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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 神聖国編

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落とし穴53堀:あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます




Side:ユキ




カチ、コチ……



そんな音が部屋に響いている。

現在、日時は12月31日。

時刻は只今、23時58分。


つまり年越し直前である。

ウィードではテレビは無いため、ラジオでそのカウントダウンが行われている。

だが、今年はそのラジオの主演もエリスやラッツではなく、後人たちに任せて、俺たちは穏やかに、自宅で年越しを迎えようとしている。


しかし、おかしなものだ。

つい、2年前までは年越しは、こんな夜遅くは既に寝ていて、朝起きて少し祝うぐらいだった風習が、いまでは夜通し起きて騒ぐことになっている。

俺が伝えた文化ではあるが、ここまで簡単に浸透するとは思えなかった。

まあ、ある種の娯楽になっているのだろう。

騒げる理由だからな。

人はたくましいものだと実感できる。



『只今、23時59分です。皆さんご一緒にカウントダウンをお願いします』



そんな、エリスの後輩の声がラジオから聞こえて、カウントダウンが始まる。



『59』

「58」

「57」

「56」

「55」



ちびっこ4人は、そろって声を出してカウントダウンをしている。

ほかの嫁さんたちも、時計をじっと見つめている。

……壁掛け時計、秒単位まで合わせといてよかった……。

これでずれてましたとか、ひどいよな。

因みに、俺と嫁さんの子供たちも既におねむの時間ではあるが、母親に抱かれて、この新年を一緒に迎えようとしている。

……今年一年色々あったよな。

いや、色々ありすぎたよな。

なんか、遠い目になってしまうわ。



『30』

「29」

「28」

「27」

「26」



気が付けば30秒を切っていた。

もう、今年も終わりか。

……若い頃の年明けは色々あったよな。

若い頃はじっとできなかったからな。

こうやって、家でのんびりと年越しするのも悪くない。



『10』

「「「9」」」

「「「8」」」

「「「7」」」

「「「6」」」


10を切ったころから、嫁さんたち全員の声が重なる。



「「「5」」」

「「「4」」」

「「「3」」」

「「「2」」」

「「「1」」」

『0』



時計の針が全て頂点へと集まる。


『只今、0時。ウィードにいる皆さま。新年、あけましておめでとうございます!!』

「「「あけましておめでとうございます!!」」」


そして、たった今、ウィードの歴史がまた一年刻まれたわけだ。

だが、俺を筆頭に、キルエやサーサリなどは、これからが本番である。

適度に嫁さんたちと新年のあいさつを済ませたあとは、仕込んである調理場へ向かう。

調理場に置いてあるのは、色々な材料。

それは、おせちの材料だったり、だし巻き卵を冷ましていたりするのだが、今のメインはそれではなく、火をかけている鍋である。


「さて、キルエはねぎを切ってくれ。サーサリは器の用意な」

「「かしこまりました」」


2人は返事をして即座に仕事に取り掛かる。

ねぎはもちろん薬味のため。これから作る料理に欠かせないものである。

切りたての方がいいというわけだ。

器は、この料理に欠かせないもの。どんぶりと言ってもいいだろう。

そして、俺は用意していた麺を茹でる。


ここまで言えば、日本の皆さんならわかるだろう。

年越しそばである。

本来、年越しする直前に食べ始めるものなのだが、大家族なうえに、ラジオのカウントダウンをやると言っていたので、食べ物を食べながらはやめておこうということになったのだ。

準備だけはしっかりしていたので、ササッと用意すればいいだけ。

出汁からしっかり作ったし美味しいのだ。

ま、年越しそばの由来上、厄を断ち切るというので、年をまたいで食べるのは不適切だったりする。

年明け後に食べる年越しそばは、金粉などを混ぜて金運を取り込むという意味もあったりするから、どっちでもいい話というわけだ。

というか、年をまたいで食べた方が、厄を断ち切って、金運も取り込めて一石二鳥と思うのは、現代人の考えだろうか?

そんなことを考えている内に、麺が茹で上がる。


「おっと」


麺類は大家族にとって難しい料理だったりする。

なぜなら伸びるからだ。

先にできる方は硬めに、後の方は通常に近い硬さで。

特に、年越しだからな、一緒に、いただきますをしたいだろう。

そうやって、作って行くたびに、キルエとサーサリがせっせと運んでいく。

さて、さっさと終わらせて食べますかね。



全員分の用意が終わり、キルエとサーサリと共に、宴会場に戻ると、嫁さんたち全員席についていて、俺たちの到着を待っていた。


『只今、リテア教会前からお送りしています。鐘を鳴らして厄払いをするという、除夜の鐘を間近で聞こうと、多くの参拝客で賑わっています』


教会で除夜の鐘ってなにか間違ってね?

