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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1937堀:覚悟しておくように

覚悟しておくように



Side:ヴィリア



「ええ? 陸上戦艦の開発を早める? 二週間?」


余りの報告に思わず声を上げます。


『まあ、冗談だと思うよな。とはいえ、前日に起こった魔物襲撃を見ると、偵察というか部隊がどれだけ使えるかっていう捨て駒に見えたからな』


お兄さまは苦笑いしつつも、ウエサの町で起こった魔物の騒動について考察しつつ、目が鋭くなります。

あの規模が偵察、捨て駒?

いえ、確かに部隊運用の基本というべき、撤退はもちろん、補給部隊もいなかった。

そうなると、あの集団は捨て駒にしているとしか見えない。

つまり、どうなるかを観察していたということ。

あの規模をです。


「……確かに、規模、数はともかく、オークたちの強さは予想外だったようだし、町としては放棄を見ていたぐらい」

「まあ、ナイトマンがいなければ、かなり厳しい状態だったよな。目算、領主軍と冒険者チームはほぼ壊滅でイーブンってところか?」

「それは楽観が過ぎるでしょう。魔物軍は大半は領主軍、冒険者たちのレベルを上回り、オーガの20体に至っては、ウエサの町にいる最高レベルの者たちを上回るほど。そして魔物特有の再生力などを考えれば、まず勝ち目はないでしょう」


はい、正直スィーアさんの言う通りだと思います。

強力な武具などがあれば、何とかレベル差をひっくり返すことは可能ですが、そういう武器もなく、ただ純粋にレベルを上回られ、数も20と多いので、勝ち目はほぼないと私も見ています。


『まあ、そういうことを考えて、補給や連絡部隊がいなかったのが不思議なんだよ。町をほぼ壊滅させるほどの戦力をそろえて偶然ウエサの町にやってきた。っていうのは楽観が過ぎるだろ?』

「……それはユキの言う通り。つまり、ウエサの町だけじゃないってこと?」

『捨て駒だとして、それを一か所だけに当てるか?』

「ないな。捨て駒ならなおさらだ。そういうのは広く動かしてデータを集めるな……っていうことは」

「……普通に考えれば、襲われたのはウエサの町だけじゃない?」

「可能性は高いですわね。それで私たちのように、いえ、ウエサの町のように無事に撃退出来たところがどれだけ存在しているかですが……」


夢を言っていいのなら、襲撃を受けたところはどこも無事に撃退出来たって可能性を推したいのですが、それを自分の口からは言えませんでした。

何せ、何も北部の状況を知りませんから。


『ということで、その手合いの情報は集まっているか? 冒険者ギルドなら、そういう通信手段があると思うんだが?』

「……冒険者ギルドとはそこまで付き合いがない。ウエサの町も既に旅立ったし、今は次の町にいて、仕事をするか移動をするかってところ。あ、ちなみにやっぱり亜人に対する排斥は起こってない」

「そうそう、平和なもんだ。まあ、魔物の討伐関連の話はよく聞くけどな」

「ですね。と言っても、魔物が町に迫ってきたという話は聞きません」

「はい。皆さんの言うように、私たちは移動してほかの町に来ていますので、冒険者ギルドにはまだ行っていません。魔物に関しても町が襲われたというのは、ウエサの町以外には……」

『そうか。まだ、そこまで離れていないしな。場所はそこまで集中しているわけでもないだろう。イオア王国まではあとどのぐらいの予定だ?』

「……今のところの進み具合だと、およそ6日ほどぐらい。幸い、当初予定していたクリアストリーム教会や冒険者ギルドへの探りが最小限で済んでいるから、そこまで時間がかかっていない」


ニーナさんの言う通り、そこだけは良いことです。

被害にあっている亜人さんたちがいないのですから。

とはいえ、調べるとやっぱり裏取引の証拠はあるので、そこらへんは後々どう扱うかを決めるそうです。

まだ、裏取引をした理由も詳しくは調べられていませんからね。

仕方なく、ということもあるかもしれませんし。

と、そこは良いとして、おかげでスムーズにイオア王国へと移動ができるので、立ち止まることはなくなっているわけです。


『そうか。なら、問題がなければ最短でイオア王国へと向かって、各国の情報を集められるか? 冒険者ギルドの方でも構わない。そして、クリアストリーム教会の連中と接触して、北部の状況を詳しく調べてくれ。それが一番、何か起きた時に対応しやすいと思う。どうだ?』

「私もその意見に賛成。ウエサの町で起こったことが、そこだけのことなのか、ほかの北部でも起こっているのか。それを調べるだけでもかなり大事」

「だな。下手に動きが遅いと、後手に回る可能性もあるしな。なるべく情報を集めた上でトラブルに臨む方がいいとはおもう」

「ええ。その方が建設的ですね。とはいえ、そう簡単にうまくいくとは限りませんが」

「あはは、都合よく陸上戦艦ができる前に上の人たちと話が出来ればいいですけど」


世の中、都合よく話が進むことがないということはお兄さまと一緒に色々な所を巡って実感しています。まあ、お兄さまがいるからこそ、そういう問題もこじ開けられたというところも多々ありますが。

