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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 暗躍する影編

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第330堀:お仕事お仕事

お仕事お仕事




Side:スティーブ




「どうですかな、スティーブ殿? 破格の待遇を約束しますぞ?」

「いえいえ、自分はゴブリンっすから、よそとの軋轢がありますし遠慮しますっす」

「そのお考えの広さも素晴らしい!! そんな軋轢など私どもがなんとかいたします!! どうか、我が国に仕えてはいただけないか?」


目の前でぐいぐいと迫る、髭の親父。

いや、ジルバ帝国の大臣なんっすけどね。

こんなむさくるしい相手に迫られてもまったく嬉しくないっす。


「申し訳ないっすが、今はまだ考えられないっす」

「……そうですか。ですが、あきらめませぬぞ。では失礼いたします」


そう言って、その髭もじゃ大臣は、俺に宛がわれた執務室から出ていく。

……はぁ、最近多くなったっすね。ジルバの勧誘。

ウィードの仕事に手を付けられないから、めんどくせー、邪魔。

やっと出て行ったことに、安堵して、ウィードの書類を出していると、扉が開かれる。

くそ、またっすか。

ええい、書類に幻惑認識疎外をかけて……。


「先ほど、ジルバの大臣とすれ違いましたけど、また勧誘ですか?」

「あ? なんだ、ザーギスっすか。それならそうと言ってくださいっす」


魔力が無駄になっちゃったじゃないっすか。

消費量はウィードの20倍、おいらの総魔力からすれば特に一日中使っても問題ないっすけど、魔力を消費しすぎると怠くなるので、極力無駄使いは避けたいっす。

そんなおいらの怠そうな姿をみて、答えを聞くまでもなく察したザーギスが口を開く。


「どうやら聞くまでもないようですね。まさか、ゴブリン相手にここまでしつこいとはね」

「全くっす。ザーギスの方はもう勧誘はないっすよね?」

「ええ。私の方は研究費を提示したら、それから全く音沙汰がありませんからね」

「一体、いくら提示したっすか?」

「それはもちろん、ウィードでしている研究を継続的にできる資金と物資ですね」

「そりゃ、無理っしょ」

「無理ですね」

「……鬼か」

「鬼とは失礼な。向こうはユキより好待遇で迎えると言ったのですから、これは当然でしょう。というか、最初は将軍職で勧誘ですよ? 馬鹿にしていますね」

「そりゃ、ザーギスが実験と称して、魔術部隊の人数を倍増させたからっしょ?」

「あれは今思えばやりすぎましたね。おかげで、目をつけられて面倒でした。というかそっちの勧誘原因も私とあまり変わらないでしょう?」

「……」


そう、ザーギスの言う通り、おいらもちょっと、ジルバではっちゃけすぎて、勧誘の嵐になっているのだ。

最初は魔剣使いを圧倒する、腕っぷしが強いだけのゴブリンと認識されていたんすけど、ある日、ジルバの王様から軍事演習に参加してみないかと言われて、堂々とジルバの戦力を確認するいい機会なので、大将に太鼓判を貰って参加したっす。

