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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 暗躍する影編

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第341堀:色々な繋がり

第341堀:色々な繋がり





Side:トーリ




白い……。

目の前が、真っ白。

雪が原因。


車は旅足を止めて、一旦吹雪が収まるのを待っている。

前方車両に乗っているユキさんは、ルノウさんからホワイトフォレストの話を聞いて、クロウディアやカーヤとの差異が無いか確認をしている。

私たちはそのクロウディアとカーヤと一緒に乗っていて、道に間違いがないかを確認している。

ルノウさんには、この2人は旅先で奴隷になっていたのを保護して、ついでにホワイトフォレストに送り届けると説明して、それで納得してくれた。

まあ、この2人が現国王陛下の妹と宰相の姉なんて言っても信じられないどころか、信じてもらっても、超ド級の外交問題になりかねないから、間違っても言っちゃだめとユキさんに言われている。


ビュゴー……。


そんな音で我に返ると、車のガラス窓を風が叩きつける音だ。

外は本当に真っ白。

ユキさんの車が無ければ、徒歩での移動だったよね……。

……お、お耳が取れる。

つい、冒険者時代のトラウマが発動してしまう。

雪山の山頂でしか採れない草を採るために行ったのだけど、危うく、ケモミミを凍傷で切り落とす一歩手前だった。

ということで、ユキさんが用意した安全な雪ならともかく、自然が生み出す驚異の雪は私にとっては天敵。

いや、私のお耳を大好きと言ってくれるユキさんの為にも、絶対にケモミミは死守しなければいけない。

だから、今回の為に、ナールジアさんにお願いして、ケモミミパーフェクトガードを作ってもらった。

ケモミミを覆うように羊毛を編み込んでかぶせるタイプだ。

これにはフィーリアがユキさんに贈った特殊防具に使われた、合金糸を使っていて、エンチャントもばっちりで、適温、超防御力、などなどを持つ、文字通りパーフェクトなケモミミガードなんです。

完全にオーダーメイドで、お値段は……、あれです、私がユキさんの身内だからOKってことで。

優しい旦那様ですから、これぐらいの贅沢は許してくれます。


「ふわー、凄いねー。ここまで吹雪って普通?」


で、当初、ケモミミガード無しに、この吹雪に臨もうとしていたリエルは、車内だからといってケモミミガードをつけないでガラス越しに外を見ている。

リエルはケモミミガードをつけると音の聞こえがよくないからと嫌がる。

まあ、それもわかるから、今はとやかく言わないでおこう。


「んー。今は分からないけど、昔はこの程度の吹雪は普通にあったわよ。ねぇ?」

「ええ。この程度は冬の時期であれば、普通にありました。特に珍しいものではないですよ」


リエルのそんな質問に、ちゃんと答えてくれるカーヤとクロウディア。

二人はあの後、ほかの聖剣使いの皆と話をして、快く里帰りを認めてもらい、後顧の憂いなく、私たちについて来てくれた。

……正直、凄いと思う。

私も、リエルと一緒に村を逃げてきたけど、今はまだ戻りたいと思わない。

だって、凄く怖い。

優しいと思っていた村の皆が、家族が、リエルを躊躇いなく殺そうとしていたから。

きっと、今の実力なら殺されることはない。

だけど、殺されないだけで、何も変わらない。

また、リエルが理不尽に罵倒されて、いじめられるだけだ。

そうなったとき、私は村の皆に暴力を振るわないでいられるかわからない。

……だから怖い。

いつか私とリエルも、故郷の村に戻るときが来るのかな?

その時、私は、どうなるんだろうか?


「この吹雪が普通ですか。よくもまあ、こんな環境で無事に過ごせますね」


ラッツがそう返事をして、私の意識が引き戻される。

いけない。その時になって考えればいい。

今は、ちゃんとホワイトフォレストの話を聞こう。

まだ聞いていない、有益な情報があるかもしれないし。


「……それは、コメット様のおかげよ」

「はい。コメット様により、私たち亜人は北方の地で生きていけたのです」


カーヤとクロウディアが、バツが悪そうに言います。


「ああ。そう言えば、コメットが亜人の国の建国を手伝ったとか言ってたね」

「言ってましたね。しかし、それがホワイトフォレストとは聞いていませんでしたが」

「コメット様は、見ての通り研究一筋で、国というくくりに興味はあまりなかったのよ」

「でも、魔力枯渇に何かしらの関係が大きい亜人を、大きくなりつつあった種族による差別意識での排斥や争いから遠ざけるために、北方のこの地に、亜人の国の礎を作ったのです。当時は他に亜人の国はありましたが、今では、併呑されているか、滅んでいるかです」

