第459堀:集まる情報とメンバー集結
集まる情報とメンバー集結
Side:ユキ
『……ということで、大体距離は……の場所に、城を発見しました』
そんな報告が霧華から届く。
「どういうことでしょうね?」
「よくわかりませんねー。囮の可能性は?」
一緒に報告を聞いていたラッツやエリスは首を傾げている。
確かに、ラッツの言う通りここまで大袈裟だと囮の可能性は否定できない。
ここに敵を引き寄せて、崩落などで一気に仕留めるという手段は有効だ。
「ラッツの言うことは理解できるが、あまりにも費用をかけすぎじゃないかのう?」
「そうねー。相手のDP事情からすると、これを囮にするぐらい余裕があるなら、もっとましな魔物軍団が用意できたんじゃないかしら?」
デリーユとセラリアはラッツの意見に一理はあれど、経済状況を察するにありえないと言っている。
俺も同じ意見かなー。
「うーん。私としましては、スティーブさんの意見に賛成ですわ」
「ん。私もそう思う。スティーブの意見が一番理に適っている。ダンジョンを別個に作る手段を知らないが故に、本拠点から通路を伸ばすという手段を取らざるを得なかった。ゲートは移動距離短縮のため」
サマンサとクリーナもスティーブの意見を押しか。
……うーん、俺もスティーブの推測は当たっていると思うが、下手すると一網打尽になるからな。
「とりあえず、もっと詳しく調べてみよう。霧華、スティーブの推測が正しいのならば、ランクス方面に伸びたダンジョンが存在するはずだ。撤去してしまった可能性もあるが、現在、ノゴーシュ、ビッツが向かっている状況から残っている可能性の方がまだ高い。城内の捜索よりまず、そっちの通路の探索を頼む」
『畏まりました』
自信満々でこちらに来るぐらいだから、セラリアが言ったようにダンジョンを使った奇襲作戦を考えていると推測する方が自然だ。
おそらく、発見できるはず。
しかし、凡その位置はランクスよりの剣の国の外れって位置だな。
なんでそんな場所に本拠点を構えた?
色々な意味で中途半端だな。
やっぱり、どこかのダンジョンマスターと手を組んだというよりも、ダンジョンマスターを騙して制御を奪い取ったような感じか?
……と、そういえば忘れてた。
「なあ。デリーユ」
「なんじゃ?」
「弟のライエの方からは何か報告はないのか? そっち方面はデリーユに任せてたけど」
本当にすっかり失念していたが、デリーユの弟もガルツの方でダンジョンマスターとして生きながらえていたのを発見して、そのまま協力体制となったのだが、基本的にスタンダードなダンジョンマスターだったので、引きこもり上等、情報はほぼ仕入れていないというありさまだった。
最近は、こっちが新大陸とか行っている間に、ダンジョン町を利用したほかのダンジョンの情報収集をやらせている。
今回の件で何か情報がないのかなーと思って聞いてみたというわけだ。
「何かしら情報があればよかったのじゃがな。あっちはまったく平穏じゃよ。特にこっちに利になるような情報はない。あるとすれば、ルーメルの方の情報じゃな」
「ああ、勇者たち関連か」
「うむ。あちらの方も妾たちとは別の勢力を形成しつつあるんじゃが、あの戦車などを召喚したのが勇者たちについてきた男個人の能力らしくてな。その男を上手く扱えていないのか、どうにも上手くはいっておらんようじゃの。まあ、勇者たちやその男も、船で別の新天地に行っておるようじゃしな」
あっちはあっちで大変やなー。
俺のような拠点形成能力があるわけじゃないから、変な陰謀に巻き込まれないように、適当に最前線って感じのところへ逃げてるんだろうな。
しかし、最前線の方が安全って皮肉だよなー。
身内にいる敵の方が厄介ってことだよ。ちゃんと証拠をつかむまでやれないからな。
というか、ライエ君は十分役に立ってるな。
あっちの同郷の動きが把握できるのはありがたい。
エルジュとリリアーナの方からの情報とも違いがないし、ほぼ間違いないだろう。
ああ、セラリアの妹、聖女エルジュと、ラスト王国女王リリアーナは現在ラスト国にて、仲介や他国とのやり取りで四苦八苦中。
まあ、2人ともゲートを知っているからちょくちょく戻ってきては、のんびりしているみたいだが。
「今あるとありがたい情報じゃないけど、十分役に立ってるな。背後から刺される心配はなさそうだ」
「じゃな。ライエからの情報とエルジュからの情報に差異はない。いきなり宣戦布告して、こっちを攻めるようなことはないじゃろう。そういう意味では、今回のビッツとノゴーシュの件は一種の内乱じゃな」
「……表向きにはビッツの引き渡しを頼んでいるだけだしな」
「うむ。そこだけは救いじゃな。さらに裏にルーメルがいるとなるともうどうしようもなかったわ」
「そうね。その可能性もあったわね。そういう意味ではある意味ありがたいわね」
セラリアも同意してくる。
まあ、このままルーメルまで参戦してきたらドロドロの泥沼になりそうだからな。
正直ありがたい。
ビッツがあくまでも、ランクスへの復讐ってことにこだわって、余所の大国に協力を頼まなかったのが幸いか。
まあ、ルーメルに協力を要請しても、ちゃんと受けてもらえるかわからないしな。
そういう意味では、ちゃんとダンジョンマスターの存在を知っている近場の神様を頼るのは自然か。
……しかし、ビッツはどうやってノゴーシュやノノアを神だと認識したんだ?