それがいけなかったっす。

おいらが軍事演習に参加した側なんですが、自陣の兵士はおもくそ新人や、当時おいらたちが殴り込んだときに王城にいた兵士たちばかりだったっす。

相手は、当時城にいなかった人たちばかりで、おいらに難癖をつけて、ちょくちょくちょっかいを出して来ては、決闘でボコった奴らばかり。

あんの狸親父、わざとこの軍事演習においらを巻き込んで、不満を解消、封殺する気だと察したっす。

魔剣使いのエアさんもおいらに敗北したことが尾を引いて、けっこう面倒くさいことになっていたらしく、おいらと一緒に同じ陣営にいたっす。

つまりは、ジルバ王の権勢が傾きかけていたってことで、おいらの強さを知らしめて、判断が間違っていないことを示して、権勢を取り戻したかったみたいっす。

おいらたちとしても、現在の繋がりをパーにするのはよろしくないので、渋々、おいらが陣頭指揮を務めて、おいらが囮で正面から、エアさんに遊撃を任せたっす。

結果、まあ向こう側はおいらをなめていたってこともあり、遊撃のエアさんは無視して、まずおいらを叩いてしまおうという作戦にでたっす。

いや、悪くない作戦と思うっすよ。

相手がおいらでなかったら。

個人的には時間を稼ぐぐらいで、エアさんの遊撃に花を持たせるつもりだったっす。

だけど、相手さん刃引きのしてない真剣振ってきやがったので、新兵たちを守るために、相手方をおいら1人で殲滅したっす。


「……あれは不可抗力っす」

「ええ。不可抗力でしょうね。でも、あんなことしたのですから、当然の帰結ですね」


と、そんなことがあり、おいらの待遇は急激に改善。

ジルバ王城内になぜか執務室を設けられて、軍事における改善の協力をもうしこまれたっす。

……なにが悲しくって、ウィードの魔物軍を統括して、よその軍の面倒も見なきゃいけないっすか。


「まあ、それも不幸中の幸いですね。あの話はそっちにも届いていますか?」


ザーギスの言う通り、今回の件は、おいらの立場がジルバで上がっておいて助かったっす。


「届いているっすよ。デリーユの姐さんが、アグウストで殴り込みをかけたところで見つけた話っすね?」

「そうです。丁度、ジルバとアグウストの間にある最後の1つ、大国、エクス王国」

「こりゃまた大物が出てきたって思いたいっすけど、確定じゃないのが痛いっすね」

「ええ。相手が大きすぎる。下手に動けばこちらが犯人だと言われてしまう可能性もありますね」

「そのおかげで、ジルバの方の襲撃が中止になったっすし、国家権力は怖いっすね」


これで、ミリー姐さんや、デリーユの姐さんの派遣は中止となったっす。

おいらたちで、地道にってことに……はぁ。


「ということで、慎重に情報を集めることになりました。下手すれば、また大規模な国家間戦争になりかねませんから」

「ヒフィーん所を押さえたってのに面倒っすね。でも、本当にエクス王国が暗躍しているなら、大規模な戦争は不可避じゃないっすか? やる気満々ってことっしょ?」

「不可避じゃありませんよ。エクス王国が大っぴらに動くにしても、いきなり敵の首都に現れるなんてことはないんですから」

「そりゃ、だからこそ攪乱に魔剣をばらまいていたっすからね」


でもおいらたちの大将なら、敵の首都をいきなり押さえるとか普通にするっすけどね。

ま、あれは例外だからほっとこう。


「ですね。それから考えると、まずは隣接している、ジルバとアグウストは落とすはずです」

「普通はそうっすね」

「しかし、この時点でアグウストの攪乱は不可能となりました。エクス王国の仕業と断定できないにしても、今回の件で国境警備の増員は必ずするはずです。エクス王国も工作員との連絡が付かないので、アグウストに手を出すことはないでしょう」

「あー、そういうことっすか。この状況ならおいらたち、ジルバに来るってことっすね?」

「はい。つまり、エクスが大規模な戦を起こすなら、このジルバで起こるということ。しかし、幸い、ジルバで幅を利かせている私たちがいるので……」

「適当に相手の出方をみて、やばいなら、手伝ってやれってことっすか……」

「そういうことですね。相手が動きやすいように、そちらが知っている魔剣を持ったならず者はほっとけと通達がありました。それでエクスの仕業と確定できるし、各国から多方面作戦を大手を振って展開できるからと」

「……相変わらずえげつないっすね」

「むしろ当然でしょう。相手の手を悉く潰していくというのもいいですが、それだと相手が方法を変えるたびに、調査の必要があります。なら……」

「上手くいっているように見せて、油断しているところをぱっくり殲滅っすか。リスクは……どっちも一緒というか、わざわざ調べ直さなくていい分、こっちが楽っすね」

「ですね。まあ、これは私たちの情報収集能力が相手を上回っていて、こちらのことが知られていないのが大前提ですが、これをしくじると逆に私たちが痛い目を見ることになります」

「……しかけるのは、おいらたちだから、がんばれって事っすか……」

「そういうことですね。ここまでお膳立てをされて、失敗したのでは、笑われますねきっと」

「どこがお膳立てじゃい!! 最後の面倒こっちに押し付けてんじゃねーっすか!!」

「……はぁ、いわないでくださいよ。ま、ユキたちはこれから、亜人の国へ行って、エクスの名前を騙っていないか、裏を取るみたいですし、そっちもそっちで大変ですよ」

「そりゃ、わかってるっすけど。亜人の国ねー。そっちでも何もないといいっすけど。さっさと指揮権を大将に委譲したいし」

「無理ですね」

「ですよねー」


結局おいらが頑張るしかないみたいっすね。

まあ、やばいのであれば、大将たちは手伝ってくれるでしょうが、その時どれだけいじられるかわからないから、頑張るっす。

……どういう方向でやる気出しているんだろうね、おいら?

しかし、亜人の国ねー。

下手するとおいら以上に厄介かもしれないっすよ?

だって、聖剣使いの亜人2人を案内役にするって、わけのわからん報告書が来るし、なんでそんな面倒くさいことになっているんすかね?

