第189掘:魔剣と聖剣を追って
投降が2日おきになって申し訳ない。
色々風邪ひいたり、体力おちたり、ネタに悩んだりで遅くなっています。
では本編をどうぞ。
感想はしっかり読んでおります。みんなありがとう。
魔剣と聖剣を追って
side:ユキ
「はい? 13本の聖剣? ああ、定番のおとぎ話ですね」
俺はアスリンたちが見つけてきた本を持って、勿論許可などはもらって、まずは身内であり、この新大陸育ちのジェシカに話を聞いてみることにした。
「やっぱり知ってるのか?」
「定番ですから。ジルバ帝国でなくとも余所の国でも普通に伝わっていますよ」
ふむふむ、やっぱり新大陸では常識と言っていいほど浸透している話か。
「じゃあ、前に訊いた魔剣との違いはなんだ? 殆ど一緒みたいなものだよな?」
「前も言いましたが、魔剣は遥か昔、始祖と呼ばれる人が亜人に対抗するために鍛え作った伝説の武器という事です。聖剣は魔剣の元、つまりオリジナルと言い伝えでは言われています」
「……つまり、魔剣は聖剣を真似て作ったものってことか?」
「詳しくは知りませんが、おそらくは」
そういう方向へ向かうか。
しかし、魔剣のコアはダンジョンコアが使われているし、いくら前任のダンジョンマスターが大量発注してたとはいえ、わざわざこんな劣化品と呼ばれるレプリカを大量に作ってばらまくか?
んー、もっと詳しくこのおとぎ話を調べてみる必要がありそうだな。
「じゃ少し話の方向を変えよう。魔剣を作った始祖。聖剣は神様。どっちも名前とかわかるか?」
「いえ、そもそもなぜ始祖と呼ばれているかも不明ですし、聖剣を与えたと言われる神様は神と言われるだけで、なにも情報らしき物はないですね」
「おう、どっちも情報ほぼゼロか。なら、そうだな……魔剣は現在何本あるんだ? と言うか、聖剣は存在してるのか?」
「魔剣はジルバ帝国には知っての通り姫様の風の魔剣、姉妹の炎と水の魔剣、そして王の近衛の空間の魔剣の4本です。他国にも多数の魔剣があるという話は聞いたことがありますね。今姫様が攻めているエナーリア聖国にも魔剣使いが複数人いるはずです。で、聖剣についてですが、実際に見た者はいません。というか、聖剣がどこかの国にあるのなら、既に噂になって大陸中に知られているはずです」
「なるほどな。魔剣も聖剣もなっとく出来る話ではある」
でも、こっちとしては情報が無さすぎるわ。
「不満ですか?」
ジェシカが考え事をしている俺に対してそんなことを言ってくる。
「ジェシカ自身に不満はない。が、情報はやっぱりそんなもんかって感じだな。簡単に答えにたどり着けるとは思っていないがな」
「それはそうでしょう。しかし、魔剣がダンジョンコアで作られているということで目をつけたと聞きましたが、他に方針はなかったのですか?」
「方針なー。とりあえず情報が最優先だったんだよな。運悪く亜人とジルバ帝国の争いに参加して、ある意味情報が得られたと言っていいだろうな。普通ならまだ手探りだっただろうよ」
「まあ、それは運が悪いと言いましょうか、運が良いと言いましょうか……」
「そこは悩むところだよな。本来こういう世界規模の問題に対しては数年で答えどころか方針すら決まるもんじゃないからな」
「そうなのですか?」
「目に見えてはいるが、それが問題だとは思ってなかっただろう?」
「それはそうですが……」
「まず、異常を異常と認識するまでが大変で、更に、なにがどう異常なのかを調べる為に数年がかりのデータが必要になるわけだ。そして、そのデータから基づいて解決策や、原因をさぐるってことになる」
「……聞けば確かに数年、数十年の話ですね。それがたった5か月で切っ掛けを掴めるのは僥倖と言うべきですか?」
「どうだろうな。俺は最初から問題を認識して、さらに新大陸で魔力枯渇が起こっている事を知った上で来たわけだ。そして、魔剣が出てきた。亜人とジルバ帝国の争いに巻き込まれてなくても同じような思考になったと思うぞ?」
「話がずれていますが、結局ユキの方針は情報を集めるということで間違いないですか?」
「だな。魔剣っていう手掛かりかもしれない物体は出てきたが、それを含めて多方面の情報を集めるべきだろうな。聖剣って話も出て来たし、聖剣を探すようなことになるかもしれん」
あー、魔剣とか聖剣とかどこのファンタジーだよって感じだよな。
いや、ファンタジー世界だけどさ、実際住んでる人や生き物は普通にリアルなんだよな。魔術っていう変なルールがあるだけで、地球と営みはかわらん。
ま、地道に地質調査とかを本格的にしないでいいだけ地球よりマシ、なのだろうか?
