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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 エクス王国編

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第379堀:竜騎士と騎士

竜騎士と騎士





Side:デリーユ



目の前には100人兵士が並んでいて、その前に立つ隊長が声を張り上げる。


「構えーーー!!」

「「「おうっ!!」」」


ズンッ。


その指示に応えるように、返事と共に、一糸乱れぬ動きで一斉に盾を構え、その音が辺りに響く。

それから、隊長の指示の下、声に合わせて兵士たちが陣形を変え、構えを変えていく。

機敏な動きからかなり訓練をしているのが分かる。


「どうでしょうか。我がエクスが誇る近衛騎士団の力は」


……これがアーネの言う通り、近衛騎士団でなければ評価したんじゃがな。

案内役に付いてきたアーネは自信満々で、目の前の訓練風景を紹介しているが、これが末端の兵士がやっているのならとても評価できる。

しかし、近衛騎士団だと話は別じゃ。

これができて当たり前、そして個人技も求められる。

王の護衛が本来の仕事なのだから。

近衛が前線に出るようであれば、その国の趨勢は決まったようなもんじゃ。

それとも、この国では近衛は王を守る兵士ではなく、なにか特殊部隊を指す言葉かのう?

ま、下手に聞くわけにもいかんな。

こういった手合いは侮辱されたと突っかかってくるに決まっておるし。


「すごいですね。アーネさん」

「そうでしょう。そうでしょうとも、アマンダ殿」


周りがしらけている中、アマンダが普通にすごーいという感じで話してくれるのが幸いした。

こういうところでは、アマンダの一般的な思考が役に立つ。

彼女からすれば、訓練に励む兵士はすごいのだ。

これがどれだけ実戦で役に立つかとかは考えもせず。

まあ、妾たちというか、アマンダという竜騎士に見せるために集めたメンバーであるという可能性もあるか。

パフォーマンス部隊というやつじゃな。

実際の戦力を測られることなく、相手に誤情報を渡すための演技。

その可能性の方が高いな。これは、話半分で聞いておくべきじゃな。



さて、妾たちはこのように練兵場にて、退屈な訓練風景を見ているわけじゃが、既に、アマンダの竜騎士演武は終わり、ポープリと別れてこのような状況になっているというわけじゃ。

演武が終わったあとのアマンダは見ものじゃった。

ただワイちゃんを少し浮かせて旋回して、ちょいと炎を放っただけで大歓声。

それで、顔を真っ赤にしおって、大慌てというわけ。

全く、アグウストとヒフィーの時に比べれば、まだましじゃったろうに。

まあ、命がかかっているのと、最初から見せるのが目的だと意識が違うのはわかるがな。

と、このように、演武に参加したエクスのお偉いさんたちは、アマンダを御しやすいと判断したのか、挨拶を軽く済ませて、パーティー参加の約束などを話しておった。

その対応に困っている所を、ポープリとノーブルがやんわりと間に入って止めて、お開きとなったわけじゃな。

それからは、こちらの予定通りに、ポープリとノーブルが魔道具の評価へ、妾たちは城の案内という建前の下、城内の把握や、兵の練度、アーネへの探りをしているわけじゃな。


「でも、ああいうことができるってことはかなり訓練しているんですよね?」

「はい。団体行動は、一朝一夕でできるものではありません。あれを日々繰り返して体や頭に叩き込むのです」

「ふわー。すごいなー」

「何を仰いますか。アマンダ殿もかなり鍛えているように見えますが?」

「あ、それは学校の方針で魔術師は動いてなんぼだと」

「ほう。魔術学府は実戦重視というわけですか。陛下がポープリ殿に一目置いている理由が分かった気がします」


まあ、妾たちはもっぱら聞くだけの立場じゃけどな。

この場において、一番重要度が高いのはアマンダじゃからな。表向きは。

だから、上手くアマンダがアーネと会話をしてくれるから楽じゃ。


「そういえば、私は魔法の才能があったからですけど、アーネさんはなんでまた騎士なんかに? 私とそんなに歳は変わらないですよね? あ、何か言いにくいことでしたら言わなくていいですから」


