落とし穴88堀:君たちはどちら派かね?(威圧)
注意:今回のお話は特定の勢力を支持するものではありません。
僕は美味しければいいと思います。
では、君たちは何派かね?
君たちはどちら派かね?(威圧)
戦い、争い、戦争。
それは、生か死か。
人はなぜ過ちを繰り返すのか。
人を、国を、世界を食い尽くす。
それが人の業なのか。
憎しみが憎しみを呼び、血が血を生み、死が死を招く。
怨嗟の果てに何を求めるのか。
だが、それでも人は信じている。
争いが一刻でも早く終わるようにと、平和を願って戦う人々の矛盾。
その夢を思い、願い、叶えるため、人々は今日も今という日を戦い抜く。
Side:ユキ
「なんか、どこかで聞いたことのある話ですね」
「まあな、某有名ロボットアニメの解説をかなり使ってるからさ」
そんなことをタイキ君と話している。
現在はカミシロ公爵領へ向かい移動しているのだが、休みなく進んでいるわけではないので、現在小休止中である。
特に問題もなく道中を進み、きわめてのんびりとした旅である。
「なんでまた急にそんな話を?」
「いや、このお菓子を食べてるとな」
そういって、今手に持っているお菓子を見せる。
「ああ、なるほど」
タイキ君もすぐに納得する。
「これはまた、業が深いものを」
「だろ?」
今持っているお菓子は、現代日本でも争いを引き起こしている、ある種、物凄い力を秘めている物である。
その名を……。
「筍の軍と茸の軍ですか」
そう、お菓子メーカーによる、バレンタインデーに次ぐ戦犯、業が深い食べ物である。
日本におけるこのチョコ菓子をめぐる対立は、同じメーカーが出すことで、日本の人々が天下三分の計に陥っている。
すなわち、筍の軍派か、茸の軍派か、傍観派かである。
これはある種の戦争で間違いない。
人は過ちを繰り返す。
その愚かな所業を思い起こさせる、いや、逃れられないのだと現実を突き付けてくる、悪魔のお菓子である。
「そういえば、お菓子なんてなんでまた?」
「んー、なんとなく。甘い物があれば、この世界は何かと便利だしな」
「あー、便利といえば便利ですよね」
「そうそう。まあ、個人的にはただの遠足に持っていける300円までって感じなんだが」
「ああ、あれ、なんで300円なんでしょうかね」
「さあ? たぶん、制限しないとお菓子山ほどになるんじゃないか?」
「そうなんですか? 俺はお菓子より、弁当増加の方がよかったですけど」
「俺もだ。お菓子を食べると喉が渇くからな。水分が限られる遠足ではあまり食べたくなかったな」
お菓子というものは大体口の中の水分を悉く奪い去っていくもので、飲み物が欠かせない。
遊びまわるのが目的である遠足にお菓子というのは、水分補給が限られている中ではある種の毒なのだ。
「と、そんなことはいいや。食べるか?」
「あ、いただきます」
そういって、タイキ君が手を伸ばしたのは、茸の軍。
「ふむ。タイキ君は茸派か」
「いや、何となくですよ。個人的にどっちがどっちというわけでもありませんし、筍も貰いますよ」
タイキ君はどうやら傍観派らしい。
俺もだけどな。
「というか、あの時の二の舞は嫌ですからね。どっちを取るとかないですよ」
「まあ、そうだよなー」
そう、実はこの奈落の戦いはすでにウィードで勃発済みである。
「第一次ウィード筍茸戦争はひどかったですから」
「いや、物騒な言い方やめてくれないか。ウィード全員巻きこんだわけじゃないからな」
「いやいや、ユキさんの奥さん全員巻き込んで、ヒフィーさんにコメットさんと、ノノアさんに、リリーシュさん、リリアーナさんとエルジュさんまで巻き込んでいるから、正直、ある種の世界大戦に近かったですけどね」
「いうなよ」
