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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第522堀:公爵との会談

公爵との会談




Side:ユキ




『なに? 日本人の足跡をたどってカミシロ家に来たのではないのか?』

「それもあるけど、まあ二の次な話だな」


そんなことを話しながら、廊下を移動する俺たちとカミシロ一家とどっかの水神。


『てっきり、帰る方法を探しに来たのかと思っておったが、では何を求めてここに来たのだ?』

「それは、カミシロ公爵から読み取ったんじゃないのか?」

『否。全部を読んだわけではない。表層意識にあるお主らが真に日本人であるか? という疑問に答えただけだ』

「なるほどな。じゃ、説明するのは長くなるし、カミシロ公爵からまた読み取ったらどうだ?」

『ふむ。道理だな。ソウ、カグラよいか?』

「はっ、水之辰命様の望むままに」

「構いません」


そんな会話をして、また水神がカミシロ一家の周りをぐるっと回って記憶を読み取る。

便利だよなー、こういう神様系の意識共有って。

とりあえず、あの後、俺たちが日本人とわかったので、上の屋敷に戻ってきた。

水神はそのままご神体に引きこもる予定だったが、俺としてはこの水神の記憶はかなりほしいので、こっちが魔力供給をして顕現させている。

仲良くなることに越したことはないからな。

日本の神様とか珍しいし、こっちの駄目神たちより役にたつと信じたい。

が、どっちの神様もウィードでぐーたらしている女神の部下というのが悲しき現実である。

反面教師で一人二人はまともな奴がいると信じたい。


『ふむ。あれから500余年。人の世にしては、よく持ったと思うべきか。そろそろ国の変わり目なのやもしれぬな』


今回の経緯を読み取ったのか、そんなことをいう水神。


『が、分からぬのはお主らだ。カグラが呼び寄せたという割には、あまり焦っておらぬな。しかも、お主とタイキ以外はこの世界の住人であるな。どういうことだ? 日本から呼び寄せられたのではないのか?』

「あれ? カグラから読み取ったんじゃないのか?」

『うむ。カグラはいまいちわかっておらぬ。荒唐無稽というか、どう説明したものか混乱しておるな』

「ふえっ!? も、申し訳ございません」


なるほど、表層意識だけってのは本当らしいな。


「皆さま、これ以上の話は廊下を歩きながらというのはまずいでしょう。この部屋に」


カミシロ公爵さんに言われて部屋に入る。

普通の洋風の応接室だ。


『で、お主たちのことを説明してはくれぬか? 何故、天照大御神の加護があるのか。この世界の友がいるのか。帰りを望まぬのかなどな』

「あー、簡単に言うぞ。こっちとしては、ハイデンのことを止めるのが先だからな」

『うむ。悪意がないのはわかっておるし、今はこの地が優先なことは理解しておる。が、泰然自若としているお主らはいささか警戒せざるを得ないからな』


まあ、得体のしれないのがいるのは怖いよな。

水神の言っていることもわかるので、とりあえず軽く説明をする。

駄目神、もとい、ルナ兼天照大御神であるクソ女にこっちの世界に放り込まれて、世界環境、魔力枯渇の改善をやれと言われ、その改善案の前に国々の安定や流通の強化などを、放り込まれた場所で地道に行っていたところを、そこのカグラに呼び寄せられたと。


『なるほど。実に理に叶った召喚があったものだな。この世界に存在する日本人であれば、お主が最適であるな』

「こっちとしては、仕事が増えて非常に迷惑だけどな」

「ご、ごめんなさい」

『なに、謝る必要はないぞ、カグラ。この男にとってはいずれやらなくてはならない仕事だ。遅いか早いかそれだけだ。天命という奴だ』

「しかし、こっちに宇迦之御霊神はなんでいないのかねー」

『それも無理ならぬこと。分霊とはいえあちらは仕事が文字通り山ほどあるからな、個々で独立した本人であるとはいえ、あっちの本業は日本での仕事だからな。異世界にまで干渉する力を発揮するのは、天照大御神ぐらいでなければきついだろう。私は幸い土着信仰の田舎神ゆえ、まともな仕事もない。ご神体もあり、ソウタについてこられたからな』

