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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 学府編

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第269堀:修行パートと一生懸命のプレゼント

修行パートと一生懸命のプレゼント



Side:ユキ




さて、翌日。

昨日の決闘顛末をタイキ君と、エオイドに伝える。


「「えーー!?」」


2人ともしっかり驚いている。

ま、タイキ君は休暇から戻ったばかりだし、エオイドは魔力操作訓練の真っ最中だ。

どちらとも不満な顔だ。


「め、めんどくさいです。ってか、何で俺も巻き込んだんですか!? おれリア充でも、1人だけですよ!! それなら、ハーレムのユキさんと、ラッキースケベのエオイドでいいじゃないですか!!」

「ちょ、それはひどいですよ、タイキさん!?」


うん、タイキ君が予想通り、自分は潔白だと言い張り始めたな。

エオイドの叫びは、まあ、タイキ君の言う通りだから弁護できん。


「あきらめろ、タイキ君。君も所詮、非モテから見れば、リア充なのだ」

「くそっ。奴らから見れば俺も所詮リア充か……。でも、俺が戦う理由はなぜですか? わざわざ俺が出る必要もないでしょう? 主にエオイドの訓練成果を見たいんでしょう?」

「え?」


エオイドはその意図に気が付いてなかったのか、驚いている。

……その察しの悪さもなんとかしないと、アマンダが心配だなー。


「まあ、それも目的の1つだ。だけど、タイキ君も目的を達成してないだろ?」

「は? 俺の目的って?」


おっと、タイキ君は学府生活になじんで、ただの新婚旅行って気分になってるな。

仕方ないので、タイキ君だけを引き寄せて、こっそり耳に告げる。


「タイキ君や、ここへ来た目的はお前さんの嫁さん探しもあるんだ。無論、俺がクリーナ、サマンサとくっついて、国同士の関係の足掛かりはできただろう。しかし、それはあくまでも俺、ウィード経由だ。それは、勇者王タイキ君としては駄目だろう?」

「ぐっ。……ということは」

「無論、アイリさんからOKを貰っている。この舞台で格好いい所を見せれば、多少は周りから寄ってくるだろう。アイリも側室OK宣言をして回るつもりらしいし」

「……そんな。普通に慎ましく生きたいのに」

「……俺も、最初はそう思った。だが、現実は無理だった。というか、俺より、絶対的な後継ぎが必要なタイキ君にとってはいい機会だから、頑張れ」

「……はい」


タイキ君は観念したのか、肩を落として、呟く。

まあ、俺だけハーレムなのはつらいからな。

お前も仲間になぁ~れ。ってことだ。


「あ、あの、俺の訓練成果って?」

「ん? ああ、その通りの意味だ。アマンダを守る力が付いているかどうか、実感するいい機会だろ?」

「でも、訓練を始めてそんなに日数たっていないですし……」

「別に勝てって話じゃないぞ?」

「え?」

「この決闘は、エオイドにとって何が足りないかを確認する為の場所だ。俺たちは戦う術は教えてきたが、術だけだからな」

「どういうことですか?」

「戦う術だけあっても、戦えないんだよ、人は。アマンダを守る。その気持ちをこの決闘で確かめるといい。力だけ強くて、アマンダを守れるわけがないんだ。それなら、俺やタイキ君が守ればいい。でも、それだけじゃない。エオイド、君が彼女を守りたい。色々な意味で、そうだろう?」

「……はい!!」

「勝敗は、気にしなくていいさ。アマンダが勝ち負けぐらいで、エオイドから気持ちが離れるとは思えないし、離れるなら、その程度だ。でも、勝てばアマンダに思いを告げるいいきっかけになるだろう?」

「そ、そうでしょうか?」

「そうだろう。だって、力が付いた証拠だ。それとも、告白が怖くて、決闘にわざと負けるか? それは、それでアマンダに相応しいとは思わないけどな」

「うっ」

「まあ、心配な気持ちもわかるけど、準備は既に整えた。あとはエオイドがどうするかだ。これ以上の機会がまた巡ってくるかわからない。俺たちだって、ずっと一緒じゃないからな」

