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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 エクス王国編

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第389堀:結構ぎりぎりだったりする

結構ぎりぎりだったりする





Side:セラリア




「今日も元気ねー」

「あい!!」

「はい。いいお返事です」


私は仕事に出る前の、子供たちのお相手をしていた。

私の娘、サクラはもちろん、スミレや、エリア、ユーユ、シャンス、シャエルたち全員。

サクラ以外は、産んだのは私ではないけれど、同じ夫を持ち、支えると誓った永遠の友たちの子供。

私の子供と変わりなどない。

というか、こんなかわいい子供たちに囲まれて幸せ。

子育ては無論大変だけど、皆で手伝ってやっているし、夫も手伝ってくれるので、負担だとは思わない。

まあ、女王やその配偶者が子育てを自らしているなんておかしいのだけれど、ここは私も夫も庶民よりよね。

政務とかに支障がでるなら、問題だったんだろうけど、既にそういう煩わしいことは、分担しているし、大部分がウィード国民の手によって運営が進んでいる。

ちゃんと管理は必要だけど、私が机につきっきりという事態はない。

そういうことで、現状問題はない。


「さーて。ママはお仕事に行ってくるからね。いい子にしててね」

「「「あーい」」」


最近では、定番の言葉には返事をしてくれるようにもなってきた。

ママ、パパ、から覚えた単語も色々増えてきたので、軽い会話が成立する。

まあ、子供だからすぐにあっちこっちに興味が飛んで、中断されるのだけれど。


「行ってらっしゃいませ」


子供部屋を出るときに私に頭を下げるのは、キルエ。

子供たちの面倒や、家事全般を引き受けてくれる、家での大黒柱だ。


「最近忙しいから、子供たちとか家を任せっきりでごめんね。キルエ、サーサリ」


最近、エクスの方で厄介ごとがどんどん見つかって、家事はキルエとサーサリに任せっきりになることが多い。


「いえ、これでようやく、王宮勤めに少し届いたか……というぐらいです。しかも、我が子や、セラリア様たちのご息女のお世話で疲れるわけがございません」


きっぱりと即答するキルエの頼もしさは半端ない。

正直言って、キルエ程のメイドは私の傍仕えにもいなかったと思う。

最初あった時は、メイドにもリリーシュ様の加護が付いてどうしたもんかと思ったけど、いまでは欠かせない存在になっている。

流石、リリーシュ様。ここまで見通していたのね。


「あははー。キルエ先輩みたいに全然疲れないということはないですけど。お屋敷勤めよりは全然楽ですから、大丈夫ですよ」


サーサリは私の横でそんなことを言って笑う。

彼女は私を玄関まで見送る役が多い。

キルエと違っておっぱいがでない。適材適所ということだ。


「さ、長話はここまでで。もうすぐお仕事のお時間です。サーサリ、ちゃんと見送りをするのですよ?」

「承知しました」


キルエの言葉にビシッと敬礼するサーサリ。

元は騎士だったらしいから、そっちの癖も出るのよね。

ま、メイドとしても優秀だから特に問題は無いのだけれど。

正直、この2人、メイドにしておくにはもったいないぐらい、実力がある。

いえ、夫に鍛えられて妻や関係者は軒並み強いけど、そう言う話ではなくて、指揮官としての才能があるのだ。

まあ、その2人がメイドでいいというので、そのままだけど、望むのなら、トーリやリエル、カヤと同じように、有事の際の将軍職を与えてもいいと思うぐらい。

と、キルエはともかく、サーサリはサマンサのお付きでこっちに連れてきたんだった。

何か問題とかないかしら?


「そういえば、サーサリはどう? サマンサと違って、ウィードで過ごすことが多いと思うけど。何か問題とかは?」

「いえー、特に問題はありませんね。言葉とかも、旦那様のおかげですぐにペラペラですし。というか、日本語ぶち込まれたときの方が、頭が痛かったです」

「ああ、それはわかるわ。で、住人たちとは上手くやれている?」

「気のいい人たちが多いですね。気を張らずにのんびり歩いて昼寝ができる街なんて見たことありませんでしたよ。治安が良すぎてびっくりです。ああ、問題は1つありましたよ」

「なに?」

「美味しい食べ物のお店が多すぎて、体重が……」

「それは私には何もできないわ。頑張りなさい」


……ウィードに訪れる大半の女性が越えなければならない試練なのよ。

厄介なことに、銭湯には体重計が置いてあるから、自分と向き合わずにはいられないの。

まったく、誰よ。お風呂場とか、銭湯に体重計置くのを普通にした人は!!


