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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 エクス王国編

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第388堀:知らなくても頑張る

知らなくても頑張る





Side:アスリン




なんだか、ここ数日、みんな忙しそう。

何かあったかな?

だけど、私たちには特になにも話は来ないし、そこまでじゃないのかな?

前みたいに、お手紙を読み忘れとか、お話を詳しく聞かないとかはしてないから、確認のし忘れとかはないと思う。


「みんな忙しそうなのです」

「あ、フィーリアちゃんもそう思う?」

「思うのです。でも、私たちにはお話がこないから、大丈夫だとは思うのです」

「でも、心配だよねー」

「なのです」


私とフィーリアちゃんはそう言って、慌ただしく移動する魔物の兵士さんたちを眺めます。

私たちはお兄ちゃんのお嫁さんだから、こういうところにいても怪しまれないんだ。


「と、いけない。ドレッサちゃんの所いかないと」

「そうだったのです」


私たちは私たちで、お兄ちゃんから大事な任務を与えられているんだ。

エクス王都で奴隷になっていたドレッサちゃんと仲良くして、傷ついた心を癒してあげるの。

好きで奴隷になる人はそうそういないし、最初のリーアお姉ちゃんみたいに、変な状態になってることも多いから、そういう心配をして、優しいお兄ちゃんは歳の近い私たちにドレッサちゃんのことをよろしくって言ったんだ。

だから、ここ数日はドレッサちゃんにつきっきりで色々ウィードを回って遊んで……、任務をこなしているんだ。

で、今日も朝からドレッサちゃんがいる魔物さんたちの兵舎の所まで行ってる途中で、なんかちょうどドレッサちゃんが来た日を境に、色々慌ただしくなった魔物さんたちを見てたんだ。

