第287堀:和気あいあい
和気あいあい
Side:ユキ
村での一泊。
ワイちゃんに驚く村人はいたが、特にパニックにもならず、日が沈むころには、子供がワイちゃんの背中に乗って遊んでたりしていた。
逆にビクセンさんは、竜騎士アマンダや竜が怒らないか、心底肝を冷やした様子で見ていた。
実際、最初の方は近寄ろうとした子供を注意しようとしたのだが、アマンダが許可を出したので、何も言えないまま、おそらく村が火の海に沈む光景でも想像したのか、青い表情でことの成り行きを見守っていた。
だが、その表情も吹き飛ぶことになる。
『こ、これが、空を駆けるということか!!』
日が沈む寸前。
俺は言ったのだ、この昼と夜がまじりあう時間の空は綺麗だと。
そしたら、アマンダが希望者を空に連れて行ってあげていいですか?と聞いてきた。
戦力把握は済んでいるし、特に問題はなかったので、俺たちの中から護衛を引き連れることを条件に空を飛んだのだ。
「わー、すごーーーい!!」
「飛んでるんだよね、これ!! すごいよ!!」
そうやってはしゃぐ子供たちを、ルルアとエリスが優しい表情で注意する。
「落ち着きましょうね。空は寒いですから、ちゃんと服を着ましょう」
「そうですよ。明日風邪をひきましたでは、親御さんに申し訳ないです。心配させないためにもちゃんと服を着ましょうね」
「「「はーい」」」
そんな子供たちとは対照的に、空を飛ぶことを怖がっていた大人たちは、今まで見たことのない景色に口を開けて驚いていた。
「村長、おれ、空なんて初めて飛んだよ……」
「わしもじゃよ……」
俺はその大人たちの相手なのだが、その反応に苦笑いだ。
まあ、空を飛ぶという発想が、一般人にはない時代だからな。
そして、無論、ビクセンさんも乗っているが、籠の中ではない。
竜騎士アマンダとともに、首にまたがっている。
一緒にデリーユも首にまたがっていて、コールを音声のみにして会話が聞こえてくる。
『どうですか。空は』
『素晴らしい!! アマンダ様、このような貴重な経験をさせていただいて感謝いたします!!』
『なっはっはっは、先ほどまで腰が引けていた御仁と同じ人物とは思えんのう』
『お恥ずかしい限りです、デリーユ殿』
『恥ずかしがることはないぞ。お主はこうやって、腰が引けていても新しい一歩を踏み出したことには違いない。それは勇気というモノじゃ』
『なんと心に染み入るお言葉か。流石ユキ殿の奥方でいらっしゃる』
なんで、ここの新大陸の連中は俺を持ち上げてくるかね?
おかげで、必要以上に働かなくちゃいけないんですが……。
そんなことを思いつつ、夕日に視線を向けるとあの瞬間が迫っていた。
「デリーユ。もう日が沈む寸前だ。アマンダに夕日の方向を向くように言ってくれ」
『わかったのじゃ。アマンダ!! 夕日の方向へワイちゃんを正面に向かせろ!! いいものが見られるぞ!!』
『はい、わかりました!!』
『いいものですか?』
『うむ。ユキが言っていたのじゃ、自然が生んだ世界の宝石と』
ゆっくりと旋回が始まる。
俺たちも、顔を見合わせて、子供たちや大人たちに夕日を見るように言って、ワイちゃんが夕日に正面を向き、その瞬間が訪れる。
日が沈む瞬間。
空の蒼と、夜の藍、星空の光、地平線に沈む赤。
夜の帳が下りるその瞬間。
この一瞬には、昼と夜が混じり合う。
全員、言葉も発さずに、ただそれを見つめる。
昼の世界と、夜の世界が、混じり合うその光景を目に焼き付けるように。
いつも当たり前だと思っている自然の営み、その瞬間をわざわざ見る余裕はこの世界の人々にはないだろう。
ましてや景色を楽しむためだけに、空を飛ぼうと思うのは、日本でもそうはいない。
せめて、山に登ったり、海へ行ったりが精々だ。
だが、そうはいないだけで、存在はしている。
日本だけでなく、世界中で、昼と夜の瞬間というわけではない。
自分たちが生きる世界に、どれだけ素晴らしい光景が残っているか、それを知り、記録にとどめたくて、世界をまたぎ、空を飛ぶ人はごまんといる。
