落とし穴外伝:2025年 年末スペシャル2
落とし穴外伝:2025年 年末スペシャル2
Side:ルルア
「みんな今年もありがとう。本当にお世話になったわ。ウィードの女王として改めてお礼をいうわ」
そういって宴会場の壇上に上がってそういうのは、ウィードの女王であるセラリア。
今年も色々ありましたが、私たちは無事に誰もかけることなく、大きな怪我や風邪もなく年末を迎えられています。
それは幸福なことです。
来年も良き年でありますように。
そう思っていると……。
「それで、この前夫と相談したのだけれど。毎年というか、私たちはお互いの誕生日とかでもプレゼントに悩むことが最近増えてきたでしょう?」
ん? 何か話が変わってきましたね。
ですが、確かに毎年のプレゼントを重ねるたびに何を贈ってよいのやら悩んでしまうのは事実です。
お互いをよく知っていますからね。
これが年に一度とか、領地などを持っていれば、その地の特産品などを持ち込めば喜ばれますし、こちらとしても面目にも問題はありませんが、私たちはずっとウィードにいますからね。
特産品は皆の持ち物のようなものですから、プレゼントは個人的に探す必要があるわけで、それは悩みの種ではあります。
それは、ほかの皆も同じようで、カグラやエノラたちも頷いています。
皆、プレゼント選びでどうするかというのは何度も話あったことがありますからね。
「なので、来年からは新しいプレゼント方式を試してみたいと思うの。その試験の為にも、年明けは今から言う条件、お題に沿って、プレゼントを探してきて」
「プレゼントをですか?」
いや、何のために?
しかも年明けって時間は殆どありません。
人混みの中でプレゼントに適したものを探し出すというのは、かなり苦労を擁すると思っていたのですが……。
「ルルア、大丈夫よ。さっきいった条件というのが、悩みや時間などの問題を解決してくれるわ」
どうやら私の懸念が顔に出ていたようで、すぐにそういってくれます。
「じゃ、具体的にどうするのかというと。今回はプレゼント交換という名目でプレゼントを選んでもらうわ。そうね、今回は年明けと言えば。というモノをプレゼントにしてもらおうかしら。金額も上限を決めて」
「なるほどのう。そうやってお題と予算を決めれば、妾たちも決めやすいのう。それに別にネタに走ってもそれはそれで笑いがとれるわけか」
「デリーユの言う通り。別に心がこもっていないとはいわないけど、こういうのは意外と面白そうっていうのも選択肢に入るのよね」
なるほど。
制限、いえ、条件を整えるからこそ、私たちのような選択肢が多く、面子を大事にしなければいけないところも考えなくて済むわけですね。
「ま、こんな感じで、欲しい物をある程度指定して、あとは楽しみながら待つっていうのがいいと思うのよ。期待しすぎない程度にね。これならプレゼントをもらう側も贈る側も楽しめるわ。まあ、それを実証するために実践ってわけね」
「うん、ミコスちゃんはさんせ~。これは楽しそう。それで年明けと言えばって食べ物もありなの?」
お、確かにそれは大事ですね。
食べ物も良いのか悪いのか。
それで選択幅がかなり違うでしょう。
「それに関しては毎回違うわ。とはいえ、今回は食べ物もあり。予算内で色々買ってみるといいわ。というか、食べ物に関しては別予算をだすわ」
「別ですか?」
シェーラは不思議そうに首をかしげて聞きます。
確かに別にする理由は何でしょうか?