逆に地球で魔剣、聖剣探しの方が難易度ベリーハードの様な気もするけどな。
「では、私たちが姫様について行くことに変更はないのですか?」
「そうだな。今回の殴り込みでジェシカも生きてるとばれたし堂々と合流できる。ついでにジェシカの情報でエナーリア聖国にも魔剣があるみたいだからそちらもついでに調べられるだろうよ。他の情報も求めるなら範囲が広がるのもありがたい。他の将軍について行けないのは残念と言えば残念だけど、色々お互い理解してないから姫さんの軍の方が色々やりやすいだろうよ」
「……それはそうでしょうね。しっかりボコボコにされましたから」
バラバラに動くのもありだが、今の所分散して動く利点も情報もないしな。
「とりあえずはエナーリア聖国領内に行って情報収集だな。ジルバ王都にはザーギスたちでも置いて適当に調べさせる。そっちはそっちで続ける形だな。戦力としてはエナーリア聖国に向かう俺たちが最高戦力だろうな。といってもダンジョン防衛もジルバ帝国調査隊もそれなりの戦力は残すけどな」
「ダンジョンの兵力をどうにかできるとは思えませんが」
「保険と抑止力だな。下手に少ないとどうにかなるかもしれないと思う奴が出てくるしな。面倒事をわざわざ引き起こす状況は作るべきじゃないだろう?」
「それはそうですね」
俺たちがそうやって話し込んでいるとリーアがお茶をもってやってくる。
「色々話し込んでいますけど。一息入れませんか?」
「そうだな」
「そうですね」
お互い持っている資料やペンは机に置いて、リーアから渡されたお茶を飲んで一息をつく。
「しかし、こうやってお茶を飲んでいると魔力枯渇問題が起こっているなんて思えないですね」
「そんなもんだよ。世界規模の問題なんてな。というか、目に見えて、人々が慌てるような状況になった時は既にアウトだ」
「だから、私たちが頑張らないといけません」
リーアがよしって感じの動きをする。
俺がしても気持ち悪いだけだが、美少女がすると可愛いと思えるよな。
「とりあえず、このお茶飲んだらエナーリア聖国へ向かう遠征部隊を作らないとな。あと、ジルバ帝国派遣部隊、ダンジョン防衛部隊と……まあ面倒な」
「そこまでないでしょう? スティーブやジョンという既に独立している部隊がいるのですからそれを向かわせればいいだけで」
「まあな、書類を揃えればいいだけだが。その書類を揃えるのが面倒なんだよな。何人動員するとか、装備とか物資の量とかな」
「そういうのはスティーブたちが計算するんじゃないんですか?」
「リーアの言う通りだけど、それが上がってくるまでに時間がかかるし、そのあと目を通してセラリアやエリス、ラッツに承認してもらわないといけないしな。流石にお金や物資が動くから変な点があれば俺でも無理は押し通せんよ。これをやるのに3日では短い」
「……確かに。普通の軍なら不可能に近いですね」
ここまで短い期間で可能なのは、俺がある意味実権を握っているおかげだろう。
最優先処理できるからな。
可哀想なのはそのために滞るウィードの市庁舎の職員である。
最高権限者のことごとくを俺が独占してるんで、市庁舎や商業組合は最後のGOサインがでない状況に陥る。
ある程度は補佐がやってくれるだろうけど、それでもセラリアやエリス、ラッツがOKしないといけない書類はある。
「さて、お茶も飲んだし、関係各所に連絡いれて動き出してもらうか」
「ですね」
「俺たちはウィードの嫁さんたちと連絡とって人員と物資の確保をやってもらわないといけない。ついでだジェシカが戻って準備してくれ」
「え!?」
「ジルバ関連は俺が代表だしな、いまさらジェシカが代表代わりもアレだろう?」
「……まわりの目が痛すぎますね」
「リーアはいつもの通り俺の護衛と補佐頼むわ」
「わかりました」
さて、本格的に動き出すかね。
魔剣と聖剣……厄介な物っての分かりきっているのに手を出さないといけないとか嫌すぎるよな。
さて、魔剣と聖剣を追ってエナーリア聖国への侵攻手伝いをすることになりました。
編成はどうなるか?
相手はどんな手段をとってくるのか? マーリィの戦闘方針はどんなものか?
大規模な兵と兵のぶつかり合いが起こり、ユキたち傭兵団はどう動くのか!!
こうご期待? いや分かりきってるとおもうけどね。




