第350堀:教えて女神様!! (駄目神)
第350堀:教えて女神様!! (駄目神)
Side:ユキ
「ふぁぁ……。ねむ」
そう言って、ジャージの隙間から手を入れてお腹をボリボリとかく喪女、はたまた干物女が1人。
その名をルナという。
俺をこの異世界に放り込んだ張本人であり、自称、上級神という神様で、複数の知的生命体がいる、複数の星をまとめる神様らしい。
らしいというのは、目の前の姿や今までの関わりで、女神らしいところを全く見たことがないことに起因する。
初対面はスーツ着込んだOLだったし、必要があって久々に呼べば変なポーズとって神とか言ってすべるし、最近では発展したウィードの一角に勝手に住み着いている始末。
いつの間にウィード住民になったのかは分からない。
そこら辺は神様らしく、神様能力を利用して認識を操作したらしい。
お金、生活費は嫁さんたちのポケットマネーで補われている。あと、リリーシュからもせびっている。
俺としてはこんな災厄の元なんかはさっさと追い出したいのだが、嫁さんや娘の安全は確保してやると言っているし、嫁さんたちは色々世話になっているから、普通に受け入れている。
嫁さんたちが決めたことだから、俺がとやかく言うわけにはいかない。
ということで、よほどのことがない限り、こちらから接触するのはやめていたのだ。
俺と嫁さんの間に子供ができるかの問題で久々に連絡とったときは、それがきっかけで新大陸の方も任せられる始末になったしな。
女神ヒフィーの問題も、解決の為に俺が結局巻き込まれた。
どうよ? この駄目神を頼った結果、俺に被害がくる確率。
いや、頼った分の対価がいるのはわかる。
しかし、その内容も頼るというより、向こうの落ち度ばかりで、俺に責任はない。
子供が作れるかの問題も、俺の種族をダンジョン運営族という意味不明な種族に変えたせいで、某映画の如く、子供が母親のお腹を食い破ってでてこねーだろうな? という懸念から聞いたのだし、ヒフィーの件に至っては、後始末をきっちりしていなかった駄目神のせいである。
だから、本来、この駄目神には決して頼りたくないのだ。
どうせまた厄介ごとを任されるに決まっている。
嫁さんとかは女神様のお告げみたいなものだしーと、ルナには非常に甘いというか、魔力枯渇の件は自分たちの責任もあるとして、積極的に動く意思がある。
が、物事には限度という物がある。
ウィードの大陸でこれからのんびりDP稼いで、じっくりと魔力枯渇の研究を進めようとしたら、戦乱渦巻く、魔力が少ない、魔力枯渇が著しい大陸へのご案内。
それを調べるうちに、その大陸で大規模な戦争を起こさせるわけにはいかないと判断し、右に左に奔走する日々。
これに加え、追加で変なことを頼まれたら手が回らんわ。
だが、ここに来て厄介ごとが増えた。
敵対勢力にダンジョンマスターがいるような行動が見られるのだ。
となれば、今まで、魔力枯渇対策としてこの世界のダンジョンマスターを任命していた、ルナに話を聞くのが筋である。
……あわよくば、本当にあわよくば、話し合いで終わるかもしれないから。
……身内の女神相手に噛みつかれてたようなもんだし、本当に雀の涙程度の希望だが。
「あん? 新大陸の方に、コメットとあんた以外のダンジョンマスター? 生きてるのがいたの?」
駄目だった。
よし、情報がないなら帰ろう。
これ以上問い詰めても、時間の無駄だ。
逆に面倒になりかねない。
「よし。知らないならいい。こっちで調べる。コメット、行こう」
「まあ待ちなよ。少し詳しく聞いてみたらどうだい? 上級の女神様、それに2人も女神もいるんだ。こう、女神の力でぱーっと、とかあるかもしれないだろ?」
しまった。
コメットはルナという女神に対しての認識が甘かった。
ヒフィーのことも、身内だし仕方ないという甘ちゃんである。
研究者として頭は回るが、こういうところは駄目なわけか。
いや、普通なら、女神が3人もいるならどうにかなると思うか……。
「いいこといった、コメット。ほら、あんたも座り直しなさい。女神を頼ることは決して間違いじゃないわよ。というか、あんたの場合は、女神は厄介者って顔してるからね」
