第340堀:白の森へ
白の森へ
side:ユキ
その後は、特に問題もなく、準備期間を終えて、ホワイトフォレストへ行く日がきた。
まあ、それもそのはず。
剣王はあのノリであったが、起こったことは一大事。
最初は剣王が起こしたいつもの暴走かと思えば、国の防衛を担う武門の一角であるドクセン家の謀反。
俺たちにいろいろちょっかいを出せたのは、あの初日ぐらいで、そのあとは王城に務めている重鎮たちは大騒動。
ドクセン家の面々は必死に事実を隠そうとするが、最初に近衛とサマンサの姉が率いる魔術警備隊に屋敷を押さえられて、もはやどうにもならん。
というか、さっさと夜逃げの準備を始めていた。
それをとらえるために、王都の出入りに緊急検問も展開したりと、ある意味、絶対王政であるが故の即時展開ができて、ドクセン家の者はほぼ押さえられた。
これが現代の日本とかなら無理。
東京の交通網停止とかできるわきゃない。
中世ヨーロッパの城壁で囲まれていて、交通網を遮断してもそこまで影響がなく、王の一声でそれが動かせるという状況でないと無理だ。
この説明でわかると思うが、できるとは言っても、片手間ではない。
国家転覆を狙った謀反者たちの捕縛、証拠を提示、重鎮たちへの説明、裏で手を引いていた者の特定などなどやることは沢山ある。
「なあ、ユキ。親友として頼みがある」
「断る」
目の前で俺を親友と呼ぶ、目の下にクマを作っているおっさんは、ローデイの王、剣王と名高きブレードである。
初日はいろいろ部下たちが大騒動だったが、次の日からいろいろ落ち着いてきて、書類の確認だったり、緊急会議の連続で遊べていないのだ。
そして、それは今なお継続中だ。
つまり、このおっさんの続く言葉は……。
「なんでだ!? 俺をホワイトフォレストに同行させるだけでいいんだぞ!! それでいろいろ、検問とか楽に抜けられるぞ!!」
「逆に、王様を連れてることで問題がでてきそうだわ。おっさんの場合」
俺がそういうと、見送りに来ていたヒュージの親父さんとロンリ宰相が頷き、口を開く。
「というか、この非常時に王が国元を離れるなどあってはなりませぬな」
「そうですね。やっていただくべきことが沢山あります。主に書類整理と会議への出席」
「変わってないからな、内容!! もっと、体を動かすことないのかよ!!」
「「ない」」
おっさんの叫びをすぐに切り返す部下のお二人。
「そもそも、この見送り自体、時間が惜しいのです」
「ですね。ユキ殿たち傭兵団には、魔術警備隊のルノウ隊長に、護衛兼ローデイ代表としてついていってもらっています。陛下はさっさと執務室に戻って仕事をしてください」
2人の言う通り、現在この剣王と呼ばれるおっさんは、王城の門まで来ていて、俺たちの出立を見送ると言い張ってついてきたのだ。
あわよくばついていくつもりだったのだろうが、それを見通していた部下2人が一緒にきてそれができずにいるのだ。
いや、俺も絶対お断りするけどな。
どう考えても、面倒にしかならん。
「陛下。このユキ……殿に不安があるのはよくわかります。しかし、私が行きますのでどうかご安心ください」
……しかし、おっさんが来ないとしても、面倒なのが付いてくることには変わりない。
サマンサの姉、ルノウとは結局和解することなく今日を迎えた。
3日間、ルノウがクソ忙しかったから仕方ないんだけどな。
まあ、時間があったとしても、和解はできそうにないけどな。
あの後、ルノウも一緒にビデオ鑑賞というわけにはいかず、そのまま働きっぱなしなのである。
見られるのも嫌だけどな、あんな映像。
というわけで、ルノウの言動には俺が気に食わないと如実に表れている。
サマンサでもいいじゃないかと思うが、サマンサはあくまでまだ学生である。
しかも自国の学校ではなく、ランサー魔術学府という特異な立場の学生であり、それをさすがにローデイ代表とするのはためらわれたのだ。
なので、今回の件に無理なくねじ込めて、軋轢が少なさそうな人材は誰かというと、このルノウになったわけだ。
今回の問題に最初から関わっていて、王の信頼厚く、ヒュージ家長女であり、サマンサの姉。
学府側との連携もこれで取れるだろうし、これ以上の人材はなかったのだが……。
「お姉様。ユキ様は本当に素晴らしい方です。何も心配はいりませんわ!!」