「と、セラリア様。お出かけになる前に1つだけお聞きしたいことが」

「何かしら?」

「先日の、エクス王都への投入戦力の増強。私としては少々過剰かと思いまして。旦那様は自宅ではお仕事の話はしませんし、どうも資料だけでは、今一つ、動くには足らない気がしまして。そこら辺は何か詳しい説明などは?」

「私もそこは気になってるわ。だから今日聞いてくるわ。ちょうど、ドレッサの入学関係でウィードにいるから」

「なるほど。では、行ってらっしゃいませ」

「ええ。行ってきます」




私も、あの資料は見た。理由も説明されている。

しかし、私の夫が文面通りに動くわけがない。

いや、文面通りだが、その文面にある抜け穴を縫うように動くのが得意なのだ。

サーサリの言う通り、過剰戦力だと思うし、なにか急すぎる気がする。

いままでの情報収集で万全だと言われればそれまでだが、そんな単純な理由で動くような夫ではない。

動かざるを得ない状態になっていると思うべきだ。

本来の夫は、口八丁手八丁で相手を丸め込んで、戦い自体を回避するタイプ。

それが、今は完全な戦力投入状態。

これは、絶対に変だ。


「ということで、ちゃっちゃと話しなさい」

「え。なんで俺が悪いみたいになってるの?」


目の前には、リーアとジェシカに両腕を掴まれている夫がいる。

クリーナとサマンサは現在ポープリと一緒なのでこっちにいない。


「言われてみれば非常に不自然ですね。ユキさん、話してください」

「ですね。スティーブたちの陣容に驚いて、疑問が吹き飛んでいましたが、ユキはもしかして、これも狙っていましたか?」

「多分狙っていたわよ。ねえ?」

「狙ってはないけどな。状況的にそうなっただけだろ」

「で、説明してもらえるかしら?」

「……はぁ。あんまり言いたくないんだけどな」

「やっぱり何か隠してたわね。なに? ここまで戦力投入する理由は?」


私や、リーア、ジェシカが見つめる中、ユキは真剣な顔になって……。


「とりあえず。座らせて。あとお茶」


……いつもの夫だった。

ま、夫の言う通り、このままで長時間話を聞くのはあれだし、喉も乾くからお茶を用意してから話を聞くことにする。


「さーて、お茶を飲んで……ってより、先に説明しろって感じだな」

「そうよ」

「どこから話したもんか。正直資料の説明は読んだよな?」

「ええ。でもなぜあそこまで、戦力を投入するのよ? そして、なんでこんな強硬策に出てるのかしら?」

「あー、まあ、全部が全部、つながってはいるんだけどさ。資料で説明した通り、確実に目標を達成するためだ。何度も何度も潜入ができると思うのは楽観的すぎるだろ? 相手がこっちに気が付いていないとしても、ただの事業変更で色々変わる可能性もあるんだから。情報が新鮮な内に動くのが大事ってやつだよ」

「そうね。でも、その資料の説明だけじゃないんでしょう? ああ、ゾンビの事?」

「まあ、ポープリたちに見せるわけにはいけないから、ゾンビ関連のことは省いてるな。だけど、それだけじゃない。あー、一体どこから説明したものか……」

「何をそんなに悩んでいるの? エクス王都を潰せるぐらいの戦力投入の理由が聞きたいだけなんだけど? 実は裏で工作してるから、そっちを成功させるためにーってわけじゃないのかしら?」

「いや、その前の話を知らないと今回の事を理解するのはきつい」

「その前?」


ユキは、そこから話すべきだな。といって、椅子に深く座り直す。


「そう、その前の話だ。今回、こういった強行な行動に出た理由はそこからだ。まず、今回の問題点、いや、目標を洗い直そう。まずは、エクス王都に乗り込んだ理由は? リーア、答えてくれ」

「え? あ、えーと、相手が神様とダンジョンマスターの力を持っている可能性があったから、いつもの通り、ダンジョンを作ってゆっくり制圧作戦が使えなかったからじゃないですか?」

「その通り。相手の能力、技術力、戦力が分からない内に、ダンジョンを作ってこっちの行動をしられるようなことは避けたかった。最悪、宣戦布告と取られて戦になる可能性があったからそれは絶対に避けたかった。ヒフィーの時のように話が通じる? 可能性もあったから、穏便に行こうと思ったわけだ」

