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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第519堀:王子の苦悩

王子の苦悩




Side:ジョージ・フィンダール フィンダール帝国所属 第二王子




ユキ様たちの会談からはや数日。

既に帝国領へ入り、馬を走らせている。

幸い、盗賊などとは出くわさずスムーズにここまでこれた。

もうすぐ、帝都のはずなのだが……。


「殿下、前方に軍勢が見えます!!」

「やはり、すでに動いていたか」


あわよくば、出撃する前に姉上を止められると思ったが、そう上手くはいかないか。


「このまま軍勢と接触する。おそらく、私が頼んだ後詰だ」

「「「はっ」」」


間違っても、このままバイデを襲うなどということがあってはまずい。

勝ち目などないし、これからの友好関係に亀裂が入ることになる。

……はぁ、しかし、どう説明したものか。

起こったことを話したところで、とても信用してもらえそうにはないし、譲り受けた魔道具などを見せて納得させるしかないか。

というか、姉上は苦手なんだよな。

あの事件前は普通に話せたんだがな、アレ以来どうも、とっつきにくい。

まあ、理解もできるからみんなも何も言わないんだけどな。

業務に差しさわりがあるわけでもないし。

まったく、今の姉上を見たら、妹、アージュはなんというかな。

……いなくなった妹を思っても仕方ないか。

私もあの事件は許すつもりはないし、忘れるつもりもない。


「殿下、軍勢が停止、数騎出てきます」


そんなことを考えていると、向こう側から来てくれたようだ。


「ジョージ。大将たるあなたがなぜこのようなところにいるのですか。ハイデン制圧軍に何があったのですか」

「はい。大きな問題が起こりました。申し訳ないのですが、進軍を一時停止してもらいたいのです。陛下にご裁可を頂かなければならない事柄がおきました」

「陛下にですか。……わかりました。私も一緒について行きますがよろしいですね」

「……はい。もちろんです」

「ではしばし待ってください」


そういうと姉上はすぐに馬を返し、軍勢に戻っていく。


「全軍に通達を、野営準備」

「「「はっ」」」

「急遽帝都に戻ることになりました。進軍は一時中断、戻るまでは軍事演習の一環……」


そんなことを話す姉上の言葉には感情の起伏がない。

あの事件以来、ああなってしまったのだ。


「相変わらずの氷心の姫ですな。……軍を率いる将軍としては最適でしょうが、喜ぶべきなのですかな」

「……姉上の感情が戻ってくる、表すようになる日は来るのだろうか」


姉上は身に着けている鎧のように、心もがっちりと固められてしまった。いや、凍ってしまったのだろう。

姫が戦場に立つというのに、がっしりとしたフルフェイスの兜で、顔ですらまともに見えない。

まあ、戦場の姿としては正しいのだが、華というべき姫がフルフェイスというのは、私としてはいくら時が過ぎても違和感しかない。

しかも、四六時中、ああではな……。


『姉上。なぜ城内でフルフェイスなど……』

『そのような油断があのようなことを招いたのです。私は慢心を捨てました。私の油断がアージュを死なせてしまった』

『あれは……相手の凶行が問題で』

『仕方がないで済ませてはいけません。私が妹を守れなかったのは事実なのです。王族とは常に命を狙われるもの。ジョージも忘れてはなりませんよ』

『……しかし、姉上のことを誰も責めてはおりません』

『……陛下には陛下の、ジョージにはジョージのあの事件に対しての向かい方があるのもわかります。これは私なりの、あの事件に対しての答えなのです』

『そのような弔いは、アージュとて望んでおりませんよ。きっと……』

『……話は終わりました。職務に戻ります』

『姉上!!』


文字通りの鉄面皮。

フルフェイスで顔を覆って、返ってくるのは、鋭い視線と、乾いた感情のない声ばかり。


「ともあれ、陛下にちゃんと説明しなくていけない。お前たちも重要な証人だ。頼むぞ」

「「「はっ」」」


そう、これからが本番だ。

私がうまく説明して納得させなければ、快く送り出してくれたユキ様たちに申し訳が立たない。

いい機会だ。この道中姉上としっかり話して、苦手意識をなんとかしてみよう。

姉上が悪いわけではないのだ。

あわよくば、昔のように綺麗な顔を見せて笑ってくれればと思う。




そんな決意をしたことがあったような気がしないでもないような気がする。


「殿下、お気を確かに」

「殿下はよく頑張っておられました」

「姫殿下の近衛も褒めておりましたぞ。殿下はとても姉思いだと」

「そうですとも」


とまあ、このように、私は周りから慰められている状態だ。

道中ひたすら姉上に話しかけていたのだが……。


『姉上。最近、何か楽しいことはありましたか?』

『今回の軍の動きがスムーズでした。日々の調練のおかげでしょう』

『……』


『姉上。あちらの花は昔、みんなで花の冠を作ったものではありませんか? 少し降りて見てみませんか?』

『いまは軍事行動中です。速やかに帝都へ戻るのが先でしょう』

『……』


『姉上。あの……』

『ジョージ。無駄話をしている暇があれば、より早く帝都に戻るために馬の損耗を抑えた走りをするべきでしょう』

『……』


とまあ、このように最後には喋ることすら封じられた。

一体どうしろと。

そんなことをしている間に、陛下、父上が部屋に入ってくる。


「ジョージ。聞いたぞ、果敢にスタシアに話しかけていたとな。よく頑張ったな」

「姉上を思えばこそです。が、上手くは行きませんでした」

「……気長にやっていくしかなかろう」


父上も姉上のあれには思うところがあるのか、苦笑いだ。

そういえば、姉上はどこに行ったのだろうか?