1人はカヤの姐さんにちょっかい出して、悪夢万歳になった人もいるみたいだし、ギスギス間違いなしっすよ。


リーン、リーン……。


「コール鳴っていますよ?」

「誰っすかね? もしもし?」


とりあえず、出てみる。

最近コール画面で誰からの連絡とか気にしなくなった。

知り合いからしか連絡こねえし、大将の所みたいなたずら電話は皆無っすから。


『あ、スティーブ、今日は何時に帰ってくるの? 今日はね、学校で美味しい給食が出てきたから、それを真似てみたの。早く帰ってきてくれると嬉しいなー』

『がおー』

「……えーと。なるべく早く帰るっすよ」

『早くって何時?』

「……定時に戻るっす」

『うん、2人で待ってるね』

『がおー』


プツン。


「「……」」


ザーギスの視線が痛いっす。


「先ほどの相手は、アルフィンさんでしょうか?」

「……そうっすよ」

「「……」」

「まあ、よかったじゃないですか。念願の彼女みたいなもんでしょ?」

「……それとは雲泥の差があるっすよ。家に帰っても気を使わないといけないし、おいら、そろそろ心労で倒れそうっす」

「我慢するからでしょう?」

「我慢しないと、おいらが性別メスになるっす。というか、あんな方向違いの好意向けられて、襲うとかどっかの最低野郎じゃないっすか」

「……世の中難しいものですね」

「そうっすね」

「やっぱり、私は研究一筋でいいです」

「……結婚一度している奴は、いいっすよね」

「変にあこがれもありませんからね。冷めてます」



「おいらだって、あこがれていいじゃない!! 可愛い嫁さんとか、願っちゃダメですか、神様!!」



『いいんじゃない? 面白そうだし』

「あ、あんたは却下で」

『はぁ!?』

「だって、ルナ姐さん、結婚してないっすよね?」

『ぐっ、ゴ、ゴブリン相手に言い返せない……』


もう無駄に返事しなくていいと思うっすよ。

さ、仕事して戻らないと、アルフィンが泣くっす。

……家族サービスに給料ってなんでないんすかね?





Side:ユキ




俺はポープリからある話を聞いていたが、なんか馬鹿と馬鹿が変な話をしていたような気がして、虚空を見つめていた。

大丈夫、お前等、団栗の背比べ、五十歩百歩だから。


『どうかしたのかい?』

「いや、なんでもない。で、ポープリ、なんで亜人の聖剣使い2人を連れて行った方がいいって言うんだ?」


次の目標は亜人の国ということになったのだが、問題が1つ。ポープリが聖剣使いの亜人2人を道案内にしろというのだ。


『簡単だよ。カーヤの種族、白狐族は長命、もう1人のクロウディアはエルフ、こっちは言わずもがな』

「……血縁者が今も生きているってことか?」

『そうだよ。カーヤの妹は亜人の国で宰相を務めている、クロウディアの兄に至っては、現国王だ』


そりゃ、道案内どころか、一気に話を進められるな。

……あの2人が落ち着いていればだが。


『ま、わかると思うけど。コメット師の精神制御が効きすぎたせいで、喧嘩別れをしているから、最終的な判断は任せるよ』


……そう言うオチか。

コメットもヒフィーも仲間になってなお、足を引っ張るな……。

もう一回、ルナに司会進行任せて、あのゲームをやるか?




「ぶぇっくし!!」

「大丈夫ですか? コメット」

「ああ、大丈夫だよ。ありがとうナールジア。きっとヒフィーあたりが、ちゃんと仕事してるか心配してるんだろうさ」



「くちゅん」

「風邪ですかな? ヒフィー殿」

「いえ、そう言うわけではないのですが。恐らくは、コメットが私への文句でも言っているのでしょう」

「なるほど。こっちでも噂をされるとくしゃみをするという話があるのですな」




「あー、スティーブと同格なんて腹が立つわね。もう一回、ヒフィーとコメットで遊んで気晴らししようかしら?」






エクス王国が黒幕としたら、ジルバに攻めれば、スティーブ。アグウストにはユキたち。

まさに前門の虎後門の狼。

さあ、真相はどうなるのか!!



というこで、皆々様がた、0時。

つまり、今は2月1日。

珍しくなんでこんな時間に投稿したのかと問われるのであれば。


新作を投稿したからです。


「俺たちは自由にやる!!」

http://ncode.syosetu.com/n5451dc/


さあ、かまん!!

ユキが鳥野和也、也の字時代のお話だ!!

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[一言] 上級神の結婚経歴はゴブリンと同じ
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