そして完全に日が沈み、周りが完全に暗くなる前に、村へと降りる。
子供たちは空の旅が楽しかったのか、楽しく話しながら出てきている。
片や大人たちは呆然としたまま、降りてくる。
ビクセンさんも同じだ。
ただ、ひょこひょこと、足取りが不安定というより、夢見心地のような感じで歩いている。
ビクセンさんと一緒についてきたお供の兵士さんも同じような感じだ。
……というか、はたから見たら焦点が合っていないので危ない連中に見える。
アマンダとエリスはワイちゃんの世話に行っているし。いや、実際はいらないけどな。
デリーユとルルアは籠の中の掃除に行っている。
アスリンたちは村の子供たちと仲良く話しているし、俺が話しかけるしかないか。
「とりあえず、ビクセンさんに話しかけるか」
「そうですね」
「はい。それが良いでしょう」
「……ん。了解、した」
「……かしこまりました」
ん? うちの嫁さんたちもなにかおかしいぞ。
クリーナとサマンサも同じように呆けている。
「どうしたんだ、2人とも?」
「ユキさん、普通あんなの見せられたらこうなっちゃいますって」
「ですね。文字通り自然が生み出した、世界の宝石というのに魅せられたのです。常人であれば、普通の感性の持ち主であれば、あれを見た後はしばらく放心します」
「そんなもんかね。で、2人は戻すべきか?」
「いえ、いいでしょう。感動しているだけですし」
「ジェシカの言う通りですね。私たちだけでビクセンさんたちを正気に戻しましょう。ついては来ていますし、勝手に元に戻ります」
「そういうもんか」
ああ、そう言えば、リーアもジェシカも初めて空の上に連れて行って同じような景色を見せた瞬間はこうなっていたか?
……なんか、俺が擦れているみたいに感じるな。
いや、俺も初めての時は感動したはずだ。
……その初めてを全く思い出せん。
と、そんなことより、ビクセンさんと話さなくては。
「ビクセンさん。どうでしたか、空の風景は?」
「……」
反応がない。
ただ、夕日が沈んでいった方向を見つめている。
どうしたもんかね。
そう考えていると、ビクセンさんが不意に目から涙をこぼす。
「……美しかった」
「はい?」
ナイスミドルが涙を流してそんなことを言う。
「ユキ殿!!」
「はい!?」
いきなり泣いていた、ナイスミドルはこちらに振り返る。
怖いわ。
そして、思いっきり頭を下げる。
何事ですか!?
「心より感謝いたします。あのような景色を見せていただいて。お前たちも感謝の言葉をいわぬか!!」
「「「ありがとうございます!!」」」
ガバッと頭を下げる3人の兵士さんたち。
「い、いえ。今日は丁度、雲も多くありませんでしたから、空から見れば、もしかしたら見えるかもと思っただけで」
「なるほど。確かに、山の上からではあのような光景は見なかった。雲が多かったからか」
「あと、山は木々が邪魔していますし、魔物も多くいることですから、ゆっくり見る機会がなかったのでしょう」
「道理ですな。しかし、空を飛ぶというのはすごいですな。まるで景色が違う。凄いですな。竜騎士アマンダ様。はっ、アマンダ様にも感謝の言葉を述べねば。ユキ殿の提案であったとしても、実際、竜を飛ばしてくれたのはアマンダ様なのだ、お前たち行くぞ!!」
「「「はい!!」」」
そう言って、即座に踵を返して、ワイちゃんの調子を見ているアマンダに走り寄り、感謝の言葉を述べる。
「「「貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました!!」」」
「ふぇっ!?」
アマンダはいきなり声をかけられて、お礼を言われ驚いていた。
……どこの体育会系だよ。
俺がそう思っていると、ジェシカが呟く。
「流石、ビクセン殿ですね。好感が持てる騎士だ」
「ですわね。素直に感謝でき、部下にも慕われている。立派ですわ」
サマンサもなんか同意している。
いや、うん。
そりゃ、ちゃんと感謝しないと、竜騎士アマンダに対して失礼になる可能性があるからわかるけど。
どう見ても、心の底からの感謝だったよ?