やっぱり、元ダンジョンマスターからか?
そんな風に考えていると、スティーブから報告が届く。
『こちらスティーブっす。予想通り、ランクス方面に伸びる同じような通路を発見』
やっぱりあったか。
『どうしますか? 進んでみますか? それともほかの通路の捜索でしょうか?』
「……まずはその通路を進んで、戦力の有無と出口がどこにつながっているか調べてくれ」
『『了解』』
城内も調べさせたいが、うかつに二分するのはよろしくないだろう。
敵の本丸の可能性がある以上、厄介な敵が居たり、トラップがあったりしてもおかしくはない。なるべく連携を取らせて動くべきだろう。
スティーブたちが進む通路は、先ほどの通路と同じように、鎧ゴーレムの警備とゲートによる距離短縮があるだけで、特に変わるようなことはなかった。
『出口を確認。外にでて位置を確認します』
スティーブたちはそういって外にでると森の中にある、自然な洞窟をこっそりダンジョンの出入り口にしているようだ。
『土に魔物の足跡が大量にありますね。これは、先日あったランクス襲撃の魔物たちのものでしょうか?』
「多分そうだとおもう。それを追ってくれ。そうすれば、ランクスの領土へ出るはずだ。そうすればこちらで確認が取れる」
『了解』
送ってくる映像から、こちらでも発見したダンジョンの出入り口だとは思うが、別の可能性もある。
ランクス襲撃のあとは、魔物進行ルートをさかのぼってダンジョンの出入り口は見つけたが、手付かずだったんだよな。
だって、余所の国の領土だし、ダミーの可能性もあるからうかつに監視もやれないんだよな。
と、思っていたのに。
「……こちらで2人の反応を確認。現れた方向から、ランクス侵攻の魔物たちが出てきた出入り口と同一と思われる」
なーんか、頑張るだけ無駄になってる気がする。
まあ、安全が確認されたわけだしそれでいいか。
「2人は再び戻って、ダンジョン内にほかの通路がないかを確認してくれ。逃走経路の可能性もある」
『『了解』』
他に近辺に出入り口がある可能性もあるが、2人にはそれよりもダンジョンの確認が先だな。
ランクス方面の方はジョンの方からでも部隊を送って、ほかに出入り口がないかを確認させればいいだろう。
幸い、
相手が油断している間にしっかり押さえられるところは押さえて、当日は余裕をもって迎えよう。
「なるほどね。ここから魔物を村に送るのかしら? それともランクスの王都にまた仕掛けるのかしら?」
「それは、おそらく村だろうな。わざわざタイキ君が来ているからな。ランクス王都を攻めるよりこっちの方が楽だろう」
「そうね。それが自然だわ。でも、王都方面の防衛は残すのでしょう?」
「そりゃな。万が一、二方面同時展開されたらこまるし」
敵の主戦力は重火器での排除ができるのは確認が取れているし、防衛線でも張って、少数部隊で攻撃させればどうにかなるだろう。
どうにかならなくても、連絡をして戦力を回せるし問題なし。
目の前の地図を見つつ、増強するべきポイントに駒を置いていく。
「……こうやって、着々と準備が進むのをみるとじゃな。妾たちが後手に回っているという認識があまり湧かんのう」
「そうねー。普通なら大慌てなんでしょうけど」
「まあ、お兄さんですからねー」
「ん。ユキなら安心」
「流石、ユキ様ですわ」
「褒めてくれるはありがたいけど、仕事は減らないんだよなぁー」
むしろ、今回の件で増えている。
超増えている。
絶対これ、俺へのピンポイントの嫌がらせかなにかだろう?
