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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第546堀:案内と仕事と無茶振り

案内と仕事と無茶振り




Side:ユキ




「「「……」」」


はい、こちら現場のユキです。

ウィードへ連れてきたフィンダール帝国の方々は、ジョージ殿下、スタシア殿下……はヘルムで表情はわかりませんが、他の使者たちと同じように微動だにしていないから、驚いていると思っていいでしょう。

もう、何度もやってきた様式美であります。

流石に、ハイデン御一行と同じネタでもあるし、これから大陸間交流で同じネタを何度も繰り返すことになるので、もう一々詳細を語っていると定型文の報告になりそうなので、省くことにします。


幸いなのは、ウィードの国民は基本的に、外からやってきた人が驚くのは当然のことだと思っているので、そっとしておいてあげるか、困っているようなら声をかけるという感じで、馬鹿にすることはないのでありがたいです。

こういう国民性を続けていければと思います。


「なにやってるんですか、お兄さん」

「お、ラッツ。簡単にナレーターごっこ?」

「暇ですねー」

「暇というより、ラッツを待ってた。質問攻めは決定」

「まあ、そうですよねー」


ラッツはそういって苦笑いをする。

商業区の案内はどう考えてもラッツ以外はあり得ない。


「もう慣れただろう?」

「慣れたというと何かちがいますが、大抵みんな同じ反応ですしねー。いい加減、私以外の人員が欲しいところですね」

「それは育てているだろう? 大陸間交流ではトップ以外の案内はそれなりの人員でやる予定にしているし」

「それを逆に言えばお偉い方は全部私に回すってことですよねー」

「まあなー」

「お兄さん。ラッツはボーナスを要求したいですね。こうお兄さんやみんなとのんびりイチャイチャな一週間とか」

「それは俺も欲しいな。仕事が多いのがいけない。とにかく終わらせて、バカンスができるよう頑張ろう」

「はぁ、終わりがあるといいんですけど。さて、愚痴はここまでで、さっさと案内をしますか」

「そうだな」


そろそろ驚きも収まってきて、辺りをキョロキョロし始めたフィンダール帝国御一行をなんとかしないと、挙動不審で通報されかねない。


「はいはーい。フィンダール帝国の皆さん。ここからの案内や説明は私、ラッツが務めますのでよろしくお願いします」

「あ、どうも、ご丁寧に」

「よ、よろしくお願いします」


ジョージ殿下とスタシア殿下がぎこちなく挨拶を返すと他の使者たちや護衛も軽く頭を下げる。

恐らく、ラッツが兎人族だからかな?

新大陸の人から見れば、精霊の巫女様の一人だしな。

だが、そのフィンダール帝国御一行の中で泰然自若としている人が一人。


「ラッツ殿。またお世話になります」

「はい、ジョージン殿。でも、ジョージン殿は今回案内される側でなく、案内する側でお願いしますねー」

「ははは、流石、ユキ様の奥様でいらっしゃる。抜け目がないですな」

「ちょ、ちょっとまてジョージン!? ラッツ様が、なんと言った!?」

「……聞き間違えなければ、ユキ様の奥様と聞こえましたが」

「そうですぞ。この物凄い商業区画を管理されている女傑にして、ユキ様の奥様の一人であるのがこの方、兎人族のラッツ殿です」

「……女性がこのような場所の管理を?」

「……まさか。ユキ様の奥様ということでの名誉職とかでは?」


後ろの方では話を聞いた使者たちがありえないと呟いている。

まあ、男尊女卑の傾向が強い土地なら仕方ないよな。


「あはは、私みたいな若造が管理と言われてもピンときませんよね」

「あ、いえ!! 失礼いたしました!! お前たち!!」

「お前たち無礼であろう!!」

「「「はっ!! 申し訳ありません!!」」」


慌てて、ジョージ殿下、スタシア殿下が謝罪する。


「いえいえ。まあ、こっちも基本的には男性がこういうことをすることが多いですからね。ウィードが特殊と思ってください。キャサリンさんのバイデのように、女性主体で動いていますので」

