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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 エクス王国編

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第384堀:集う化け物たち

集う化け物たち





Side:ジョン




いやー、最初は遠征とか聞いて嫌だったけど、こっちに来てもミノちゃんに面倒なことは任せるだけで、メインは大将が勧めているし、俺は心置きなく、ダンジョン内で農作物を作るという生き甲斐をできているわけだ。

勿論、訓練とかはしている。

いざという時、畑とか仲間を守れないとか最悪だからな。

そこら辺で手を抜くことはない。

だが、この畑作りも業務の一環として扱われているから、立派な仕事である。

兵農一体というやつらしく、屯田兵とかいう奴らしい。

昔の偉人さんが考えた方法で、こうやって常備兵を雇いつつも、食料生産量を上げて、両立する方法だ。

いや、俺たちに飯とか本来いらないし、DPも既にウィードでがっぽがっぽだからいらないんだけど、大将としてはこういう自立、独立して生産をすることは好ましいということで、許可を貰っている。

いやー、話の分かる大将でよかったぜ。

まあ、不満があるとすれば、もうちょっと、きゅうりを栽培する面積を増やす許可が欲しかったところだ。

需要と供給があっていないらしく、きゅうりをそれほど生産されても消費しきれないとのこと。

まったく、きゅうりの良さが分かっていない奴が多い。

だからこそ、主食をきゅうりにしてその意識改善をといったんだが、戦争になるからと怒られた。

……うむ。世の中色々大変なのだろう。

まあ、そこはおいおい考えるとして、今俺たちは、ミノちゃんがエナーリアに代表として交流しているので、そのパイプを利用して、こちらで作った作物をエナーリアに流しているわけだ。

DPで作ってはいどうぞもありだが、こっちにも視察がくるだろうから、いっそのこと畑作るかってことになって、魔物たちの中で畑作りに精通しているのは俺だから、こうして陣頭指揮をとって日々、農作業に従事しているわけだ。

