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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
国の在り方 暗躍編

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第447堀:闇夜の情報戦

闇夜の情報戦





Side:ジョン ウィード魔物軍四天王将軍 通称農園のジョン




「剣の国方角の、森から大量の魔物が押し寄せているのを目視で確認。至急、勇者王に連絡を取られたし。繰り返す、森から……」



てな報告を上げたのが、つい数秒前。

後の必要なことは、ミノちゃんやタイキ、そして、大将が勝手にやるだろう。

現場にいる俺たちが必要なのは、まずは偵察。


「よし、お前ら。幸い、ミノちゃんみたく体がバカでかいわけじゃない。敵の構成をしっかり把握するぞ。勇者タイキもコールで確認するだろうが、報告された数と違いがないか目視で確認するのも重要だ」


俺がそういうと、部下は全員頷く。


「次に第三小隊、哨戒116は、後方10キロ地点の予定ポイントを確保。計画の変更は来ていないから、その地点から、防御陣の構築を開始する。第三小隊は、構築開始を見届けたのち、こちらに再度合流して、俺たちの後退戦闘を支援。いいな」

「了解」

「残りは、俺と一緒に敵軍の把握に努めるぞ。こっそりでいいからな? わざわざ見つかる必要はない。防御陣の構築速度によっては、俺たちだけで足止めをすることになる。その覚悟はしておけ。いいな」

「「「了解」」」


うし、特に部下に問題はなし。

さーて……。


「こちら、哨戒114。只今の時刻、23:35。哨戒115、116と合流。予定通り、敵の監視と防御陣の構築ポイント確保に移る」

『了解だべ』


というものの、特に様子をみるだけで、今は仕掛けることはないんだけどな。

掘った塹壕からこっそり、敵の様子を伺う部下を見ながら、手持ちの武装の確認を行う。

アサルトライフルが一丁、その弾倉が4つ、アサルトライフルから撃てるグレネードが4つ、手榴弾が4つ、ハンドガンが一丁、弾倉が2つと……。

整備不良はなさそうだな。

まあ、アイテムボックスに携行ロケットランチャーとかもあるし、武装の不足はなさそうだな。

……ナールジアさんの武器とかもあるのだが、あれ使うと近接戦になるからなるべく使いたくないんだよなー。

この人数で乱戦とか自殺行為だし。

しかし、俺の哨戒隊が敵を発見するとか、どういう確率だろうな?

あー、きゅうり食べておこう。

やる気補充。

たく、面倒なことしやがって、今頃は明日の畑の収穫をワクワクして布団で寝ているはずだったのにな。


「敵の構成、主力、オークキング。そのまとめらしきものにブラッドミノタウロス。そして、さらに後方にリッチの魔術師部隊が確認できます。しかし、どこが本陣か、リーダーかは判断できませんでした」

「こちらも同じです。敵の大半をオークキングが占めており数はおよそ1000、一定の間隔で立つブラッドミノタウロスが200ほど。そして後方に魔術師部隊のリッチが約300。しかし、目立った将や魔物はおらず、本陣も見受けられません」


部下からの報告が上がり、とりあえず、俺も敵の偵察を行う。

塹壕からほんの少しだけ顔をだし、暗視ゴーグルを覗く。

本日は雲が出ていて、ほぼ真っ暗。

おかげで、レンズ反射とか気にしなくていいから助かる。


……敵は森の前から動いていないな。

なんでだ?

うーん、まあそれを考えるのは俺の仕事じゃねーな。

さて、俺も敵の構成を把握っと……。

まずは、目に飛び込んでくるのは、ズラーっと並ぶ、俺の同族たち。

しかしながら、俺らみたいに教育されているわけではなさそうなので、命令だけを聞く人形みたいなもんだな。

ある意味厄介だな。

命令を確実にこなす死兵になるってことだ。

次に、そのオークキングをまとめるように、ぽつぽつと赤い柱が立っている。

それが、ミノちゃんの同族のブラッドミノタウロスたちだ。

こっちも似たようなものか。

しかし、小隊長として立てているのなら、多少は自我みたいなものはあるのかね?