「なら、このまま穏便に行っていればよかったのでは? 幸い向こうから、ポープリ殿やヒフィー殿への誘いの連絡が来たのですし、お2人の話し合いが終わってからでも……」

「ジェシカの言う通り、確かに、何も知らなければ、その案が一番穏便だった」

「ゾンビの件ね? 知ったからには対応策を打たなくてはいけない。人々の安寧を願っているポープリやヒフィーがこちらにいる以上義理立ては必要よね」

「そういうこと。その規模がちょっと凄いから、人数の不利を補える一騎当千か可能な奴をぶち込むしかない。それが今回の戦力投入になる」

「しかし、それは、昨日エリスから献策された、魔物同士の演習を行わせて戦力をすり減らしますし、大丈夫なのでは?」

「いや、それが全然大丈夫じゃない。ここで、リーアが答えてくれた話を思い出せ」


そう言われて、私たちは沈黙して、ある事実に気が付く。


「そういうことね。相手が神様で、ダンジョンマスターだというのが問題になるわけね?」

「当たり。ヒフィーの時みたいに、ルナが仲介に立っていないし、そんな状態で何か仕掛けて、ノーブルが不利と思ったらどう動くか予想できるか?」

「力の差を見せられれば、こちらの話を聞く気になるのでは?」

「……ジェシカの話は、いい方向に転べばという話ね。最悪、すぐに戦力確保に走る可能性があるわけね。例えばエクス王都の民とか?」

「そ、そんなことするわけないじゃないですか。だって、お、王様なんでしょう?」


リーアが私の回答に驚いたように答える。

残念ながら、国を守るために民を犠牲にするのはよくあることだ。

……そもそも神であるノーブルの価値観がどこまで人よりか、測れないから可能性は普通より高いかもしれない。


「……話は分かりました。しかし、なぜそれなら、エリスの策に許可を出したのですか? これではかえってエクスの人々が危険に晒されるのではないですか?」

「簡単に言うと、時間をこれ以上与えるわけにはいかない。と判断した」

「時間ですか?」

「ヒフィーの時と違って、ノーブルには俺たちと同じように、DPがほぼ永続的に補給できる状況が整っている。つまり……」


ああ、そういうことなのね。


「つまり、時間をかければ相手の戦力が補給されるどころか、更に増えるし、施設だって増える可能性がある。そうなれば、投入できる戦力が限られている私たちでは、手が回らなくなる。そうなれば……」

「……もうエクス王都という規模の話ではなくなるのですね」

「そ、そんなことになれば、各国に進軍して、魔力枯渇の影響がどう出るかなんてわかりませんよ!?」

「魔剣だけならよかったんだよ。使うべき人がいるからな。でも……」

「ノーブルは魔剣を作るついでに、ゾンビ、アンデッドの生産もしている。……これは短期決戦にしないと不味いわね」

「そういうこと。だから、エリスの作戦をOKしたわけ。ここで一気に戦力を減らせるし、相手もゾンビ兵の利用に多少は疑問がでて、増強策とかを考えるだろうから、その分、戦力の補給、増強が遅れる。さらに、ヒフィーたちの立場も向上できるから、内に入り込むには良い案だ。更に……」

「スティーブたちが安全に奥深くまで入り込む絶好のチャンスというわけですね?」

「そう。そこであわよくば、ダンジョンの制御を奪えれば、ダンジョン内で演習を見ているであろう、ノーブルを逃がすことなく捕獲できる。ただダンジョンを掌握するだけじゃ、ダンジョンを放棄して逃げる可能性もあるからな。ノーブルとは別にダンジョンマスターがいるかもしれないけど、それも同じようにダンジョンにいるだろうし、一網打尽というわけだ。……とまあ、こういう理由で今回の作戦を考えたわけ」

「……わかったわ。ほぼここで息の根を止めたいわけね。そしてそれを狙うのに、中途半端な戦力投入なんてするわけない。確実にやるために、最高戦力を投入するわね。私でも」


……しかし、言われて気が付いたけど、あの新大陸の状況は非常に不味いじゃない。

エクスでのことが失敗したら、一気に坂を転げ落ちるように状況が悪化する可能性があるわ。

何としても、今回の作戦は成功させないといけない。


「な。3人とも、とても不味い状況というのが理解できたとはおもうけど、これを現場の皆にいうか?君たちの双肩にこの大陸の未来がかかっています。絶対失敗はできませんって」

「……いえるわけないわ」

「……兵士は与えられた任務をこなせばいいので。不安にさせる要素は伝えるべきではないですね」

「……私は絶対に無理。そんなこと言われたら動けなくなります」


……なんて胃の痛い。

作戦開始まであと1日。

ヒフィーの話に耳を傾けてくれる良識的な相手であってほしいわ……。

ああ、あとでスティーブの方に顔を出しておこう。

やる気なさそうにしてたら、尻ひっぱたいてやるわ。

さてさて、これで決めないと泥沼試合になる可能性がでてきたので、こういう作戦になりました。

いや、もう被害とか気にせず、近代兵器のフル投入ならどうにでもなるけど、それだと本末転倒すぎるしね。


まあ、簡単に言えば、ノーブルは詰んだ。


そして次回がそんなノーブルさんたちのお話。

ヒフィーと違い何を思い、なぜこの道を選んだのか。

そういう物語。


あ、どうでもいいけどさ。

6月18日から映画「貞子VS伽倻子」あるじゃん。ドリームマッチみたいで面白そうだけど。

普通にさ、呪いのダブルパンチにしかならんと思うのだが……って言っちゃだめ?

ほら、エリアンVSプレデターみたいに両方から削られてってやつ。



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