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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 暗躍する影編

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落とし穴58堀:雪とは?

雪とは?




Side:ヒフィー




雪が深々と降り積もり、辺りは一面雪原。

ヒフィー神聖国ではこの景色はあまりいい思い出がありません。

年に数回ある程度なのですが、極稀に、これが二週間ほど続く年があり、その際は多くの凍死者や物流の停止により餓死者がでます。

元々国力が乏しく、コメットを墓から掘り起こすまでは、こういう突発的な気候の変動に非常に悩まされてきました。

コメットを発掘してからはダンジョンマスターのDP交換スキルで寒さや飢えで人々が命を散らすことは少なくなりましたが、私としては、やはり、冬の白、雪というのは、命を奪うというイメージが焼き付いているのです。


……ですが。



「おーい!! もっと雪だ!! たらねぇ!!」

「もっと高く!! もっと高くだ!!」

「「わーい」」

「こら、危ないから、向こうの遊び場に行きましょうね」

「「はーい」」


ザワザワ……。



このように、ウィードでの雪は特に問題は無いようです。

というか、わざわざ雪原の階層を用意していて、なにやらイベントをやっているようです。

私は、仕事の一環だと言われて連れてこられたのですが、どう見ても子供はともかく、いい大人が雪遊びをしているようにしか見えません。

もっと、ほかにやることがあるでしょうに……。


「おーい。ヒフィー、何やってるんだよ!! ほらちゃんと手伝ってくれよ!!」

「……コメットは何をしているのですか」


そのイベントの中に混じって遊んでいるのは、何を隠そう、身内の恥である前ダンジョンマスターでリッチと化したコメット。


「え? いや、イベントに参加しろってユキ君の命令だしねー。上司の命令には従わないと。敗者はなにも語れないんだぜぃ?」

「はぁ……。わかりました」


そう、今の私は一国の主でもなく、ましてや神でもなく、ただの一般人として、このウィードのイベントに参加しているのです。

このウィードと言う国を治めるのは、ルナ様に新たに呼び出された、異世界からきたダンジョンマスター、ユキ殿。紆余曲折あり、私とコメットはユキ殿と対峙し、それはもうコテンパンに……、いえ、完全に遊ばれて敗北し。己の未熟さを痛感して、今は今代のダンジョンマスターの元、研鑽をつみ、共に魔力枯渇の解決への道を模索する同志となったのですが……。


「ほら、その雪玉大きくしてこっちに持ってきて」

「……なんで、こんなことを」


流石に、この賑やかなイベントをぶち壊しにするような、言葉を声を大にしていえるわけもなく、わたされた雪玉を転がして、大きくしていく。


「なんでって、そりゃー、ウィードの文化を学ぶためだろう?」

「これが文化ですか?」

「十分文化だよ。雪の日は仕事をしないで家に引きこもるしかなかったんだ。それを、皆でワイワイやれる日に変えられるなんて、君にはできなかっただろう?」

「それは……、そうですね」


確かに、コメットの言う通り、私の国元ではこんな日は家で大人しくして、凍えぬよう、飢えぬように、じっと耐えてくださいとしか言えなかった。


「君はただのお遊びぐらいに思っているかもしれないけど、これは他所から見物人が来るどころか、他所からの参加者も来るぐらいだよ。ほれ、あそこ」

「え?」


私がそちらに視線を向けると……。


「えーい。ヒギル、もっと雪を持ってこい!! 我が国の盾を再現するのだ!!」

「勝手に路線変更しないでください!! いいですか、大工、鍛冶の皆さん、予定通り、ガルツ城のミニチュアですよ」

「「「うっす!!」」」

「なんでだー!! これならきっと優勝狙えるだろうが!!」

「一人でやってろ、馬鹿姉!!」


確か、あれはこの大陸の5大国の1つの王族の方々……。


「さ、リリーシュ様。そこへお掛けください」

「あのー。私もー、教会の子供たちとー、雪だるまをー」

「リリーシュ様、大丈夫です。そちらの方は我がリテア騎士団がお手伝いをしていますので」

「あとー、私はー、リリシュですよー?」

「これは失礼いたしました。ですが、ご身分を隠されているとはいえ、私たちの女神であることに変わりはありません。今までの失礼を払拭するために、リリシュ様の立派な雪像を完成させたいのです!!」

