第339堀:結構精神は簡単に削れる
結構精神は簡単に削れる
Side:ユキ
はいはい、なんというか、物凄い速度で事態が動いています。
切っ掛けは、俺たちからの情報提供だった。ローデイ内部に魔剣が持ち込まれているというものだが。
だれが想像できただろう?その情報提供当日に殴り込んで、証拠物品押さえて、糸を引いていたと思われる馬鹿が来て、謀反起こして、鎮圧されてと……。
これが大体半日で終わったこと。
そう、まだ半日。
ヒュージ家を出たのはまだ夜が明ける前で、王都についたのは9時頃。
それから謁見が10時、話して殴り込みが11時頃、検分と謀反が13時頃。
そんなことがあって、まだようやく一日の折り返しを迎えたぐらいである。
流石に、事態が動きすぎだ。
てっきり、俺たちは情報提供したあと、ホワイトフォレストへの通行許可を貰い、それでこの日は終わりと思っていた。
だってさ。ここまで大きな問題だから、普通なら会議でもして、捜索本部の設置や部隊の設立、ちゃんとした情報収集を始めるのが、国としては当然だ。
もし、先に発見していたのならば、まず俺たちは巻き込まれないだろうし、どのみちホワイトフォレスト行きを簡単に手に入れられたはずなんだ。
だが、ふたを開けてみればどうだ?
おっさ……、いや、王様自ら飛び出して、怪しいと思うだけの場所を勘で襲撃して、見事ドンピシャ。
そのあとローデイで暗躍していた黒幕みたいなのも出現。
おいおい、ご都合主義を通り越した展開だよ。
というわけで、巻き込まれた末、ようやく俺たちは遅めの昼食を食べることになった。
……押収した荷物を検分しながらな。
「いやー、なんか懐かしいな!! こう、戦利品の中で飯を食うって感じで!!」
この状況を作り出したおっさんは、とても嬉しそうに、食事として持ってこられた骨付き肉を素手で掴んで豪快に食いちぎって食べては、ワインを流し込む。
……週末の酒場か、ここは。
「しかし、本当に魔剣だなー」
「あっ、こら!! 手を拭いて触らんか!! 油が付くだろう!!」
「大丈夫、大丈夫。剣には油で手入れをしないとな」
確かに、刀剣の手入れには油が必要不可欠だ。
だが、あんな不純物ばかりの油はナンセンスである。
というか、剣王だよな? なに、あの雑な剣の扱い方!?
「というか、そもそも剣というのは消耗品だ。戦場で一本の剣を大事にしてるやつは早死にするぞ? そこら辺の剣や槍を拾ってやりあうのが基本だろうが」
確かに、刀剣や鎧、武具全般で勘違いしやすいのだが、この手合いの道具は本当に消耗品で、大体一回戦場にでれば、使い方の上手い人でない限り、スクラップ行きである。
剣も人を切れば斬るほど、血と油で切れ味が鈍くなり、打ち合えば刃が欠ける。
鎧も、動けば動くほど、関節部は消耗するし、敵の攻撃を受ければ文字通り傷がつく。
銃も同じで、撃てば撃つほど、銃身は摩耗して命中精度低下や、ジャムの要因の一つとなる。
そういう見方からすれば、おっさんがいう、戦場で武器を拾って攻撃して回るというのは間違っていない。
まあ、傭兵として戦場だけが仕事場ではないだろうから、個人対個人の得意な武器を持っての戦闘もあるのだが。
「それは普通の剣であればだ。だが、魔剣は違う。魔術も発動できるのだ。しかも誰でも使えるという魔剣だ。こんなのが戦場に広まれば……」
「一気に戦い方が変わりますね」
流石に、剣王と一緒に戦場を巡っていた、サマンサの親父さんと宰相の頭は悪くないようだ。
いや、剣王も頭が悪いわけではないのだろうが、直感に頼り過ぎでまともな評価ができん。
ジェシカとの勝負は審判のせいで負けはした。
本来の実力も劣ってはいるが、俺から見れば、ジェシカが一撃で仕留められなかったことがすごく実力の評価を悩ませている。
直感の能力がずば抜けているのだ。
このおっさん、逃げに徹すれば、下手すると俺たちでも捕らえられないかもな。
「問題はそこだ。ここまでの武器がなんで秘密裏に国の内側に入り込んでやがる? 量からみて、生産しているような感じだし、これがよその国にも同じようにあったんだ。バックは相当大きいが、やってることがお粗末だな」
