第217掘:動き出す者
そう、お約束の暗躍する者。
ユキたちに仇名すものとはいったい!!
あ、更新遅くてごめん。詳しくは後書きで。
動き出す者
side:ユキ
目の前には、挙動不審で職務質問をうけた、ジルバ帝国の切り札、魔剣を使うオリーヴがハンバーグを食べている。
いや、かぶりついている。
「相変わらず、ご飯がおいしいですわね。あ、もう1ついただけますか?」
オリーヴは褒めているのかよくわからないことを言って、更なるハンバーグを要求し、胃袋に入れていく。
「あら、こちらはさっぱりしたソースがかかってわたし好みですわ」
今オリーヴが食べているのはおろしポン酢だ。
和風ハンバーグの代表格だろう、俺も好きだ。
で、オリーヴはなにをしに来たのかという疑問が残っている。
飯も程々にして喋ってほしいのだが……。
「あー、オリーヴお姉ちゃんそれは辛いですよー」
「そうなのです激辛なのです!!」
「しょうしょう、辛いと思いますよ?」
「……毒よそれは」
ちびっこたちも一緒にわいわいご飯を食べているので、そうとやかく言えないのが痛い。
あと、ラビリス辛いのも悪くないからな。風評被害になるから辛いのを毒って言うのはやめなさい。
「辛いのはこれはこれで美味しいと思うんだけど、ラビリスにはやっぱ合わないか」
「仕方ないよ、人それぞれだし」
そう言って、リエルとトーリは辛いソースがかかったハンバーグをパクパク食べる。
「お揚げがあれば……」
「いや、流石にハンバーグには合わないと思うんですけど……」
「どうでしょう? ユキならなにかレシピがあるかもしれませんよ」
カヤが相変わらずのお揚げ好きを推し、流石にハンバーグには無理だというリーア。
そして、俺を何でも屋だと勘違いしているジェシカ。
……ん? 包み揚げか、別に油揚げでなくてもいいんだから、トンカツみたいに衣で包んで焼けば、肉汁がこぼれずいい感じになるんじゃないだろうか?
「いやー、このハンバーグは素晴らしいですな。年老いた牛の肉でここまで美味しくいただけるとは!!」
「そうですね。これはベータンの名物料理になりますわ。早速農場からいらなくなった牛を買い上げましょう。そうすれば農家も資金ができて豊かになるはずです」
ホーストとそのご家族も美味しそうに食べてくれる。
奥さんも結構やり手みたいだ。
「これこれ、この料理はユキ殿が考案したものだ、勝手にそんなことを言ってはいかん」
「あら、私ったら、失礼をいたしました。決して、ユキ殿を蔑ろにしたわけではないのです」
「いえいえ、別に構いませんよ。存分にこの料理を使ってください」
別にここで止めてもいつかできる料理だし、ここでベータンの一帯の食糧供給を高めて、俺たちの評判が上がるのにも一役かってくれるから万々歳だ。
そんなことを話しながら、オリーヴのことは食後でと言う事でのんびり晩御飯を食べる。
「ふぅ、で、食後のデザートはありますの?」
なんか、ハンバーグの次はデザートを要求してきやがったよ、この魔剣使い。
「いや、いい加減ここに来た理由を話せ。個人的に遊びに来たってわけじゃないだろうに」
いい加減話が進まないので、デザートを与えるわけにはいかない。
と言っても、すぐに話さないことから特に急ぐ案件でもないんだろうけどな。
「わかりましたわ。と言っても、どう説明してよいのやら、今回の件を王に報告して、その返事が来たのです」
「いや、結構重要じゃねーか、砦に集まらなくてよかったのか?」
「その集まる日程を話しに来たのです。ミストの方にも伝令が行っていますわ。私がわざわざ来たのは、あなたたちに先に口裏を合わせておかないといけないことがあるのできましたのよ」
「口裏合わせ?」
「ええ、今回の報告で王は最初、焦土作戦を展開して、後方に下がるつもりでしたの」
「あー……、そりゃ戦力差がつらいからな」
「しかし、敵が崩落でいなくなったことから、作戦を変更して他の戦線から増援を割いてもらう事にしたらしいのです。それで、間に合わないときの時間稼ぎとして、第5王女がこちらにこられることになったのです」