「はぁ……、アルシュテールちゃんの気持ちはわかったわ。なるべく早くお願いね」

「はいっ!! ほら、全速力!! リテアの女神を雪で再現しますわよ!!」

「「「おおっーーー!!」」」


あっちも、この大陸の5大国の聖女と……。


「あ、やっほー。ヒフィーちゃん」

「あ、どうも」

「あら? リリシュ様のお知り合いですか?」

「そうなのよー。あの人はヒフィーちゃんって言ってー、私と同じか……むみゅ?」


すさまじいことを口走ろうとする、こちらの大陸の女神の口を封じる。


「あ、ははは。リリシュ様とは昔、同じ教会で研鑽をつんでいまして、まさか、リテアの聖女様とお知り合いとは思わなくて……」

「ああ、そういうことですか。リリシュ様と仲良くしていただいて感謝いたしますわ。あなたのような方が傍にいてくれたおかげで、見放されずに済んだのかもしれませんわ。あとで、司祭の身分を発行したいとおもいますので、こちらの推薦状をもってリテア聖都にいらしてください」

「は、はあ。ありがとうございます」

「まぁ、よかったわねー。ヒフィーちゃん」


……くそ。

なんでこんなのんびりした女が私と同じ女神なのか。

というより、私より大勢力なんですけど!!

なに? ゆるふわが今の流行?

そんな屈辱を味わいつつ、推薦状を持ってコメットの所に戻ってくる。


「ぶひゃひゃひゃ……!! ヒフィーみっじめー!!」

「あの、ゆるふわ……。後できっちり話をつけてあげます」

「ひっーーー!! お腹痛い!! こんな怖い人より、リリーシュ様の方が私もいいわ!! あひゃひゃひゃ……!!」

「よし、この不信心者め。これから、掃除洗濯は全部自分でやるということね?」

「ちょっ!? それは、ずるくないかい!?」

「ずるいものですか。というか、神様をお世話係に使っていることが、既に問題だと気が付きなさい」

「いいよーだ。タイゾウさんにヒフィーがいじわるするって言ってやるもんねー」

「そっちに非があるのに、私の評判を落とすような真似はやめなさい!! タイゾウ殿が勘違いしたらどうするのです!!」


それから、お互いに口の引っ張り合いが始まる。


「まっちゃく!! ほんおうに、リッチになってからも、かふぁらないわね!!」

「それぇは、こっひのセリフだよ!! このあひゃまがっちがちめ!!」


ぐにぃ、むぎゅー!!


