる可能性もありましたからな。無暗に混乱させるようなことは言えませぬ。ことがことですからな。リラ王国の残党が暗躍しているなど、我が国の沽券にかかわりますし、ハイデンの方との交渉も不利になりかねませんからな。こうやってユキ様が話してくれたということは、女王陛下と謁見する前に、まずハイデンと話をしてからの方がいいと思ったからでしょう。そうですな、ユキ様?」

「ええ。謁見が二度手間になる可能性もありますから、女王陛下の時間にも限りがありますので」

「確かに、私たちが女王陛下との謁見を望んだのはただの顔見せ挨拶のようなものですからね。ハイデンと話をした後でもう一度ウィードとの協力の話で謁見をする必要も出てくるでしょう。手間を考えれば当然のことだと思います。姉上はどう思いますか?」

「私も当たり前のことだと思います。王とは多忙なものです。しかし、ハイデンとの会談ですか……。ユキ様率いる、ウィードの方々はハイデンと協力して、ハイデン内部にいるリラ王国の残党を排除するつもりと仰っていましたね?」

「はい。しかし、ジョージン殿から話を聞きまして、勝手に処理するよりも何かしらかかわりがあればいいのではと思い、ハイデンの方々との会談をしてはどうかと持ち掛けたわけです」

「フィンダールもハイデン内部にいるリラ王国残党排除に協力できるということですね。独自で解決されては、最悪フィンダールの陰謀、共謀を疑われる。それでは、フィンダールとハイデンの関係は悪いまま、いや下手をするとハイデンで起こったリラ王国の残党の件で各国が危機感を覚え、今度はフィンダールが攻められる可能性も無くはないですね」


スタシア殿下、かなり頭は回るらしい。

取越し苦労ならそれでいいが、スタシア殿下の言ってのとおり、リラ王国残党がフィンダールとかかわりがあるなどと噂でも広がれば、下手をすれば大戦乱になりかねないだろう。

ハイデンが傾きかけたんだから全然おかしくない話である。

この時代、話し合いで解決しましょー。というのはここまで状況証拠がそろうと難しいものがある。

あれだ、自分は痴漢をしていないのに、痴漢をされたと大勢の前で言われれば大体言い逃れができないのと一緒。

実際にしたかどうかは問題ではないのだ。印象がそこで一気に悪化すれば終わり。

あとは刑罰にもっていかなくても、世間様からあの人は痴漢だと言われれば職を追われ、近隣の信用も失う。

これが国の規模で起こるわけだ。

それすなわち、戦争。

だから、ハイデンのリラ王国残党を排除する前に、フィンダールとハイデンが手を組んでいるという事実があった方がいいわけだ。


「当事者でないとは言えないですが、我がウィードでの会談です。安全は保障いたします」

「どちらかの国でやるよりはましだと思います。姉上。私はハイデンとの会談は受けるべきかと思いますが?」

「私もそう思います。ユキ様、ハイデンの方々との会談はいつの予定でしょうか?」


どうやら、本人たちはOKしてくれたようだ。

あった瞬間怨敵と斬りかかるようなことはなさそうだな。

というか、キャリー姫も狸だったし、ジョージ殿下、スタシア殿下は理性的だし、特に問題はないと思ってはいたんだよな。

だが……。


「すぐに、と言いたいですが、残念ながら他の使者の方々はもうゆっくりしていますので、明日の昼頃といったところでしょうか」

「……ご配慮感謝いたします」

「……ジョージン。後でそこで転がっている馬鹿共を集めなさい」

「まあまあ、スタシア殿下。ここまで美味しい料理を前にそれは厳しいというもの、急いでもいいことはありません。今は食事を楽しみましょう。なあ、ヒイロ殿」

「うん。スタシアさま。今はご飯を食べて、えいきをやしなおー。はい。唐揚げおいしーよ」


そういってヒイロから差し出される唐揚げを拒否することはスタシア殿下もしないようで、素直に受け取る。


「あ、はい。ありがとう、ヒイロ殿。……ジョージンの言うことに従うのは癪ですが、ヒイロ殿の言う通り英気を養うためにも、美味しい食事は必要ですね。ジョージ、食べますよ」

「ジョージさまもどうぞー」

「ありがとう、ヒイロ殿。うん。美味しい。ジョージン、これは酒が進むな」

「そうでしょう、そうでしょうとも。ヒイロ殿も一杯どうですかな?」

「ビールは苦いからにがてー」

「ジョージン!! ヒイロ殿に何を飲ませるつもりですか!!」


と、いつの間にか、ヒイロを過保護に世話をするスタシア殿下が存在していた。


「仲がいいな。ラッツ、何があった?」

「いいえー。普通に姉妹のように手をつないでにこやかにしてましたよ。相性がいいんでしょう」

「だとすると、ヒイロはスタシア殿下の付き添いがいいか?」

「ですね。問題がない限りはあれでいいと思いますよ」


と、そんなことを話していると、後ろでドレッサとヴィリアは注文の品を持ってきたリュンとにこやかに話している。


「ねえ。クロッシュとはどうなの? 進展したの?」

「えっと、まだ、あれからは全然でして……」

「むー。もうちょっと強引に行くべきですね。鈍感さんなのでしょう」

「そうねー。ちょっと鈍感が過ぎるわね」

「そうかなー? と、私のことはいいけど2人はどうなの?」

「え? えーっと、私はあいつがどうしてもって頭を下げるなら考えてあげるわね」

「はぁー、なんでドレッサはいつもそうなんですかね。私のようにはっきりと言えばいいんですよ?」

「あはは、ヴィリアのはっきりはなかなか真似できないと思うけど、ドレッサは自分のことになるとヘタレだよねー」


どうやら恋話のようだ。

リュンとクロッシュは相変わらず微笑ましい。

ドレッサは意中の相手がいるらしいが、アレだと程遠いな。相手は苦労するだろう。


「ドレッサの相手は苦労しそうだなー。なあ、ラッツ」

「そうですねー。あのドレッサだと最大難易度の相手だと思いますよ。こう押し倒すぐらいの根性がないとですね」


なんかラッツがドレッサを見る目に哀れみがたっぷり入っている。

それほどの鈍感野郎か。


「ねえ、サマンサ。何かを言うべきかな?」

「口を出すだけ野暮ですわよ。リュンさん。オレンジサワーをお願いしますわ」

「あ、はーい」


リーアやサマンサは傍観か。

まあ、それがいいよな。

下手に手出しするとやけどしかしない。

俺はさっさと戻って明日の準備かな。




前回の547堀にて、ロガリ大陸とイフ大陸の位置関係などを追記しており、昔の話を思い出してない人にもわかりやすくなっていると思います?

まあ、前回も言いましたが、結局適当な話なので深く言われてもどうしようもないです。

最終手段の魔力が原因でという伝家の宝刀を抜きますので、それで納得して、しろ、されて。


さあ、いろいろな調整も最終局面に向かってまいりました。

ハイデンとフィンダールの会談が目前。

それが終われば、ハイデン王都へ殴り込み。

みんな楽しみかな?


あと、リュンやクロッシュは覚えておりますかな?

あっちの続き書けとかいったりする?




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