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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1923堀:ヒーローは色々大変

ヒーローは色々大変



Side:ヴィリア



うわ~……。


説明は事前に聞いていたけれど、実際使うのは初めて。

男性の声が出るようになったのは驚いたし、身長や手足が伸びるような鎧……じゃなくてパワードスーツは慣れるのにそれなりに時間はかかったけど、練習をしたからまだ理解があって覚悟があったけど、これはびっくりした。


だって、大弓を引いて当たるはずのない空の上にただ撃っただけ。

普通なら矢は失速してただ落ちるだけなのに、シャインアローは空ではじけて雨のように光の矢を地面に突き立てていき、あたりに轟音が響く。


ズドドドドォォォ……。


一応、フィーリアちゃんの説明では大したことはない、矢のいらない弓で威力はそこまでないって聞いてたけど、これは……。

ああ、まあ、フィーリアちゃんたちにとってはこの大弓は大したことはないとはいえるかな?


確かに地面を抉るぐらいはしているけど、これぐらいだと私たちの中じゃ魔力障壁でどうにかなる程度。

でも、これを食らった魔物の集団はというと……。


ギャアギャア……。

グアガカカカ!


オークやオーガたちは地面の中で倒れ伏しているのがほとんど。

ごく少数が膝だちしている程度で両足で立っている魔物はいない。

魔力反応に関してはフィーリアちゃんの説明通り、6割が反応は消えていて、のこり4割ってぐらい。

そこだけは正確ですよね……。


『ヴィリア。こちらも敵の半数を消滅を確認した。大丈夫?』


唖然としていると、ニーナさんから連絡がきて我に返ります。


「はい。大丈夫です。距離をとって弓を撃っただけですから……」

『……映像は見ていた。あれを弓というのはおかしいというのはわかる。とはいえ、ぼーっとしていても怪しまれるから、がんばれ』

「はい」


確かにそうです。

怪しくみられていないか、冒険者たちの様子を窺います。


「「「……」」」


どうやら全員、私たちと同じように目の前に起こったことで唖然としているようです。

よし、これなら大丈夫ですね。


「予定通り合流します」

『任せた』


ニーナさんの返事を確認してから、私はジャンプをして一番前に出ている女性の冒険者の前に着地します。

まあ、ちょっとありえない距離のジャンプですけど、高レベルなら別にできないわけではありません。

向こうにとっては私がとてつもない実力者だということを理解するはずですが……。


未だ、惨劇の光景を見て固まっています。

これでは話が進みませんね。


冒険者ギルドで見た時は、ギルド長の娘さんで自信満々で経験豊富だと思っていたのですが、こういう事態ではやはり呆けてしまうようです。

いえ、意地悪な考え方でした。

私たちだって唖然としたのですから、冒険者の皆さんが唖然とするのも無理はありません。


なので、私から声をかけることにします。

剣と盾を構えながら。


『大丈夫か? 怪我でもしているのか?』


ナイトマンの声でそう話しかける。

未だに男性の口調で話しかけるのは違和感がありますが仕方ありません。


「え、あ、はい。って、今の攻撃は貴方が?」

『見ていただろう。だが、全部を退治出来たわけではない。あの弓は連射が効かない。残りは剣でやるしかない。そちらの二人も加勢を頼めるか?』

「お、おう! 任せてくれ騎士さんよ!」

「ええ、援護は私と後ろの群狼団、牙猫団に協力を要請しますので、お任せ下さい!」


ほっ、後ろ二人の冒険者は少しは冷静なようですね。


『君はどうする? 怪我をしているなら……』

「だ、大丈夫です! や、やれます!」


なんか、上ずっている感じなのですが、無理に止めるのもギルドでの動きを見ても反発されるだけでしょうし、ここは私が先に出てなるべく危険な敵を排除するのがベストですね。


『そうか。では、先に行く』


そういうだけ言って返事を待たず、私は盾を前に出しながら駆け出す。

狙うのはオークではなく、面倒なオーガ。

損耗した6割の中にオーガはいません。

それぐらいの威力だったということ。


ドガガガガ……!


そんな音を立てながらオークを撥ね飛ばします。

これは後ろからくる人たちに任せるべきなので、私の手でとどめは差しません。

正直、この程度であれば私一人でもどうにでもなるのですが、それでは強さが隔絶しすぎて警戒されるのでそういう訳にも行きません。

ほどほどに強くというのが正しいとニーナさんが言っていました。


ゴォォォ!


目の前には5メートルは超えるオーガが吼えています。

平均よりは高い身長ではありますが、特殊個体というわけではなく、大きく成長したという感じですね。

流石、オーガ、トロールと同じように再生力が高くそして力強い。

冒険者が一段階上に上がるための壁とも言われています。

ですが……。


ブンッ。


私にとっては相手ではありません。

お兄さまの隣に立つと言うことは、お前程度で立ち止まることは許されないのですから。


ゴガァ!?


目の前のオーガが縦に断たれます。

幾ら再生能力が高かろうと頭を派手に叩き潰してしまえば役立たずです。

つまり、即死ですね。


「うえぇぇ!?」


なんか後ろで叫び声が聞こえます。

先ほどの彼女が追ってきたようです。

はぁ、オークに止めを刺していけばいい物を。


『ヴィリア。一撃で倒すのは不味い。次は調整して』


あ、そうでした。

この勢いでやればオーガは20体しかいませんから、20回剣を振るえば終わってしまいます。


『驚くな。タイミングが良かっただけだ。敵は立ち直りつつある。というか下がれ。先ほどから驚いてしかいない』


うん、貴女本当に邪魔です。

ちょっと遠目から見ていた時は、オークを削っていたので多少はできるかと思っていましたが、おかげでこちらは貴女に気を遣わないといけません。

オークが近づくのに気が付いていないんですから。

お守をするためにでてきたのではありませんよ?