そんなくだらない罵倒をつづけていると……。


「何やってんだ?」


私をこのイベントに放り込んだユキ殿が現れます。

ま、それよりも、この自活のできないリッチをお仕置きせねば……。


「……女の争いですね」

「ですねー。私もジェシカとよくやるし」

「え? なんでまた?」

「えっとですね、実はジェシカはここ数か月体重が……むぎゅ!?」

「リーア。お互い、あの馬鹿な神様とリッチのような争いはやめた方がいいと思いませんか?」

「うんうん。だからはなしてー」

「OK。大体わかった。おい、そこの2人。めでたい雪像イベント会場で醜い争いしてるんじゃねーよ。この場で、熱湯罰ゲームでもしたいか?」


そう言われて、私たちは瞬時に取っ組み合いをやめます。

こんな大勢の衆目で水着をきてあんな痴態をさらせば、女として、神として色々終わる予感があります。

そして、それをユキ殿は躊躇いなくやるでしょう。


「で、そっちは何作ってるんだ?」

「ふふふ。私たちには造形なんて難しいことはできないからね!! ただ、規定ギリギリの雪だるまを作るだけさ!!」

「なるほどな。他のは、ドワーフとか、どこかの国の重鎮共も変に気合入ってるから、それぐらいがいいかもな。というか、身内もあれだしなー」


そう言って、ユキ殿はそっと視線を私たちからずらした先には……。


「アスリン、ラビリス、シェーラ、ガンガン雪を持ってくるのです!! 私が微調整するのです!! ここに去年作った雪の城を元に、要塞を作るのです!!」

「わかったよー!!」

「はりきってるわね」

「まあ、ユキさんが、去年の力量をみて雪像イベントの顔を作ってくれと頼まれましたから」

「そう言われて、フィーリアが自重するわけないか」

「ええ」


そこには、文字通り小さいながらも城ができていて、城を覆う外壁ができつつありました。

……あれ? あの子たちは、まだ年端もいかない少女だったような。


「うっひゃー!! すっげー!! 流石、ナールジア一押しのフィーリアってところだね!! 才能が物凄い!!」


横でコメットは絶賛していますが、そう言うレベルではないのです。

だって、同じ時間に作り始めたはずなのに、気が付けば、高さ5メートルはあるだろう城が既にできてるなんて……。


「ま、あれはあれでいいだろう。イベントの顔だし、評価対象外だし」

「あ、そういえば、なぜ私をこのような催しに参加させたのですか?」


そう、それを聞かなくてはいけない。

今は、このようなことに割いている時間はないはずです。


「俺に聞くってことは自分で答えが見つからないからか?」

「……はい。正直に言って、私たちは他に優先するべきことがあるかと」


この催しに何の意味があるのか?

私がそう聞くと、ユキ殿は少し悩みます。

……やはり、意味などなかったのでしょうか?


「うーん。どこからの説明がいい?」

「え?」

「まず、地域の活性化な。こういうイベントをやることによって、活気を取り戻すこと。春とか秋とかは収穫祭とかがあるけど、冬はどうしても、そういう目に見えてわかりやすい収入が無い分、活気がなくなる。ここはわかるな?」

「はい」

「つまり、収入が無くて活気がないということは、経済活動が止まっているということだ。これは国としてもよろしくない。これを打開するには、国が身を裂いてでも活気を呼び起こすイベントをやるべきだ。こうして、雪を使う冬にしかできないイベントをやることによって、冬の時期の目標みたいなのが国民にできて、それに伴う需要が増える。雪を集める道具とか、防寒具の充実とか、外で暖を取るための道具や食べ物などなど……」


なるほど。

そういえば、皆さんはこのイベントに合わせて色々買い込んだり、イベント会場の隅にある屋台に買い物に行っています。


「無論、搾り取るような価格帯じゃない。この調整を国がすることによって、ほかの一般の商人はどうしても、高くて、よりよいものを販売するしか売れる手段がなくなる。だからと言って、ここまで人が集まるイベントに参加しないのは商人として自信がないと同じだ。だから、ほどほどの価格帯でという風に収まるだろう」

「確かに」

「あとは、そのイベントが各国に広まったりすると、今日みたいに、あっちこっちの国から代表みたいな感じで、イベントに参加、あるいは見物に訪れる人が来る。つまり、外貨がおちる。ここが国として目指すべき場所だな。ここでようやく身を切った分が回収できるって感じだ」

「……」


あれ?

