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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 エクス王国編

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第386堀:一人ではなくみんなで

一人ではなくみんなで





Side:エリス




全員が沈黙しています。

その原因はコールで届いた、今後の予定を書いた資料。


「「「……」」」


その凄まじい陣容を見て、絶句しているのです。

無論、話を聞かせられない、ポープリさんやララさん、アマンダにエオイドには、適当に理由をつけて別室に行ってもらっています。

そして、その沈黙をようやく破ったのは、夫、ユキさんと付き合いが浅い、サマンサでした。


「……これは、ユキ様の動かせる中でも最精鋭なのでは?」


そう、ユキさんが動かせる中でも指折りのメンバー。

スティーブ、ジョン、スラきちさん、キユ、このトップの4人は私たちの戦闘能力を軽く超える。

いえ、普通の試合をすればいい勝負なのでしょうが、戦場であればきっと10回戦って10回負けると思います。

生き残ること、相手を殺すこと、それに特化して、それを現代兵器を駆使して行動出来る差ですね。

私たちも銃器が使えないことはないですが、私はスナイパーライフルとか銃系が得意なだけで、爆弾や、重火器が扱えるわけではありません。

このメンバーはウィードでも軍人という立ち位置のもと、そういう訓練をひたすら積んでいるのです。

下地が全く違います。


「……ミノちゃんが足りないくらいだとおもう」


クリーナは足りない、あと一人の名前を言いますが、身の丈4、5メートルは有ろうかというミノちゃんは潜入任務は向かないですし、今はエナーリアとの仲介役を果たしているので、呼び出せません。

ということで実情、ユキさんが動かせる戦力、さらにナールジアさんとコヴィルを含めて動かしているので、これは相手を完全に叩くつもりだと思います。


「……あー。そういうことか」


その陣容に戦慄している私たちの中で、唯一理解の言葉を出せた人がいます。

それは、ユキさんの友人でもあるタイキさんでした。


「なんじゃ、ユキがこういう陣容を取った理由がわかるのか?」


私が聞く前に、デリーユがタイキさんに聞きます。


「いや、簡単ですよ。ほら、ちゃんと資料にも、このメンバーの動員は状況を上手く収めるためって書いてあるじゃないですか」

「まてまて、こいつら一人で、この世界の国の首都ぐらいは簡単に落ちるぞ。それをフルメンバー近く突っ込んでおいて、そんな大人しい結果になるかのう?」

「それこそ、真意というか、ユキさんがどう転んでほしいかはわからないですけど。これは、ポープリさんやララさん、そしてヒフィーさんには、これ以上ないぐらいの義理立てでしょう?」

「ああ、そういうことですわね」

「……納得。ユキが動員できる適任で最強で最高戦力、私たちは大事なお嫁さんだからそんな危険な事させられないし、……正直、潜入はしたことないから、足手まとい。だから、これで万が一があっても、全力を尽くしたと言える」


そういうことですか。

確かに、デリーユの言う通り、一般の人々の被害を無視するのであれば、スティーブたちの一人でもいれば、王城は爆弾でも設置して木っ端微塵でしょうし、戦闘にもならない。

今回のゾンビの件は、人々を守るという方針で動いているポープリさんやヒフィーさんにとっては最悪の状態。

だけど、それを阻止するのは、ほぼ無理です。

関係の構築が上手く行けば、多少は教えてもらえるでしょうが、その場合はノーブルが各国を併呑するという戦争になることを意味しており、結局、多くの血が流れます。

かといって、その事実を知って反論すれば、エクスを追われ、その過程で一般の人々にも被害が出るでしょう。

最悪、ポープリさんたちの、人々に傷ついてほしくないという願いを見抜いて、自国の国民をゾンビに襲わせて服従を迫るかもしれません。

そんな最悪の事態の時に、このフルメンバーがいるのといないのでは、対応力に雲泥の差が出るでしょう。

そして、それはポープリさんやヒフィーさんの願いを汲んで、動いていたという何よりの証拠。

言い方は悪いかもしれませんが、失敗した時の言い訳でもあります。

この陣容の凄さが分からない人たちではないので、仕方のなかったことだと割り切れるでしょう。

逆にこのフルメンバーを投入していなかったということは、手を抜いたと思われる可能性もあるのです。

最悪、2人が離反しかねない。

ま、それは実力差が分かっている2人はしないでしょうが、内部的な不安は抱えたくは有りませんね。


「なるほどのう。理には叶っとるのう。しかし、ここまでこっちに戦力をつぎ込んで大丈夫なのかのう?」

「さあ、俺からは何とも。もしものことを言ったらキリがないですし、ユキさんとしては、こっちに戦力をつぎ込むことが最重要って考えたんじゃないんですか? というか、ユキさんの本陣、ウィードが落ちるようなことはまずないと思いますけどね。あそこがどうにかなるなら、さっさと降伏した方がいいとおもいます」