「王女さまねぇ、それってただの生贄じゃねーのか?」
「そうですわ。増援が間に合わなければかなりの劣勢になります。勇将が1人増えたところでそれは覆せません。しかし、それが国の代表という王女であれば話は別です」
「話し合いに応じれば時間が稼げて、応じなければエナーリアは他国から非難されて動きが鈍ると」
「その通りです。ヒヴィーアの言った通り、話しただけでそこまで理解してくれて楽ですわ。で、口裏を合わせると言う話は、この王女さまのことですの」
「どういう事だ?」
「それは、無茶な王への謁見が原因と言えば分かりますか?」
「あー、怒っていると?」
「違いますわ。王はその手間を省くために、ユキたち傭兵団を、4代前に旅立って行方知れずになった王族の子孫と言って王女さまを説得したそうですわ」
「それで口裏合わせか……」
俺とオリーヴは、その口裏合わせの内容を詳しく話している間に、嫁さんたちは食後のお茶を楽しみながら、口裏合わせのことでのんびり話している。
「ユキさんも大変だよねー。今度は祖先王族だってさ」
「色々肩書があってすごいよね」
「……多すぎで覚えてない」
「えーと、勇者でしょ……」
「それはリーアが言って、私たちの認識だけですよ。この私が生まれた大陸では傭兵団の隊長というだけですが、ウィードのある大陸では本当に多くの肩書がありますからね」
「そうですね。祖先が王族というか、セラリアさんと私、そしてルルアさん、デリーユさんが妻なので、現状で王族入りしております。それ以前に神の使いですから、そんな肩書きなんて木端ですが」
色々あるけど、俺はどこからどう見ても、一般人のカテゴリーだからな。
俺は地球ではどっからどう見ても、一般人でしたからね。
今更、地球に戻ればどう考えても社会的に死ぬよな。
「……と言う事ですから、王女さまにはちゃんと対応してください」
「わかったよ。一々内輪揉めなんかして利益はないからな」
オリーヴたちの懸念はわかった。
わざわざ来た王女さまと揉めて、敵に対応できないなんてことは避けたいのだ。
王もわざわざ命令書に俺たちへの説明を入れている辺り、俺たちの離反もかなり面倒だと考えているようで。
「ふぅ、とりあえず私は明日、砦へ戻ります。そちらは3日後に砦にきてください」
「了解。とりあえず、部屋で休んだらどうだ?」
「……そうさせていただきますわ。どうせ明日は馬で一日移動なのですから」
オリーヴはデザートのことはすっかり忘れて、メイドさんに案内されるまま食堂をでて行った。
馬で丸一日移動は疲れるだろうな、車の運転だってキツイのに。
「さて、オリーヴは休んだけど、デザートはあるからな、食べるだろみんな?」
「「「はい!!」」」
おおっ、声で押されたわ。
「ははっ……女性は凄いですな……」
横でホーストも嫁さんを見て少し引いている。
あれだけ食べてたのにな。
甘いものは別腹ってことか、うん俺には真似できねー。
「で、向こうで出したデザートは何だったのかしら?」
セラリアは宴会場でそう聞いてくる。
残念ながら、サクラとスミレはもうおねむの時間なので、この場にはいない。
「えーと、プリンだな。って聞きたいのそっちじゃないだろう?」
「ええ、ジルバの会議があるっていうのは、今後の対策会議ってことでしょう?」
「ああ」
「私もその会議に行くわ」
セラリアの問題発言に、宴会場にいる嫁さん全員が固まる。
そりゃそうだ、産後まだ一週間ってところだ、体も心配だし、首も座っていない娘をほったらかしにするなんて……。
「あ、私もいきます!!」
「そうですね。今まで妊娠しててユキさんの状況を見ていません。子供たちは私たちが面倒を見ますから、セラリア、ルルア、ユキさんを頼みます」
ルルアのついて行く宣言のあと、もうすぐ出産予定日のエリスがそう言う。
「そうか!! 妾も産んだらすぐユキを助けにいくからな!!」
「うーん、私は後でいいですよ。皆お兄さんと一緒にいたいでしょうから、私は自分の子供とのんびりしてます。いまさら、お兄さんがへまするとは思えませんし」
