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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 エクス王国編

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第376堀:忙しい一日始まる

忙しい一日始まる





Side:デリーユ




窓から見えるのは、雲一つない青い空ではなく、まばらに白い雲がふわふわと漂っている長閑な空だ。

一日の始まるを告げる風景としては申し分なし。

本日もしっかり働こうと思えるというモノじゃ。


「うむ。こっちは今日も晴れやかじゃな」

「そうね。最近ウィードは雨が多いし」


妾の言葉を聞いたのか、エリスが返事をしてくれる。

エリスの言う通り、なんか知らんがウィードはここ数日雨続きで青空を見ていなかった。

いや、ダンジョン内なのでいつでも天候は変えられるんじゃがな。

なるべく、外の天候と合わせようというのがユキの方針じゃからな。


「こっちでの仕事があってよかったと思えるな。珍しく」

「ええ。普段はユキさんが忙しい原因ですし、いいイメージはないですから」


うむ。エリスの言う通り、ユキがこちらに掛かりきりで大変そうじゃからな。

ユキに与えられている使命から考えると仕方ないのじゃが、妻としては非常に不愉快であり、心配じゃ。


「これが終われば少しはゆっくりできるじゃろ」

「だといいけど。とりあえず、エクスの問題さえ片付けば、6大国全てに繋ぎもできたし、楽にはなるとは思いたいわね」

「まあ、まずはエクスの件を終わらせんとな」

「そうね。今日から本格的に動く感じだし、幸先がいい朝と思いましょう」


そんな感じで、エクス城での朝は特に問題なく迎えることができた。

特に、夜間に襲撃されることもなく、なんというか、ジルバやエナーリアの時より、平和じゃ。

いや、どっちも妾は出産後で自宅待機じゃったがな。

まだ、襲われないと決まったわけでもないのじゃが。

妾たちが話している間に、他の皆も起き始めて、全員が起きる頃を見計らってか、アーネが朝食の用意ができたと呼びに来て、そのまま朝食になった。



朝食は可もなく不可もなく。

多分、この新大陸の水準ではいい方なのじゃろうが、まあ、ウィードと比べるだけ無駄か。

お湯を入れるだけ、3分でできる美味い飯があるからのう。

妾としては、カップラーメンは好きなのじゃが、ユキが体に悪いから、週一、二までというのが残念じゃな。

ま、夜食としてこっそり部屋で食っておるが。

色々種類があるから仕方ないんじゃよ。

太ってもおらぬし、万事問題はないからOKじゃ。

って、なんで朝食を食べながら、他の飯のことを考えているんじゃろうな?


「で、アーネ君。私たちはこれからどうすればいいのかな?」


朝食も終わり、お茶を飲んで一息ついている所で、ポープリが話を切り出した。


「はい。其方さえよろしければ、午前中に正式にポープリ殿、竜騎士殿への挨拶を済ませたいとのことです」

「わかった。護衛の皆の同席は認められるのかい?」

「大丈夫です。が、陛下から直接言葉を賜るのは、ポープリ殿とアマンダ殿だけです。他の皆さまは私たちと一緒に、下がった場所からということになります」

「ま、当然だね」


じゃな、必要のない人物で、他国の人間を無為に王に近づける理由はないからのう。


「……」

「アマンダ落ち着いて。ノーブル王も慣れていないのはご存知だから、そこまで硬くならなくていいのよ?」


ポープリとアーネが話している横で、固まっているアマンダにエリスが声をかけているが、ありゃ駄目じゃな。

妾が王女様だったとか伝えたらどうなるかのう?