一緒に話を聞くといっていたはずなんだが。

そう考えていると、姉上が部屋に入ってくる。


「失礼します。……既に父上も来られていましたか。進軍停止中の報告書を作っていて遅れました。こちらのご確認を」

「う、うむ。細かい報告、流石だ、スタシア」

「いえ、これが職務なれば、当然のことでございます」


先ほど姉上の話をしていたので、少し父上の表情が硬い。いや、私もだろう。


「コホン。さて、本題に入ろう。ジョージ、なぜ大将であるお前が戻ってきた」

「はっ。今からそれを説明いたします。が、まずはこちらをご覧ください」


そういって、私はシェーラ様から提供してもらった魔力ランプと杖を机に置く。


「これは?」

「こちらは……」


それから、汎用性の高い魔道具を使用して見せ、無論杖は一旦訓練場に行って実演して、父上、姉上にも使ってもらい、バイデで起こった荒唐無稽な話を説明していった。


バイデに思いのほか抵抗されていたが、明日には落とせそうと思ったときに、ウィードと名乗る集団が現れすべてをひっくり返されたこと。

そのあとの会談で、バイデにいた姫と公爵家の娘が英雄召喚を行い、ウィードの方々がこちらに来られたということ。

ウィードの方々は詳しい状況がわからないので、とりあえずバイデも我が帝国軍も制圧する手段に踏み切ったことなど。


とりあえず、事の経緯をしっかりと話してみた。

ちゃんと、連れてきた近衛たちの証言も含めてだ。


「「……」」


が、見ての通り2人とも沈黙。

やっぱりそうだよなーと思う。


「信じてもらえないのは、よくわかります。しかし、事実、わが軍は……」

「いや、信じておる」

「はい。これは事実だと理解できます」

「へ?」


予想外の言葉が返ってきて、思わず変な声が出る。


「え、えーと、どこに信じる要素が……」

「まあ、半信半疑ではあるが、我が右腕、ジョージンがいないこともあるしな。あれがいて、敗走したとしても、ジョージとその周りだけしか助からなかったというのはあり得ん。あれが全滅するまで戦うわけがない」

「はい。ジョージン殿がそのような無様な戦いをするわけがありません。それに敗走の事実を隠すようなことを言うわけがありません」

「だな。あれは負けを認めぬほど狭量ではないし、ジョージたちの鎧も新品同様だ。切羽詰まって逃げたとは思えぬ。さらに、この魔道具を見せてもらったのも大きいな」

「このような、ものすごい道具が作れる国家を相手にことを構えるなど愚の骨頂。今回の判断は正しいものだと思います。父上はどう思われますか?」

「わしも今回の判断は正しいと思う。しかも、バイデの駐留は許可をもらっておるのだろう?」

「はい。いただいております」

「ふむ。ならば何も問題はあるまい。スタシア、予定通りに後詰をバイデへ入れよ」

「はっ」

「ちょ、ちょっと待ってください。それは刺激に……」

「ならぬよ。ちゃんとジョージが説明しておけばよい。スタシアも間違ってもバイデへ攻撃を仕掛けるなよ」

「心得ております」

「向こうが、こちらとの話し合いを望むのであれば、受け入れるはずだ。バイデの安全保障でもあるからな。ジョージ、ウィードの方々はだまし討ちをするかな?」

「……それはあり得ません。もとより、軍勢という力が通用しないのですから」

「ならばなおのこと問題ないな。今後の関係を強化するためにも、必要なことだろう。惜しむらくは、この話し合いにわし自ら話し合いたいのだが……」

「それはなりません。父上は帝国の象徴。安全が確保されているのであればともかく、バイデは最前線です。そのようなところに行かれるなどあってはなりません」

「……と、このようにスタシアと同じように反対するものが多いだろう」


確かに、未だ帝国の重臣たちはウィードを知らない。

そのような場所に赴くなどもってのほかだろう。


「だから、わしの代わりに、スタシアが臣下数名を連れて行き、ウィードの方々と話してくると良い。まずはそれからだ」

「「はっ」」

「名目上は、ハイデンとの交渉のためだな。事実は向こうについてから説明するといい。臣下の選別は宰相と相談して決める。スタシアは移動の準備を頼む」

「はっ。では失礼いたします」

「うむ。早い方がいいだろう。今日中には命令書をだす」


姉上は準備を始めるため、部屋を出て行ってしまう。

相変わらずというかなんというか。

もう少し、父上と話せばいいのに。


「しかし、父上。姉上が代わりというのは……その……」

「まあ、家臣がそこは頑張ってくれるだろう。あと、スタシアが元に戻るきっかけになればと思ったのでな。話の分かる方々のようだし、スタシアのことぐらいで話が破談になるようなことはあるまい」

「そういうことであれば……」

「なに。そこまで心配であれば、バイデへ行く道すがら、ジョージがスタシアを元に戻してやればよい」

「……それは無理です」

「わっはっは。まあそこはいいとして、皮肉だな。ハイデンを救うために召喚した英雄たちが、敵を引き入れるとはな」

「ですね」

「しかし、ハイデンの動きはいまだよくわからぬ。そこだけは注意せよ」

「はい」

「うむ。では、出発するまではのんびりするといい。わしも仕事が終われば戻ってくる。出て行く前に、一緒に食事でもしよう」


そういって父上は部屋を出る。

ふう。

なんとかなったな。

思ったよりもスムーズに話が進んだと思うべきだ。

しかし、バイデに向かう時も姉上と一緒か……、どうするべきだろうか?





こっちもこっちで大変なようです。

さてさて、いろいろ確実に動き出しています。

これからどうなるのか!!


実はどうしようか悩んでいる。

色々ネタはあるけど、結果とか辻褄合わせがあるからねー。

カグラとか誰にくっつけるとか。


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