「というか、なんで跡取り息子でもない次男にくっついてこっちに来たんだよ」

『簡単だ。宇迦之御霊神の主な世話は親父と長男、土着の田舎神の世話は次男だったというだけよ。なに、粗雑に扱われたという話ではない。向こうは五穀豊穣の日本で屈指の神。出張などが多くてな、次男と交流が多かっただけよ。ぶつぶつ言いながらもしっかり世話をしてくれたソウタには愛着もあったのでな。それに、昭和も50を過ぎ、人も自らの力で自然に立ち向かうようになってきた。我のような、水神を拝む必要はなかろうて』

「昭和か。こっちは平成なんだけどな。大体2、30年後だな」

『ほう、些かというには時間のずれが大きいな。まあ異世界故仕方なかろう』

「だなー。深く考えると負けな気がする。って、その話はいいから、まずはハイデンのことだよ」

『おお、すまんな、ソウ、カグラ、つい故郷の話に花が咲いてしまった』

「いえ。お気になさらずに」

「水之辰命様がお喜びになられて何よりでございます」


カミシロ公爵とカグラは恐縮しまくり。

まあ、自分が祀っていた神様が楽しそうに話していることを咎めるとか普通しないだろうからな。


『故郷の話に時間を費やすのはまた後日だ。して、ソウよ。ハイデンの今回の動きをどう見る?』

「はっ!! 私といたしましては、正直信じ難く思っております。現陛下は堅実な男です。兄である前陛下との確執があるように噂されておりましたが、あれは演技であると、直接お2人から聞いたことがあります。実に仲のよい兄弟なのです」

『ふむー。が、姫君はアレだぞ? カグラの記憶を見る限り、どうにも……』

「それは私も不思議ではあります。バイデの方へ敵が寄せたこともです。姫君や私の娘、バイデが欲しいにしても、それで他の魔術学府の生徒が犠牲になれば、それは今後のハイデンの統治に影響が出てもおかしくはありません」

『ふむー。言わんとすることはわかる。確かに、姫君やカグラ、バイデは欲しいにしても、他の被害を軽視しすぎているな。ユキはどう思うのだ?』

「俺はこっちにきて一月も経ってないからな。各国の内情なんてさっぱりだよ。とりあえずわかるのは、ハイデンの中央でなにか起きてるってことだけだ。だから、殴り込みは避けてこっちに来たんだよ。何かカミシロ公爵への狙いがあるなら、こっちに働きかけてくるだろう?」

「なるほど。ユキ殿の話も分かります。が、残念ながら今のところ動きはありませんな」

「そりゃー、バイデが攻撃を仕掛けられてまだ一月経つか経たないかだしな。援軍が来たのがつい5日前だし、カミシロ公爵領の方にはどういう風に伝わっていたんだ?」

「こちらにはバイデに帝国が攻めてきただけですな。参戦要請もありません。ですから、動くわけにもいきません」


そりゃそうだろうな。

要請もないのに戦力を動かしたら問題だし。


『ふーむ。結局、よくわからんのか。そういえば、昨今のハイデンの強行姿勢の方は知っておるのか?』

「はい。陛下が一部の人間がなぜかやる気だと不思議がっておりました。周りが敵だらけになるのは自明の理。裏で扇動しているものがいるにしても、たかが魔術師3個大隊で、各国を潰せるというのは、馬鹿でも思わないはずだと……」


ほう。

また新事実。

現国王はそこまで馬鹿ではないという情報。

覇権国家を狙っているわけじゃないのか。


「お言葉ですが、公爵様。そうなると王妃様が幽閉されているのはどう説明するおつもりでしょうか?」

「キャサリン殿、それもある意味、誤解なのだ。その無謀な行動がでてきたから、王妃様を退避させたのだ」


ああ、なるほど、順序が逆なのか。

王妃様が邪魔だから幽閉ではなく、危険が迫ったから匿った。幽閉という形をとったのか。


「その一環で、娘のキャリー姫様には、その、下手に動かないように、無用な知識は与えぬようにということになったのですが、まさか、あそこまでとは……」


娘さんの方まで幽閉すると問題があるから、取り合えずな教育したらああなったと。

ぽやぽやにステータス極限振りしたのね。

そこを考えると、ある種の自己防衛のために意図的にぽやぽやになったかもしれないな。

生きるために、生粋の馬鹿になった、というか演じたっていうのは歴史的には結構いる。


『しかし、そのありようになってから10年以上と聞くぞ? 何も手を打てなかったというにはおかしくないか?』

「打ってはおります。なんとか、旧王家派と現王家派を対立させまいと、立ち回っておられるのです。そもそも、10年前の始まりは、もうちょっと軍を鍛えようという程度の提案でしたから。それが、気が付けば、他国を制して、覇権を狙うと……」