これは要報告だなー。

そして、最後に一番厄介そうなのが、リッチの集団か。

部下の言うように、ここまで数をそろえているなら魔術師部隊と判断するんだが、本来リッチはそれなりの知能を持っていて、魔物の指揮もある程度とれるほどだ。

それをさせずに、一部隊として扱っているとか、よくわからん。

ランクスを攻めるのは流石に力押しだけではだめだろう。

それとも、リッチの群れの中に、もう少し別のやつがいたりするのか?

そう思って、リッチの群れを拡大して凝視してみるが、300ほどもいるので、よくわからん。

暗視スコープだし色もわからんからな。上位種が混じってるかとか判断がつかない。

あいつらの上位種はわかりやすく色づいた魔力をまとっているから。

ほら、おどろおどろしいというか、そんな感じ。

リッチの部下に話を聞けば、顔つきが全然違うらしいが、俺には同じ髑髏にしかみえん。

というか、そういうのは個体差じゃないかね?

そんなことを考えつつ、とりあえず、リッチの面、髑髏を一つ一つ眺めてみるが、さっぱりわからん。


武装については、火器は見当たらず、剣や槍、斧、弓って感じか。

リッチの使用魔術は今は判別つかず。

鑑定をかけたいが、距離がありすぎる。

まあ、そこらへんはタイキの支配下だし、あっちが調べる方が楽だよな。

結局のところ、下手に刺激するのはよろしくないってことだ。

とりあえず、見るものは見たので塹壕に引っ込む。

すると、


「どうします? 森側に回り込んでみますか?」

「それはやめとこう。森の方は支配下ではないし、あっちの真下にダンジョンがある確率もある。今はタイキやミノちゃん、大将の情報分析待ちだな。あ、武装点検はおわってるか?」

「もちろんですよ。いざって時に動かないのは困りますからね」

「それならいい。しかし、今夜は長くなりそうだな」

「そうですねー」


部下と一緒に空を見上げるが、曇っていて真っ暗。

風情も何もありはしない。


『こちら、指令室。哨戒114聞こえますか?』


この声は、エリスの姐さんだな。

となると、大将からの情報か。


「哨戒114感度良好。聞こえている」

『それは何よりです。現状況の確認と説明を行いたいのですが、大丈夫でしょうか?』

「問題なし。敵に気が付かれた様子はなし。距離も十分にとっている」

『わかりました。では、まず現状の確認を行います。勇者タイキ殿からの情報をこちらに転送、解析した結果、主戦力をオークキング、レベルはおよそ100、数が約1000。続いて小隊長格のブラッドミノタウロス、レベルはおよそ200、数が約200。さらに魔術師部隊と思われるリッチ、レベルはおよそ150、数が約300。とこちらは判断しています。そちらの目視はどうでしょうか?』

「こちらもそちらと同じだ。しかし、隊長、将軍格がそちらでも見つかってないのか?」

『はい。残念ながら、隊長、将軍と思わしき特化した個体は見つかっていません』


やっぱりいないのか、変な話だ。

後でくるのかね?


「そういえば敵部隊は、森を出た時点で止まっている。そこのところはどう判断している?」

『はい。そちらの説明を行います。あくまでも予想ですが、タイキ殿の所で森の方もダンジョン化のための地上げを行おうとしたところ、他勢力下のダンジョンがあるので、制圧をしてくださいとでました』


ははぁー、なるほどね。


『つまり、あちら側も私たちと同様で、状況把握に努めているものだと思います』


一気に侵攻するつもりが、いきなり出鼻をくじかれたってわけか。


『これからどう動くのかは不明ですが、この方角はランクスの王都まで何も障害物が存在しません。おそらくは、王都を強襲し、一気にランクスを落とすつもりだったとの見解がなされています。ある意味、ギリギリの差だったといえるでしょう。2人がタイキ殿に接触するのがあと3日おそければ、王都は強襲を受けていたはずです』

