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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
国の在り方 暗躍編

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第478堀:異文化交流への準備と……

異文化交流への準備と……




Side:ユキ



さて、先日のウィード騒がしさとは打って変わって、顔色が悪い魔剣使いたち。

昨日きての本日帰りとは急だとは思うが、ノーブルからも手が回っている以上、このウィードの情報が遅れることは大問題なので、帰ることになったのだ。


「というわけで、ジルバとエナーリアの事は頼んだ」

「……何とか説明してみよう」

「マーリィさん、もっとしっかりしてください。私たちの進退にもかかわりますのよ!?」

「お姉様。まずは、ユキ殿にご挨拶を……。確かに、陛下への親書お預かりしました。必ずや、いいお返事を賜ってきます。戦争など、私たちだって起こってほしくないのです」


マーリィは昨日の湯あたりがひどいのか、それともこれからこのぶっ飛んだ報告をするせいで胃が痛いのかはよくわからない。

次にオリーヴは相変わらずの上昇思考なのか、それが前向きなのは何よりだ。上手くいけばちゃんとプラスになるしな。

妹のミストは相変わらず、色々押し付けられているようだなー。まあ、ミストがいるなら安心だが。

ジルバ組はこんな感じで、エナーリア組の反応はというと……。


「昨日は本当に大変申し訳ありませんでした!!」

「はぁ、まあぺこぺこ謝られてもユキの方がこまるし、やるべきことをちゃんとやるのがお詫びの代わりになるだろう?」

「むう。エージルに正論を言われるなんて……。仕方ないわね。ユキ殿、必ずやウィードの事、別の大陸の事、お伝えしてきます。要らぬ戦争などごめんですから。お風呂にも入れなくなりますし」

「ははっ。そうだね。ウィードは色々僕にとっては心地いいからね。戦争なんてまっぴらごめんだよ。僕も尽力するよ。だから安心してくれ」


なんかこっちはプリズムとエージルの立場が逆転しているけど、こういうところもヒフィーとコメットに似ているよな。

で、ジルバ、エナーリア両国とも魔剣使いたちの意見が戦争などごめんというものでよかった。

これで、両国の単独最高戦力は敵に回ることが無いと思っていいだろう。

まあ、ほかの魔剣使いのエアとかもいるけど、あそこの帝国なのに王を名乗っているおっさんがそこまで考えなしとは思えないし、いやー暴れたからな。エナーリアも同じように、更に教会はルルアとかを聖女と崇めているし、そこら辺からの圧力もOKと。

あとは各国の反応を待つだけだな。


「ま、道中気をつけてな。またここで会おう」

「「「はい」」」


そんな風に、簡単に挨拶をして魔剣使いたちはベータンを離れ、各王都へ戻っていく。


「幸先はよさそうですな」

「だな。で、ホーストにはベータンの拡張の話し合いとは別に頼みたいことがある」

「なんでしょうか?」

「ウィードを見せたのはベータンのこれからの参考というだけじゃないんだ。実は魔剣使いたちがいなければ先に話していたんだが、今回の訪問で異文化、違う技術があるということは体感しただろう?」