そう、あれは些細なことがきっかけだった……。
あの日は、魔族の国ラストの近況報告ということで、リリアーナとエルジュがウィードに来ていて、ついでにノノアや、ヒフィーとの顔合わせをしようということになったのだ。
他の男の神様たちは、後日。
まずは女性同士ということで、この席を設けたのだ。
「は、初めまして。私、ロシュール第三王女のエルジュと申します。こ、この度は、魔術神ノノア様や、他の大陸の女神であるヒフィー様にお目通りでき、誠に感謝いたします」
「私は魔族の国ラストで女王を務めているリリアーナと申します。この度は拝謁の栄誉を賜り感謝いたします」
エルジュはこういうのはなかなかなれないよな。
まあ、セラリアみたいに図太くはなれないか。
「何か言ったかしら?」
「いいやなにも。はい、お菓子の追加」
「あら、ありがとう」
なんだかセラリアの勘が鋭くなってるよな。
まあ、妹と比べて、自分が腕っぷし重視なのはわかっているんだろうな。
「そこまで硬くならないでください。私も一国の女王でありますから、同じ女性同士仲良くやっていきましょう」
「そうですね。ノノアの言う通りです。お互い女性ですし、男性相手に言えぬこともあるでしょうから、是非気軽に相談してください」
「ぷぷっーー。ノノアちゃんやヒフィーちゃんが立派なこと言ってるわー」
「リリーシュ黙りなさい」
「ええ、リリーシュは少し黙ってください」
「あわわ、リリーシュ様。他の女神様にそんな言い方は……」
「なんというか、思ったより仲がいいのですね。お三方は」
「そうよー。私とリリアーナちゃん、エルジュちゃんと同じぐらい仲がいいわよ。まあ、ちょっとポンコツだけどねー」
「「だれが、ポンコツか!?」」
「「「あははは……」」」
そんな感じで和やかに話がすすんでいたのだが、そこに一つの爆弾が投下された。
いや、個人的にはお菓子のバラエティーを増やすというただ純粋にそれだけで置いたのだ。
俺個人はお菓子にそこまでこだわりがなかったので、注意を払っていなかった。
「あ、筍の軍がありますね。いただきます」
エルジュがその悪魔の食べ物を見つけて開封する。
「え? 茸の軍じゃないの?」
そう返すのがリリアーナ。
「え? そんなのがあるんですか?」
「いや、ここにあるけど」
そう、いままでここのメンバーは、意識したことが無かったのだ。
茸と筍が存在しているその意味を。
ほぼ同じパッケージで、並んで陳列していることが多いこの二つは改めて意識しないと、違う商品であると理解されないことが多い。
その改めて意識することが、この会談で起こってしまった。
「本当だ。これキノコの形してますね」
「こっちもタケノコの形ですね」
「どっちも美味しそうねー。食べてみましょう」
ということで、もぐもぐと食べだして、それを見たうちの嫁さんたちも同じように食べ比べを初めて……。
「茸の軍の方が美味しいです!!」
「いや、筍の軍でしょう!!」
と、仲の良い、魔王と聖女様が意見を真っ二つにし……。
「コメットは茸の軍ですよね?」
「いや、私は普通に筍かなー。だって、茸の軍って上にチョコつけてるタイプでチョコスティックと変わらないじゃん? 筍はクッキーに程よく混ざっているし、普通筍えらばね?」
「はぁ、コメットは本当に人の気持ちがわからないようですね。だからバッサリいかれるんですよ」
「はっ、死体をいじくって先兵にした駄目神には、付け焼刃ならぬつけチョコの茸はお似合いなのかもね」
「「ああ!?」」
と、こっちはいつものように犬猿のじゃれあい。
本当にお前ら傷に塩を塗り合うの好きだよな。
「リリーシュはどっちがいいの? 私は杖に似ている茸かな」