「……ユキと同じようなことを言うのう」

「残念ながら、俺やユキさんは自分たちの力を過大評価するってのは全然できませんから。今までの経験とかから、推測して、その域を出ないかを観測して、予想、推測が間違っていないことを確認して、行動に移すんです。そうしないと、手痛いしっぺ返しを食らいますからね」


こういったところが、ユキさんやタイキさんの強かな所といえるでしょう。

良く言うのであれば慎重。悪く言うのであれば臆病。

まあ、間違ってウィードが落ちたとしても、ユキさんを引き渡して終わるようなことは絶対ありません。

夫を渡してはい終わりなど、絶対認めません。私たちが徹底抗戦です。

……あ、きっとノーブルも同じ気持ちなのでは?


「……なるほどな。妾なら、そんな結果は認めるわけにはいかん。だから、ノーブルを追い詰めたとしても、ゾンビを街に解き放つ可能性があるというわけか」


私の気持ちと考えをデリーユがそのまま言ってくれました。

ヒフィーさんの時は、こんな悪辣な手段は用意していませんでしたし、決闘の前に所有するダンジョンはこちらの手に落ちていました。

しかし、ノーブルの場合は違う。

ダンジョンを奪い取ろうが、既にゾンビという駒は用意されている。

悪あがきなどで、街を混乱させ、逃げるということを考えるかもしれません。

いや、その可能性は非常に高いと思います。

私だって、ユキさんか、ウィードかと問われれば……。


「実感もしてもらえたし、分かるでしょう? ここに戦力をつぎ込まないと不味いって」

「……ですわね。願わくば、学長やヒフィー様がノーブル陛下を説き伏せてくれるといいのですけれど」

「……それは、ほぼ無理。向こうは二人を取り込むつもりで呼んでいる。パワーバランスの認識が逆。こっちは希望を聞かされる側。多少の願いなら聞き入れてくれるだろうけど……」

「うーむ。難しいのう。……なんとかして、ノーブルのゾンビをどこかに集めて、ボンッとできればいいのじゃろうが、全部集めるなんて馬鹿な真似はせぬだろうし、そのゾンビの団体を集めさせる理由も思いつかぬ」


……と、イケない。

黒い考えに流されていた。

そうならないように日々頑張っているのだから、今日の話もその一環。

落ち着いて考えましょう。一番の問題は、ゾンビをどう抑えるか。

デリーユの言う通り、ゾンビたちをある程度、大半ぐらいを集めて処分できればいいのでしょうけど、それは結構無理があるとわかります。

……いえ、本当に無理でしょうか?


「……多少の願いなら。……向こうはこちらを取り込みたい?」


先ほど、クリーナが言った内容を頭でまとめます。

なにか、なにか、デリーユが言ったことと繋がりそうなのです。

でも、ゾンビの件をお2人に伝えることはできません。

自発的にノーブルが喋ってくれれば……どうやって?


