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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 学府編

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落とし穴44堀:海の幸

※タイトルでわかる通り、それなりな飯テロになると思います。覚悟して読んでね。

海の幸




side:ユキ



夏の日差しの中、蒼い空と、碧い海で全力で遊んだ。

セラリアとラビリスとクラゲで沖に行った皆と合流して、アスリンやフィーリアと一緒にイルカに乗ったり、トーリやリエルと一緒に泳いだり、実は泳げなかったジェシカを皆で協力して教えたり、エリスとクリーナに迫られたり、ルルア、シェーラ、キルエ、サマンサと一緒に海中散歩したり、ミリー、ラッツ、デリーユ、カヤと海の食材集めに行ったり。


まあ、とにかくいろいろやった。

で、そうやって遊ぶとレベルがいくら高くても……。


「ううっ。お、おなかがすきましたぁー」

「リーア、情けないですよ」


ジェシカがそういうが、すぐにジェシカのお腹が鳴る。


「ジェシカだってお腹すいてるじゃないですか」

「し、仕方ないんです!! あれだけ泳ぐのを練習したんですから!! でも、私は我慢できますから!!」


必死にそう言って周りの俺たちに説明する。

ジェシカがこんな風に必死になるのも珍しい。


「まあ、落ち着け。別に非常時でもないし、お腹が空くと感じるのは健康な証拠だ。恥ずかしがらなくていいぞ」

「ですよねー」

「ううっ、リーアはもう少し、女性としての嗜みをですね」


ジェシカは顔を両手で覆い、顔を左右に振ってサイドテールを揺らしている。

……女性としての嗜みね。

うーん。特に俺としては問題はないが、ジェシカとして、俺の妻としての形があるんだろうな。

ああ、泳げなかったのがたぶんあるだろうな。

皆に教えてもらったし、元々は騎士だから威厳やプライドで思うところがあったのだろう。


「まあ、ジェシカのお腹が鳴ったからというわけではないけど、俺たちもお腹が空いてるし、集めた食材でいろいろ料理をするか。俺がメインでやるよ。あまり見たことない食材ばかりだろう?」

「はい。ユキさんお願いします」

「……タコは茹でる、タコ焼きにするぐらいしかしらない」

「この細長い白いタコはどう食べるのじゃ?」

「ぬふふふ、また新しい料理で商売のタネになりそうですね」


サハギンの案内で食材を片っ端からとってきたみたいだが、やはりどう料理するか知らないか。

いや食べるだけなら焼けばいいのだが、それじゃ、俺がわざわざ腕を振るう必要はない。

夏の海にふさわしい、料理を出すべきだろう。

もちろん、定番の海鮮料理も作る。


で、張り切るのはいいが、20人近く食べる人がいるので、俺1人で作っていると日が暮れる。

そして、その人数に合わせた量の海鮮類もとってきている。

鱗を落とすだけでも1時間以上だろう……。


「というわけで、さすがにいつもの料理担当者だけでは追いつかないので、みんなに手伝ってもらいたい。ま、魚をさばくのが辛いのなら無理は言わないけどな」


そう言いはしたが、お姫様とかもいるし、不参加者も出るかと思っていたが、全員が参加してくれた。

セラリアは普通に戦場に出ていて野戦飯とか、周りから採取して食べるのは当然みたいなことを言っていたから納得できるが、ルルアやシェーラがやるというとは思わなかった。

温室育ちだから、切り身の魚を見たことがあっても、あのギョロメの魚に包丁を入れるのはあれだろう……。

日本でもそのままの魚に包丁を入れることができない主婦がいるくらいだしな。

……俺がいろいろできるのは、まあ、若い時にサバイバルとかやったせいである。

じゃないと、生きていけなかったから。美味いご飯なかったから!! ジャングルの中とかな!!