いや、ユキのメンバーの素性を伝えたらきっと死にそうじゃな。

だって、王族も知り合いは山ほどおるし、サマンサが公爵じゃから判断があいまいじゃが、そこはいい。それより上の神様を手足の如く使っておるからな。

そんなことを考えていると、横におったタイキから声がかかる。


「なにかあると思いますか?」

「今のところは特に殺気は感じんのう。勇者や日本人としての勘ではどうなんじゃ?」

「勇者としては、魔王様と同じように怪しい空気は感じませんね」

「魔王様は余計じゃ。しかし、勇者としてはか。日本人としてはどうなんじゃ?」

「うーん、日本人としては、アマンダが緊張しすぎて面白いことをやってくれるってところに期待ですかね。お約束ってやつです」

「それは、下手するとクビが飛びそうじゃがな……」

「現実はそうですよねー」


なにをのんきな。

そういうお約束は漫画だから許されるのであって、普通は相応の処罰が下る。

なあなあで済むことなど、この王権が大事な世の中では有り得ん。

……なんか一気に心配になってきたぞ?

アマンダ、間違っても問題になるようなミスはしてくれるなよ。


そんな心配をよそに、特に問題もなく、正式な訪問歓迎の簡素な式典は終わった。

ふう、なんというか、胃に悪かったな。

今までは問題があっても、力押しでよかったのだが、今回はそうもいかんからな。

その違いじゃろうなー。

ユキがいつもなるべく被害を最小に済ませようとしているのは、こういう心の負担も含めてなのじゃろうな……。

今後は妾もそこらへんには気をつけよう。



「ぎ、ぎんじょうしたー」


で、その式典を乗り切った本人は部屋に戻ってぐだっーとしている。

見ているほうもハラハラだったがな。


「ま、何事もなくてよかったわ」

「そうじゃな」


エリスの言葉に心底同意する。


「何事もありましたよー!! へ、陛下にフォローしてもらうなんて、私、大丈夫でしょうか……」

「問題ないよ。一般の人はそういうものだからね。しかも、アマンダはエクス王国の国民でもない。私の連れであり、学生、そして竜騎士だからね。これしきで問題を問うことがあれば、それこそ器量を疑われるからね。むしろ……」