そうは思うが、どうせ、地球の宗教とは違うのだ。考えるだけ無駄だろう。

実際に神様もいるんだし、何か問題があれば言うだろう。


「さ、冷める前に食べてしまおう。だが、その前に、もう一度挨拶をしておこう。あけましておめでとうございます」

「「「あけましておめでとうございます」」」

「今年も色々あると思うけど、家族みんなで頑張って行こう。じゃ、今年一番の家族作業だ。いただきます」

「「「いただきます」」」


うん。

いい出来だ。

みんなも、俺と同じように、そばを口に運んでいく。

特に変わった様子はないから、問題はなさそうだな。

年初めのご飯が不味いとかいやだしな。

いや、日本の年明けは外で屋台巡りして、はずれとかに当たったけどな。

あれはショックだった。

慌てて、ほかで口直ししたもんな。

そんなことを考えている間に、そばを食べ終わり、ほかの皆も食べ終わってごちそうさまでした。と言っている。


「よし。じゃ、片付けてくるから、その間に初詣に行く準備しといてくれ」

「「「はーい」」」


俺やキルエ、サーサリは後片付けに向かうが、ほかの嫁さんたちは初詣の準備だ。

今年一番の行事だし、各代表の嫁さんたちとしてはしっかり装いを整えないといけない。

女の準備は時間がかかるということだ。

俺や、キルエ、サーサリは軍服とメイド服が正式装備なので楽なもんだわ。

あと、子供たちは一旦置いて行くから、そこら辺の面倒をアスリン配下の十魔獣に頼む。

こっちは、アスリンに絶対服従だし、子供たちのことを我が子のように可愛いがっているからそうそう問題は無い。

まあ、片付けといっても、しっかり洗って、乾かして、棚に戻すなどということはしない。

大家族だから時間がかかりすぎる。軽く洗って、あとは自然乾燥だ。



「よし、こっちは終わったぞ。って、それ……」


俺たちは素早く片付けをして戻って来てみれば、嫁さんたちが、艶やかな振袖を着ていた。

そう、着物である。

まあ、本来振袖っていうのは未婚の女性が着るモノなのだが、こうして着飾ってもいいだろう。

別に裸になりたいってわけでもないからな。観光に来た外国人が振袖を着ることも多々ある。

そういう感じだ。


「どうかしら? 似合ってるかしら?」


セラリアがそう言って、両袖を持ってくるりと回る。

何だろうな、美人さんが着るとなんでも似合うってやつか?

それとも、嫁さんびいきなのだろうか?

だが、それよりも気になることがあった。


「ああ、似合ってるよ。でも、着付けって大変じゃね?」


セラリアは俺の答えに、前半顔をほころばせて、後半残念そうな顔をした。


「もうちょっと、言葉の流れを読みなさいよ。まあ、着付けは大変ね。練習は大変だったわ」

「ほかの嫁さんの姿がちらほらなのは……」

「そうよ。着付け手伝いで順次着替えているの。準備はもう少し待って」

「ああ。分かった」


そうして、俺は座布団に座ってのんびり茶をすすって待つが、セラリアは立ったままだ。


「座らないのか?」

「着崩れしそうなのよ」

「ああ、なるほど」


着物も大変やな。

流石に何でそんな面倒なものをって言うほど野暮じゃない。

俺のために着たのだろうから。可愛いし、俺としては問題ないからOK。


「どうですか、旦那様?」

「お兄さん、どうですか? かわいい着物兎ですよー」

「どうかな、ユキさん。尻尾とか出てるけど大丈夫かな?」


そうやって、続々と嫁さんたちが出てくる。

ルルアは、髪をまとめて、かんざしをつけているので、イメージががらりとかわったり、ラッツやリエルは、獣人特有のケモミミや尻尾が独特で、これはこれで可愛い。

嫁さんたちの中で、秀逸だったのは、黒髪のミリーと狐人族のカヤだったりする。

黒髪で前髪ぱっつんのミリーは和装がすごくしっくりしていた。俺が日本で見ていた光景という奴だ。

片や、お稲荷様で有名な狐を元とするカヤは、なんというか、傾国の美女という言葉が似合いそうだ。九尾の狐は日本の定番だもんな。最近は巫女服の狐さんも多かったりするが。