と、そんな昔のことはいい。

今、役に立ってるからイーブンとしておこう。


「じゃ、まずは魚を捌く基本から」


とりあえず、コテージに戻って、テーブルで説明を交えながら実演をする。

百聞より一見。されど、百聞と一見のほうがいいに決まっている。

まずは、野じめ。つまり血抜きだが、鮮度を保つために必要なことだ。

普通遠洋などでとった大物は、血抜きしないと臭みがついたりして鮮度が落ちる。

血抜きの位置は尾びれの付け根、エラと胸びれの間のどちらか、サイズによって変えるといい。

あ、今回は鮮度が抜群なのでそのまま捌きます。

そこまで、でかい獲物もいないし。

次にいい魚の見方はだが、これも取れたてなので、特に選別する必要もないが、まずは魚の目。

死んだ魚の目といった揶揄があるように、魚の鮮度は、まず目を見るべし。

鮮度がいいのは透き通った目で、悪いのは濁っている。

他にエラ、鱗といった鮮度の見方もあるが、今はいいだろう。


さて、いよいよ本格的に魚を捌くわけだが、まずは魚の外装を落とす必要がある。

外装、つまり動物でいうところの皮。つまり、鱗である。

これをとらないと、とてもじゃないが食えたものではない。

魚によっては鱗がなく、ぬめりを持って鱗の代わりとしているのもいるが、それは塩で揉むといい。

塩が貴重な中世ヨーロッパの食文化では、まずやらない料理法だよな。

と、鱗の落とし方に戻るが、まずは水洗いをする。

これは水の方がいいが、まあ海水でも問題はない。

水洗いの目的は、魚をきれいにする。つまり、魚についている病原菌を落とすのが目的だが、完全にゼロというのは無理なので、自分の免疫力に期待しよう。

次に、危ない尖ったヒレなどの撤去。怪我をするからな。

で、ようやく鱗落としだが、包丁で尾びれから頭へってのは基本だが、世の中便利なもので、鱗落としという道具がある。

これを嫁さんたちに渡して鱗落としをしてもらったが、魚料理の面倒さをしる元冒険者組や二人のメイドはこの道具を絶賛していた。

……ピーラーも喜ばれたし、この手の便利道具を作る余裕はないらしい。


さて、鱗をとったら、ようやく魚を捌ける。

料理によってはエラをとるかはいろいろな要素で決めるが、まあこういう、雑と言ってはあれだが、本格的でないので、頭ごとバッサリおとしてしまう。

頭を落とす方法もいろいろあるが、かました落としでいい。というかこれが楽。


その次はワタ出し。つまり内臓を取り除く。

内臓は物によっては普通に食べてもいいが、味が特殊だったり、未消化の魚や虫がいたりするのであまりお勧めはしない。

頭を落としているので、そこから胸を開いてもいいし、お腹に包丁を通してとるのもいい。


で、これからようやく、食べる身を切り分けえる作業に入る。

この中に三枚おろしなどがある。

どの捌き方も共通しているのが、骨と身を切り分けるということである。

有名な三枚おろしは、魚を正面からとらえて、右の身、中央の背骨、左の身と分けることを指す。

残っている肋骨などは、そのあと別に切り落とすが、だいたい食える刺身でもない限り、そのまま使ったりする。

背開き、胸開きなども同じように背骨をとる方法だが、こちらは小さい小魚、キスなどで使うことが多い。

小さい魚は背骨以外はそこまで食感に影響しないので、背骨をとってしまえば、そのまま焼いたりして食べられるからだ。


さて、ここまで来てしまえば、あとはこの切り身たちを料理に使うだけである。

むろん、このまま食べてもおいしいので、醤油につけてちょいと食べてもいいだろう。


「あら、美味しい」

「ナールジアさん、日本酒持ってきました!?」

「もちろん!! いやー、いいですね。釣りたて新鮮っておいしー!!」


セラリアとミリーに……ナールジアさんがなぜかいる。

まあ、いいか。刺身に日本酒は当然だしな。


「と、だいたい魚は捌き終わったな。キルエ、貝は砂抜き大丈夫そうか?」

「はい。昨日の晩からおいてましたので、十分かと」

「あの、旦那様。砂抜きってなんですか?」

「初めて聞きました」


ルルア、シェーラは初めて聞くようだ。

まあ、日本人はアサリなどの貝類をよく食べるから常識と思っているだけかもな。


「砂抜きっていうのは、文字通り砂を抜くんだ。貝類は水の中で呼吸をするときに、一緒に砂も吸い込む。これを放っておいて、料理に使うと、料理に砂が混じる。結構ため込んでたりするから、砂のない、海水だけを入れたバケツとかに貝を入れて、その中で呼吸をさせると、自然とためている砂を吐き出す。これで、だいたい食べるときに違和感がないぐらいに砂はなくなるんだ」