「それはよかった」

『はい。不幸中の幸いというべきでしょう。ということで、現状はお互い不測の事態に陥っていると考えられています』

「で、相手さんはどう動く?」

『おそらくは、攻めてきます。今回のランクスの王都強襲はビッツ姫にとってはある種の悲願でもあり、恨みを晴らすためのものです。DPを回収するためでもあったでしょうが、ここまでの大部隊を動かしておいて、撤退する度量があるとは思えません。むしろ、故郷がダンジョン化されているという事態に腹を立てて、攻めあがってくると予想しています』


自分もよその土地をダンジョン化してるのに、何を言ってるんだか。

まあ、ああいう手合いには理屈は通用しねえよな。

あ、これはあくまでも予想で、ビッツ姫が言ってるわけじゃない。しかし、なんかそのままな気がするわ。


「撤退の可能性は?」

『予測としては撤退の可能性も存在します。むしろ、このような不測の事態では通常であれば退くのが当たり前です。しかし、退かれるとこちらとしても困るので、撤退の兆候が見られたら即時連絡、そのうえで攻撃を仕掛けて少しでも敵を仕留めてください。検分して情報解析をしたいとのことです。無論、侵攻を開始しても連絡をお願いします』

「了解」


どのみち、俺たちが貧乏くじなのは進もうが退こうが変わりないわけか。


『なお、防御陣の構築が開始されました。ミノちゃん率いる部隊が展開してすでに30%の構築が完了。哨戒116はすでに合流に向かっています。構築完了予定時刻は02:00。それまでに敵が防御陣に到着する動きがあるのであれば、遅滞戦闘を行ってください』

「了解」


と言っても、すでに時刻は00:40。あと約一時間半で、10キロ先にある防御陣へ隊伍を組んでたどり着こうってのは無理だ。


『なお、これより全体の指揮は指令室から行います。これは勇者タイキ殿も承諾済みです。すでに敵の規模は、普通の兵士では抑えられないとの判断で、我がウィード魔物軍に対応を求めてきました。よって、これよりウィード魔物軍は単独でビッツ軍(仮)を撃退しなければいけません。私たちが抜かれればランクスは文字通り血の海となります。それは絶対に阻止しなければいけません。各員の奮励努力を期待します』

「了解」


だろうな。

相手の基礎レベルは100以上ときたもんだ。

普通の兵士じゃどうにもならんし、大将の勇者タイキが突っ込むとかありえねー。

近衛隊も続くだろうし、被害が甚大なのは目に見えている。

なら、さっさとこっちの重火器で始末した方がいいわな。


「さーて、奇しくも、俺たちが一番最前線にいることになったな」

「ですね。あ、哨戒116、第三小隊が戻ったようです」


皮肉を話していると、送り返されてきた第三小隊が到着したようだ。


「報告」

「はっ。ミノちゃん将軍に構築ポイントの確保及び構築を無事移譲。補給物資を受け取って、こちらの支援にもどりました」

「ご苦労。で、補給物資?」

「はい。攻めて来た際に、防御陣側以外からの攻撃を頼みたいとのことで……。こちらです」


そこには、アンチマテリアルライフルがあった。


「なに? 戦車でも敵の部隊にいたか?」

「いえ、とりあえず。これがあればしっかり狙えて、敵を確実に倒せるだろうって」


あー、まあ、ロケランとかは狙い撃ちするものじゃないからな。

こっちで指揮官を見つけたら確実に潰せってことか。


「よーし、これは第三小隊が装備しろ。第一第二は現状の装備で……」

「……ジョン隊長。敵が動き出しました」


なんでこうタイミングがわるいかな?


「第三小隊はアンチマテリアルライフルの点検、装備を開始。第一第二は敵の監視始めるぞ」

「「「了解」」」



で、敵さんたちは戻るのか進むのか?

俺たちだけで攻撃は面倒なんだけどなー。





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