「……はい」


ここまでお膳立てしても、当の本人はとても複雑だろうしな。

ヘタっても俺は批難しないけど、アマンダや、嫁さんたちは大ブーイングだろうな。

世の中、物語みたいに劇的な告白をするなんてことは滅多にない。

でも、俺としては、色々な事情でエオイドとアマンダがこれを機に、正式にお付き合いしてくれるとありがたいんだけどなー。

あとはなるようにしかならない。


「というわけだ、向こうも準備があるみたいだから決闘は明後日ということになった」


いや、実際はアホデスがボコボコにされて、動けるようになるのが明後日だ。

向こうは本番当日まで訓練ができなくなった。主に学長との訓練のせいで。

本当に力をつけるためにやったのか、ただボコボコにしたかっただけなのか、俺にはわからない。

アホデスは動けない間に、どう人を集めるつもりなのかわからないが、決闘がちゃんと行われることを期待しよう。

そうしないと、エオイドとアマンダのための作戦が無駄になってしまう。


「明後日ですか……」

「そう、明後日。ま、明日はゆっくり休むとして、今日はみっちり行こうか」

「え!?」


エオイドは驚いたような顔をするが、俺とタイキ君の方が逆に驚くわ。

こういう、お約束のバトルの時は、普通ギリギリのギリギリまで鍛えるんだぜ?

そして、新たな力を手に入れて、格上の敵をなんとか倒す、熱い手に汗握るバトルを繰り広げるものなんだ。

で、同じ思考だったのか、タイキ君と目があい、同時に頷く。


「「必殺技を覚えてもらう!!」」

「い、1日でなんて無理ですよ!?」


エオイドはそんなことを叫ぶが、知ったことではない。

為せば成る、為さねば成らぬ。である。

というか、当事者になるのは勘弁だが、主人公を鍛える役なのは、俺としても、タイキ君としても面白いので、存分にやらせてもらおう。


「まずは、いつもの通りの基礎訓練をこなしてからだな」

「そうそう。何事も基礎を疎かにしてはいけない」

「……はい。わかりました」


そう言って、エオイドはランニングを始める。

校舎をぐるっとではなく、俺たちが目の届く狭い中庭を、許しが下りるまで走るのだ。

これは、エオイドへの単独攻撃を防ぐためでもあり、エオイド自身の精神力を鍛えるためでもある。

人間、単調で意味のないことを永遠とやらされるのは、とても苦痛なのだ。

この単純作業は拷問の方法の1つにも数えられている。

まあ、穴を掘って埋めろや石を積んで崩す、などと言ったものより、体力作りも兼ねているので、多少はましだろう。

あと、人間とても苦しいことを経験していると、それを上回らない限り、慌てることもない。

これが、俗にいう、若いころには苦労をしろ。ということだ。若いころのミスはやり直しがきく、だから、若いうちに色々な経験、苦労をしろ。ということだ。

分かりやすい所でいうなら、成人男性は、転んで血がちょっと出るぐらいの怪我なら特に問題もなく歩けるだろう。

しかし、これは子供の頃によく怪我をしたおかげだ。自分の怪我の具合がどの程度なのか知っている、把握できているので、慌てる必要がないのだ。

ん、何かわかりにくいな。

ああ、そうだ、学校の体育教師だな。

授業中、だれか骨折した。というのは結構あるのではないか?

自分のクラスでなくても、隣のクラスのだれだれが……とか。

俺たち生徒は慌てていたが、多くの場数、けが人を見てきた体育教師は直ぐに状態を聞いて、保健室か、救急車かの判断を下す。

文字通り経験のなせる術である。

だから、その経験を補うために色々エオイドにやらせているのである。

まあ、どこかの軍曹みたいに、笑えなくなるぐらいにするつもりはないが。

アマンダに引き渡す時にぶっ壊れてても意味がないし。


「で、ユキさん。実際、必殺技覚えられると思います?」

「漫画やアニメのお約束みたいなのは無理だろ。あくまでもエオイド自身が強くなるという意味合いが大事だし。俺たちが変なアイテムを渡しても今回きりだから、意味がない」

「ですよねー。じゃ、小手先ですか?」

「だなー。かめは○波とか覚えたらそれはそれで面白いんだけど」

「本人は魔力操作だけですからね。いつか属性系は勉強させて使えるようにしようかなって話してましたけど、流石に今日、明日では無理だし」

「無理だな。そんな簡単に勉強して吸収できるなら、この世界はこんな状態じゃねーよ」

「ですよねー。で、小手先で方向性は決まりましたけど、どういうのを覚えさせるんですか?」

「いや、というか、今エオイド君はどこら辺までできるんだ? 俺、クリーナやサマンサの関係で、エオイドのことはタイキ君に任せっぱなしだろ?」

「あー、そういえばそうでしたね。と言っても、そこまで日にちも経っていませんし、ちょーっと、魔力の固形化ができるようになったぐらいですね。強度は鉄ぐらい、魔術抵抗はイメージで変わりますね」