「はい。それにくわえてウィードの住人は、ユキ殿やセラリア様の治世のおかげで、心も穏やかなように思えます」

「それは住人たちの頑張りだな。まあ、そこはいいとして、異文化というのがあるのはわかっただろう?」

「ええ。エナーリアやジルバでも多少違うことは在りますし、別段不思議なことではないのですが、それがなにか?」

「それはホーストとか魔剣使いたちは各国へ足を延ばしたり交流があるからわかることであって、街の人たちは自分たちが住む場所の常識がそのまま世界の常識だと思っている」

「まあ、それはそうでしょうな」


現代日本でもあることだ、食文化や細かいルール、などなど……。

大陸や国が違えば常識なんてものは様変わりすると思っていいだろう。


「ウィードに来てもらったのは、こっちの常識をある程度ホーストに覚えて欲しかったからだ。今度、ウィードの大陸からベータンの方に客を招く予定だからな」

「はい? ああ、なるほど。今後交流があるなら、ウィードがある大陸からの客人をこちらに招くこともありましょうな」

「そうそう」


いやー、ホーストは話が分かるやつで助かる。


「で、そのお客人というのは?」

「ロシュール王、ガルツ王、リテアの聖女が主。その他護衛と書記官ぐらいかな?」

「……」


俺の返答に口をパクパクさせている。

こっちの大国とかの話はホーストには教え込んでいるから、この話の大きさが理解できるのだろう。


「な……」

「な?」


あ、これは来るな。

俺は手を両耳に当てて備える。


「なんですとぉぉぉぉーーー!?」


はい来ました。


「な、何事ですか!? ホースト様!?」

「ど、どうかなさいましたか!?」


慌てて、門に立っていた兵士が集まってくる。


「あ、いや、何でもないぞ!! 詳しい話はじっくりと領主館でお願いいたします!!」


俺の手を引っ張って慌てて執務室に戻るホースト。

部屋の扉を閉じて、だれもいないことを確認して、すぐに席に着き、紙を取り出して、俺からの事情を聞こうとする。


「そこまで、焦らなくていいからな。正式訪問前の下見みたいな感じだから。ホーストたちと同じ」

「そういうわけにはまいりません!! いくら、ユキ殿の義理の父たちであったり、親交の厚いリテアの聖女様とはいえ、大国の長ですぞ!! なぜ、またこんなベータンなどに……」

「いや、ウィードのことを理解して、大国の長と理解納得して、客人と扱えるのはベータンだけだしな。ここでなら俺が自由に警備を組めるし」

「……そう、ですな。確かに、確かに、その通りではあります……が、こんな地方領主が、大国の長を、しかも複数人を歓待しなければいけないとは……。胃が、痛いですぞ……」


あちゃー、筋肉ムキムキのホーストもこういう方面は苦手なようだ。


「だからこうやって事前に伝えた。いきなり連れてくるよりはましだろう」

「そんなことされれば、私は死ねる気がしますな」

「今後のことを考えると、こっちのことも知ってもらわなくちゃいけない。遅かれ早かれな」

「……存在が各国にしれた後でのこういう行動は横槍が入りかねないということですな?」

「ああ、こっちで亜人はもう弱小勢力だからな。でもな、ロシュールやガルツも果てはリテアだって獣人やエルフの高官どころか王族もいるんだ」

「……そうでしたな。こっちの常識を知ってもらうと同時に、私たちもあちらの常識を知らなければいけないのですな」

「そういうこと。ホーストは亜人に偏見はないけど、ほかはそうもいかないだろう?」

「ええ。これは厄介ですな……」

「まずは様子見でウィードがある大陸のお偉方がどういう反応を見せるか探る。そのあとは逆でベータンがある大陸のお偉方だ。魔剣使いたちは俺たちに好意的だが、ほかはどうなるかわからん」

「……火種になりかねませんな」

「まあ、面倒だがいつかは通る道だ。知らぬ間にお互い戦争状態よりはマシだろう?」

「そうですな」

「ということで、ベータンで、お偉いさんを招いたときに起きそうな問題とか、警備、そして話し合いの内容を決めるぞ」

「……わかりました。時の流れという奴ですな」

「そんなもんだな」

「しかし、それでもユキ殿はベータンの未来は私たちにと仰るのですな」

「ある種の逃げでもあるんだけどな。俺が責任をとるのは勘弁って感じだ。みんなで決めたんなら、俺は関係ないしーで終わる」

「ははっ。モノはいいようですな。では、今後ベータンがこの大陸で最大の交易の街と言われる可能性を潰さないように、頑張らなければなりませんな。住人に聞く前に勝手に可能性を潰すわけにはいかないですからな」


どっちを取るって言うのは正直決まりきっている気はするんだよな。

だが、案外ベータンはこのままの穀倉地帯でいいという意見が通るかもしれない。

それはそれで、新しい街の形ができるだろうさ。

俺ができるのは、なるべく意見がつぶれないように話しやすい環境を整えるだけだ。

ここはある種の新大陸の顔と言われる場所になるだろうからな。

なんてことは言っても俺たち上層部はまず書類からなんだよなー。


「……将来、書類仕事が減ることがあればいいなー」

「……そうですな。私たちばかりこんなに書類仕事ではなにか不公平な気がします。こう、体を動かすのも領主の仕事に加えたいですな」


どっかの王様がバイトで城壁修理してたっけ?