「むしろ?」

「君が野心がない、ただの学生ということが知れて安心しただろうさ。ノーブル王以外もね」

「どういうことでしょうか?」

「そこは戻ってからだ。これから、アマンダはいろいろあるんだからね」

「あう。そうでしたー。これから、ワイちゃんを飛ばして見せるとか、あるんでした……」

「そのあとは、兵の訓練を見るとか、城内の案内を受けないと。私の方は魔道具の検分だね」

「が、学長は一緒じゃないんですか!?」

「竜騎士の演武までは一緒だろうが、そのあとの魔道具は機密になるからね。アマンダが是非にというなら可能だが、魔道具を見て意見を出せるかい?」

「無理です。遠慮します」

「それが賢明だよ。なに、そっちにはエリス殿、デリーユ殿、タイキ殿、そして君の夫、エオイドもいる。そうそうまずいことにはならないよ。フォローはしてくれる」

「なんか、私がダメダメな気がしますけど……わかりました」


上手く話しをそらしたな。

ただの学生というのが、今は上手く機能したか。

ノーブル王が言葉で大丈夫とは言っていたが、ノーブルの部下は竜という生物への恐怖が少なからずある。

言葉だけで完全に拭えるものではない。

それは竜を操るアマンダも恐怖の対象になってしまうと言う事だ。

だが、緊張でガチガチになったアマンダを見て、ただの一般学生だという認識が生まれたということだろう。

あれなら妙な野心もありはしないと判断される。

王や国を害する可能性は低いとみられて、取り込む方向に動くだろうな。

暗殺よりはマシじゃな。

ま、これを本人に言えば、変にまた緊張するから、かえって逆効果になりそうじゃな。

だからポープリは明言を避けたという所じゃな。

そんな風に軽く休憩をしつつ雑談をしていると、アーネが部屋に訪れた。


「失礼いたします。ポープリ殿、ララ殿、魔道具の件でお話がございます。よろしいでしょうか?」

「ああ、かまわないよ」

「はい。大丈夫です」

「竜騎士殿の演武後に予定している、魔道具の検分ですが、何方(どなた)がいらっしゃるのか、確認をとってくるように言われましたので」

「そうだね。私とララだけの予定だよ」

「えーっと、ほかの皆さまのご同行は無いのでしょうか?」

「おや? 同行してよかったのかい?」

「はい。ポープリ殿を信頼しているとのことです。また、視点が違えば見える物も違うのかもしれないとのことです」


ほう、向こうから誘ってくるか。

しかも、誘い方も自然で違和感がない。

下手に断るわけにもいかない言い方じゃな。


「そうだな。それなら……、といいたいが、やはり私とララだけにしておこう」

「理由をお聞きしても?」

「簡単だよ。昨日も今日も見たと思うけど、まだまだアマンダは場慣れしていない。ポロっとミスが出る。そういう意味で他国の機密に触れさせるわけにはいかないよ」

「……なるほど。わかりました。しかし、残られる皆さまはどうするのでしょうか?」

「よければ、城内などの見学をさせてもらえないかい? そっちの方がアマンダとかの若者にとっては勉強になるだろう」

「わかりました。そのように陛下にはお伝えします」


そう言ってアーネは退出していく。

アーネが出ていくのを見届けたあと、アマンダが口を開く。


「なんでノーブル王は学長以外の人も呼ぼうとしたんでしょうか? いえ、エリス師匠やデリーユ師匠ならともかく、私やエオイドは全然ですし……」

「んー。一応言わないわけにもいかないだろうね。竜騎士は役に立たないと最初から烙印を押してしまうようなものだから、お伺いを立てたんだろうさ。勝手に判断するのと、伺いを立てた上で相手が断るのとは全く違うしね。他国への印象もある」

「うーん、なんか難しいです」

「そういう所も追々勉強しないとね」

「……わかりました」


本来はこれが普通なんじゃろうな。

一般人は政治とか駆け引き何ぞ無縁じゃからな。


「そういえば、竜騎士の演武といっておったが何をするつもりじゃ? 曲芸みたいなことは練習しておらんぞ?」

「ああ、ただ飛んで回るぐらいだろうさ。魅せることが演武の目的じゃないからね。アマンダとワイちゃんの能力披露が目的なんだよ。まあ、なにかリクエストもあるだろうけど、そこら辺は私とよく相談してからだね。勝手に安請け合いはしないように」

「はい」


演武の内容もそれなら特に問題はなさそうじゃな。

いや、曲芸じみたことはワイちゃんは訓練でよくやってただろうから、できないことはないじゃろうが、アマンダが目を回すじゃろうな。

まあ、そんな感じで、アマンダが披露する演武の内容を適当に決めていると、本番の時間が来たようで移動を開始する。

アマンダは案の定、緊張でカチコチ。

間違って観客席とかノーブル王の所に突撃とかはやめてほしいのう。

その時は妾たちが止めるしかないか……。

そんな不安を抱えつつ、移動をしていると……。


『そっちが動き出したのは確認した。こっちが知りうる限りの重要人物のほとんどはその演武に出るみたいだから、今からスティーブたちや霧華の行動を開始する。そっちはノーブルとほかの動きをよく見ててくれ。連絡を取るようなそぶりがあるか確認してほしい』


ユキもついに動き出したか。

ほかの皆も連絡が来たらしく、目配せをして頷く。


さあ、ここからが本番じゃな。

そちらもいろいろ思惑があるのじゃろうが、こちらもこちらでいろいろあるからな。

化かし合いといこうかのう。



さてさて、これから忙しい実況中継がはじまりますよ。

LIVEってやつです。


あと、モンスター文庫で4巻の表紙が公開されましたねー。

ついでに月曜は博多のバスターミナルで艦これしてきますわ。

誰か来る予定があるなら会えるといいね。

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