「はあ、ということは、他の要職も?」

「ほとんどが女性ですね。そのほとんどがお兄さんの奥さんですね」

「……なるほど。ユキ様の支配体制を確実のものとするためですか」

「あははー。そういう捉え方も良くされますね。まあ、間違いではないんですが、そもそも人材が不足していたからこうなったんですけどね」

「というと?」

「信じられないかもしれませんが、ウィードは建国してようやく3年そこらと言ったところなんですよ」

「「「はぁ!?」」」

「あとで周りの国々の関係も説明いたしますが、簡単に言いますと当時はここはロシュールの領土でただの森でした。そこに奴隷たちを引き連れて開拓したのが、このウィードの始まりです。その連れてこられた奴隷の一人が私だったんですよ」

「ど、奴隷!?」


間違っていないが正しくもない説明をするラッツ。

懐かしき、ウィードになる前、初期の話だな。

ラッツたちをモーブに頼んで連れてきてもらって、この世界の知識を取り入れつつ、DPを安定して手に入れようと画策したころだ。

下手な有力者や有識者を引き込むと問題になるのは目に見えていたから、奴隷を連れてきて教育するしかなかったのが事実だが。


「奴隷はこちらでも普通に使われていますからね。そちらでは精霊の巫女と呼ばれていても、こちらでは私たち獣人やエルフなどはそれなりに数がいますので、珍しくもなんともなく普通に労働力として扱われていますよ」

「……大陸が違えばここまで常識も違うのですね。このような建造物もこの大陸では普通なのでしょうか?」

「いえいえ、ジョージ殿下。ここだけの特殊な建造物ですね」


と、こんな感じで、見物がてらラッツが器用に説明をしていく。

俺の嫁さんだというのもジョージン殿がそれとなく伝えたし、乱暴されるようなことはないだろう。

ま、ラッツをどうこうできるとは思えないが。

周りにリーアやサマンサもいるし。

さて、ここはラッツに任せて俺の方は、一旦セラリアと合流して、キャリー姫との会談の件を相談するか。


「ジョージ殿下、スタシア殿下、他の使者や護衛の皆さま。私は女王陛下への報告がありますので、席を外します。何かあればラッツやリーア、サマンサへ仰ってください」

「女王陛下……。ユキ様の奥様ですか?」

「ええ。ウィードの女王です」

「……その謁見などは」

「その件も含めての報告ですね」

「よろしくお願いします」


ジョージ殿下、スタシア殿下、その他御一行はこちらに深く頭を下げる。

ここまでのモノを見せたウィードとの繋がりは是非ともほしいだろうし、女王陛下との謁見は今後の国の行き先を決めるために必要不可欠なことだろう。

ああ、ちなみにヒイロはスタシア殿下になついていたのでそのまま案内役として、残ることになった。

リーアにサマンサがいるから問題ないだろう。

さて、俺たちはセラリアと話をしないとなー。




そう思って、セラリアの執務室を訪れたのだが、そこにセラリアはおらず、部下のクアルが代わりに机に座って書類を片づけていた。


「あれ、セラリアは?」

「ユキ様ですか……。ここにいるということはフィンダールの方々はウィードに無事到着したということですね」

「ああ、そのことでセラリアに報告にきたんだけど、どこいった?」

「……よくわかりません。朝っぱらから、私に書類仕事を押し付けて、ザーギス殿やコメット殿の所に行ってくると」

「それで、クアルが一人で仕事をしているというわけか」

「はい。ユキ様が新大陸に誘拐、かかりきりになって以降、ユキ様たちがいない分、ウィードに残っている私たちの仕事量は増えるばかり、なのに、陛下はこうやって思いつきで動き回る始末……」


あ、なんか地雷踏んだ?


「クソ親父と言っている奔放なロシュール王と何も変わらないではないですか。いや、むしろロシュール王の方がよく私心を排して仕事をしておりましたし……、血が濃くなったというか……我儘になったというか……」


恨み言になってない?