「食べ物に関しては、今回は皆で楽しむことが目的だし、物であれば順番にみれるけど……」
「ああ、そういうことですね。みんなが楽しめないから、全員分を買う必要があると」
「そういうこと。食べ物に関しては、食べ物枠として別で全員分買ってきてちょうだい。ああ、ちなみに食べ物を買うことは強制ではないわ。あくまで年明けというのがお題だから」
なるほど。
確かにそれはその通りですね。
「よし! そらならお酒ね!」
「変わりませんね~」
「ミリーはプレゼント悩まないわよね」
ちょっと離れた場所では、ミリーがいつものようにお酒のプレゼントにしようとしていて、ラッツとエリスが突っ込んでいるようです。
とはいえ、お酒というのは定番の贈りものですからね。
まあ、決められた予算だと、そこまで高いお酒は買えないから、そこそこのモノになるとは思いますけど。
いえ、この場合は安酒とは言わなくても大衆がよく飲むエールのセットとかもありそうですね。
と、違います。
今はプレゼント方式が変わったということ。
「今回は誰にプレゼントという条件もないし、この試みがどれだけ上手く行くかって話だから、色々試してみて頂戴」
そうセラリアは言い終わると、壇上から降ります。
そして、次々にその話で盛り上がっていきます。
「じゃ、僕はなんか面白そうなもの探してくるね」
「リエルは私が一緒に行くよ。本当に変な物買いそうだし」
「そうね。私も一緒に行く。リエルは本当に変なの買う。ついでに年始のパトロール」
リエルたちはいつものメンバーで買い物に行くようですね。
なにか仕事もするみたいですが。
「ぶっ~。トーリもカヤも僕を信用してないね。というか仕事も兼ねるの?」
「まあ、年末年始はバカ騒ぎで羽目を外す人もいるからね。プレゼントを選びつつ、そういうのをすればいいだけだよ。私たちが回るだけでも治安維持になるわけだよ」
「そう。私たちはそれだけ有名人で警察官」
なるほど、このいつもの3人は年始の治安維持も兼ねるわけですね。
確かに理にかなっています。
3人とも警察官としては名が知れていますからね。
出回るだけで、悪いことは出来ないと思うでしょう。
「はぁ、でも私やルルアとかは、教会や病院での仕事があるからね~」
「あ、確かにそうですね」
エノラの指摘でそこに気が付きました。
私たちは年末年始は教会でミサに集まる人たちに説法はもちろん、あたたかな炊き出し、甘酒やお汁粉の炊き出しもしています。
まあ、出なくても良いと言えば良いですが、一応元聖女ですし、エノラは司教の身ですから、顔を出さないというわけにはいかないでしょう。
時間がつくれるといいのですが。
「ああ、ルルアやエノラの宗教関係やサマンサやカグラたちのような外交官メンバーは年末も忙しいとは思うから、時間を取っておいたわ。私の名前で町の視察ってことで1日と2日の12時から16時までね。プレゼント交換は3日の夜ね」
「よかったですわ。それなら十分にプレゼントは選べそうですわね」
「ん。二日もあり、それぞれ4時間となれば相応に見て回れる」
「そうね。それだけ時間があるならいいわね」
「だね。それなら確実に色々選べるよ」
外交官のメンバーも時間が取れるのはいいことですね。
私たちもその時間帯であれば、教会の皆さんは納得してくれるでしょう。
町の視察となれば、私たちのちゃんとした仕事でもありますし。
まあ、病院の方は……元々シフトを組んでいるので大丈夫でしょう。
元より、私やエノラ、リリーシュ様がいなければ動けないような教育を施してはいませんし。
もちろん、本当にまずいような状態のけが人や病人が来た場合はその限りではありませんが。
「それで、ルルアは年明けのモノって何を考えているの? ついでだし合流して一緒にさがさないかしら?」
「そうですね……。教会の年始の道具というか、お守りみたいなのは、微妙ですよね?」
「それはね。ウィードの住民なら基本的に全部の教会を回って毎年お守りを集めているものね」
そうなのです。
ウィードでは多くの宗教が教会を構えており布教をしています。
とはいえ、基本的なことはリテア教、エナーリア教、ヒフィー教、ハイデン教、セラフィーナ教という各大陸の教えは、主に人を愛せよ慈しめというものですので、多少祈り方とかに違いはあれど、人を救済するという目的は変わらないので、喧嘩などはありませんし、今お話ししたように年末年始に各教会を巡ってお守りをそろえるというのもやっています。
多くのお守りを持つことによって一年無病息災をということらしいです。
正直にいいまして、お守りは本当に何も効力のないモノです。
それを売るというのは詐欺なのではという疑問があったのですが、お布施と同じような物であり、作る際には相応の司祭などの役職の方が、それぞれ各教会でお守りとされている紙片や木片などに祈りをこめているので、労力も相応にかかっているので、当然の収益という旦那様の話に全教会納得しました。
ホーリーシンボルを持つようなものですからね。
……それに、どんなに綺麗ごとを言ってもお金は大事なのです。
自主的に支払ってもよいというモノを作るのは間違いではありません。
それを知ってなお求めるというのは、それだけ私たち女神様の教えが根付いているということですので、こちらも止めることはないのです。
ということで、お守りはプレゼントでもらうものではなく、自分の足で巡るからこそ価値があるモノという感じですね。
「じゃ、何にしようかしら?」
「そうですね。まあ、それを見つけるための時間ですし、今考えるよりも当日に考えてみませんか?」
「そうね。年明けだからこそ、何か噂があるかもしれないし」
「ええ」
毎年、商業区などは年末年始において、特別なものを作り出そうというのがありますからね。
今年は今年で何か目に付くものがあるかもしれません。
毎年年末年始は色々面白イベントはもちろん、新しい商品とかあるよね。
俗物てきですが、幸運の黄金の龍とかそういうのがおみくじで手に入るとかそういうのもありました。
金で縁起物を作るっていうのは意外と多い物です。
まあ、私はあたらない、出店のくじ屋とか好きでしたよ。
ゲーム本体が当たることは決してありませんでしたが。