「イメージで、ってどういうことだ?」

「エオイドは未だ、魔力っていう概念を理解しきれていないみたいですね。形状が小手なら、物理的な攻防力が高まって、形状が盾なら物理・魔力双方への防御力が上がるんですよ」

「……逆に俺たちにはできない、魔力の使い方だな」

「はい。魔力の質を変化させて、自身の強化や、防ぐ攻撃の種類を分けるとか、器用ですよ」

「そう言った意味では俺たちもイメージ不足だよな」

「まあ、なるべくバランスよくってのが安定しますからね」

「そもそも無形の魔力に固定化した形を与える意味を見いだせなかったしな」


俺たちが常時使っている、魔力そのものは自分からにじみ出たり、空気中に存在している。

魔力操作はそれを利用して、防壁として使ったり、固形化して足場に使うのが主だ。

主に粘土で自由にモノを作る感覚に似ているが、エオイドみたいに小手や剣、盾などと言った使い方は考えた事もない。

実際、魔力操作を武器、あるいは盾として使うとしても、武器に至っては魔術や銃器の方が効率はいいし、盾に至っては、防壁の方が楽だし、安全だ。

そういう見方から考えると、確かに無駄ではあるが、エオイドは更に作ったものに対してイメージの補強があるのか、エンチャントが付いた装備品のようになっているらしい。

……あれ? これって、どこかの……。


「ユキさん、エオイドの魔力操作ってとうえ……」

「言うな。あんな有名どころの名前を出すんじゃない。エオイドの体は普通の人体でできている」

「でも、方向性は決まったんじゃないですか?」

「だな、ちょっと戻って武器図鑑もってくるわ」


エオイドが現存する、認識しているモノがイメージしやすいのであれば、そのバラエティを増やせばいい。

実際、エオイドは剣を主体で今まで頑張ってきたし、武器図鑑で剣を見せれば再現できるかもしれない。

できなければ、相手の動きを封じる魔力固定化を利用した、足枷戦法にすればいいだけだ。


「よーし、エオイド。ランニングはやめていいぞ、訓練を本格的に始めよう」


後ろでタイキ君がエオイドを呼び寄せている。

俺が本を持ってくるまでに、大体概要は話してくれるだろうし、さっさと取りに行こう。




現在は夕飯時、皆、家に帰ってのんびり食事をしている。

今日は、パスタ多種とサラダ、そしてスープの献立だ。


「で、エオイドの訓練はどうなのかしら?」


セラリアは膝にサクラを抱えて、パスタをフォークに絡めて口に運んでいる。


「んー、まあ、なるようにしかならないと思うぞ」


俺がセラリアの質問に答えていると、ユーユにおっぱいをあげていたデリーユが不思議そうに口を開く。


「……なんじゃ、ユキやタイキなら必勝と言うかと思ったのじゃが、えらく弱気じゃのう」


うんうん。


と嫁さん全員が頷く。


「そりゃ、手加減なしの補助制限なしなら負けは無いだろうが、セラリアが言ったように、エオイドの訓練だからな。正直、見ていて危なっかしいし、格上の相手の勝負だ。いくら訓練したからっていっても数日だしな。ウィードのダンジョンで底上げのルール違反したわけでもないし」

「あー、なるほどのう。そうなると、エオイドがどれだけ真剣に訓練に励んでいたかが重要になるわけじゃな?」

「そうそう。やっぱりよくわかっているな」

「どういうことでしょうか?」

「アスリンわかりますか?」

「ううん、わかんないよ。フィーリアちゃん」


ほかの嫁さんもデリーユの言葉の意味は分かって頷いていたが、ちびっこたちにはわかりづらかったか。

まあ、そこまで経験をしていないから、仕方のないことだけど。


「そうだな……シェーラたちにわかりやすくいうなら……、真剣に今まで勉強していた子と、不真面目で勉強してない子とどちらがテストの成績がいいと思う?」

「「「真剣に勉強していた子」」」


うん。

3人が素直でよかった、不真面目な子が天才かもしれないとか言われたらどうしようもねえ。


「だよな。アスリン、フィーリア、シェーラが学校で勉強しているように、魔術学府も同じ勉強をしている人の集まりなのはわかるな?」

「「「はい」」」

「で、エオイドが明後日挑むのは、自分よりもっと成績のいい人なんだ。だから、いつもよりたーくさん頑張らないといけない。今回は俺とタイキ君が教えたけど、勉強は自分で覚えようと思わないと覚えられないだろ?」

