落とし穴31掘:年末&正月スペシャル 年越し前
はっぴーにゅーいやー!!
あけましておめでとうございます。
そして、必勝ダンジョンは年越し寸前。
どうぞお楽しみください。
年末&正月スペシャル 年越し前
side:ユキ
ガラーン、ガラーン、ガラーン……
なんでだろうな……、教会の鐘が夜に鳴ってるよ。
寺の鐘と違って音色が鮮やかだ……。
『さあさあ、皆さん年越しまであと3時間と迫りました』
『これからの時間は私エリスと……』
『ラッツが年越しラジオをお送りします』
うん、嫁さんたちが初めての年越しをするウィードの住人へ向けてラジオを放送している。
あれから約10日で形に出来る結果を出したんだし素晴らしいと思うが、ウィード式年越しと思うべきなのだろう……。
『さて、普段であれば厳かに静かに迎えるべき年末年始でありますが……』
『このウィードでは賑やかに年を越え、新しい年を迎えることとしました!!』
『はい、本来であればリリーシュ様などの神様に捧げものをし、静かに年を越えるのが通例でありますが、それは普段からの備蓄、つまり食料やお金などが厳しいためそのような年越しとなってしまうわけです』
『ですが、ここはウィードです!! 私たち住人たちが一丸となって作った町は、年末年越しで食料も懐も寒く厳しくありません!! それはこのウィードで暮らしている皆がご存じでしょう!!』
『ラッツの言う通り、現在ウィードは交易、作物、工業、などなど数多の方面で成果を上げており、この成果を続けることを願い、そして一年の締めとして盛大に年を越えるイベントをウィード全体で行っております』
『リテア聖国やその他の国からも盛大に認可をいただいていますので、何も問題はありません。皆盛大に年をこえましょう!!』
『はい、このイベントの成否で今後他国でもウィードのように年末年始を盛り上げ、経済を活発化し楽しもうという計画も立案されています。皆さん遠慮はいりません盛大に楽しみましょう!!』
そんな感じでエリスとラッツのトークが続いていく。
2人とも妊娠しててあまり動けないせいか、今回のラジオはかなりやる気がみなぎっていた。
セラリアやデリーユなんかは体が動かせなくてイライラしてたからな。
「ねー、お兄ちゃんあれなにー?」
一緒に祭りへ繰り出しているアスリンに袖を引かれてある屋台を見る。
そこには、白い雲が棒にくっついている。
まあ、あれだ。
「綿あめだな」
「わたあめ?」
そう、綿あめ。
お祭りの定番メニューの1つ。
「なんて言えばいいかな……。違うな、食ってみるのが一番か」
「え、食べ物なの?」
「おー、食べてみたいです兄様!!」
「私も食べてみたいわ」
「わ、わたしも……」
そうやってちびっこたちがついてくる。
「ルルアとキルエはどうする?」
「そうですねー。あれの半分ぐらいなら」
「はい、シェーラ様たちはいいかもしれませんが、私たちはお腹に子供がおります故、あまり偏食は……」
「じゃ、2人で1つだな」
この場にはルルアとキルエもついて来ている。
セラリアとデリーユは年末のイベント闘魂ナイトグランプリの審判兼司会者で参加している。
ウィード最強の騎士はだれか!!
といううたい文句のただの試合である。
まあ、娯楽としてはとても分かりやすので、集客はかなり良い。
賭けも公式、つまり俺たち運営がしきってるから、そっち方面での稼ぎもいい。
「いらっしゃい!! 美味しい綿あめだよ!!」
「おう、おっちゃん」
「ユキの大将じゃねえか。見ての通り大繁盛だよ。まったく、飴がこんな雲みたいなるなんてな。しかも美味い」
「そりゃよかった。それで俺たちも綿あめ5つくれ」
「あいよ」
そうやって出来立ての飴を手に入れる。
「うわー、口の中で溶ける」
「甘いです」
「あら美味しい」
「ふわふわですね」
ちびっこたちは嬉しそうに綿あめを食べている。
「じゃ、こっちも食べるか。ほい」
一本の綿あめを適当にちぎって2人に渡す。
「はぁー、本当に雲みたいですね」
「はい。ふわふわで甘いです。本当に旦那様の世界には色々な食べ物があるのですね」
そんなことをしながら、屋台めぐりをしていると、ラジオの方から歓声が聞こえる。
『はいはい、ただいま闘魂ナイトグランプリの会場と繋がっております。司会のセラリア様聞こえますか?』
『ええ、聞こえているわ。ウィードの皆今宵は楽しんでいただけているかしら? 是非ともこれが最後ではなく、記念すべき最初となって欲しいわ。さて、そんな堅苦しい挨拶はおいて、闘魂ナイトグランプリの速報をお知らせするわ』
『うぉほん。妾から報告させてもらおうかのう。今、準々決勝が終わったところでベスト4が決まったところじゃ。そしてなんの因果か、そのベスト4、ウィード、ロシュール、ガルツ、リテアと各国の出場選手じゃ。ある意味最強の国はどこなのか!! という状態になりつつあるのう』
『そうね。そのベスト4は誰もが素晴らしい戦士だわ。といってもウィードの祭なんだし、お国の事情は関係なし。存分に力を発揮してほしいわね』
『うむ。その通りじゃな。では各選手の詳しい説明を……』
うん、向こうもいよいよ大詰めって感じだな。
「盛り上がっていますね」
「はい。年末年始をこのような賑やかな中で迎えるとは思いませんでした」
2人ともアスリンやシェーラたちを見て微笑んでいる。
「あー、騒がしすぎたか?」
2人は妊婦だ。
もう少し配慮すべきだったか?
「いえ。とても嬉しいです。とっても」
「はい。人々が笑顔で苦しいはずの年末を越え、新しい年を迎えています。そしてそれは形だけではなく中身も伴っています」
「お腹の中の子にこの賑やかさが届いているでしょうか」
ルルアが大事にお腹を撫でる。
「そうですね。旦那様と私たちの子にもこの光景を見せて、一緒に祭りへ繰り出したいものです」
キルエもお腹を撫でながら、今の風景を目に焼き付けている。
「おう。いつか家族みんなでこの祭りに参加しような」
「「はい」」
2人は静かに、それでも力強く、嬉しそうに返事をする。
「さて、綿あめも食べたし、次はどこに行こうかね」
俺がそう言うと、ラジオの方が次の展開に映ったらしい。
『さあ、残すところ今年もあと2時間となりました。これからリリーシュ様を祭るリテア教会に中継を繋げて、参拝の様子やそして……』
『私たちも現場に向かい、教会でやることを説明したいと思います。そして、そこで年越しとなります!! 皆、ラジオをよく聞いて教会で失敗しないように、よいお年を迎えましょう!!』
お、教会か。
適当に屋台の食糧買って合流してみるか。
色々本編が滞っておりますが、ネタがないのではなく、時期ネタも混ぜているだけです。
本編も大事ですが、ウィードという生活の基盤がどうなっているのかも、色々想像を膨らますために必要でしょう。
こんな感じでウィードは日々成長しております。