「私も旦那さまの無事を信じておりますので、子供たちの面倒を見ていようと思います」
デリーユはついてくる派、ラッツとキルエは居残りと……。
「いや、もう少し大人しくしようとは思わないのか」
「え、もう十分大人しくしてたから、いい加減体を動かしたくて仕方ないんだけど?」
「私も久々に運動したいですし、でも心配しないでください、スミレやサクラをほったらかしにするわけじゃないですから」
「そうね。大事な娘をほったらかしになんてするわけないじゃない。ドッペルの有効活用ってやつね」
「はい、ドッペルを使えばすぐに子供の傍に戻れますから」
あー、もう産んだし、セラリアたちへの体の影響は子供がいないからそこまで考えなくていいのか。
「私も書類仕事ばっかりだし、久々に動きたいわ」
ミリーもウィードのこと任せきりだったから色々溜まってるのか。
「丁度いいことに、エナーリアの援軍もくるのでしょう? 私たちにはいい運動になると思うのよね」
「私は回復に専念するべきなのでしょうが、久々に棒術で戦いたいですね」
「あら、なら私と一緒に飛び込む?」
「いいですね」
2人の新米母はそんな物騒なことをにこやかに笑いながら話している。
いや、子供産んだばかりの女性がそんな物騒なこと話すなよ。
「そんなこと言っても戦いになるかはわからんぞ。本隊捜しを優先するかもしれないし、戦いになってもまずは王女さまが出て時間稼ぎになるしな」
そうそう、いくらセラリアとルルアが張り切ろうが、戦いにならないように周りが動いているんだ。
俺たちが表だって動いて大軍を撃破ってことはないんだよ。
「そうね。戦いって呼ぶのは大規模戦闘よね? 小規模戦闘なら、大軍だし、当然あるわよね?」
「そりゃ、斥候つぶしたりとか細かい戦いは無論あると思うが……」
「じゃ、私たちがのんびり散歩にいって襲われたりするかもね」
「そうですね。正当防衛ですね」
「……意図的にぶつかりに行くのはどうよ。というか、こっちはダンジョンを地下に展開してるから、四方10キロは丸見えなんだから、散歩して遭遇するようなことには……」
「まさか、敵軍が近くまで来ているのに、索敵に出した兵士たちが接敵しないって不自然な状況をつくるつもりなのかしら?」
「あ、いや、それはゴブリンたちにでも……」
「ホーストだったかしら? 話を聞く限りかなり優秀みたいだから、そっちで勝手に索敵して、敵と遭遇戦して命を散らすのでしょうね」
「それもゴブリンと一緒にね……」
「あら、領主が大事な兵士を出しているのに、私たちも相応の兵をださないとおかしいでしょう? こっちではゴブリンたちはそれなりに認識されているけど、向こうじゃペットみたいなものよ。彼らはきっとこう思うでしょうね。傭兵の大将は俺たちの命をゴブリンと同じと考えているんだってね」
この嫁さん、本当に戦いたいのな。
「わかった、わかったよ。俺たちがちゃんと仕事しているということで、ゴブリンたちとセラリアたちを出せばいいんだろう」
「わかればいいのよ。そうすれば、数少ない私たちも味方に不安を与えることなく、仕事をちゃんとこなしているように見えるわ」
身内が張り切って動きだすのかよ。
こういうのって、大体敵方が更に策とか、猛将とか、新兵器を用いて俺たちが苦戦するのがお約束だろうに……。
はぁ、敵が全滅しないことを祈ろう。
俺はそう、未だ見ぬ敵の援軍に思いをはせていた。
なんか間違ってね?
ということで、身内が動き出します。
間違ってないぜ、仇名してるからな!!
あと更新遅い理由ですが、4月には地球防衛軍4.1がでまして、ダイイングライトというゾンビサバゲーもでまして、
読みたい小説も結構溜まってまして、ネタを溜める為に色々更新が遅くなってました。
俺の発想は、ゲームとか他の小説読んで、ここでこうなったら明後日方向で楽しくね?
って感じで作ってます。
つまり、ゲームとか小説を読むのは、俺にとって必要なことであり……省略。
4コマとかもボチボチやっていきますので、気長にまってください。
ではでは、次回「気が付いたら全滅」かも!!