確かに、日々訓練だけで実働がない兵隊など税金の無駄遣いにしか見えないからな。こういう畑仕事をして、日々の人々の生活に貢献するのは悪くない。


「しっかし、隊長。あの時以降、俺たちに出撃命令こないですねー」


横で畑の雑草を抜いている部下がそんなことを言う。


「そうだな。あの時も、選抜の飛龍隊だけだったからな。平和なのはいいことだ」

「俺たちが出るときは、それはそれは大規模戦闘ってことですからね」

「ああ。大将たちは大変そうだが、俺たちがこうやって畑を耕していられるってことは、まだまだ平和ってことだ」


そのことを構えたヒフィーとコメットも既に大将の陣営だし、俺としては腕を斬り飛ばした手前、バツがわるかったのだが、次の再会が罰ゲームの最中だったしなー。

多分、そこら辺も踏まえて大将は俺をあの時手伝い役にしたんだろうな。

もう、お互い憎しみ合いとかやってる暇はなかったし。

大将は恐ろしいってのがよくわかっただけ。


「そうですねー。平和ですねー。もうすぐトマトもきゅうりも取れるし、サラダパーティーですかね」

「そうだな。収穫の際には出来を確かめなくてはならないから、必要なことだ」


そう、品質確認の為に必要なことであり、決して俺たちが野菜を食べたいからという欲求からきているのでなく、あくまで業務であり、仕事の一環なのだ。


「って、あれ、スティーブ将軍じゃないですか?」

「ん? スティーブ?」


そう言われて、振り返ると、確かにスティーブがこちらに歩いて来ていた。


「よっす。相変わらず、畑、畑っすね」

「そりゃ、仕事の一環だからな。ちゃんとできたものは出荷して食卓に届いているから、訓練しているだけの兵士よりはましだろうよ」

「さらーっと、おいらたちのこと言ってるっすか?」

「さあな。そう聞こえたなら、自覚があるんじゃないか?」

「ま、いいっす。ちょっと用事があるから顔かせ」

「あん?」

「厄介なことが起きたっす」


いつもの挨拶をすっ飛ばしてこんな表情するってことはそれだけ厄介か。


「こっちは任せる」

「はい」


そう言い残して、俺は畑を去り、ウィードの方まで戻ってきた。



「で、わざわざコールでなくてこっちまで足運ぶとたぁ、何があった」

「すぐに何か起きるって話じゃないっすよ。本当に急用なら、コールで呼び出してるっす。ま、おいらの気分転換も兼ねてってやつっすよ」

「気分転換? よほどだったのか? あっちのダンジョンは?」


こいつが気分転換で俺のところにわざわざ足運ぶとは、よほど嫌なものを見たらしい。


「全体的には、……まあ並以下っすね。どうひっくり返っても、大将が揃えている戦力を抜くことはできないっす」

「そりゃーよかったじゃねーか。ま、その様子だと、精神的によろしくないことがあったみたいだな」

「その通り。ほれ、これがおいらが気分転換にでた理由」


ヒラリ、と目の前に滑ってくる紙を取って、目を通す。


「……こりゃ、また。マジかこれ?」

「マジっすよ。流石の大将も二度聞きしたぐらいっすから」

「そりゃそうだろうよ。メタルギ○じゃなくて、バイオハ○ードだったわけか」


ダンジョン内で、魔物から魔石をとり、その遺体を利用して、アンデッドも生産している。

資料にはそんなことが書かれている。

ご丁寧に、スプラッタな写真付きで。


「これで晴れて、エクス王都はいつでも、ゾンビパーティーができることが分かったわけだ。面倒でしかないな」

「そうっすよ。おかげで、これの抑えをしなくちゃいけなくなったっすよ」

「本当……面倒なもの見つけてきたよなー、お前」

「大将と同じ反応ありがとよ!!」


はぁ、知らない方がよかった類いだな。

こっちにとって痛打にはなりえないが、方針として、一般の人たちに被害が及ばないようにって思っているから、別の意味では痛い。

最悪、こっちの意図がばれたら、エクス一帯をバイオハザードにして一般の人を襲えば、こっちへの意趣返しはできるわけだ。

そのあとは、完全な殲滅戦になるけどな。


「高威力の爆弾が見つかる方がまだよかったかもな」

「……そうっすね。爆弾ならそれだけを押さえればいいっすから。でもこっちは……、はぁ、少なく見積もっても、一万はくだらないっすから。しかもそれが一か所だけに格納されているわけでもないっすからねー」

「そりゃな。実験みたいな感じで、モーブたちを襲っているんだから、既にどこかしらに配備されていたり、場所を移動しているのもあるだろうさ」


話を聞けば聞くほど厄介だな。


「で、その話を俺に持って来たってことは……」

「そうっすよ。手伝え。どう見てもおいらの手持ちじゃ足らないっす。ウィードの方の常駐部隊は動かすわけにもいかないっすから、そっちから手を借りるしかないんすよ」

「……大将からの許可は?」

「無論、貰っているっすよ。その大将は現在この情報の規制を姐さんたちに説明中」

「あー、ポープリさんとかヒフィーさんに知らせるのは不味いと思ったのか」

「どっちとも特殊な立ち位置っすからね。ノーブルに対して下手につつく可能性も否定できないっす。なら教えない方がいいって話っす」

「必要な時に必要な事だけってやつか」

「そうっすよ。こっちがなんとかする前に気取られでもしたら終わりっすからね」

「無知の方が助かるってわけだ。知ってると、何かしら反応しちまうからな」

「ということで、秘密裏に動けるのはおいらたち魔物部隊と、今エクス王都に潜入していない、大将と姐さんたちっす」

「……大将はともかく、姐さんたちは絶対だめだな」

「ですよねー。良くも悪くも真面目っすから、アンデッドの件でも、そんな死者を冒涜するような……。っていって怒ってるっす」

「駒として考えると、これ以上に便利な兵隊はないんだけどな。独力でどこまで考えられるかで、運用幅も広がるし。ま、気持ちも分かるけどな」

「でも、そんな姐さんたちを現場に連れていけば、たちまち炎の海になって、制圧戦の始まりっすよ」


資料で見るのと、現場を見るのは全く違うからな。

そういうことを管理している下っ端も、大抵クズというか、精神を保つために色々破たんしてることが多いし、そんなのを見たら、スティーブの言う通り、真面目な姐さんたちはキレるだろうな。