このままいると俺呪い殺されそうな気がするから、さっさと出よう。そうしよう。

幸い、セラリアの居場所はわかったし、ここに留まる理由はない、ヴィリアとドレッサに目配せをして、そーっと、そーっと……。

だが、クアルがそれを見逃すはずがなく……。


「ユキ様。セラリア陛下にはきつく注意していただきたい」

「はい!! もちろんです!!」

「ユキ様は身内には甘くなる傾向があるようで、セラリア陛下はいい意味でも悪い意味でもユキ様に甘えておられます。ですが限度もございます。このように政務をほったらかしで出歩かれては国が回りません。いい加減私が処理するのも限度がございます。本当によろしく頼みます」

「……わかった。とりあえず、休め。もうすぐ昼だろう。セラリアは必ずこっちに戻すから、これで回転寿司でも食べてくるといい」


これ以上お説教されてはかなわないし、クアルの好物であるお寿司で気をそらそう。


「……なにか、安い餌に釣られている気がしますが、好意を無駄にすることはないですね。ではありがたく、休ませていただきます。しつこいようですが、なにとぞ陛下のことよろしくお願いします」

「ああ」

「では、昼食に行ってきます」


そういって、クアルはさっさと執務室を出て行く。

後に残るのは、書類の山と俺たち。


「……あの、私たちが書類を片づけたほうがいいのでしょうか?」

「ヴィリア。私たちがそんなことしていいわけがないでしょう。セラリアとかユキとか要職についている人しか判断できないことなのよ」

「でも、クアルさんが……」

「クアルを手伝いたいなら、もっと頑張って政治とか部下の動かし方とか色々勉強して経験を積まないとだめよ。私たちが下手に手を出せば、仕事を増やすだけにしかならないわ。そうよね、ユキ?」

「まあな。ヴィリアの気持ちはありがたいが、ここはセラリアの女王としての仕事場だからな、俺も下手に手を出せん。クアルを助けたいなら、まずはセラリアに仕事をさせることだろう。ということで、セラリアの確保に行く」


クアルとも約束したし、やらないわけにはいかない。

しかし、ウィードは全体的に人員不足だな。

いや、重要な案件を任せられる信用できる人物が少ないのが問題か。

はぁ、今後の課題だな。

そんなことを考えながら、ザーギスと連絡をとり、セラリアがいることを確認して、魔力研究室へと赴いたわけだが……。


「あ、ユキ君。よく来たね。助けてくれよ」

「はい?」


なぜか、コメットがこっちに困ったような表情で駆け寄ってきた。


「え? か弱い美少女に見える。新手の詐欺か?」

「いきなりご挨拶だね。私は見ての通りか弱い美少女だろう」

「あ、ユキも説得してよ」


更に奥からセラリアがこちらにやってきて、その後ろからコメットと同じように困った表情をしたザーギスがやってくる。


「説得って、何があった? というか、セラリア、クアルからそろそろ呪い殺されるぞ。仕事してやれ」

「あれ? そんなに時間を空けたつもりはないんだけど、結構時間が経っているわね。まあ仕事は後でちゃんとするわよ。今必要なのはこの2人を説得すること、それに時間がかかったのよ」

「だから、何の説得だよ」


俺がそういってコメットとザーギスを見ると、何というか本当に困った様子でゆっくりを口を開く。


「いや、セラリアがね。ウィードに地球の戦闘機運用の為の軍空港と、衛星軌道上からの監視連絡の為の衛星を打ち上げるための宇宙開発基地を作りたいから協力してくれって言ってるんだよ」

「私たちは無理だと言っているんですがね。女王陛下は先の一件でユキたちの安全確保のためにも必要不可欠だと言って……」


あー、なるほど。

俺たち誘拐事件でセラリアたちが独自にそういう安全策を練ったわけだ。


「無理じゃないでしょう? 設備や必要な物資はDPで取り寄せればいいし、その管理や必要な知識を補うのはあなた達が最適じゃない」


と、セラリアは事も無げにいうが、そんなわけない。

俺はセラリアの無茶振りに対して短く告げる。


「無理だから」


たった二人で軌道計算や、宇宙の観測、デブリの確認、などなど多岐にわたる仕事ができるわきゃねー。

軍空港だけならまだしも、宇宙開発とか隠ぺいや失敗の時のリスク管理とかもう、2人でできる範囲じゃねーよ。

国家事業ですよ宇宙開発は、宇宙の知識だけでなく、数多の知識を詰め込んで、少人数で管理できるわけねー。








セラリアの超無茶ぶり。

宇宙船を飛ばすだけでは済まないのが宇宙開発。

次回、ちょっとしか細かいm説明。

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