よし、自然にアーネの話題になった。

全員といっても、妾にエリスにタイキだけじゃが、他所を向きつつも耳を傾けている。

エオイドの方は真剣に兵士の訓練を眺めておる。


「いえ。特に隠すこともありません。私はただ陛下に恩返しができればと思って騎士を目指したのです」

「恩返し、ですか?」

「はい。私はエクスとは別の国が故郷でして、そこで家族は雑貨屋を営んでおりました」

「へー」

「ですがある時、飢饉が起こりまして、その対価、移民として、陛下にこちらに連れてこられたのですよ」

「え? それって……ど、奴隷じゃないんですか?」

「いえ。陛下はそのような、鬼畜生なことは致しません。ちゃんと衣食住を整えていただき、生活に困るようなことは有りませんでした。ただ、今後同じようなことがあってもすぐに支援体制を整えられるようにエクス内の土地を耕してほしいという話だったのです」

「優しい人なんですね」

「ええ。私は当時、その移民に混じって、父や母と同じような雑貨屋を開くのが目標でしたが、その陛下の御心に触れて、なにか手伝いができないかと思い、兵士に志願したのです」

「で、今は騎士ですか。凄いですね」

「いえ。アマンダ殿に比べればまだまだ未熟者です。騎士といっても、ようやく訓練課程を終えて、つい最近こうした場に出てきたばかりなので」

「じゃ、私と一緒ですね。私も竜騎士になったのはつい最近ですし」

「そう、ですか?」

「そうですよ」


そんな感じで、アマンダとアーネの話は続いて行く。

……妾たちはその話を聞いて目を合わせて頷いていた。

絶対、ドレッサ姫の関係者じゃよな……。

しかも、あれから故郷がどうなったかも知らない様子じゃ。

ドレッサ姫のことも当然知らんのじゃろう。

いや、これはわざと情報封鎖をしているのじゃろうな。

しかし、なんでこんな危ういのを手元に置いておくのか?

ぬぬ、ノーブルの奴が何を考えているかようわからんな。

これはユキに報告して、皆で考えるのがよかろう。


「……で、学長もすごかったんですけど、エリス師匠も凄いんですよ」

「ほう。その方はこちらのエリス殿で?」

「はい。で、もう一人のクリーム色の髪をした人がデリーユ師匠で、格闘とか剣とか凄いんです」


ん、何やら話が妾たちのことになっておるな。


「ほほう。ポープリ殿が同行を許したのですから、それなりの腕前だとは思っていましたが、そこまでですか」


あ、なんかすごくわかりやすいパターンじゃな。

アーネはこちらに寄ってきて、こう言った。


「よろしければ、1つご指導願えないでしょうか?」

「ふーむ。それはこの場でか?」

「はい」

「それはどうかのう……」

「なにか問題でも?」

「いや、ポープリ殿やノーブル王を交えずに勝手にやるのはどうかと思ってな。何かあれば、お互いにとってよろしくないじゃろう? 独断でやるのは少しどうかと思ったのじゃよ」