「気が付けば、その流れになっていたってことか」

「はい。その通りです。陛下はこの不味い流れに気が付いて、どこが原因なのか探りを入れておりますが、実際動き出したわけでもありませんし、強く言えるわけでもありません」


そりゃそうだ。

今までは、ただの国内の意見割れだよな。

って、ちょっとまてよ。


「帝国や他国から、魔術師の卵を送って未帰還ってのが多くて不信感があるっていうのが、向こう側の言い分なんだが」

「……それは初耳ですな。どこかで握りつぶされているとみていいでしょう。しかし、それで軍を動かすのは軽率なのでは?」

「それを言われるとそうなんだが、火種をまいたのはハイデンの方なんだよな」


しかし、越境して攻めてきたのは一応帝国だ。

もっと根気よく交渉を続けるという手もあったのも事実だし、まあ見方によって良し悪しはあるだろうから何ともいえないな。


『ふーむ。やはり何が目的かわからぬな。今回の事で帝国と事を構えるというのが目的であっても、他国の参戦があるのはわかりきって、手が回らなくて落ちるのは目に見えておる。現ハイデンの王はそれを自覚している。が、配下がそれを聞いていない、と聞こえるな。まったく不思議だな』

「勝てると踏んでいるのでは?」

「そこまで、武闘派連中も馬鹿ではありませんよ。そこまで馬鹿ならまず、将軍職についたりしておりません。そもそも、魔術師でない将軍も多数いますからな」

「「「うーん」」」


話がまとまらないというか、どんどん意味不明な状況になっているな。


「とりあえず、王様が乱心していないなら、今回の件を話せるんじゃないか?」

「ですな。私としては、姫殿下や娘、そして魔術学府の生徒が巻き込まれておりますし、なぜこのようになったのかというのを聞きに行くのは問題ないでしょう」

「……危険ではないでしょうか?」


キャサリンはいままで散々な目にあってきているから、わざわざ王宮に行きたくないよな。


「それならそれでいいのですよ。もはや、その時は今の陛下に部下を抑えられないのは明白。私が代わりに立てと言われております」

『なるほどな。座して見ているわけではなかったのだな。ソウよ』

「はい。御三家の誰かが道を誤ったのならば正し、駄目ならば引導を渡すのが、初代様からの盟約でありますから。……そんなことなどないと信じております。ですが」

「……お父様」


なるほどね。

カミシロ公爵の方は、見守っていたわけか、今の今まで、そして今回の件で重い腰を上げたと。

こりゃ、こっちが説得する必要もなかったのか。


「そういうわけで、私はこれから王宮に向かおうかと思っておりますが、皆さまはどうなさいますか? 正直、武闘派の馬鹿共がいるので、キャサリン殿の言う通り危険ですな。下手すれば、騒動に巻き込まれるでしょう」

「こっちは元より、カミシロ公爵の支援が目的ですからね。公爵の安全確保のために付き合いますよ」


もとより、この予定だった。

これで、結果はどうなるかわからんが、俺たちがハイデンを潰して面倒をみるという最悪は回避できる。

カミシロ公爵が最悪、ハイデンを引き継ぐって言ってるんだし。

疑問は多々あるが、王宮に行けば謎は解けるだろう。

早急に、バイデの安堵とかを認めてもらって帝国と和解してもらいたいもんだね。


まあ、仕事が早まっていると言っていいから、幸先はいいんだろうな。

おかげで、エオイドとカグラが実家で急接近!! っていうイベントはなさそうだが。

ちっ。





ユキとタイキはあきらめない!!

エオイドが必ずやってくれると信じて!!


あれ? なんか打ち切りってぽいな。

いや、まだまだいける。そうだよな。

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