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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸編 魔剣と聖剣

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第239掘:事件のまとめと今後の方針

悲しい事件だった。

だが、未来へと歩まなければならない。

事件のまとめと今後の方針




side:ユキ



俺はなぜか、エナーリア聖都に来てまで、紙の山に埋もれている。

出張先ってさ、軽く資料整理するぐらいで、基本は交渉先との話し合いが重要なはずなんだけどな。

いや、エナーリアの地下にダンジョン作った?いや復興させたし、支店を作ったってことなんだろうが……。


「えーと、この資料関連はどこだっけ?」


俺はそう言いながら、紙の山を探る。

あー、もう、見つからない。

エナーリアのダンジョンに急遽仕事場を作ったので、ウィードの仕事場とは勝手が違うのだ。

くくく、まったく、ダンジョンは増えるばっかり、調べることも山ほど。

しかし、人手が全く足りない。

なんで、社長である俺が事務しないといけないんだよ。

こんな会社、日本だとすぐ潰れるぞ、社長ってのは資金繰りで方々に顔を出すのが仕事なんだ、それを一緒になって雑務してるとかないわー。

まあ、財源、もといDPは確保してるんで資金と言う面ではほぼ問題ないのだが、魔力枯渇問題に関しては未だ下手に人手を増やすわけにはいかないって点に尽きるんだよな。

会社的に、秘密プロジェクトを進行中って感じ、他所の会社に感づかれないように秘密裏にやる必要があるのだ。

だから、関わる人も必然的に信頼のおける人に限る。

しかも、ウィードとは違う、世界的にはお互い知らない大陸を行き来する前代未聞の状態だ。

地球でもしも、未開の地、大陸なんて見つかれば、利権の為に見つけた国は秘匿するに決まってる。

まあ、隠し通せないだろうし、最初に見つけたと宣言して、権利を主張し、協力してくれる、仲間になってくれる大国と分け合うのが理想的だよな。

ははっ、地球の価値観で現在の状況を改めて考えると、本当にトンデモないことをしてるよな。

そんな事を考えながら、紙束を探るが、資料がみつからない。


「あれー、ないぞ?」


確か、ここに置いてたはずなんだが……。

そう、確かに昼食をとる前にはここら辺に置いてた。

流石にボケるほど歳はまだとっていない、と自負はある。しかし現実にはない。


「なにしてるんですか?」

「ええ、リーアの言う通りなにをしているのですか?」


一緒に書類仕事をしているリーアとジェシカが声をかけてくる。

流石に、机の上の捜索をやめて、引き出しを一個ずつ開けてたら気になるよな。


「いや、この資料関連を机の上に置いてたと思ったんだけど、ないんだよ」


そう言って、ぴらぴらと一枚の紙を見せる。


「ユキさんが、資料を無くすなんて珍しいですね」

「……大丈夫ですか、具合でも悪いのでは?」


ジェシカがそう発言をすると、2人とも真顔になって席を立ち俺に近寄ってくる。


「落ち着け、具合なんて悪くないから。というか、俺が具合が悪かったとしてどうするつもりだ」


真顔で迫る嫁2人に寒気がして、俺も席を立ち、ドアへ後ずさる。


「なにいってるんですか? 具合が悪いならお布団で寝ないといけないんですよ?」

「リーアの言う通りです。ユキが倒れることは、世界の破滅と同義ということを忘れないでください」

「ジェシカの言う通りですよ。でも、こうやって逃げようとするから、私たちが一緒に寝てあげないといけなんです。ね、ジェシカ」

「その通りです。書類仕事は後でもできます、現在の資料を無くしてしまう様な状態で仕事を続ける方が問題なのです」

「ぐっ」


リーアの一緒に寝たい発言はともかく、ジェシカの逆に仕事効率が落ちるから休めやって意見には反論できん。

でも、本当に覚えがないんだよ。

流石にこの機密だらけの資料を無くすなんてことはないんだけどな……。


「おーい、ユキ。この資料返すぞって何をやっとる?」


突如、ドアが開かれ、デリーユが紙をひらひらさせて入ってくる。


「お前が勝手に持って行ったのか」

「ん、ああ済まぬな。ユキは昼ごはんに出ておるし、妾たちも状況把握がしたかったのでな。で、なんでリーアとジェシカがユキに襲い掛かろうとしておるんじゃ? というか妾も混ぜろ」