「なるほど……」


ふう、適当にごまかしたが結構いけるもんじゃな。

妾たちが、どうするべきかも相談しておらぬしな。

いや、ユキが話していないということは、妾たちの好きな様にやっていいのじゃろうが、ポープリは穏便に済ませたいからこの場に来ているのじゃからな。

ユキというより、ポープリに話を通すべきじゃな。

フルボッコにするにしても、わざと負けるにしてもじゃ。


「わかりました。陛下とポープリ殿がお戻りになった時に裁可を仰いでみます」

「それがいいじゃろうな」


御前試合のう……、ユキとかがいらぬことを思いつきそうで怖いわ。

ポープリにもそこら辺は釘をさしておく必要があるじゃろうな。

御前試合で全て制圧とか、笑い話にもならんわ。


「そういえば、学長はいつぐらいに戻ってくるとかわかりますか、アーネさん?」

「いえ。時間がどれほどかかるのかは分からないので、食事などは希望されたときに案内するように伺っています」


そういえば、午前中に式典や演武をして、そのままお昼を回っておるな。

色々妾たちも緊張しておったようじゃな。

アマンダが口に出して初めて腹が減った感覚があるのに気が付いた。

と思っていると、ぐぅーっという音が響く。

その音源に全員の視線が集まる。

そこには、アマンダがいた。


「……お腹すいたんで。案内お願いできますか」

「失礼いたしました!! 今すぐ馬車を用意いたしますのでお待ちください」


なるほど、アマンダはお腹が減っていて、学長の予定を聞いたのか。

あとどれだけ待てば食事なのかと。

が、奮戦もむなしく、腹の虫が鳴いたというわけじゃな。

見事に顔を真っ赤にして可哀想に。

まあ、今日一番動いていたのはアマンダじゃから、腹が減るのは仕方がない。

しかし、こういった場で腹の音がなるのは妾でも耐えられそうにないな。

幸い、周りの兵士も、アーネも、近衛隊の隊長も慌てて準備を始めていることから、配慮が足らなかったと反省しているのが救いじゃな。

妾たちも配慮がたらんかったな……反省。



で、大急ぎで準備しているのを眺めて、馬車に乗せられて、揺られて気が付いた。


「のう。何で昼食を食べるためだけに、馬車乗っておるんじゃ?」

「そう言えばそうですね。アーネさん、この馬車はどちらに?」

「はい。城下街にある有名なレストランへと向かっております。皆さまは直ぐに王城へといらっしゃったので、ゆっくりと城下を見る機会がなかったかと思います。この機会を使って、エクスの活気を知ってほしいと、陛下が仰っいました」

「そういうことですか。なら、お店とかも見れる時間はありますか? お土産とか買えたらと思いまして」

「ええ。そういう時間もとるようにと言われております」


ふむ。

邪推をするのであれば、目の届かない妾たちを城から遠ざけたということか。

ポープリと一緒にくるかと思えば来なかったのじゃから、こういう手がいいじゃろうな。

まあ、既に霧華が城には忍び込んでおるので、無駄骨、というよりいい囮じゃな。

恐らくはこの人混みの中にも、監視の役が何人かおるじゃろう。

上手い手じゃな。木を隠すなら森の中というわけか。

最初から目立つ王城からの馬車で無体な視線は山ほど。

これでは監視がどれかわからん。

下手をすると、そのまま暗殺もあるな。

行動を起こすのは危険じゃな。


「つきました。こちらです」


ま、大人しく腹を満たすかのう。

美味い飯じゃといいんじゃが。

香りはいいし、食欲はそそられる。


「このお店は、エクス王都でも人気のお店で、味もよく、値段もお手頃で、貴族から平民まで幅広く好かれています」

「へー、そんなお店があるんですね」


……おそらくこの店のチョイスはアマンダに合わせてじゃな。

食事の作法とかもあったもんではないからのう。


「本当にいろいろな人がいますね。あ、あの人たちは子連れかな?」


そう言って、アマンダが見る先には、家族連れの人たちも見受けられる。

これならアマンダも気を遣わんでいいじゃろうな。

さて、ほかの皆は上手くやっておるかのう?

気にはなるが連絡を堂々と取るわけにもいかんし、まずはこっちの一般料理というのを楽しませてもらうとするかな。




次はようやくノーブルとポープリという本命。


とそこはいいとして、体調が悪化、頭くらくらするわ、はなずるだわ、のどいたいわ、体の節々が痛いから、きっと今から発熱するよな。

薬のんで寝るわ。


あと、質問コーナーだけど、数が集まってないから微妙なんだよな。

今の分でいったんだして、そのあとはちょい考えだな。


ということで、二日後の5月23日投稿できるかちょいわからん。

思ったより風邪がしつこい。

寝てりゃ治るかと思ってたらそうでもなかった。



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