「なるほど。北方の過酷な地だからこそ残ったような感じですか」

「そうよ。通常の人にはこの地で生きるのは辛すぎる。攻め落とすだけにしても、一年の半分以上が雪で覆われているから、非常に進軍が困難」

「天然の要塞って感じですね」

「はい。極寒地で作れる食料や、DPを注ぎ込んで食料をだすダンジョンコアなどを分けてもらい、小さな村は、……コメット様が亡くなられて、ピースとの争いの10年の間に瞬く間に国となりました。その時、皆を守ると言って立ったのが……」

「クロウディアのお兄さんということですか」

「はい」

「だから、ホワイトフォレストの人はコメット様に深く感謝をしているし、当時、コメット様が拾った一部の人の孤児たちもホワイトフォレストでそのまま生きていたから。そこまで人に敵愾心はないのよ」

「逆に、今では、それが原因で亜人至上主義のみを掲げる一派と別れているのですが」

「それも、私たちが世界を救う価値無しと、認めた一端ではあるんだけどね……。あんなの見せられちゃ、何のために私たちがコメット様やピースを倒したのかさっぱりわからなくなっちゃったのよ」


……その気持ちはわからないでもない。

私も警察の仕事で種族間の揉め事で仲裁によく入るけど、なんでこんなことが起こるか理解できない。

だって、ウィードは色々な種族が楽しく幸せに過ごせるようにと願って作ったのに、くだらないお互いの種族の貶しあいを見せられると、ウィードから追放したくなる。

平和を壊すなら、いなくなってしまえと思う。

……でも、ユキさんが相互理解のためにはこういうぶつかり合いも必要だって言ってるから、我慢してる。

……うん。私もきっとユキさんがいなければ、聖剣使いたちみたいになったのじゃないかと思う。


「なるほど、ま、色々心中複雑でしょうが、そう言う難しいことを今考えても面倒なだけです。ホワイトフォレストの特産とか、何か面白いものでも教えてもらって良いでしょうか?」

「そうだね。僕はそっちの方が、興味があるかな。難しい話はユキさんがいるから大丈夫だよ」


リエルのその発言はユキさんに丸投げするってことなんだけど、思わず、ラッツやカヤと顔を合わせて笑ってしまう。


「……ユキに任せておけば問題ない」

「はい。問題ないですね」

「あっはっはっは。お兄さんには申し訳ないですけど、これには同意ですね」

「だよねー。で、ホワイトフォレストってなにがあるの?」


そういわれて、二人は顔を見合わせて苦笑いをする。


「……はぁ。リエルには敵わないわ」

「そうですね。心配事はリエルの夫に任せて、私たちはお喋りでもしましょう」


2人ともリエルの笑顔に観念して、希望の話をしようとする。

リエルのこういうところはすごいと思う。

ユキさんがリエルに色々任せたのは分かる。

やっぱり、リエルは私の自慢の親友なんだ。


「じゃ、どの話がいいかしら?」

「えーと、チーズクリームシチューとかどうかしら?」

「それはあったわね」

「何それ? 新しいクリームシチュー?」

「いや、ホワイトフォレストの方が古いんだから、昔からあったのよ」

「あ、そうか。で、その古いクリームシチューってどんなの?」

「古いクリームシチューって言い方はやめてよね」

「ごめんごめん」

「えーと、ですね。先ほども言いましたが、北方の地で通常だと食べられるものがとても少ないのですが、そのような北方の地にも生きる動物や魔物は沢山いるのです。山羊とか牛とかですね、ほかの国よりわりかし、毛が深かったりするのですが……」