でも、昨日からさらに忙しく動いているような気がするな……。

けが人とかはいないみたいだし、そこら辺は大丈夫なんだろうけど。


「あ、きたわね」

「ドレッサちゃんだ。おはよー」

「おはようなのです」

「うん。おはよう。アスリン、フィーリア」


初日以降、ドレッサちゃんはこうやって、玄関の前で待っててくれるんだ。

きっと、ウィードが楽しくて仕方ないんだと思う。

私だって、学校が始まったときとか、毎日楽しみでたまらなかったから。


「今日は、あんたたちが通っている、ガッコウってところに行くのよね」

「うん。そうだよ。みんなで集まってお勉強するんだ」

「そうなのです。ヴィリアやヒイロとかたーくさんの友達がいるのです」

「……聞けば聞くほど、よく意味が分からない施設よね。平民に学を教えるなんて、そんなことより田畑を広げた方が沢山養えるのに」

「うーん。詳しいことはよくわからないけど、こうやって勉強すれば将来の役に立つんだって」

「そうなのです。お勉強ができてわるいことはないのです」

「あんたたちにはちょっと難しかったかしら? これは大人のお話しだしね」

「むー、アスリンたちは大人だもん!!」

「フィーリアたちは大人なのです!!」


ドレッサちゃんは、事あるごとに私たちを子供扱いする。

これだけは、駄目だと思う。

私たちは立派なれでぃーで、お兄ちゃんのお嫁さんなんだから。


「はいはい。大人の女なら、妹分をからかうのはやめてもらえるかしら? また、吊るすわよ?」


そんな声がすると、ドレッサちゃんはピシッと固まる。

私たちはその声の方に振り返ると、そこにはラビリスちゃんとシェーラちゃん、お兄ちゃんが立っていた。


「お兄ちゃん」

「兄様」


私とフィーリアちゃんは直ぐにお兄ちゃんに飛びついて、お兄ちゃんもそれを受け止めてくれる。


「今日はどうしたの?」

「兄様はお仕事で忙しいんじゃ?」

「あー、今日はドレッサの初登校だろう? 一応、保護者で学校の校長だからな。様子を見にきたんだよ。ほら、ドレッサはあまり素直じゃないところがあるだろう?」

「「あー」」

「そこら辺が、多少な」


確かに、ドレッサちゃんはすこし、ツンツンしてるよね。

さっきも、本気では言ってないけど、私たちがぷんぷんになることを言うし。

素直じゃないと思う。

本気で言ってたら、お仕置きするけど。

で、そのドレッサちゃんはラビリスちゃんやシェーラちゃんと何かお話ししてるみたい。


「あ、あの、ラビリス? さっきのはちょっとした冗談。そう、冗談なのよ。だから、ロープを持って近寄らないで……」

「冗談でも限度があるのよ。毎日毎日、2人をからかって何が楽しいのかしら? 私としては、妹を弄ばれて非常に不愉快なんだけど?」

「ドレッサさん。素直になれないのは、まあ性格上仕方ないとは思います。ですが、相手を選ぶことを強くお勧めします」

「ちょ、シェーラ、鞭はやめて。そ、そんなの奴隷の扱いよ!?」

「「どっちが先に手を出したのよ。ツンツン娘が」」


で、いつものように、ロープで縛られて吊るされて、鞭でお尻を打たれるドレッサちゃん。


ピシッ!!


「きゃん!? ひゃん!?」


鞭で打ってはいるけど、ちゃんとお尻が赤くなる程度にしかしてないから大丈夫。

私たちが本気でやったら、大岩だって割れちゃうもんもね!!

でも、そんな日常の光景はお兄ちゃんにとっては普通に見えなかったみたい。


「……何やってんだよ。SMか?」

「違うわよ。躾よ、躾」

「そうです。決してそんな趣味ではありません。そして、まあ、一般的ではありませんが、私たちのコミュニケーションと言ったところですので、ユキさんはご心配なく」

「ち、違うわよ!? ユキ、こ、こんな変態的な趣味を私が持って……はうん!?」


なんか、お兄ちゃんの目から光が無くなっていく。


「なあ、アスリン、フィーリア。あれって普通か?」

「えーと、うん。毎日一回はしてるよ」

「悪いことをしたら、お尻ぺんぺんなのです」

「あ、そういう認識なんだ。間違っても人目のつく所とかでやってないよな?」

「流石にそこまではしないわよ」

「はい。そんなひどいことはしません」

「……」

「沈黙してないで、私を助けなさいよ!? ひゃわ!?」

「自分がまるで悪くないみたいな言い方やめてもらえるかしら?」

「そうですね。私たちがいじめているみたいに言われるのは非常に心外です。もっと強くした方がよかったですか?」

「……とりあえず、もうすぐ学校にいくから、ほどほどにしとけよ」


お兄ちゃんはそう言って、相変わらず目から光が消えた状態で、何かつぶやいていた。


「……躾とか、教育って難しいよな」




「もう、お尻に傷痕が残ったらどうするのよ!!」

「ちゃんと治したよ?」

「ぐっ、本当に非常識な場所ね」

「元々はドレッサがフィーリアたちを、馬鹿にするからいけないのです」

「……あ、うん。ごめんね」

「うん。これで仲直りだね」

「仲直りなのです」

「そうね。最初からそう言う気遣いができればいいのに」

「まあ、ドレッサさんも色々あったみたいですし、私たちはその為にいますから」

「まあね」


本気でドレッサちゃんを嫌うことはないよ。

だって、ドレッサちゃんは優しいから。

でも、色々あって素直になれないみたいだから、こういうことをしてるんだ。

あ、多分、これもリーアお姉ちゃんと同じで、トラウマとかなのかな?