「無論、アスリン姫はきっと怒るだろうしなー。って、この話は……」

「流石にアスリン姫やフィーリア姫には伝わってないっすよ。だったら既に、魔物軍に総力戦の通達がでてるっす」

「だよな。ということは、大将が出るのはなしか」

「無しっすね。大将が出ると護衛の4人もでるっすし、そこはまあ、我慢できるかもしれないっすけど、そもそも隠密じゃないっすから」

「足を引っ張るだけだな。大将だけならいいんだが」

「今の大将が1人で出歩けるわけねーっすよ。ということで実質、おいらたちだけということっす」

「……無茶苦茶だな。どう考えても、押さえられん」


スティーブの所と俺の所で、この任務に従事させられるのは合わせて精々、100ちょい。

それで、敵の複数あるであろう、ゾンビーの格納庫を見つけて、生産拠点の監視、術士の捜索などなど……無理だ。


「というか、時間はどれだけあるんだ?」

「不明っす。敵がどう動くかは、呼ばれているポープリさんたちとヒフィーさんたちの話し合い次第っすね」

「……まだ、ヒフィーさんたちは到着していないから、最低2、3日はあるってことか。って短すぎるわ!!」

「最低っすよ。最低。流石に2、3日でどうにかできる話じゃないっすから、そこら辺は大将が上手く引き延ばすようにって説得しているっす。結果を急ぐなって」

「もうさー、エクスが血の海になってもいいんじゃね? って思うんだが」

「今まで築いてきた、ポープリさんやヒフィーさんとの関係をマイナスにしかねないっすから駄目っすよ。ちゃんとしないと、駄目だったときに顔向けできないっしょ?」

「駄目だったらいくら頑張っても顔向けできるわけねーけどな」

「というか、おいらたちがいくら裏で頑張っても、表の方を調べるのがいるんすよね」

「だな。この状況なら、城や街や近場にダンジョンへの出入り口があるのは確実なんだ。そっちを調べるのが欲しいよな……」


かと言っても、姐さんたちはポープリさんたちの護衛だし、霧華とその部下だけじゃ少ない。

どこから増員持ってくるんだよ。


「ふふん。あんた達。悩んでるみたいね」


そんな声が上から聞こえる。


「あ?」

「なんだ?」


そう言って上を見上げると……、妖精族のコヴィルが浮かんでいた。


「パンツは赤っすね」

「赤だな」

「こ、こら!? なに見てるのよ!?」

「いや、見せたのそっちっすよ?」

「だよな」


そらー、空中で仁王立ちしてたら、スカートの中見えるわ。


「あーもう!! キユー!! 変態が、変態がー!!」

「だれが変態っすか」

「心外だな。ってキユ?」

「あははは、コヴィルももっと気を付けよう。ども、2人とも」

「なんか久々に見た面っすね」

「だな」

「いや、普通に会議とかでは顔あわせてたじゃないですか」

「あー、新大陸の方に顔出さなかったから、影が薄かったイメージがあるっす」

「そうそう。そこのコヴィルもスラきちさんと一緒で、魔力枯渇の関係でどうしようもなかっただろう?」


俺がそう言うと、上からなにかドロっとした液体のようなものが、体にかかってそれが言葉を喋る。


「……それは解決しただろう。だから、俺やコヴィルが出張ってきたんだよ」

「スラきちさんか。驚かさないでくれって……、そうか、ザーギスが作った新アイテムか!!」

「ああ、魔力の減衰を抑制、及びカットできるアレがあればどうにでもなるっすね」

「そうよ!! あんた達だけじゃどうしようもないだろうからって、ユキが私たちに頼み込んできたんだから、感謝しなさいよね!!」

「……コヴィル。もっと言い方ってモノがね」

「というか、よく、キユはこんなガキと結婚したよな」

「むっきー!! スラきちさん、私はガキじゃないわよ!!」

「はいはい、悪かったって。で、どうよ。これで多少はマシだろ?」


確かに、コヴィル個人の性格はともかく、魔術などの技能はとびきりだし、隠密行動は妖精族はその特異な小さい体ゆえに得意、しかもデフォルトで空飛べるおまけつき。

極めつけにスラきちさんが率いるスライム部隊が投入できるのは大きい。

スライムにとって重力など無意味、とは言わないが、四方が壁であるダンジョンや屋内の捜索活動に、これ以上適した生物はいない。


「これならいけるっすね。生産施設とか、奥の研究施設もこれでいけるっすよ」

「だな。こりゃありがたい。そうか、あの発明でこっちの使える部隊も増えているんだったな。すっかり忘れていたぜ」


助かったー。と2人で安堵していると、更に後ろから声がかかる。


「はい。喜んでもらえて何よりです。私もその研究施設への潜入、ご一緒しますのでよろしくお願いいたしますね」

「あ、族長」


……族長?

妖精族の族長?

まさか……。


「このナールジア。ウィードの技術を預かるモノとして、仮想敵国の技術を把握するうえでこれ以上ない人材だと思います。連れて行ってもらえるでしょうか?」


にっこりと笑う、ウィードが誇る武器開発における第一人者。

桁違いな物ばかりを生み出すので、もっぱら俺たちや大将たち専用の鍛冶職人となっているキワモノ。

無論、その本人も弱いわけがない。

それが出張ってくる。

あ、やっべ。

終わったわ。


俺はそう思ったね。



ついに、こいつらが始動。

もう、先は見えたな。

いや、どう決着するか、想像できる人はいるのか!?

俺も、まだ先決めてない。


まあ、分かることは、まともな戦いにならないということだ。


さてさて、次はこの報告を聞いたエクス潜入の皆様の反応。

みんなと同じ反応かね?



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