ああいうのを取り入れられないかねー。

そう思って、将来の領主の仕事に城壁修理(肉体労働)と書き込んだら、それを見たサマンサが……。


「ユキ様。冗談でもそのようなことはやめてください。ローデイの恥ですから」

「……ん。流石にあの王様はないと思う」

「どこに城壁の修理する王がいますか」

「いたじゃない。ローデイに」

「ああっ!? ブレード陛下、恨みますわ!!」


サマンサが顔を覆ってうずくまった。

あ、うん。正直すまんかった。


「……えーと、ローデイのブレード陛下は城壁を自ら修理なさるのですか?」


その話を聞いていたホーストはおずおずと、うずくまっているサマンサにお伺いを立てる。


「そ、そんなわけ、あ、ありませんわ!! 間違ってもホースト様も自ら城壁修理などをしないようにしてください!!」


思いっきり肯定するような否定をするサマンサを見て、頷きつつ、ホーストは俺にこう漏らす。


「なにやら、私はブレード陛下とは気が合いそうなのですが……」

「うーん。気が合うかはよくわからんが、どうせ近々ベータンに6大国の長が集合だからその時に話せばいいだろう」

「……そんな胃の痛いことがあるのですな。まあ、ブレード陛下への拝謁があるというのを楽しみに頑張ってみるとしましょう」


頑張れ。

個人的にはあの直感系はホーストとは馬が合わないと思うぞ。

むしろ、サマンサの親父さんの方が気が合うかもしれないな。



そんなことを考えつつ、色々書類を作っていると……。




(……がい。……て、お願い。……すけて)




そんな声が聞こえた。

女性の声だった気がするが、あまりにも聞き取りにくくて確信が持てない。

というか、どこからの声だ?


「どうかしましたか?」


俺がそんなことを考えていると、ジェシカが俺の手が止まっているのを見て話しかけてきた。

ジェシカには声が聞こえた様子はないが、一応聞いてみるか。


「何か声が聞こえなかったか?」

「声、ですか? いえ、私は。みんなはどうですか?」

「いえ。私は何も聞こえなかったよ?」

「……私も何も聞こえなかった」

「私も聞こえませんでしたわ。そもそも、この執務室は防音ですわよね? 外から聞こえるというのはないですし、コールからでは?」


確かにサマンサの言う通り、ここの防音は結構しっかりしている。

他の皆が聞こえていないのなら、コールだろう。


「うーん。なんにも連絡があった様子はないな。というかコールが来たら基本着信音がなるからな。やっぱり気のせいか?」

「疲れているのでは?」

「流石に昼前だしな。それはないだろう。というか、休むと次の日が大変だ。さっさと書類を作って、予定を詰める方が俺にとってもいい」

「わかりました」


ジェシカの意見を否定しつつやっぱり気のせいということで、さっさと仕事に取り掛かる。

空耳ねー。






(……なんでよ!? ……で、……人が来る……なのに!! このままじゃ……)






なんかやっぱり聞こえてくるけど、なんか断片的だ。

あー、映画とか小説のワンシーンを思い出した感じかね?

脳内再生ってやつ。

思い出せそうで思い出せないって感じ? ほら歌詞の一部だけ思い出して誰が歌っているのかとかわからないやつ。

やっぱ疲れてるのかね?





さて、物語を読んでいる皆々様ならある程度予想がつくのではないでしょうか?

定番ではありますが、定番でもない。

いやー、ルナにあることを頼んだのが……。


ま、お楽しみに。



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