「そうですね」

「うん。よく、お友達に教えるけど、いつまでも覚えない子いるよね?」

「あれは、やる気がないのです。私たちに教えてもらうだけで、自分で考えることをしていないのです」


あー、やっぱりいるよな。

いくら、ウィードで新鮮な学校があるとはいえ、向き不向きがある。

俺たちが必要と言って、学ばさせているが、成績の上下は必ずでる。

やる気の問題だが、それが一番難しい。

どこも同じと言うことだ。


「そう、だから、皆みたいに、安全のためウィードで鍛え上げるといったこともしていないから、大事なのは……」

「エオイドさんが、アマンダさんのためにどれだけ真剣に訓練を頑張ったか、ですね」

「大丈夫だよ!! エオイドお兄ちゃんは、アマンダお姉ちゃんのために頑張れるよ!! 知ってるもん!!」

「知っているのです!! 2人は、私たちと兄様みたいにラブラブなのです!! だから絶対に勝つのです!!」

「ふふふ、そうね。愛は人を強くするのよね」


微笑ましい答えではあるが、俺もそれを狙っている。

負けてもいいけど、それでエオイドとアマンダが急接近してくれればいいのだ。

そうなるように、エオイドには真剣に頑張ってもらう必要がある。

だから、今回の決闘を利用したのだ。

物語のように上手くいくなんて思っていないが、無いよりはましだ。

男が奮い立つ舞台に、戦いという決闘以上の場所は存在しないだろう。


「あ、そういえば、フィーリア。何かユキに渡すんじゃなかったかしら?」

「そうだよ、フィーリアちゃん。お兄ちゃんに渡さないと」

「そうですね。フィーリア、今がいいと思いますよ」


フィーリアが何かくれるのか?

3人からそう言われて、フィーリアが何か箱を持ってこっちにくる。


「あ、あにょ、兄しゃま!!」


すげー、緊張してるな。

一体なんだ?