「私はー、筍ですねー。茸はどこかの土いじりが育ててたんで、嫌です。筍を食べられると知らなかったあの土いじりの顔ときたらー……。うふふふ……」
「あんたたちの仲は本当に戻りそうにないわね」
「そうですよー。絶対ありえませんから」
こっちはお互いの確執はないが、リリーシュとファイデの和解は果てしなく遠いようだ。
そんな感じで、俺の嫁さんたちも茸の軍か筍の軍かで、内紛が起こることになる。
だれがどっち派かなんて覚えていなかったが、トーリとリエルがその抗争で敵味方に分かれたのには驚いた。
あの2人はなんだかんだ言って最後は仲良くやってるのにな。
あと、お約束としては、勇者リーアと魔王デリーユはお互い相容れぬ存在らしく、敵味方に分かれていた。
ミリーやエリス、ラッツなどは、対立などしないで、傍観派で困り顔をしていた。
まあ、そりゃー、茸か筍かで、いちいち盛り上がれるかという問題もあるからな。
そういう意味でも、ある種の溝ができつつあった。
恐るべし、茸筍戦争よ。
そして、その戦火は、俺やタイキ君、タイゾウさんにも飛んでくる。
「ねえ。あなたはどちらが好きなのかしら? 正直に言っていいのよ?」
「タイキ様は私と同じですよね!!」
「タイゾウさん。あのポンコツリッチに勝つために協力を!!」
セラリアがこっちにつくよな? と俺に笑いかけ。
アイリは信じてますと言わんばかりにタイキ君へ笑顔を見せる。
ヒフィーはタイゾウさんが自分を裏切るとは全く考えていなかった。
こりゃー、下手な受け答えすると泥沼化が必至だったので、俺たちは禁じ手に走った。
「「「いや、コアラのワルツ派で」」」
「「「!?!?!?!?」」」
会談は大混乱。
そのあと、傍観派だったメンバーが、切り株、アル○ォート、カントリー○ーム派などを宣言。
チョコ大戦争はそのまま、食べ比べ戦に入り、チョコをもう食えない、胸やけをすることになりドローとなった。
これが、アロウリトにおける、第一次茸筍戦争の結末である。
「なんか、あれ以来、食べづらくなったよな」
「わかります」
ポリポリと仲良くパッケージを並べて、タイキ君と茸筍を貴賤なく食べていく。
どっちとも美味しい。
それでいいじゃないか、と言えない人の業の深さがよくわかる。
「ねえ。ユキ、何を食べているの?」
「ああ、ユキ様。これはチョコレートを使ったお菓子ですね」
「「あ」」
そういって、茸筍に顔をのぞかせてくるのは、カグラとキャサリン。
時すでに遅し。
危うく、茸筍により、カミシロ公爵家VSバイデ伯爵家戦争が勃発するところだった。
これに、あのお姫様が加わっていたらどうなったことやら。
とりあえず、わかったことは、こっそり食べる方が、後腐れなくてよい。
ただ何となく食べただけと言い張ればいいからな。
「というか、あれでしょう。人は食べ物で争うってわかりやすい事例ってことで」
「ああ、そういうことか」
タイキ君の言葉になんとなくわかった気がして、やっぱり人の業は深いなーと改めて認識する道中であった。
注意:大事なことなので後書きでもいいます。
今回のお話は特定の勢力を支持するものではありません。
僕は美味しければいいと思います。
では、君たちは何派かね?
最後に、結局昨日のカグラはどうなるか? という質問は圧倒的ユキ。
あいつがいったいなにしたよ。
ハーレム野郎なのに、なぜ支持されるんだ!? 僕に理解できないよ。
いや、わざと回避しているってのが面白いんだろうけどね。
普通、無意識にハーレムになるとか優柔不断とか、ハーレム目指してとかあるけど、ユキはそういう定番キャラじゃないからな。
中身は一般人の堅実思考だからそこのギャップが面白いんだろうな。と思っている。