「……そうだといいのだけれどね」
見ての通り、俺との関係は始まる前に終わっている。
人材としては申し分なしだが、俺との個人的な相性は最悪である。
理由は、勝手に妹のサマンサと結婚したこと。
妹大好きであったルノウにとっては許しがたいことだったらしく、父や母、結婚した妹本人の話にもあまり納得していない。
「……心配しなくていいわ。重要な任務に支障をきたすようなことはしない。まあ、そっちが何かミスをすればその限りではないけど」
……つまり、俺の行動を監視するというわけだ。
どこの小姑だよ。
「はははっ!! 俺がいけないのは残念だが、ユキはこれを機に姉と仲良くなればいいだろうさ!! なかなか厳しそうだけどな」
「……陛下は面白そうというのがあるが、私もこれを機に、娘と仲良くなってほしいとおもう。家族がぎすぎすするのは辛いからな。ま、ルノウの言う通り、ルノウが足を引っ張るなら、ビシッと言って構わない」
「……お父様。私が、このユキ殿に劣るとでも?」
「既に劣っている。そのことを理解していないことが問題だ。これからもその調子なら、王都での活躍はできん。器が小さい」
「なっ!?」
ヒュージの親父は結構厳しいな。
身内だからって甘やかさない方針なんだが、おかげで、ルノウはさらにこちらを睨みつけてくる。
「……わかりました。ちゃんとこの機会に、義理の弟と仲良くなってみます」
「うむ。励め」
はぁ。
どうにかして仲良くなる手段をさがさないとなー。
今は、嫁さんたちは笑ってみてるけど、度がすぎるとルノウの命の危険がでてくる。
「しかし、この車ですか……。どうにかしてこちらに融通していただけませんか?」
「うーん。まだ生産体制が整っていないので、親父のところで研究中なんですよ。だから、そこら辺は……」
「なるほど。ビデオカメラと同じように、ヒュージと相談というわけですね。というわけで、ヒュージ、車の……」
「落ち着け。今は息子たちの見送りに来たんだ。その話はあとでだ」
「あっと。申し訳ない」
宰相ロンリが食いつく理由もわかるけどな。
車なんて中世ヨーロッパの馬車さんがメインだから、とても素晴らしいものに見えるだろう。
適当に言ってしまったが、そこはヒュージの親父がなんとかしてくれるだろう。
「とりあえず、ローデイ側の親書や通行証はルノウにも預けていますので、彼女を通したほうが早い場合はそちらを使ってください」
「ありがとうございます」
「あと、旅の物資ですが。……本当にこれだけでよかったのですか? ホワイトフォレストは今の時期は完全に雪で覆われています。下手な準備では凍死してしまいます。正直、この車の性能を詳しくしらないので、余計なお世話だったら申し訳ない」
そう言って心配してくれるロンリさんはとてもいい人なのだろう。
だが、車には雪原用装備もあるし、暖房もばっちり完備。
旅の物資についても、見た目載せている分だけに思えるだけで、ちゃんとアイテムボックスに大量に入れてあるから問題ない。
下手なテントより十分にマシである。
「いえいえ。心配してくれて感謝いたします。行けそうになければ引き返してきますので、その時はかっこ悪いですが、援助お願いします」
「ええ。任せてください。今回の件は陛下が建前上解決したことになっていますが、どうみてもあなた方のおかげだ。この程度のことで、報奨にはなりません。というか、今回の件は私達もからも依頼する業務です。戻ってこられた時には、ちゃんと報奨をお渡しします。どうか、お気をつけて」
「はい。ありがとうございます」
そして、俺たちが車に乗り込み、王城を旅立つ。
「また試合しようなー!!」
「息子よ、娘たちを頼む!!」
「ホワイトフォレストへの道中お気をつけて!!」
なんともまあ、贅沢な見送りだった。
そんな見送りを受け、ローデイ王都を出て、のんびりホワイトフォレストへと車を走らせる。
道筋はちゃんと把握しているが、ここはルノウお姉さんと話すいい切っ掛けだろう。
そう思って、運転をしながら助手席に座っている案内役のルノウに話かける。
「さて、ルノウさん。道はこっちでよかったですか?」
「……ええ」
「どうかしましたか?」
何やら表情が硬い。
「……なんでもないわ」
んー?