「まあ、仲がいいみたいだから、いいけど。あんまり、やりすぎで変な趣味に目覚めるなよ。というか、わざとやってないだろうな。ドレッサ」

「だ、だれが、そんなことするもんですか!!」


顔を真っ赤にして、慌ててドレッサちゃんは否定する。

それは当然だね。お尻叩かれて悦ぶ人なんていないもん。


「……ああ、もう覚醒してる可能性があったわね」

「……ドレッサさんの思惑に既に乗せられていた?」

「ちっがーう!!」


よくわかんないや。


「って、アレがガッコウよね!? 大きいし、子供たちが沢山入ってるみだいだし」

「……露骨に話をそらしたわ」

「……ますます怪しいですね」

「うっさい!! あそこが、ガッコウなのよね? アスリン、フィーリア?」

「うん。そうだよ」

「そうなのです。あ、ヴィリア、ヒイロ。おはよーなのです!!」

「あ、おはよう。って、お兄様!!」

「兄ぃがいるのは珍しい……」


ちょうど、2人とも登校してきたみたいで、こっちに合流した。


「ヒイロって子はちみっこね。でも、ヴィリアは侮りがたいわね」

「……ドレッサ。一々スタイルで張り合うのはやめなさい」

「……ですね。はぁ、先が思いやられます」


まーた、ドレッサちゃんはスタイルを見ている。

どうせ、お姉ちゃんたちから見れば、ツルンツルンと変わらないのに。

愛があればいいんだよ? でも、私はきっとバインバインになるけどね。


「お兄様。あの彼女は?」

「見たことない。新入生?」

「そんなところだ。同じクラスになるから、フォローしてやってくれ。見ての通り、素直じゃないんだ」

「……なるほど。少しツンツンしてますね」

「大丈夫。ああいうのはクラスにいるから、問題ない」


いるよねー。

ドレッサちゃんみたいにツンツンしてる子って結構いる。

それで、ヴィリアちゃんとか、ラビリスちゃんにお仕置きされてる。

男の子も女の子も。


「あー、なるほどな。と、ごめん。俺の方は先生たちに話しを通してくるから、多分、仕事の関係で教室に顔は出せないと思う」

「……あ、はい」

「さみしい」

「ごめんな。ちょっと最近忙しくて。これが終わったら、またみんなでお泊りでもしような」

「は、はい!! 楽しみにしてます!!」

「楽しみ」


やった。

忙しいのが終わったら、みんなでお泊りだ!!

そうだよね。エクスのことが終われば、ゆっくりできるっていってたし。

早く、エクスのお仕事おわらないかなー。




そうして、ドレッサちゃんの入学も特に問題なく終わって。

そのまま、普通に授業が始まって、お昼休みになる。

あ、お兄ちゃんはやっぱり忙しかったみたいで、教室にはこなかった。

帰ったらいっぱいお手伝いして、少しでも疲れを取ってあげようと思う。


「……なによ。ここの勉強。私でもついて行くのがやっとなんだけど。というか、カガクとか意味不明だし、魔術なんて使えるわけがないでしょう……」


ドレッサちゃんは、学校の授業内容に頭がパンクしているみたいだった。

なんでだろ?


「ま、おいおいなれるわよ」

「そうですね。人は慣れるものです」

「慣れるの!? この意味不明な内容に!?」

「何を言ってるのよ。もう部屋で電気とか、水道とか、好き勝手に使ってるでしょ?」

「あ」

「そういうことです」


うんうん。

なれるんだよ。

まあ、お勉強は大変だけど。


「そこはわかったけど、午後もこんな調子なの? 流石にもう理解する前に寝ると思うわ」

「いえ、午後は大体、実地勉強ですね」

「じっち?」

「はい。現場に赴いて、戦いの訓練や魔術の訓練、お仕事の手伝いをするんです。まあ、専門的なのは下働きとかですけど、畑仕事とか、警察の人と一緒に警邏と清掃活動とか、あとは冒険者とか……」

「冒険者!! それって、傭兵のことよね!!」

「傭兵? ああ、モーブさんたちが徴兵されることもあるとは言ってましたね」

「なら、私は冒険者の実地勉強がいいわ!!」

「そうですか。でも、一定の訓練を受けないと、冒険者の実地勉強はできないんですよ」

「えー……。なんとかならないの?」

「うーん。冒険者ギルドに行って、試験を普通に受けて冒険者の資格を取るのが手だとは思いますが……」

「じゃ、それでいいわ。その様子だと、ヴィリアは冒険者ギルドのこと知ってるんでしょ。案内して」

「はぁ。確かに私は冒険者の資格は持ってますけど……。いいのですか?」


そう言って、私たちのことを見るヴィリアちゃん。


「いいわよ。こうなったら止まらないのよ、その子」

「試験を受けて合格できなければ諦めるでしょう」

「ふんっ。私だって剣ぐらい振れるんだから」


あー、振れるだけじゃダメなんだよ?