「お前のせいで襲われそうになってるんだよ!! 資料を持ち出すな!!」


デリーユを引き寄せて頭に手を置いて髪をわしゃわしゃする。


「わ、悪かった。妾が悪かったからやめるのじゃ。髪が乱れるぅぅぅ!?」

「と言うわけで、デリーユが持っていたってだけで、俺の具合は悪くない。だから座ってくれ」

「「ちっ」」

「おい」


本当に俺の嫁さんたちは油断ならん。


「で、デリーユは状況把握がしたかったって?」

「ああ、そうじゃ。城の襲撃から凡そ3日じゃが、未だ城、城下街は色々騒がしいからのう。下手に出歩くわけにもいかんし、エリスたちと話して、前もって集めていた情報でもとな……」

「なるほどな。でも、これはエナーリア聖都襲撃の報告書と資料だぞ?」

「その顛末も把握しておいて問題なかろう。結局、ユキが1人で色々やってしまったんじゃから」

「いや、それは、皆には準備が整ったら言うつもりだったけど、そこのお2人がいきなり動き始めたからな、その暇がなかった」


そう言って、仕事場の端にみかん箱を机代わりとして、今までの経緯を正座で書かされているのは、今回エナーリア聖都襲撃を企てた裏の真犯人。

しかし、表向きには大臣の謀反と言う事になり。

そして、結果は俺がまとめて利用して、どっちもつぶした。


「いやー、酷い事件だったな」

「いや、ユキが一番ひどいがな」

「「うんうん」」


嫁さんたちは、俺がスィーアに全裸ダンスをさせたことを知って、白目で見て来たのだ。

あと、服を着せたあとだが、ピースもそれとなく遠目に見せたんだ。

だって、仇敵だし、理性ふっ飛ばして情報を得られる前に殺されたら溜まらないから。

でも結果は、ファンファン略を踊っている2人をみて泣き出した。

もう大泣き、なにがいけなかったのか、「私は、私は……なぜ……」ってそんな声が聞こえたけど、すぐに嫁さんたちがピースを慌てて連れて行った。

なぜ、いきなり泣き出したのかって嫁さんたちに聞いたんだが、答えが曖昧でよくわからなかった。

セラリアが唯一遠い目で……。


「きっと、人生を否定されたような感じなんでしょうね……」


と、そんなことを言っていた。

いや、どこに人生を否定される要素があったよ?