「だな。こんな武器の開発は秘匿して、一国でも落とせばいいだろうに。一応、かの国の名前があがっているのだが、そこら辺はどう思う。ロンリ?」
「そうですね……。恐らく周りもかの国の仕業か断定しかねているので、自分も確定できるほどではないですが、とりあえず、かの国が裏で糸を引いたとしていて、話を続けます。ほかの組織がいた場合は陽動ぐらいしか思いつきませんからね。かの国が黒幕だった場合は、私たちの対応を見ているのでしょう」
「対応?」
「わざとわかりやすい手紙を残して、どう動くか反応を見ているのです。いえ、違いますね。この魔剣で起こる内部的な問題を対処できるか、という初歩から観察しているのでしょう。魔剣の事も察知できずに、王都が火の海になるのなら、あとはどうにでもなると」
「なるほどな……。確かに、自国の、ましてや王都の管理ができないようなところは、どうしようもないと思うわな」
「幸い。と言ってはなんですが、アグウスト後方の小国、ヒフィーが落ちかけたようですが、持ち直しました。それで発覚して防衛策に奔走しています。そういう観点から見れば、かの国の思惑は外れたというべきですね」
「となると……、今後あの国が動くとすれば……」
「本格的な軍事行動ですね。魔剣での内乱の誘発に失敗した。これでやめてくれればいいでしょうが、ばらまいた魔剣より性能が上の魔剣を持っていても不思議ではないですし、こんな国力を増強できる品を目にすれば、開発に着手するのが当然です。ですから、どのみち、外への対応がおろそかになる」
「下手に、自国での魔剣開発を悟られたくはないからな」
「ま、あくまで、かの国が黒幕の場合というだけで、ほかの線も捨てきれません」
ふむふむ。
おっさんたちもちゃんと考えてはいるな。
俺たちもどっちつかずで悩んでいるんだよ。
ま、囮でジルバは開けているから、食いついてくれればわかりやすいんだが。
「ま、そこら辺はこっちのユキたちが潰してくれるだろうよ。そのためにホワイトフォレストの方にも確認をとりにいくんだろう?」
「まあ、その予定ではあります。ちゃんと調べられる自信は有りませんが」
「心配すんな。このカメラでこっそり撮影してくれればそれでいい。こっちに持って帰ってくれれば隠し事があるか俺が見抜いてやるから」
「陛下の直感を当てにするのはどうかと思いますが、このビデオカメラで記録を撮れば、ある程度は判断がつくでしょう。今回のホワイトフォレストの件、色々な事情から鑑みて、是非とも確認していただきたい」
「わかりました」
同時にビデオカメラの説明もできたので、ホワイトフォレスト行きの反対はなかった。
あっちの映像はなんとか、触れずに終わりたいものだ。
「と言っても今日中に放り出すわけじゃないんだろう?」
「放り出すとは言い方が雑ですね。勿論、我が国からの親書もしたためますし、色々こちらからもホワイトフォレストの情報提供をする必要がありますから、2日、3日はいてもらいますね」
「うっし。なら、剣の勝負を……」
「できないからな」
「できませんよ。これからクソ忙しくなるのに、なんで陛下だけフリーという発想がでるのか不思議です」
「ちっ……」
「「ちっ、じゃねーよ」」
そりゃな。
自国の重鎮が裏で糸を引いていた件と魔剣の件がダブルでだし、これで遊んでいるトップがいるならクーデター起こされても文句はいえない。
「陛下!!」
そんな今後の予定を、飯を食いながら、魔剣を取り出して雑に検分しながら話していると、義理の姉ルノウの声がして、すぐにおっさんの横につけた。
ついでにそのたびに俺を欠かさず睨むので、気がめいるからやめてほしい。
もう、妹を取られた姉の憎しみがひしひしと伝わってきて、下手な神の相手より厄介だわ。
「こちらを……」
「おう。……ふむふむ」
ルノウから渡された書類を読んでいく。
「あー、まあ、なんというかわかりやすいな。ほれ、ロンリ」
「なんだ?」
書類を渡された宰相は斜め読みで一瞬で読んでしまう。
これぐらいじゃないと、仕事が回らんのだろうな……。
よかった。俺の所部下がしっかりしていて。
「……わかりやすいですね。あからさまにかの国、エクス王国の覇王よりとあります」
……本当にわかりやすいな。