で、ようやくみんな集まって、初詣に来たのだが。



ワイワイ、ガヤガヤ……。



そんな擬音がぴったりの光景だ。

去年も多かったけど、更に多くなっているな。

こんな夜遅くなのに、子連れの家族も多々見受けられる。

去年はまだ浸透していなかったから、治安を不安に思って子供連れは少なかったのだが、今年は自然と目につく。


「ふぁー、多いねー」

「多いのです」

「これは……凄いわね」

「リリーシュ様は大忙しですね」


ちびっこ組も可愛らしい振袖をゆらして、人込みを見つめている。

ラビリスなんかは人の多さにひいているが、これに並ばないと、リリーシュに会えない。

一応、ウィード在住の神様に新年のあいさつはしないと不味いと思うので、回避はできない。


「あ、ちぃ姉さま」

「あら、セラリア殿」

「ん? ああ、エルジュにリリアーナじゃない。なんでこっちにいるのよ?」

「何言っているんですか。新年のあいさつで、各国のトップがウィードに集まっているんですよ?」

「ああ、そんなこともあったわね。でも、こっちに来る必要はないでしょう?」

「そんなことって……」

「まあ、セラリアにはそんなことでしょうが、私たち魔族としてはこの機会に交友を深めたいんです。リリシュ様の正体を知っている身としては、こちらも顔を出さないわけにはいかないので」

「なるほどね。まあそっちも色々大変だろうけど頑張りなさい。エルジュも少しは良い顔つきになったわよ」

「本当ですか!!」

「ま、私の言葉で舞い上がるぐらいじゃまだまだね」

「ちぃ姉さま……」

「そこまでにしてください。エルジュのおかげで、魔族たちも円滑に交友を進められています。身内から褒められて、素直に喜ぶぐらいいいでしょう」

「リリアーナさーん」


そう言われて、魔王に飛びつく聖女。

うん、文面おかしいわ。


「リリアーナがいいならいいけど、あまり甘やかさないようにね。私もつい甘やかしてしまうから」

「ええ。そこはわきまえていますよ。で、セラリアは各国の挨拶には?」

「当然出るわよ。でもそれは夜が明けてからの話だし、ほかの連中も2人のように夜更かししてないでしょうね?」

「さあ、どうでしょう」

「あ、お父様ならさっき会いましたよ。縁日で買い食いしてました」

「……あんのクソ親父が。流石にロシュール国王がよその国の縁日で買い食いは不味いでしょうが……」


うん、それは本当に不味いのだが、まあ、あのおっさんに何を言っても無駄だ。

セラリアの中身の元だしな。

一応、家族みたいなもんだから、問題が起きたらもみ消すか。



オオッー!!



突如そんな声が、ある店から出る。


「ふはは、どうだ!! 剣の腕だけではないぞ。弓も扱えるのだよ!!」

「ロシュールの、私も盾だけではないのだよ!! ぬん!!」


声の発生源を見ると、ロシュールの親父と、ガルツの親父が的当てで勝負しているみたいだ。


「ほれ、店主。もっと品物を置いてくれ。孫たちにプレゼントを用意せんとな」

「うむ。全員女子だからな、ぬいぐるみとかかわいいもので頼む」


店主はガチガチに緊張して、視線をそらす。

その先には、次期ロシュール女王アーリア、次期ガルツ国王のティークが申し訳なさそうに店主に目配せしている。

ああ、ちゃんとフォローはいるみたいだからいいか?

と、思ったが、そのぶっ飛んだ実父を持っているセラリアは我慢ならなかったらしい。



「くぉら!! そこのロートル共!! うちの国で騒ぎ起こしてるんじゃないわよ!! お姉さまもティーク殿もそこのバカ共の面倒をちゃんみてよ!!」

「お兄様、シェーラは恥ずかしいです……」


あ、シェーラも涙目で兄が親の痴態を野放しにしたことを非難している。

で、そのあと、無論、親父たちがこちらに気が付いて、更なる騒動になって、朝のトップの新年あいさつで眠そうな状態だったとかなんとか……。




ま、今年もみんなよろしくな。






はい、ということで、


新年あけましておめでとうございます。


俺には見えるぞ、年明けはいいが、外に出る気力もなくて、暇で小説を読んでいるやつの姿が!!

あと、初詣に行ったはいいが人が多くてスマホいじって読んでるやつとか!!

車の移動中に読み漁ってるとか!!


適当に全部言っただけです。はい。


とまあ、今年もよろしくな!!





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