ピースの仇ともいえる敵を捕まえてファンファン略を躍らせてたのに。


「で、資料を読んで理解はできたか?」


そうそう、資料を持って行ったのは、状況を知りたかったから。

嫁さんたちには相談なく行動を起こしたからな、説明もここ3日は忙しかったし、資料が説明代わりになるなら楽だ。


「うむ。エリスやラッツもおったしのう。バッチリじゃ」

「いや、それは自分で読んでわからなかったから、エリスとラッツが教えてくれたってことじゃないか?」

「細かいことはいい。妾もしっかり理解できたから万事OK」

「まあ、分かったならいいさ。2人は説明いるか?」


リーアとジェシカは説明を聞いていないはずだ、分からないならここで説明したほうが手間が省ける。


「お願いします。私はずっとダンジョンで監視でしたし」

「私もお願いします。何も知らされてなかったので、デリーユとピースが来るまでミフィー王女様とずっと部屋で待機でしたから。気が付いた時には殆ど終わってました」


その2人が職務に忠実だったから、色々心配しないでやれたんだよな。

どっちかいなかったら、更に人手が足りていない状況だったし、城下街の被害はもっと大きかったかもしれない。


「よし、なら説明をしよう。デリーユもここでもう一回聞いていけ、エリスやラッツの見解とは違うかもしれないしな」

「わかった」

「そこのみかん箱で報告書いてる2人も休憩して聞いていいぞ。そっちの動きがどう使われたかわかるから」

「……ううっ。なんで、こんなことに」

「スィーア、気をしっかり持つんだ」


なんで俺が虐めてるみたいになってるかな……。

俺は悪くないのに。

さて、あれから3日経ったし、今までの流れを復習しよう。

俺もこれで新しく気が付く事実があるかもしれない。


「じゃ、まずは俺が取ろうとしてた作戦な。今回の目的は停戦を速やかに締結させて、俺たちが自由になる時間を増やす事だ」


そう言いつつ、ホワイトボードに書き込みを始める。

皆もホワイトボードと俺の話に耳を傾けて真剣になって見て聞いている。


でも実際やってることは地味なんだよな。

目的は言った通り、停戦を速やかに締結させて、俺たちが自由になる時間を増やす。

これは、魔力枯渇の原因を探る為。

でも、停戦を締結させただけで俺たちは安心して調べ物に没頭できるかと言われれば違う。

停戦に反対してる人はその気持ちを燻らせたままでいる。

それが、勝手に動き出して、色々ちょっかいを出されると、ミフィー王女の護衛とか、俺たちへの嫌がらせとかで面倒なことこの上ない。

だから、その燻っている連中を利用しようと思ったわけだ。

その停戦反対派にとっては、停戦の場で騒ぎを起こせばちょうど責任を擦り付けられるミフィー王女がいるし、確実に自分たちが責任を問われない方法があれば、この状況を利用しない手はないのだ。

まあ、その国の全員が王様万歳、停戦万歳って右に倣えなら無理なんだが、そんなことはありはしない。

どこにでも綻びはあるもの、というか清廉潔白なら戦争なんておこってねーよ。

と言う事で、先にエナーリア聖都に潜入してもらった霧華たちに、不満を持ってそうな重鎮でなおかつ、他国とやり取りしてる連中を選定してもらったわけだ。

その選定に引っかかったのがノク大臣。

ローデイという、エナーリアの隣国で同盟を組んでいる国と色々やっていて使いやすかった。

霧華がこっそり失敬したローデイとの手紙をコピーして、編集して、適当に騒ぎを起こすから、そっちに渡した魔物召喚のアイテムで罪をミフィー王女へ擦り付けるべしってな。

で、俺たちはそれを利用して、停戦否定派の代表をこれを機会に停戦賛成派と一緒に共闘して撃破、お互いの理解が深まり、戦友として受け入れられ、残っている不穏分子も動きにくくなる予定だった。


が、結果は知っての通り、どこかの革命家さんかなにかしらんが、最後は全裸で踊ったりしたが、その人たちが城や街に魔物を放って、大騒ぎを起こした。

お蔭で、どのタイミングでやろうかなーと思っていたのに、急遽、アドリブで色々やる羽目になったのだ。

まあ、盛大にやってくれたので、大臣の家をぶっ壊しても問題なかったし、証拠の品を渡しても不思議がられなかった。

これが城だけの出来事だと、なんで大臣の密約を知っているのかという追求がくるので、もっと工作をする必要があったのだ。

総じて評価するなら、城ではミノちゃんたちとデリーユ、ピースがハインさんと協力して魔物を倒して兵を助けたし、街ではエリス、ラッツ、ミリー、ルルアが大活躍。

最後に、大臣の苦し紛れの抵抗で魔物を召喚してくれたんで、それを餌にエナーリアの王様や重鎮たちへ俺たちの実力をその目に見せられたというわけだ。

これによって、喧嘩売るなら、魔物以上の被害がでるぞって脅しもできたってこと。


「こんな感じで、俺たちが動くのにありがたい状況になったわけだ。いやー不幸中の幸いってことだな」


長い説明を終えてホワイトボードから離れる。

暫く嫁さんたちは説明を頭の中で反復していたのか、それが終わると、横にいるスィーアたちへ目を向ける。

そこには、顔を両手で覆って泣いてる2人がいた。


「ううっ、なんで、なんで……」

「……完璧な作戦が……」


うん、ドンマイ。

そっちも恐らく、この停戦に乗じて色々やろうと思ってたんだろうが、実力が上の俺たちがいたのが不幸だったな。


「と言う事で、俺たちはこれから、エナーリアの復興を手伝って好感度を上げておいて、後で色々動きやすい環境を整えるってのが当面の方針だな。まあ、裏で色々調べはするけど、仲良くなって悪いことはない」