俺的には、立派なナイスミドルな騎士から、感動しやすいおっさんになりつつあるんだが。
と、俺の感想はいいとして、日も暮れて、完全に夜だ。
村人たちも、俺たちに感謝の言葉を述べて、家へと戻っていく。
全員、乗せてやれなかったのが残念だな。
帰りにでもよって、その時に残りの村人たちも乗せよう。
乗った、乗らないで諍いが起きてもつまらない。
そんなことを考えていると、村人たちの殆どが家へと戻り、俺たちとビクセンさんたちが広場に残る。
そこに村長が訪れて、俺たちを自宅へと案内してくれた。
「今日は貴重な経験をさせていただき誠にありがとうございます。竜騎士様に空へ伴ってもらったこと、これを子々孫々まで語り継いで行きます」
「い、いえっ。そ、そんな大層な……」
「それに対して、貧相で申し訳ないのですが、今日は我が村の料理をお楽しみいただければ幸いです」
「ひ、貧相だなんてそんなことありません!! お、お肉なんて、大変だったでしょう?」
「ははっ、お気遣い感謝いたします。確かに、今日の大皿に乗っている鳥肉はそうそう獲れる獲物ではありません。しかし、あのような経験をさせていただいたのです。どうか、お口に合うのなら食べてくだされ。今日、獲物を狩ってきた村人が是非使ってくれと言われたのです」
ああ、何か空の旅が終わったあと、すぐに籠から飛び出していた青年がいたな。
ビクセンさんと話している間に、何か鳥を持って走っていたけど、それかな?
と、それはいいとして、アマンダもそこまで言われて、観念したのかそのお肉へ手を伸ばし、口に入れる。
「……美味しい!!」
「それは良かった。さ、どうぞ皆さまも。この鳥は見ての通りそれなりに大きく、そうそうなくなるものでもありません」
うん。大きいね。
大の大人1人分のサイズが丸焼きで後方に置いてあるもん。
あれを見て、食欲がでるのは、村人とか見慣れた人だけだろうよ。
あれだ。田舎でよく食べられるゲテモノ系に似ているんだろうな。
まあ、アマンダが生贄になって毒見してくれたことだし、俺たちも遠慮なく手を伸ばし、食べる。
口に広がる肉汁、そして肉の味。
「「「美味しい」」」
ビクセンさんたちも含めてそう声を上げる。
はぁ、香辛料とかなく、味付けは塩だけでここまでか。すげー。
いつも、肉よりサラダ派のエリスも、優先的に肉を口に放り込んでいる。
俺も同じように、美味しいので次々に口にこの鳥肉を放り込んでいるが、カリッとしたところを口に放り込んで、何かを思い出しかけた。
……なんだ?
何を思いだそうとした?
似ている? なにが? 味? ん、どこかで食べたことがある味?
すると、同じようにお肉を食べていたアスリンとフィーリアの声が聞こえる。
「美味しーね。宿屋のおじちゃんの所に似てるね」
「そうなのです。宿屋のおじさんのから揚げと同じ感じがするのです」
「……そういえばそうね」
「ええ。言われてみればそうですね」
2人の言葉にラビリスとシェーラは同意し、俺はその言葉である可能性を見出した。
「すいません、村長。少しお聞きしたいことがあるのですが。いいですか?」
「はい。なんでしょう?」
「この鳥ですが、この村だけ、村の近くだけにいるのでしょうか?」
「さて……、ほかの地域のことは存じませんな。申し訳ない。ただ、この鳥は見ての通り、サイズが大きく、空は飛ばないのですが、逃げ足が速いので、森の中で好き好んで追う狩人はそう多くないのですよ。気が付けば迷ったり、ほかの動物や魔物にやられたりしますからな」
「なるほど。では、この料理を旅人に振る舞うようなことはあるのですか?」
「ええ。この鳥が取れたときは、村全体で祝うのです。これを取れた幸運と、それを成し遂げた狩人を称えて。無論、旅人もその時にいるのならば、喜びを分かち合います。わずか数度ですが、その幸運に恵まれた旅人がいましたな。ああ、そう言えばその数度の内3回は同じ人ですな。この鳥の味にほれ込んで、よく村に顔を出していました。確か、魔術学府の街で宿屋を営んでいるとか言ってましたな」
ビンゴ!!