「ああ、確かリエルと雪山のクエスト受けた時にも、山羊が雪山にいた」

「うん。そういえば、いた。確かに毛深かった気がするし、なんか群れみたいな感じだった」

「……山岳部に山羊とかは普通にいる。ある意味で天敵が少ないから。牛に関しては、そこら辺の特有だと思う」


あ、カヤの村だった場所も山の麓みたいな感じだから、知ってたのかな。

そう言えば軽々と切り立った山肌をぴょんぴょん跳んでた気がする。

うぬぬ、動物も侮れない。


「餌さえ確保できれば、その手の動物はどうとでも生きていけますからねー。ああ、チーズやクリームのミルクは山羊や牛からですか?」

「……ほんとあんたたちには説明のしがいがないわね」

「なははは。これもお兄さんのおかげですね。ま、材料の元が分かっても味はわかりませんよ? 具材もあるでしょうし」

「ラッツさんの言われたように、山羊のチーズとミルク、牛のチーズとミルクの二種類に分かれていて、山羊の方にはキノコをメインに、牛の方には木の実をメインに具材として入れて、香草を加えて味を調えます」

「へー、冬の山でキノコとか木の実ってあるんだ」

「あるわよ。まあ、絶対量がたらないから、コメット様が一部の土地を季節が変わらないようにって、なにかの研究の一環でして、そこから一定の供給ができるのよ」

「ホワイトフォレストでは聖地とされている場所で、そこから森の恵みをいただいています。まあ、その実はそこら一帯の一定温度を保つことと、土地の栄養の供給、再生能力の特化、という話で、本当にコメット様のおかげなのですが」

「ディアはよくそんなこと覚えているわね。コメット様の言ってることは私にはさっぱりわからなかったから聞き流してたわよ。というか、そんなことしてたんなら、もっと場所を大きくしてくれたらよかったのに」

「カーヤ、それはできないんですよ。雪山全体にそんなことをすれば、いままであった生態系がくずれて、どんな影響がでるかわからないと言っていました。だから、時間をじっくりかけてデータを取る必要があると……」

「……ごめん。よくわからない」

「……カーヤ、馬鹿なのはやめて。私も名前が似てるから、馬鹿だと思われる」

「なっ!? なら、カヤは分かるって言うの? 私に詳しく教えてよ」

「…………」

「なに黙ってるのよ。やっぱりカヤも分からないんじゃ……」

「……馬鹿にどう説明したら、分かってもらえるかわからない」

「むっきー!!」


あ、カーヤが爆発した。

でも、カヤに片手で押さえつけられている。

それを眺めていると、不意にリエルが自慢気げにこういった。


「ふふん。僕はわかるもんね!! ね、トーリ」

「え?」


自然に信じられないといった返事を返してしまう。

だって仕方がない。

いつも書類仕事とか、難しいことは他に丸投げなんだから。


「ひっどいよー。ねえ、ラッツ、トーリが僕を馬鹿って思ってるよ!!」

「あはは。あまり外れではないでしょう? 私たちに書類仕事回しますし」

「ぐっ。ふん、いいもん。ユキさんは僕の事、馬鹿って思ってないから。もう寝る」

「ありゃ、すねちゃいましたね」

「ごめんね、リエル。機嫌直して」

「ふーんだ」


毛布をかぶってもぐりこんじゃった。

ああなると、そうそう動かない。

仕方ない、奥の手を使おう。



「あのーもしもし」

『ん? トーリどうした?』

「えーと、ちょっとリエルがすねちゃいまして……」

『リエルが? 珍しい』

「あはは、ちょっとからかっただけなんですけど、馬鹿ってのがよくなかったみたいで」

『あー、リエルは自分がそこら辺、未熟なのを気にしてるからなー。あんまり突いてやるなよ?』

「はい。注意します。で、お願いがあるんですけど……」

『分かってる。リエルにこっちから連絡して機嫌をとるよ。今はリエルの機嫌がもとに戻るのを待つ時間は惜しいからな』


ということで、リエルをユキさんに任せて、観察する。

恐らく、ユキさんから連絡が来たのだろう。

はみ出ている尻尾が、ゆらゆら嬉しそうに揺れている。

そして、数分後……。


「僕、ふっかーつ!!」

「おお、お早い復活ですね」

「えへへー。ごめんね、ちょっとムキになっちゃったみたい」

「こっちもごめんね。リエルがそこまで気にしてるとは思わなくて」

「ですね。冗談がすぎました」

「いいよ。僕もみんなに甘えすぎてたからね。今度からちゃんと頑張るよ」

「うん。期待してる」

「頑張ってください」



結局、その日は吹雪が止まず、半日車の中で待機することになったけど、こういう時もいいかなーって思う。

人って、色々なことがあって仲良くなるんだなーって思う日でした。







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