「なるほどのう」

「分かりました」

「実に理に適ったやり方だと思います」


3人とも理解したのか頷いてる。


「で、デリーユはエリスたちから聞いた見解とはなにか違ったか?」

「いや、概ね同じじゃよ。でも、ユキの本音を聞いてやっぱりユキじゃなーと思っただけじゃ」


……俺らしいね。褒め言葉と思っておこう。

さて、そこで泣いている哀れなピエロたちにもう1つ言わないとな。

あ、因みに、ピースが未だ復帰できていないので、この2人は俺たちが何者でなぜ負けたのかもわかっていない。

だから、あの事に希望を持ってるかもしれないが、ついでに折っちゃおう。


「あと、そこの2人の聖剣使いさんや。助けなら来ないから。いや、来てもどうにもならないから」

「……な、なんでですか!?」

「……やめろスィーア、そう言って、私たちから情報を奪おうとしているのだ」

「そ、そうね。私たちはあなたたちの脅しに屈したりはしません!! 私たちを倒したところで……」


スィーアがお約束の言葉を言おうとしたので、セリフを被せる。


「あの時、1人遠くから監視していた聖剣使いがいてな。ちょっと細工をさせてもらったから」

「「え?」」

「そいつが、無事に俺たちのことを報告してくれれば、楽に迎撃できるんだよな。まさか、ばれてないとでも思ってた?」


2人はあんぐり口を開けている。

そりゃ、あんだけ大規模なことしたんだ、失敗するにしろ、成功するにしろ、状況を監視して報告する奴がいるだろう。

というか、それすらしないなら、俺たちの敵、つーかおもちゃにすらならん。

因みに、その1人は監視というか、既に俺の指揮下だったりする。

まあ、自覚はないけどな、そっと近づいて、気が付かれないように支配下においたから普通に俺たちのことを報告してるだろう。

敵さんの作戦も筒抜け、面も拝み放題。

戦いは既に始まっているのだよ。


「ベータン一帯を攻めてくれたらありがたいんだけどな。一応主戦力をこっちに集めてるって辺りに流布してるし、2人が無事ってのは確認させたから、ベータンのメンバーを誘拐でもしようとするだろうし」

「そ、そうだ!! お前がどこまで知っているかは知らないが、お前たちの仲間はもう助からない!! 移動速度が違うからな!!」

「そうです!! 悪い事はいいません、私たちを解放すれば仲間が助かるかもしれませんよ!!」


うん、普通に考えれば転移が使える彼女たちに速度で敵うはずがない。

が、嫁さんたちは更に哀れな目をして2人を見つめている。


「……ユキ、容赦ないのじゃな」

「……えーと、私たちも追いつけますし……」

「……トーリたちがこの程度で負ける筈がありませんね」


3人の言葉で目が点になる2人。

そう、わざと情報を流したのだ。

さっさと片付けるため、あとは無駄な魔力拡散を防ぐため。

どんな目的があるか知らんが、レベルが高い魔物をだして、魔力を各地に散布されると何が起こるかわからん。

だから、管理している場所で済まさてもらおう。


「ふははは、精々足掻いてくれることを祈るよ。それはそれでいい情報収集になるしな」


そう言ってぴたりと動きを止める俺。

……ん、なんか今の俺って。


「なあ、今の俺って悪役っぽい?」

「「「うん」」」


ああ、お約束の負けフラグを建てたっぽいな。

仕方ない。もっと作戦を何重にも割り増ししないといけないな。



さあ、敵はまだ止まっていない!!

ユキたちのピンチはまだまだ続くぞ!!

フラグも立ててしまったしな!!

さあ、どうなる!!

心配だろ? なあ、心配だろ!! ね、心配だよな!!


敵が。



あと、2巻の「試し掘2掘」ですが、スティーブやスラきちさんのレベル上げの話になります。

まだ、2匹が名もない魔物の頃の話、奴隷のアスリンたちや、デリーユと会う前のお話です。

まあ、期待しないで待っててくれ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 久々に読み返してるけど 戦いは既に始まっているのだよ。 の部分、始まってるの読み仮名が終わってるにしか読めない
[一言] ユキ以外に地球人がいたら美女の全裸に鼻の下伸ばすか腹筋崩壊待ったなしだなwww
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