あの、おっちゃんのから揚げのルーツはこの村だったか。
「確か、ある日、自分で取りに行くと言って、狩人について行きましたな。危ないと言っても止まらなくて心配したのですが、驚くことに、その鳥を生きたまま捕らえてきたのですよ」
「生きたままですか」
「ええ。そして私たちにこう言ったのです。この鳥はとても美味しい。皆さんが許してくれるのならば、自分の宿に連れ帰って、客に味を知らしめたいと」
おっちゃん、自分で捕まえることまでしてたのか。
やべー、そのあり方に感動しかない。
「彼が捕まえたのですから、彼がどうしようと自由ですし、村の美味しいものを広げてくれるのは誇らしいので快諾しました。それ以来、なぜか彼は私たちに低価格で、塩や雑貨品などを届けてくれるようになりました。宿が上手くいっているのは私たちのおかげと言って」
凄い。
あのおっちゃんは漢だった。
しかし、あのサイズの鳥を捕まえるとか、元傭兵か何かだろうか?
確かにゴツイ体つきはしていた。
ポープリ学長ともそれなりの付き合いもあるし、不思議ではないか。
「そう言えば皆さまは魔術学府の街から来られたのでしたか。彼の宿などの話は聞いたことがありませんか?」
「うん。おじちゃんのから揚げ美味しいよ」
「街で一番なのです」
そう真っ先に答えるのはアスリンとフィーリア。
「そうですか。それはよかった」
子供たちが笑顔で答えてくれるのは、大人が答えるよりも説得力があるだろう。
そんな風に意外な、村と魔術学府の繋がりを見つけながら、和気あいあいと食事と話を続け、その日は過ぎて行った。
翌朝、村を立つ時間には、村人全員で見送りに来てくれた。
「村の近くを通ることがあれば気軽にお立ち寄りください。こんな村ですが、できうる限りの歓待をさせていただきます」
「ありがとうございます。お預かりした、宿屋の主人への手紙は確かに届けますのでご安心を」
俺は村長と別れの挨拶をしつつ、昨日の夜に村長がしたためたおっちゃんへの手紙を預かっていた。
「はい。このような田舎者の願いを聞き届けてくれて感謝いたします。こちらは元気だと、直接会うのであればお伝えください」
「ええ。直接お渡しします。どうか、息災で」
「はい。竜騎士様、ビクセン様、兵士の方々、傭兵団の方々、道中の安全をお祈りしております」
「はい。村長さんもお元気で」
「あの鳥は美味しかった。宿屋の主人のように私も狩りに行きたい。必ず、もう一度村に寄らせていただきます。どうか、村の皆様もお元気で」
そう言って、ワイちゃんに乗り込み、空へ浮かぶ。
「元気でねー!!」
「またきてくださーーい!!」
「また、竜に乗せてねー!!」
そんな声が村から聞こえる。
「またねー!!」
「またお会いしましょう!!」
嫁さんたちもそう言って、村人たちに声を返す。
ああ、なんか旅をしているって感じだな。
この世界に来て、初めてじゃないか?
こんな、政治も厄介ごとも関係なく、ただ寄った村を惜しんで別れを告げるのは。
そして、先行して先に出た兵士2人の背中を見つけ、それにワイちゃんが近寄り、ビクセンさんが声をかける。
「我々は、アマンダ様と共に、先に王都へ赴く!! 馬を頼んだぞ!!」
「「はっ!!」」
「くれぐれも道中無理をするな!! 何よりも安全を優先しろ!! では王都でまた会おう!!」
「「了解!!」」
元々、俺たちと合流したら、馬は付き添いの兵士に任せて、一緒に来る予定だったらしい。
よかった、馬も乗せて行けと言われたら窮屈だったに違いない。
「さ、アマンダ様。この道の先に王都がございます。今の速度であれば、昼には着くかと」
「はい。わかりました。ワイちゃんこの道に沿って飛んで」
ギャース。
返事をするワイちゃん。
たびたび思うけど、喋れる魔物に鳴き声で返事しろってのは、どうなんだろうな?