絶対なにかあるような感じだよな。
というか、何か絶対突っ掛かってくるかと思ってたのに、大人しい。
「あのー」
「あのね、ちゃんと御しなさい!! この速度で横転したら死ぬわよ!!」
ああ、そっちね。
確かに馬とかに乗っているなら落馬で死ぬとかよくあるし、速度がでる乗り物の怖さがわかっているということか。
「お姉様、大丈夫ですわ。見ての通り、鉄で出来ていて、馬車なんかよりも安定していますの。しかも運転手はユキ様です。これ以上安全なことはありませんわ」
そういって、後部座席からひょっこり顔をだすサマンサ。
勿論、姉のルノウの押さえ役として乗せた。
あとはリーアとジェシカが一緒で、ほかのメンバーは二号車に乗っている。
物資などは分譲してのせてあって、それらしくしている。
「……そう、なの? まあ、サマンサがそういうならいいでしょう。でも、ちゃんと気を付けて操車しなさい。ほかの馬車などがいたらちゃんと距離を空けて、速度をおとして、馬を脅かせないように」
「はい。わかっています」
言ってることは至極もっともなので、ちゃんと返事をする。
特に嫌味は含んでいないから、こういう貴族たれというところは、しっかり親父さんに教育されたんだろうな。
で、そう言われたからには、こっちから気軽に話しかけるわけにはいかず、俺は沈黙して運転に集中する。
「……ふぅ。しかし、この3日は酷かったわ」
「お姉様寝てないのですか?」
「多少は寝たわよ。でも、私はまだマシよ。ほかの重鎮たちなんて寝ずに会議よ。勿論、陛下や宰相様、お父様も。今回の件はそれほど重大なのよ」
そりゃそうだろうよ。
「……と、そこはいいのよ。少しサマンサに聞きたいことがあるわ」
「なんでしょうか?」
「ユキ殿のことよ。どうも、私に届いた手紙の内容とは違う気がするのだけれど?」
「はい?」
手紙?
そんな暇があったか?
「ほら。学府で同じクラスで、なんか幼馴染の女性がいるのに、毎回あなたの服を脱がしたり、胸に触ってきたりするって書いてたじゃない」
「え?」
いや、それは違う。
「で、そのせいでサマンサはユキ殿と婚姻をしないとって、手紙であったわよね?」
……なるほど。
エオイドのラッキースケベが俺がやったと勘違いしてるわけか。
「ち、違いますわお姉様。それは別の学友のお話です」
「なーんだ。やっぱりそうなの。ユキ殿、ごめんなさい。そのサマンサの手紙の子の名前はしらないけど、なんか気が付かないうちに、脱がせたり、触れたりするって書いてたから過敏になってたのよ」
「誤解が解けてよかったですよ」
「てっきり、その男に既成事実でも作られたのかと思ったわ」
「そこまで私はガードは甘くありません」
「ならよかったわ」
その話を聞いていたなら、ルノウの反応が普通だよな。
どう聞いてもただの痴漢だよ。
「じゃ、ユキ殿はどういう立場の方なのかしら? 私は詳しくは聞いていないのよ」
「あ、はい。えーとですね……」
そして、サマンサがこの新大陸での立場を説明して、そのままサマンサと俺の出会いを話すに至って……。
「大変申し訳ございませんでした!! サマンサ!! あなた、他国の使者を門前払いしたなんて話聞いていないわよ!!」
「ご、ごめんなさーい!!」
それから小一時間、サマンサとの出会いの話での失敗談を話すことになり、ルノウが車内でお説教をする事態となった。
うん。いいお姉さんじゃないか。
さて、吹雪いてきたな。
……本当に雪国か、チェーンとかあまりつけたことないんだよなー。
説明書読めばわかるかな?
いい加減書くことが無くなってきた。
でも、適当になにか書く、ああ「俺たちは自由にやる」が遅れるのはすまん。
ちゃんと書いてるから。
時間が足らんよね、いろいろやることが多いから。
3月もガンダムブレイカー3とダークソウルでるしー。
もう、やんなっちゃう!!