でも、2人の言う通り、ドレッサちゃんがこうなったら止まらないしなー。

今日はミリーお姉ちゃんも、ギルドにいるはずだし、行って相談してみよう。




「はい。ちびっこ共。怪我をしないようにね」

「「「はーい」」」


冒険者ギルドに到着すると、先に来ていた子たちが既に訓練用のダンジョンに出発する寸前で、ミリーお姉ちゃんに見送られていた。


「返事だけはいいのよね」

「ま、生きて戻れる保証付きなんだから、怪我した方がいいと思うよ。痛い目見ないと。命の危険は分からないんだから。というか、ミリーもずいぶん甘くなったよねー。比較対象は違うけど、冒険者舐めてるやつとかは、その場でボコボコにしてたよね?」

「あーうん。多分、子育てとか手伝ってるからかな? ととっ」

「おっと、どうしたの? 今日は朝から顔色がわ……」

「ミリーお姉ちゃん」

「あ、アスリン」

「お、アスリンちゃん。っていうか、ラビリス代表や、シェーラ王女まで。今日はこっちなんですか?」

「そうよ。お友達の付き合いも大事なの」

「で、ちょっとミリーさんに相談がありまして」

「何?」

「私も冒険者になりたいの!! できるかしら!!」

「……というわけよ」


ミリーお姉ちゃんは、少し考えるようにドレッサちゃんをみて……。


「ああ、ドレッサってあなたなのね?」


そう言えば、ミリーお姉ちゃんはドレッサちゃんに会うのは初めてだっけ?


「そうよ!! で、冒険者になりたいんだけど」

「えーっと、今日入学したばかりで、訓練課程が終わっているわけないわよね。となると、一般から?」

「そうなのです。そっちからやるって言ってきかないのです」

「はぁ、お転婆ね」


そう言って、ミリーお姉ちゃんが片手で顔を覆うんだけど……あれ?


「ミリーお姉ちゃん。具合悪い?」

「あ、やっぱり、アスリンちゃんもそう思う? なんか今朝からこんな感じでさ。本当に大丈夫?」

「あ、うん。ただ、ちょっと……」

「ちょっと? 無理してない?」

「無理はだめだよ?」

「駄目なのです!!」


ミリーお姉ちゃんは皆が新大陸に行ってて、色々とウィードのお仕事を掛け持ちしているから、きっと大変なんだ。

お兄ちゃんの為に無理するから、ちゃんと私たちが止めないと。


「大丈夫よ。ただの飲み過ぎ。そうよね? ミリー」

「え、ええ。そうなのよ。ばれちゃったかー」

「え、でも。お酒臭くないけど?」

「ザーギスの所から、翌日に二日酔いが出ない薬ができたって試したのよね」

「そうそう。でも効かなくて」

「なんだ。自業自得じゃん。でも、倒れられても困るし、執務室でゆっくりしなよ」

「そうだよ。ゆっくり休んで。ミリーお姉ちゃん」

「休むのです!!」

「うん。ありがとう。この子たちのこと頼んだわ」

「分かってるって。ほら、休んだ休んだ」


うん。ミリーお姉ちゃんの無理を止めたよ。

でも、お酒の飲み過ぎは良くないよね。


「で、試験って何やるの?」

「そうですね。試験官と勝負が一般的です」

「え? 筆記テストとかじゃなくて?」

「ただの雑務系の仕事を受けたいなら試験で負けてもいいけど、ダンジョン潜るのは流石にいい勝負ぐらいはしないとだめなのです」

「えーーー!?」


ドレッサちゃんがんばれー。





世の中、隠そうとしても、なんとなくわかってしまうってのはよくあることです。

そこで、気にするか気にしないか、首を突っ込むか突っ込まないか。

色々物事の分岐というは転がっています。

アスリンたちはアルフィンの時にいろいろあったので、そこら辺を理解しつつ、自分のできることをやろうと頑張っているというわけです。


主戦場でなくても、どこでも頑張っている人は沢山いるという話。


あと、ここで少し、フラグを見せたけど分かった人はいるかなー?

次は、ユキによる今回の作戦内容の細かい説明。



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