しかし、あからさますぎて、手出しができない。
言いがかりだと言われて、関係悪化、利用されて開戦って流れもあるしな。
「いいか、ルノウ。分かっていると思うが、この件は絶対に喋るな。私たちだけの中に秘めておけ」
「はい。分かっております。父上」
その会話を聞いて口を開いたのは、剣王。
「いやー。あえて告知しておくべきじゃねーか?」
「どうしてだ?」
「どうせ、ドクセン家を強制捜査しているし、しっかりした理由がいるだろう。魔剣の件は隠さず、数などを言って、そういう輩がいるって伝えたほうがいい気がする」
「また、勘ですか?」
「まあな」
「……いいでしょう。陛下の言う通り、いずれ伝えることになりますし、敵に内を侵食されるのはよくない。あえて伝えて牽制するのはいいでしょう。ドクセン家以外にも、繋がりがあるなら怪しい反応はしそうですし」
「……なるほどな。ロンリがしっかりサポートするなら問題ないか」
「普通ならこんなことはしませんよ。幸い、ヒュージがユキ殿たちと開発したビデオカメラがあるからやりやすいのです。あれで24時間監視ができる。そっちを秘匿しておいて……」
「ああ!! それだと悪さをする奴は、証拠を堂々と残していくわけだ!!」
へぇ。少し説明しただけなのに、しっかりとこのビデオカメラの一番大事な当時の記録という部分を把握して、応用ができている。
まあ、録画時間がきついけどな。
そこら辺は電気バッテリーを魔力バッテリーにしててよかった。
開発って大事だね。
これでなんと、連続24時間撮影可能です!!
手にもって魔力を注ぐなら理論上、永遠に電源が落ちません。
あ、録画容量とバッテリーの摩耗は含まれません。
こういう、お約束の表記はしておこう。
今はまだないだろうが、いつか訴訟国家みたいに訴えられるかもしれないから。
猫とか電子レンジであっためるなよな。普通死ぬから。
「というわけだ、ルノウ。ビデオカメラの使い方を教えるから、部隊から信用に足る者を選んで教えておけ。見ての通りその時の出来事をそのまま記録できるすぐれものだ。これがあれば、権力を笠に着た馬鹿どもも有無をいわさず追い払える証拠になる」
「すばらしいです!! さすがお父様!!」
「聞いていたと思うが、このビデオカメラの開発を行なったのは主に息子だ。そこを評価してやれ」
親父さんがちゃんとフォローしてくれるのはとても嬉しいのだが……。
「……まさか、ビデオカメラと引き換えにサマンサに迫ったのかしら?」
と、つぶやいて鋭い視線を向けてくる。
いや、ぎすぎすの兄弟姉妹は勘弁だけど、なんで俺の知り合いの姉妹はシスコンが多いかな!!
「そうだ、お姉様!! 決闘祭のユキ様を見ればきっと納得してくれますわ!! ねえ、お父様」
「おお、そうだな。決闘祭の時の息子の勇姿を見れば、誤解だとはっきりわかるだろう!!」
あ、ちょっと……流れが。
「お? 噂の学府であった決闘祭を録画してるのか!? みよーぜ!!」
「それは興味深いですね。よければ私も拝見したいです」
「陛下もロンリ様もどうぞ見てください!! さ、お姉様も!!」
「……ちょっとやそっとじゃ認めないわよ?」
……こうして、俺の精神を削るイベントが開催されることになった。
くそぅ、タイキ君やエオイドを連れてくればよかった。
俺だけなんでこんなに……。
逃れることのできない、見世物。
こどもの頃の演劇を、永遠と親戚や近所の人に見せられている気分といえばわかるかな?
と、これで大体ローデイでの主なイベントは終わって、ようやくホワイトフォレストです。
まあ、2、3日の待つことになりますが、ビデオ関係の暗躍ですね。
ああ、艦これ改買ったけど、まあ、これはこれであり。
あと、ロードがウザったい。
艦これブラウザみたいに、時間待たなくていいし、課金もしなくていい。
ドック増やすのも無課金でOK。これは大きいと思う。
ゲームの仕様上、同じ艦娘を使うのは厳しいので、全体的にメンバーの実力を上げないとつらい。
敵が攻めてくるし、海域の維持もしないといけないから。
海のど真ん中にドッグはないし、破損したら、ドッグがある近海まで下がらないといけないから。
入れ代わり立ち代わりで艦娘を編成しないといけない。