今回に限っては交渉するのはお兄さまではなく、ニーナさんたちや私なのです。


「それで、上の連中と交渉するのはいいけど、どれだけ手札を使っていいわけ?」


確かに、ニーナさんの言う通り、どれだけ私たちが話し合いで手札、つまりこちらの立場などを明かすかで交渉の難易度は変わってきます。


『基本的には、手札の開示にはこちらから指示を出す。まあ、ドドーナ大司教やギアダナ王国で得た情報はそっちで使っても構わないけどな』

「わかった。とはいえ、どちらも簡単には切れない手札」

「名前が大きすぎるよな。下手すると偉い人だからって足止めか、本当かどうか確かめるために拘束されるからな」

「そうですね。名前が大きいと良い意味でも悪い意味でも目立ちますから」

「難しいですね」

『そこらへんは本当に絶妙な加減がいるからな。まあ、ドドーナ大司教の弟子ってところが便利ではあるんじゃないか? そこまで実績はないが、弟子ってことで魔物退治の専門とは押せるだろう?』


確かに、ドドーナ大司教の弟子というのは、魔物の情報を得るためには便利かもしれません。

ほかの伝手は、背景が強力すぎて、諸刃の刃となりそうです。


「……それが無難」

「だな。それなら、ギリギリ自分たちの意見を通しつつ、向こうの情報を少しでも引き出せるか」

「ですね。まあ、下手をすると、最前線に送られますが、その時は最大限に暴れて私たちの存在を認めさせるように動くだけですね」

「あ、でも、今回早く動くという計画ならナイトマンを各地に派遣するというのはどうするんですか?」


そう、お兄さまの予定に合わせて動くとなると、各地にナイトマンを移動させて活躍させるというのはかなり無理な予定になります。

まあ、多少なりとも簡単な情報で動くのであれば動けないこともないですが、戦果に関しては期待できません。


『ナイトマンに関しては、元々亜人を助けるためのヒーローだしな。もちろん、魔物もそうなんだが、それは二の次の予定だった』

「……私たちが直接亜人たちを助けるのは面倒だからってことだった。今のところ亜人は協力して魔物退治に当たっているし、必要性は低い。とはいえ、使えるのは間違いない」

『だな。ニーナの言う通り、一度登場させて注目させたんだ。色々使い道はあるから、しばらくは様子見でいいんじゃないか? 行方不明というか町の事件からはせいぜい3日ってところだろ? 再び登場にも期間が短すぎるともとれるし』


確かに、ナイトマンが世間に姿を現してからまだそこまで日数は経っていません。

それに私たちが亜人救出のために疑われないために用意したものです。

なので、そんなに多用する理由が今は無いということですね。


「そうだな。まずは私たちがイオア王国への到着最優先ってことで、何か必要があればナイトマンに活躍してもらうって方向でいいんじゃないか?」

「それでよいでしょう。とはいえ、陸上戦艦が12日で出来るとしても、荒野で試運転をするのですし、こちらに持ってくるのは一ヶ月はかかるのではないですか?」


スィーアさんの指摘はその通りだと思います。

陸上戦艦なんて、今まで作ったこともありませんし、それをたった12日で試作機を作り、試験をするとして、北部に持ってこれるかっていうと疑問です。


『そうだな。そうなればいいな……』


なぜかお兄さまが遠い目をしています。

色々聞きたくないのですが、聞かないわけにはいきませんね。


「それだけこちらでトラブルが起こると予想している?」

『それもあるが、こちらも総力を挙げて、陸上戦艦の開発に乗り出しているんだよ。ナールジアさんたちを筆頭にフィーリア、エージル、コメット、ザーギス、ナイルア、タイゾウさんとウィードが誇る技術者や他国の技術者も集まっていて、思った以上に開発速度が速いんだよ』

「「「あ~」」」


元々、軍艦を作るよりも陸上戦艦の方に熱が入っていましたよね……。

だから正式に開発を優先するとかになると、それは皆さんやる気満々になるのは当然ですか。


『それに魔力不足に関しては、俺たちも手伝っているしな。すでに装甲の建設は半分終わっている』

「「「半分!?」」」


思った以上の話に思わず声を上げてしまいます。


「ちょっとまてよ。陸上戦艦って少なくとも空母ぐらいはあったよな?」


キシュアさんも思わず確認を取るぐらいです。

ちなみに空母とはウィードで運用しているルナ、リリーシュという女神様たちの名を関している軍艦で、最低で滑走路は200メートル、全幅60メートルはあり、高さは40メートル以上。

まあ、実際陸に上げるバランスが難しいでしょうし多少変わるでしょうが、それでも鉄の要塞というほどの大きさは間違いないでしょう。

それが、開発許可が下りで一日とちょっとで半分と言われれば確認はとりたくなります。


『空母ほどではないが、相応に大きいな』

「それが半分? 装甲部分とはいえ、おかしくないか?」

『おかしいというのは理解している。とはいえ、事前に軍艦は作ることは伝えていたし、元々魔物に襲われても平気な船を作ろうという計画はあったわけだ。だから……』

「事前に動き出していた?」

『ニーナのいう通りだ。事前に動いていて、それを利用した結果、開発速度が物凄く早くなっている。というか、以前のデータもあるから、変更は必要とはいえ、ある程度融通は効く素材を使っているからな、その延長ってやつだ。新規から、ゼロから開発しているわけじゃない』


なるほど。

そういうことですか。

幾らナールジアさんたちでも早すぎるとは思いましたが、別に新しい技術のみで作り上げているわけでもないのですから当然ですね。


『ということで、陸上戦艦の開発が遅れるっていうのは……あまり想像できない。普通は遅れるんだけどな』


私も同じく、ナールジアさんたちが開発予定を早めることはあっても遅れるというのは無い気がします。



趣味には全力投入というのが世の中の定番。

だって好き勝手出来るからね!

開発速度が速くなることはあっても遅くなることはほぼないという悪夢。


嫌な方向での信頼抜群。


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