なにか、物凄い難しい話になってきているような……。


「さらに、そこから交渉事のための交友関係や、新たな人材の発掘なども望めるだろう。他国からの評判がよければ、国の顔にできるだろうし、それだけ次の年も同じイベントによる収益も見込めるからな。こういう、他とは違うところでの娯楽を提供するのが、ある意味、国としてはとっても大事なことで……」

「…………」

「うひゃひゃひゃ……!! ス、ストップ!! ユキ君、ストップ!!」

「どした?」

「君の考えはよくわかった。実に素晴らしく、凄い発想だと思う。でも、ヒフィーには難しすぎる。ほれ、固まってる」

「はっ!? い、いえ。決して固まってなどいません。ユキ殿のお話はよく理解していますとも!! これを見習い、同じように、わが国も国力を上げろということですね!!」


私は馬鹿でありませんとも、ちゃんと学べるのです!!

そう言う決心を瞳に灯し、ユキ殿を見つめます。


「いや。無理だから」

「はい?」

「ぶひゃひゃひゃ……!! わ、わかってねー!! ぜんぜんわかってない!! ヒフィーの国じゃ実現不可能なんだよ。今のところは。だって、ダンジョンマスターがゲート開通させて旅行経路の簡便化、安全性の確保をしてこそこのイベントが開催出来るんだよ!!」

「あ……」

「ま、コメットの言う通り。でも、同じでなくてもいいし、見習って道を模索するのはいいことだと思う」

「……はい」


くっそー、コメットあとで覚えていなさい!!


「というより、俺としてはそんなのは二の次なんだよな」

「うひゃひゃ……ってどういうことだい?」

「どういうことでしょうか?」

「人ってのは心の余裕がないと、色々辛いものがあるんだよ。だから、きついときにこそ、のびのびするのが大事なのさ。ほれ、みんな笑顔だろ。いや、目が血走ってるやつもいるけど、こういう仕事とは違う間を挟むことで、色々なことが見えてきたりするもんなんだ」

「そうなのかい?」

「そうだよ。コメットだって、雪だるまを作ろうと考えただろう?」

「ああ、確かに。雪で何かを作ろうなんて今まで考えたこともなかったね。冬の厄介者としか見てなかったね」

「でも、こうやって、皆を楽しませる物にもなる」

「……なるほどねー。視点の違いってことか」

「……ああ。私たちが守らなければいけないのは、国の名ではなく、そこに生きる人々の笑顔なのですね」


私は目の前に広がる幸福を見て、自然と口が開きました。

だって、そこには、寒さに凍えることもなく、飢えることもなく、その冬を謳歌して笑って、楽しんでいる人々しかいないのですから……。

私が目指した国の形はここにあるのではと思うぐらいです。


「ということで、このイベントの趣旨は分かったはずだ。とりあえず、今日一日ぐらいは立場や仕事を忘れて、思いっきり遊べばいい。できた雪像は各国の審査で点数が付けられて、上位には賞金もあるからな。特別賞とかもあるし、意外性もOK。だから頑張ってみろ」

「おっしゃー!! ご褒美もあるなら、私も一介の魔術師としてがんばるぞー!! ほれ、ヒフィー。雪だるまを作るよ!!」

「あ、いきなり引っ張らないで!?」



そうして、私とコメットは大きい雪だるまを作っていると、子供たちがどこからともなく集まって、小さい雪だるまを周りに沢山作ってくれました。

結局、私とコメットの合作ではなく、大勢の子供たちと作った雪だるまたちになり……。



『今回の雪像イベント。特別賞はコメットとヒフィーと子供たち作、雪だるまたちとなりましたー!!』


子供たちと皆ではしゃいで喜びました。

そして、それが今後ウィードの雪像イベントでのトロフィーや入賞メダル、はてはグッズになるとは思いもしませんでしたが。

……なるほど、ここまで考えてやれということですか。





ちょっとここ最近、また寒いので入れてみました。

雪遊びしましたか?

心に余裕をもって、3月のゲーム三昧を楽しみましょう。


いいですか? 3月は目玉ゲームばかりなんです。


3月3日 ガンダムブレイカー3

 10日 サモンナイト6

     メダロットガールズ (服が脱げる 重要)

 24日 ダークソウル3

 31日 スターオーシャン5


ね? すごいでしょう?

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