一種の動物の真似か? 違うか、この場合はおいっす、ういー、みたいな適当な返事かな?
ん、なんか興味が湧いた後で聞いてみよう。
しかし、ワイちゃんの場合、喋れると色々問題があるから演技してもらっているんだけど。
喋れるということは、つまり、竜騎士でなくても交渉が可能ということ。
少し頭が回る人ならば、竜騎士アマンダをすっ飛ばして、ワイちゃん個人と交渉をして利益を得ようと考えるだろう。
というか、仲介役としての竜を操る竜騎士いらねーじゃん。という結論に達するのである。
そんなことをぼーっと考えながら、炬燵でみかんを剥く。
天気は昨日と引き続き、晴れ渡り、真っ青でもないが、雲も見事に真っ白。雨の降りそうな予兆もない。
特に王都に行ってもやることもないしな。
聖剣使いの件が片付いたいま、アグウスト王都への訪問は、本当に竜騎士アマンダのお披露目挨拶にしか過ぎない。
「そう言えば、新婚旅行してなかったよな」
不意にそんなことを呟いた。
すると、膝の上にいたフィーリアに聞こえたのかこちらを見て来て口を開く。
「しんこんりょこう?」
「ああ、新婚。つまり新しく結婚した夫婦は絆とか色々深めるために、結婚してすぐは少し旅行とかして更に仲良くなるんだ」
「はぁー、それってお兄さんの所でのはなしですよね?」
その会話が聞こえたのか、横にいたラッツが話に加わってくる。
この場にはビクセンさんもいるから、わざと俺の故郷はぼかして言ってくれている。
「ああ。そうだ。今更だけど、せっかく王都に行くんだ。みんなと時間取って王都観光を楽しもうか」
「「「はい!!」」」
嫁さん全員聞いていたらしく、良い返事が返ってくる。
「仲睦まじいですな。私でよければ、おすすめの観光場所を見繕っておきますが?」
「いいのですか、ビクセンさん?」
「構いません。王都を知っていただくいい機会です。皆も賛成はすれど、否定はしますまい」
「そうですか。でしたら、お願いします。この通り、妻たちは俺がずっと戦いに巻き込んできて、夫らしいことをできていないのですよ」
「お任せください!! 今が男の甲斐性の見せ所ですな!! 1人の男として応援させていただきます!!」
ドンッと胸を叩くビクセンさん。
本当に、熱い人だな……。
そんなことを思っていると後ろになぜか嫁さんたちが集まっていて……。
「お兄さんが夫らしいことをできていない?」
「ユキを基準にすると、世の中すべての旦那は失格ね」
ウンウン。
「そんなことよりじゃ、妾が一番最初に新婚旅行でいいかのう?」
「なにをバカなことを。誰もがそれを狙っていますよデリーユ?」
「ですね。ユキさんは優しいから、見飽きても付き合ってくれるでしょうけど、一緒に楽しみたいですし、私だって一番最初がいいです!!」
「リーアに同意ですね。誰が一番最初かは今日家に戻って、トランプか何かで決めましょう」
「そうですね。それが公平ですね。旦那様、待っててください!! ルルアが一番最初の相手になって見せます!!」
とまあ、嫁さんたちの一番最初争奪戦が始まっていた。
……これ、みんな一緒にって言っちゃだめ?
旅ってのは、楽しくいかないとね。
所で皆は、泊まった夜は何して過ごす?
あ、寝るとかはよそにおいてくれ。
遊ぶ方法な。室内限定で。
俺はトランプとかかね。
携帯ゲームは旅の宿ではあまりしないかな。