「何だいフィーリア? とりあえず、落ち着いて」


そう言って、まずはフィーリアを抱えて、俺の膝に座らせる。

いつも4人にはやっていることだ。

頭を撫でてて、緊張をほぐす。


「ふにゅー。兄様のなでなで、気持ちいいのです」

「で、その箱を俺にくれるの?」

「あ、はい。そうなのです!!」


俺がそう聞くと、素早く膝から飛びたって、箱を俺に突き出す。


「ナールジアさんから、合格を貰った服なのです!! 兄様のために作ったのです!! どうか着て、明後日の決闘頑張ってくださいなのです!!」


とりあえず、箱を受け取るが、何か聞き捨てならない内容があった気がするので、聞いてみる。


「へ? なんで決闘に着るの? 服だろ、破れたら勿体ない……」

「大丈夫なのです!! 兄様は鎧を着たくないっていつも言ってたのです。それを考えて、色々試行錯誤して、服なのに鎧の性能を持つ物を開発したのです!!」


ああ、なるほど。

そっちの方向に行っちゃったか。

普通の服でなく、この箱の中にあるのは、服の形をした別の何か。


「……開けていいかな?」

「勿論です!!」


期待のまなざしで見るフィーリア。

そして、周りの皆も、出てくる物を待っている。

はぁ、仕方ない。

覚悟を決めて、箱をそっと開けると、普通の学生服が出てきた。

俺が、高校の頃着てた指定の制服。しかもしっかり校章まである。


「えーと、フィーリア。なんで学生服?」

「兄様が来ていた服の中で、一番装飾が多かったのです。沢山エンチャントをつけられるのです」


そういうことか、確かに、高校の制服は、ネクタイや校章とかいった装飾が多い。

スーツ姿の写真なんて撮ってないし、そう言った意味では高校の制服が一番か。


「これで兄様は鎧を着なくていいのです!!」

「そうか、ありがとう」


とりあえず、一番上のブレザーを手に取ってみる。

……普通な手触りだ。

てっきり超重いとか、触った瞬間に黄金に輝くとか、変なネタがあるかと思ったがそんなことは無いらしい。

問題はなさそうなので、そのまま袖に通す。


「うん。ぴったりだし、着心地もいいよ。ありがとうフィーリア」


俺がそう言うと、フィーリアはとても嬉しそうに笑って。


「兄様に気に入ってもらえてとても嬉しいのです!! ようやく、兄様の役に立ったのです!! ……えぐっ、ひぐっ」


そう言って泣き出してしまった。

ああ、そうか、フィーリアもアスリンみたいに色々気にしていたのか。

鍛冶の才能はあっても、今まで1つもまともな作品はない。

ナールジアさんの教えを必死に守って勉強する毎日だ。

それを皆は当然だと思っていた。

鍛冶なんて一日二日で習得できることではないと知っているからだ。

でも、フィーリアは心配だったんだ。自分だけ役になっていないと。


「大丈夫。フィーリアはいつも役に立ってた。みんな、知ってるから」


俺がそう言うと、皆頷く。


「な?」

「ううっーー。ありがとうなのですぅぅーー」


皆が頷く姿を見たフィーリアは再び俺の胸で泣き出す。

あー、やっぱりまだまだフォローが足らないなー。

で、しばらくするとフィーリアは疲れて寝てしまったので、アスリンたち3人が部屋に連れて行って一緒に眠りについた。


「もう、なんて愛らしいのかしら」

「セラリアと同じ愛らしいではないが、妾も愛らしく思うぞ。それと同時に、あんな妹がおるのが自慢じゃな」

「だねー。フィーリアみたいな妹がいて、僕は自慢だよ」

「……フィーリアは、あんなに小さいのにとても強い。私も見習わなくては」

「……そうですわね。新参だからと言って、怠ける理由にはなりませんわね。ところでユキ様」


皆が、そんな雑談をしていると、サマンサがこっちに話を振ってきた。


「その、フィーリアちゃんが作った服は見た目がいいのはわかりますが、いえ、不満があるというわけではないのです。今ユキ様が着ている服を作っただけで、称賛されるべき才能です。ですが、防御性能はどうなのでしょうか?」

「あ、それもそうね。流石に、性能が低いなら決闘に着るのはやめてもらうわ。フィーリアには悪いとはおもうけど、あなたの体が一番大事よ?」

「じゃな。フィーリアには汚したくないとでもいって、言い訳にすれば納得するじゃろう。で、性能は?」

「あ、すまん。そういえば見てなかった」


そう言われて、初めて俺は自分のステータスを開く。

そして……。


「ええっーーーー!?」


そう大声をあげてしまった。



以下がフィーリアの作った制服の内容である。



ユキ専用の制服セット


最低ステータスALL3000+

特殊事項:状況に応じて、補助効果が上乗せされる


説明:鍛冶の巫女、才能を開花させたフィーリアが、たった1人の兄のために、一から十まで完全にオーダーメイドで作った服。

一見、普通の制服だが、素材はフィーリアがナールジアと協力して開発した、複合レアメタルを糸状にして軽量化、それでいて強度は損なわれず、互いの性能を十分に発揮できるという前人未到の衣類である。

無論、そこらの量産品の鎧とは比べるべくもないほど、性能が高く、その高い性能ですら、ユキが着ていない最低値で、ユキが着た場合の最高値は計測したことがない。

更に、エンチャントを複合で重ね掛けしていて、この制服の性能を更に高めている。

尚、ユキ以外の人が着てもただの服である。補正効果は発揮されない。

文字通り、ユキ専用の、伝説をぶっちぎった、新素材と技術、才能、想いを惜しみなくつぎ込んだ作品である。


感想:うん。はなまるを上げましょう。想われているわね。よっ、お兄ちゃん。 byルナ



やっちまった。

微笑ましい出来事ではなかった。

決闘騒ぎの隅で、なぜか最強装備が生まれてしまった。


そして、箱の中には、ミサンガみたいなものが2つ残っている。手紙付きで。


『兄様。このミサンガは決闘の話を聞いて、残った糸で慌ててつくりました。よければ、タイキ兄様、エオイド兄様に渡してください。お守りなのです』



勝利を祈って慌てて編まれたミサンガ


ステータスALL500+


特殊効果:体力、魔力回復量の大幅増大。毒物の無効化。簡易防御壁の展開を任意で可能。


説明:雑ではある。が、それは鍛冶の巫女にとっての雑であり、これでも十分最高品質の品物である。

勿論、素材も素材なので、この状態でも装備者の能力全てを引き上げることが可能な、フィーリアにとっては簡単な片手間量産品である。



「どうしよう?」

「……渡さないわけにはいかないでしょう」

「そうじゃな……。しかし、これは……」

「……フィーリア。恐ろしい子」

「……決闘というより、装備品の性能評価になりませんか?」


あわわわ……。

変なところで、問題が出てきたぞ!?


どうする!?



決闘まで、あと1日。




お約束の、修行パート。

エオイドは専用BGM「EOIDO」をかけられるのか!!


ま、それより、これはイベント的に最強武具の回収フラグだったのかもしれない。

さあ、問題は増えたぞ、どうなることやら。


あ、MGS:TPP報告、PS4はプラスに入ってないとネット対戦できねーよ!!

ちくしょう。


ではまた次回。



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