「「はー」」


2人とも、心底珍しそうに、砂抜きしてあるアサリたちをのぞき込んでいた。


「と、みんな自分の丼に好きな量ご飯を入れてくれ」


そうそう、もう切り身は大量にできたし、待たせるのはあれだ。

あとは俺がちゃっちゃと作ればいいから、みんなは食べ始めていい。


「えーと、ユキさんなんで?」

「まだ料理できてませんよね?」


リエルとトーリはそう言って首をかしげる。

ほとんどの嫁さんたちも不思議にこちらを見ている。

しかし、その中で察しがいいのが、ラッツとエリス。

すぐに丼に炊き立てのご飯を入れて俺に突き出す。


「いや、自分で……」

「まあまあ、みんなわからないようですし」

「そうですね。お願いします」


そういわれると断る理由もないので、見た目が華やかになるように、切り身をご飯の上に載せていく。

そして、ご飯が見えなくなるまで載せたら、そのまま2人に渡す。


「あっ!? それってお寿司!?」


ミリーはその丼の姿に寿司を思い浮かべたらしい。


「……似たようなものかな。で、今目の前には、好きなだけ乗せる切り身がある。それを乗せて、醤油をラッツやエリスみたいにかければ……」


2人は醤油をかけて、そのまますぐに海鮮丼をかきこむように食べる。


「ぼ、ぼくも!!」

「私も!!」


そして、その姿をみた全員が、オリジナル海鮮丼を作りにかかる。

その間に、俺は夏の海、定番を作りますかね。

キルエとサーサリに用意してもらったのは、一口サイズに切った野菜多数、麺、ソース。

これで予想がつかないやつは夏の海を知らない。

さあ、海鮮類は山ほどある、硬い野菜から火を通していって、海鮮、麺、そしてソースを絡めて炒める。


「これは、焼きそば!?」

「……ん、いい香り」

「クリーナさん、焼きそばってなんですか? とてもいい匂いですが」


サマンサは夏祭り不参加だったしな、わからなくて当然だな。

他はこちらを見て、丼をかきこむのをやめる。


「へい、おまち。海鮮焼きそばだ」


そう、夏の海の家、定番の焼きそばである。

むろん、海鮮類も入ってるから、日本の海の家の焼きそばとは材料からして雲泥の差だが。


「「「うまーーーー!!」」」


でかい大皿にできたそばから置いていく。

すかさず箸が伸びてきて、4つ用意した焼きそばはすぐに姿を消す。

しかし、これで終わりではない!!


「キルエ、サーサリは天ぷら。俺は貝の調理する」

「「はい」」


小さい魚の開きは切り身のように、生で食べるには抵抗がある。

ならば、それは全部カラッと天ぷらにしてしまえばいい。

そして、俺は貝の料理である。

まずは、温めたフライパンにバターを広げる。


「バターのいい匂いが……」

「……なんてこと、まだあるの? 大変だわ、夫が私たちを太らせにきてるわ」

「構わんっ!! 妾は運動するから万事問題なし!!」

「いいお酒のつまみになりそうですねー!!」

「ええ、いいですねー!!」


天ぷらの揚げたてを食べつつ待ってもらい、俺は貝をメインに、残った切り身をフライパンに投入して炒める。

バターソテーというやつだ。

ワインなどをかけて臭みを消し、フランベさせ、これに塩コショウを振れば単純であるが、すごく美味しいものが出来上がる。

これにレモンやレタスを添えて皿に盛れば完成。

レモン汁をかけてあっさり、ご飯で食べてもいいし、レタスに巻いて食べてもいい。

俺が料理を完成させるころには、全員がこちらを見ている。


「さあ、食べろ食べろ!!」

「「「わーい!!」」」


まだまだ、単純に切り身を串に刺して、火であぶって塩をかけて食べる古典的なものや、味噌汁に残った切り身をいれたアラ汁という味噌汁も作る。

どれもこれも、間違いなく美味い。

で、海鮮材料が尽きたあとも、嫁さんたちがおいしそうに食べてくれていたので、つい調子に乗ってバーベキューのような肉系も作っては嫁さんたちの胃の中に消えていった。


その結果……。


「あー」

「き、きつい」

「ユ、ユキ。妾はまた妊娠してしまったようじゃ……」

「いや、デリーユそれ食べすぎなだけだから。うぷっ」


こんな感じで、すでにコテージのいたるところで、お腹を天井に向けて、転がる水着姿の嫁さんたちが散乱していた。

動けなくなるまで食うって相当だよな。


「お、おなかがポンポンだよ」

「うにゅー。兄様、お腹が苦しいのです」

「……ユキ、苦しいわ」

「……う、動きたくありません」


ちびっこたちも動くことなく、その場で横になっている。

いや、4人とも不思議なくらい食べてたよな。

しかし、この様子だと、さすがにデザートは無理だな。

かき氷を用意していたが、これは無理だろう。


「新作のデザートもあるけど、食べられそうにないな。ま、後日また作るからその時に……」


だが、俺は甘かった。

女性の胃は2種類あるのだ。

普通の食事を入れる胃。

そして……。


「「「デザートは別腹!!」」」


デザートだけを入れる胃。

女性は本当にたくましい。

だが、流石にかき氷特有の……。


キーン!!


「「「んっーーーー!?」」」


これは、避けられなかったようだ。




さあ、如何だったでしょうか?

とりあえず、スーパーで切り身とか貝柱買ってバターで炒めたり、刺身を買って丼に載せて食えば再現できるよ!!

食べてみたい人は、軽く作れるレシピなんでやってみるとよろし。

アラ汁は面倒だからやめとけ。


さあ、かき氷でキーンとしようぜ!!

ちなみに、連続投稿なので、月曜までお休みー。

これにて海は終了。本編に戻ります。

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