「がんばれ。妾はもっぱら実働専門じゃからな」
「……デリーユも少しは手伝いなさいよ」
「妾はただの側室じゃからな。国政には手を出せんのじゃよ。妾の仕事は警官の捜査課じゃしな」
「まったく、都合のいい。と、そういえば、仕事が忙しいで思い出したのだけれど、あれからノノアの方はどうなっているわけ? タイゾウがとんぼ返りしてからは、コメットが残ったんだっけ?」
「そうそう。コメットも元ダンジョンマスターだからな。ノウハウを教えるのはタイゾウさんより適任だろう」
なんかつい少し前の話なのに、ランクス襲撃で遠い昔のように感じるわ。
「……えーと、確かまだノノアの居城の防衛能力を上げている最中だったはず」
俺がそういいながら、コメットからの報告書を探していると、扉が開かれてそこからコメットとノノアがやってくる。
「やっほー、ユキ君。そしてみんな。忙しそうで何よりだね」
「あ、え、えーと、どうも」
「そこまでかしこまらなくていいぞ、彼らは気さくだからな」
「あなたはー、もっとー、かしこまって隅で小さくなってくださいなー」
にこやかな笑顔と共に入ってくるのはコメット。
おどおどしながら続くのは魔術の神ノノア。
更に後ろからノノアに声をかけているのはファイデ。
そのファイデに相変わらず毒を吐いているのがリリーシュ。
うん。この場に義理の親父たちを招待したら卒倒しそうだな。
俺にとってはポンコツなんちゃって神様なんだが。
「おい。なんで連れてきてるんだよ。向こうの城ががら空きなのはまずいだろう」
「問題ないさ。向こうにはポープリとそれにラブな魔術神の勇者がいるからねー。いやー、恋愛は自由だとは思うけど、ポープリを選ぶってのは救えないと思うんだよねー。まあ、ポープリはひいているし、どうなるか面白いからチャンスを上げたわけさ。私って優しくね?」
「それはお前が楽しみたいってだけだろう」
「そうともいう」
お前が一番救えねえ気がするのは俺だけか。
なんで見てくれは美女なのに、中身がこんなに残念かね。
いや、俺の友人もこんな感じだったから当然といえば当然か。
「で、なんで連れてきた?」
「それこそ聞く理由があるのかい? 酒呑童子の話はこっちにも届いているよ。私もその大鬼を見たいし、ノゴーシュたちを足止めするにはこの人たちそろい踏みの方がやりやすいだろう?」
なるほど。
そこらへんはちゃんと考えているわけか。
確かに、意表を突くという形をとるなら、このポンコツたちは役に立つだろう。
だがなー、それには一つの問題がある。
それは……。
「話は分かった。ならその話を通すために、今回の作戦立案と主導をしているタイゾウさんに話を通してくれ」
「えっ?」
「不思議そうな顔をするな。当然だろう? 俺はタイゾウさんに付き従ってるだけだからな」
俺はそれを強調する。
今のところノノアの認識ではダンジョンマスターはいまだタイゾウさんなのだ。
まあ、ほかにもいろいろあるのだが、それを無視して話を進めるわけにはいかない。
そして、さらに問題が一つ。
「あとは、奥さんのヒフィーに恨まれないようにな。旦那さんをさらなる仕事地獄に追いやるとは恐れ入る」
俺がそういうと、コメットは口をパクパクして、顔を青くしている。
そして、心を決めたのか、一気に凛々しい美女の顔になって……。
「よし!! この話はなかったこと……」
「おかえりなさい、コメット。まさか、こんな大事を引き起こしておいて、逃げるとかないですよね? 無論、タイゾウさんの負担がないように、一から十まで手伝ってくれますよね?」
残念。
ヒフィーからは逃げられない。
いや、俺が嫌な予感がして、ヒフィーを呼んだんだけどな。
表向きは、ほかの神様来てるから顔合わせどうぞって感じで。
「でたぁーーー!?」
「人をお化けみたいに言わないでください!!」
よし、これで厄介な増員も押し付ける相手ができたしOK。
ということで、他の国とかの動きも知ってまさに万全の体制といえるでしょう。
さてさて、どうなることやら。
あと、九州は福岡でも12月1日に5巻の発売確認。
いやーやっぱり遅れるよねー。
ついでにマリオメーカーDSも発売で忙しいことこの上ない。
そして年末、クリスマスネタはどうしようかなーと思っているところ。