「あの、エリスさん。大丈夫なんですか? なんかブツブツ言ってますけど」

「ほっとけ。会計の仕事をしてる時の顔じゃ。その時なんか、数字が口から数多出ておって今より意味不明じゃぞ」

「クリーナさんもこんなかんじですわね」

「……心外」

「あら? ご自覚ありませんの? ユキ様が用意してくれた図書館ではいつもあんな感じですわよ」

「……うそ。そんな、わけ、ない。ユ、ユキはいつも優しく迎えに来てくれる……」

「……それは、ユキ様は既に、クリーナさんの癖をご理解しているから何も言わないだけでは?」

「……嫌われていない?」

「ユキ様が嫌う人ですか。逆に興味はありますね。ああ、ルナ様がいましたか」

「……いやだ。そんな。ルナと一緒なんて嫌だ」

「落ち着いてください。ユキ様はクリーナさんのことをちゃんと愛していますから大丈夫ですよ」

「……ほんと?」

「本当ですわ。だって、ちゃんと夜は相手してくれるでしょう?」

「……そうだった。ごめん。ちょっと取り乱した」


あー、もう、なんか周りが五月蠅くて考えに集中できない。

いや、自分一人ではそもそもまとまらない。

落ち着いて、エリス。ユキさんはいつも言ってたじゃない。

餅は餅屋、得意な人に頼れって。

今回の件は、相手をこちらの望む状況下に引きずり出す事。

つまりは、戦争というより、政治の駆け引き、交渉事、これらが得意な身内は……。


『はいはい。何ですか?』

『はい、なんでしょうか?』

『何かしら?』

『お呼びでしょうか?』


ラッツ、ルルア、セラリア、シェーラ。

この4人が私たちの中では、政治の駆け引き、交渉事に強いから、良い案を出してくれるはず。

ということで、ユキさんのフルメンバーの出撃から、ノーブルの暴走も含めて、私が出かかっている何かを伝えました。


『なるほど、なるほど。これは案外うまくいくかもしれませんね』

『はい。私たちも、ユキさんのフルメンバーに驚いてばかりで、これ以上の案を考えようとはしてませんでしたから』

『そうね。これはありかもしれないわね』

『はい。結構成功率は高いかと思われます』


何やら、既に4人の中では回答が出たようで、納得しています。


「あのー、どうすればいいんでしょう?」

『ああ、エリスはそこに持っていくためにまだ悩んでいるんですね。えーと、どう説明しましょうか』

『そうですねー。私の、リテアのようなことをすればいいんですよ』

「リテアの時というと、リテアの反対派と戦ったことですか?」

『そうよ。まあ、今回は演習って形ね。ヒフィーがノーブルと交渉の席についたときに、コメットもいるから、ダンジョンを使えることは分かっているでしょうし。そこを使って、魔物同士の演習でもやればいいのよ。お互いの戦力を測りたいって言って。遺体を利用できるなら、これ以上ないぐらいの演習になるでしょう。材料も確保できるし、断るとは思えないわね』

「あ、なるほど」

『その時に、ノーブルがゾンビ兵を連れてくる必要がありますけど、向こうも遺体を利用したいのですから、理由は説明するでしょうし、演習にもそのゾンビを投入するでしょう。というか、主力でしょうし。向こうにとってもゾンビ兵の力を測るいい舞台です』

「ということは、ヒフィーさんたちが魔物の演習を持ちかけるだけでいいわけですか」

『はい。そうですね。まあ、ちゃんと条件を色々決めないといけないでしょうが、大まかな方針はそれでいいと思います』

『旦那様もこのことには気が付いてなかったみたいですね』

『仕方ないわよ。ユキにどれだけ頭を使えって言っているのよ。フルメンバー投入して、被害を最小限に抑えようとしてるだけでも十分よ』

『ですね。足りないところを支える。それは私たち妻の役目ですから。しかし、ナールジアさんとかも連れていってますし、恐らくは、ダンジョンを一気に掌握するというのも視野に入れていると思います』


なるほど。

そうすれば、被害は本当に最小限になる。

でも、この案で更に安全にできる。

演習相手を、ウィードの魔物軍にすればいいのだ。

そうすれば、相手のゾンビ軍だろうが、魔物軍だろうが、殲滅できる。

良い陽動にもなるし、相手の戦力もごっそり削れて、相手のパワーバランスの認識も変わるだろう。


『さて、この報告はエリスからどうぞ』

『そうですね。エリスさんの手柄です』

『そうね。あ、でもちゃんと私たちの連名は入れてよね』

『一人でユキさんに褒めてもらうのはなしですよ?』

「うん。分かってるわ。ありがとう」


よし、後はこの話をまとめて、ユキさんに説明ね!!

そうと決まったら、一旦ウィードに戻って事務室でさっさと作っちゃおう!!




「……なんか置いて行かれましたね」

「……向こうで勝手に話が進んだのう」

「……クリーナさん、聞こえましたか?」

「……全然。後で師匠に話を聞こう」




嫁さんたちも、これに乗じて、さらなる腹案を出す。

1人だけでやっても程度が知れるってやつでさー。

みんなで考えれば、色々な案がでるのさ。

まあ、情報がそろわないとここまで行動は起こせないけどね?

つまり、情報が……。

ま、それはユキが計画を話す時までとっておこう。



最後に、俺の部屋31度マーク。

暑いわ!!



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