これなら後ろに下がって周りを確実に削っている冒険者たちのほうがマシです。


「ば、馬鹿に……」

『一々怒るな。剣を振るえ。次は助けてやれないかもしれない』


この人は本当に面倒ですね。

周りが見えていないのでしょうか?

先ほどオーガを切り捨てたことで注目を浴びて囲まれています。

ほかのオーガたちも私が最大の障害と見ているようです。

何も間違ってはいませんけどね。


というか、本来こういう疑似的な連携があり、大段に斬りこめなくて正面から削られていくと予想していたのですけど。

だから、多少レベルが高い冒険者がいてもどうにもならないわけです。

最大でレベル50ちょっとの人しかいないのですから、この集団に囲まれれば終わりです。

ちなみにこのオーガたちは40後半なので、これが20体もいるとなるとその巨体と再生能力もあって、まず勝てないでしょう。

そして、オークの集団もいますので、ほぼ詰みですね。


私やニーナさんたちがいなければですが。


ガアァァァァ!


そして一斉に襲い掛かってきますけど、私は落ち着いて間を抜けてオークの集団を切り飛ばしつつ、オーガの腕を一本もらっていきます。


グアガカカ!


「ちょ、なに、その動き!?」


はぁ、お馬鹿さんは死んでいないようです。

まあ、腐ってもあの冒険者ギルドでは有数の実力なだけありますね。

周りのオークを切り倒しています。

とはいえ、オーガに目を付けられましたね。


「ちっ!」


そこまでお馬鹿ではなかったようで、オーガの攻撃を回避するぐらいはできるようですが……。


「ちょっ!?」


ドゴォ!


3体に囲まれ、回避直前を狙われてしまっている。

あれだけ声を出せば当然ですが。

さらにはオークも攻撃に加わります。

レベル差があるとはいえ、オーガに移動を制限され、オークからチクチクやられればそれだけ被弾も増えます。

ギルド長が言っていたように集団戦の経験が少ないのでしょうね。

普通であれば、私に続いて敵のど真ん中に来るわけがありません。

あのようになぶり殺しにあうのですから。


いえ、ある意味良い囮になっていますけど。

オーガは彼女に3体。

私に5体は集まっている。

残りは12体がさらに私たちを押しつぶそうと様子を見ている状態。

なんとかオークだけでも削ってほしいですね。


ですが……。


「あぐっ!?」


どうやら回避が間に合わず、彼女がオーガの一撃を受け吹き飛びます。

その先にはさらに腕を振り上げたオーガが一体。

これはボールの様に飛ばされ続けて肉塊になりますね。


はぁ、馬鹿を助けるのは気が引けますね。

無力な戦う力を持たない人を助けることには何にも疑問はないのですが、役立てずの馬鹿を助けるのは微妙な気持ちになります。

お兄さまが人を助けるときにやる気が微妙な時があるのはこれなのでしょう。


とはいえ、見殺しは出来ませんか。

仕方がないので、止めを刺そうとしているオーガの両足を薙ぎ払い、蹴り倒し彼女の安全を確保します。


「げほっ、ごほっ。あ、ありが、とう」


流石にオーガの攻撃で体はかなりきつそうですね。

彼女も冒険者としてそれなりに活動していて、怪我をしたからと言って立ち止まることは死を意味すると分かっているはずなのに、なんとか立つだけで精いっぱいのようです。

膝が笑っていますしね。

なので……。


『君にはまだ早い。なので、後退してもらおう』


私はそういうと彼女の腕を取り片手で持ち上げる。


「ちょっ、何をするのよ」

『自力で脱出できるならともかく、それも難しい。それなら、後ろへ投げ渡すしかあるまい』

「はぁ、女性になにを……」

『この状況でそういう冗談はいらない。幸いレベルは高そうだ。ほかの冒険者がいるところに投げる。受け身でも取れば助けてくれるだろう』

「ちょっ、まちな……」


お馬鹿と問答を続ける気はありません。

これで死ぬならそれでよし。


ブンッ!


と、それでも軽く投げて危険な範囲から離脱してもらいます。


「にゃあぁぁぁぁ!?」


それで鳴き声がなんであんなに猫っぽいのでしょうか?

まあ、そこはいいですね。

今は……。


「じゃ、適度に相手して踊ってきます」

『そうね。程よく戦って。すでに冒険者の本隊と、領主軍も来ている。時間稼ぎをしていればいいわ』

「分かりました」


ということで、私はそこまで得意ではない、剣と盾のスタイルでほどほどのオーガを倒しつつ、援軍を待つのでした。



何事もやりすぎは良くないって話。

そして、足を引っ張るのはどこにでもいる。

そこら辺のかかわり方も仕事って大変だよね。

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― 新着の感想 ―
なんか偉人の子って不要なプライドが無駄に高く、それでいて認めた人相手には素直ななのが多いですね。しかも認めていない期間中は誰かの足を引っ張る………かまちょか?
私感で感想 お馬鹿なお嬢さんに惚れられて追っかけられるまでがセットですね? 元の格好でギルドに寄ったら、バカ娘に掴まり、あの男=変身後の姿を知らないかと詰め寄られるのですね、ね?
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