「当たり前だ。後ろでせっせとご飯の準備と、部屋の掃除している2人の女神を含めて、お前らが俺に何の恩恵をもたらしたか、言ってみろや」
俺がそう言うと、2人の女神がピタッと固まる。
「えーと、わ、私はほら、奥さんたちに女神の祝福与えましたし?」
そう言うのはリテア聖国が崇め奉る愛の女神リリーシュ。
「シェーラとキルエも巻き込んで、大騒動一歩手前だったけどな。というか、自分の宗派が手に負えなくて俺に丸投げだったよな?」
「あう……。申し訳ありません」
で、もう1人の女神は、こっちから目をそらして、料理を再開している。
ま、焦げたりして味が落ちると、ルナが五月蠅いのでそれはいいか。
「そっちのヒフィーとかいうのも、俺に尻拭いさせた挙句、それに文句言って、このコメットと一緒に邪魔しただけだよな?」
「うぐっ!?」
「あー、ユキ君。耳と心が非常に痛いから、やめてくれ」
ということで、ヒフィーとコメットも封殺。
「あんたねー。女神イジメてどうするのよ。おつむが足りないとはいえ、この子たちも頑張っているのよ?」
「「あぐっ!!」」
ルナの一言に、2人が胸を押さえる。
お前が止めさしてるんじゃねーよ。
「で、ダンジョンマスターの件ね。ま、流石にヒフィーの件はあんたに迷惑をかけたからね。こういうことぐらい手伝っても罰は当たらないでしょう」
「いや。お前が罰を当てる側だからな?」
俺の突っ込みは無視して、ルナは虚空から紙の束を取り出す。
「えーと、これじゃない。これでもない……」
そう言って紙をポイポイとテーブルの上に置いて行く。
一枚が不意に俺のところに滑ってきたので、それを取ってみてみると、どうやら、何かの確認表みたいで、名前らしきものが書いてあって、それを上から斜線を入れて消してある。
この書類の名前は全部斜線が入っているな……。
で、もう一枚同じように、紙が滑ってきたので、それも見てみると、それには名前が斜線を入れられずに残っている。
愛の女神 リリーシュ 健在だけど、殆どやくにたたねー奴ら。以下同文
剣神 ノゴーシュ
魔術神 ノノア
農耕神 ファイデ
獣神 ゴータ
ダンマス ライエ 引きこもりすぎて望み薄
ダンマス ジョルジュ 同じくヒッキー
以下複数
んん?
ちょっとまて、知ってる名前があったぞ。
「ルナ。知ってる名前があったが、これってまさか……」
「ん? 名簿よ、名簿。ああ、それついでだから見ておきなさい。それがこの大陸で一応連絡が取れている連中だから。あとは消息不明。ぶつかるか、話し合うかはそっちしだいね」
「やっぱりそうかよ!? ちょっとまて、あと神様が4人もこの大陸いるのかよ!?」
「4人もって、少ない方よ? あんたの日本なんて八百万でしょうが。管理する私の身にもなれってーの。ま、大体兼任してるけどね。他の神は魔力枯渇ですっぱり消えてるし、リリーシュは愛以外にも、兼任してるわ。他の神も同様ね。まあ、だからと言って力がそこまであるわけじゃないけど。使えないわよねー」
「も、もう、駄目。ヒフィーちゃん、あとは……」
「リリーシュ、しっかりしなさい!! 私にこっちの女神も勤めろとか、どう考えてもオーバーワークです!!」
ルナの容赦ない評価により、今まさに一人の女神が消えようとしていた……。
「って、やかましいわ。お前等既に俺に丸投げだろうが。泣き言とかいいから、少しでも役に立てよ」
「「はい。すみませんでした!! ちゃんとこれから頑張ります!!」」
本当にそうしてくれるとありがたいんだけどねー。
「あんたねー。女神に謝らせるとか、どういう根性してるのよ?」
「お前がいうな。しかし、この名前記録させてもらうぞ?」
「いいわよ。さっきも言ったけど、いずれこいつらとは出会うわ。今のところ、大人しいけど、ウィードが一大勢力になって、顔を顰めている神は少なくないわよ?」
「いや、少ないだろ。4人しかいねーんだから。で、どいつだよ? こっちに不満もってるの?」
「えーっと……だれだっけ? リリーシュ?」
「はい。剣神と魔術神、獣神は降臨して、自ら国を運営していますから、このウィードに対してはあまり好ましいとは言えないですね。その、ルナ様の寵愛を賜るユキさんが妬ましいのかと……」
「は? 寵愛?」
「あ、いえ、傍から見ればということです」
「ああ、なるほど」
「私だって勘弁よ。こんな小姑みたいな男を夫にもらうかっての。と、見つけた。今はこっちが大事でしょう?」
そう言って、ルナがこちらに一枚の紙を渡してきた。
その紙に載っているすべての人名は斜線で消されている。
その中には、ヒフィーとコメットの名前もあった。
なるほど、これが新大陸の神様、ダンジョンマスター名簿か。
「……って、多いわ!! 50名近くはいるぞ、おい!!」
ざっと見ただけで、神様25、ダンマス25ぐらいだ。
どれだけ、ダンジョンマスター生産して失敗しているんだよ。
どう見ても、調子に乗って店舗立てまくって、あとで畳むことになった量販店ぐらいにしか見えねー。
「こっちだって手探りなのよ。と言っても、見ての通り、私の記録の限りでは音信不通か全滅。こういう意味では、人数が足らなかった、質が悪かったってことよねー」
「確かに死亡を確認したって言っても、コメットの例があるからあてにならんか……」
「そうよねー。アンデッドで復活してたら、分かりっこないわ。向こうから連絡来ればわかるだろうけど、こっちからは探せないわね」
「稼働中のダンジョンコアに連絡はできないのか?」
「分かって言っているでしょう? できないことはないけど、逆にそれで更に警戒する可能性もあるし、何も関係ないダンジョンコアにも連絡がいって、私という上級神が、新大陸に来ていることがばれる。本当と見るかどうかは受け取り手しだいだけど、あんまりいい方向には転ばないわよ」
「だよなー。稼働中だから、ダンジョンマスターでなくても見る可能性があるし、それをどう利用するかさっぱりわからん。取るべき手段じゃねーな」
さて、どうしたもんかな?
名前は分かったが、情報が古すぎるせいで、コメットのように復活している可能性もあると。
そもそも、ダンマスが裏にいるかも定かではない。
俺やコメットみたいにダンジョンマスターの能力を一部委譲しているようなことも考えられる。
「……そう言えば。コメット」
「なんだい?」
「コメットの生前、ほかのダンジョンマスターと事を構えたようなことは?」
「いや、全然。どこかのダンジョンが攻略されたーとかいう話はよく聞いたけど」
「あ、攻略されたのかよ」
「だろうね。あ、いくつかのダンジョンはベツ剣をもった彼女たちに攻略を頼んだかな? ほかのダンジョンの情報は欲しかったしね」
「そのダンジョンのマスターとは?」
「いや、会っていない。稼ぎ用のダンジョンだったみたいで、ダンジョンコアだけ回収してきただけさ」
「そうか」
うーん。
こりゃ、ダンジョンコアを奪ったやつが本拠に届けるまで、こっちで調べようがないな。
名簿が手に入っただけ儲けだと思うべきだな。
「あ、そうだ。ベツ剣を持った彼女たちなら当事者だし、知っている名前もあるかもしれない。彼女たちに見せて、話を聞いてみるのはどうだい?」
「そうだな。と、それならホワイトフォレストの王様や宰相さんも知ってる可能性があるな。そっちも見せてみるか」
「あははは。神様とダンマスの名簿なんか見せたら卒倒するかもね」
「あり得るな」
ま、どうせホワイトフォレストには戻らないといけないし、サマンサの姉ルノウと共にホワイトフォレストの件をローデイに報告する義務もある。
やることは他に色々あるし、一旦ダンジョンコアを盗んだ奴は放置だな。
監視に発信機はつけてるし、これ以上はどうしようもないか。
「よし。ルナ、助かった」
「ふぁいふぁい。ずずず……」
既にルナはヒフィーが作ってくれた袋ラーメンを食べていた。
この女神の食生活が心配になってきたわ。
悔しいことに、感想欄にすでに、同じネタを言われている。
くそぅ!!
ま、そこはいいとして、今回のは俺のやり方を知ってる皆々様ならわかると思うけど、絶対後でってやつだ。
キルエが集めた不審な噂も、関係してるかも……。
これが次のネタかもねー。
が、先に調べるは、新大陸の名簿だ!!
さあ、誰が出てくる!!
で、そこはいいとして、17日にPSVITAでDL販売した「俺に働けっていわれても 酉」買った。
相変わらず、ヒッキーで稼げてすげーと思う。
ゲームシステムも面白いからOK。
大家は相変わらず鬼畜だと思うけどな。




