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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2207/2232

第1890堀:こっちも同じような悩み事

こっちも同じような悩み事



Side:カグラ



「ふぅ……」


私は書類をまとめて封筒に入れる。

いつものことだと言えばその通りではあるが、気が重い。

何せ、オーエはもちろん、その中心とした新大陸南部の協力を取り付けた各国の情報なのだ。

一つ間違えれば、国が大きな被害、あるいは壊滅しかねない大きな情報。

それを正確にまとめてセラリアやユキはもちろん、ある程度情報を絞ってから姫様、つまりハイデンの王女キャリー姫に伝えなくてはいけない。


私の仕事とはいえ、キャリー姫はポヤポヤの演技の時からさらに厳しくなったから辛いのよね。

外に出て空を見ると晴れなのに、どうにも私にとってはどうでもよい感じだ。

というか、理由はわかっている。


「……まあ、それだけならいいんだけど。……最近は、小言というか、当然と言えば当然なんだけど……」


私はこの前の面会というか、報告に行った時のことを思い出して顔をしかめる。


『カグラ。ミコスにも言いましたが、子供はまだでしょうか?』


本人としては国と国の繋がりで当然のことを聞いているに過ぎないんだけど、私としてはかなりのプレッシャーなのよね。

だって、子供なんてというつもりはないけれど、愛し合っていれば自然とできると思うじゃない?

それができないってことを言われても、普通にユキとは仲良くしているし……。


自分が女として駄目なんじゃと思うのよね。

何より……。


「自分は未婚のくせに」


そうつい口に出てしまう。

あれこれ男女の事情に口を出す割には、姫様はいまだに婚約者の話もない。

まあ、あれだけハイデンの会議でばっさばっさと大臣連中を言いくるめていれば嫁の貰い手はいなくなるわよね。


「……なに物騒なことを言っているのよ」

「ひゃう!?」


いきなり声をかけられて妙な悲鳴を上げてしまう。

一体だれかと思ってふりかえると、そこにはエノラが立っていた。


「な、なんだ。エノラか」

「なによ、エノラかって。あ、いや、まあ私でよかったわね。ハイデンの関係者がいたらどうなっていたか」

「だ、大丈夫よ。別に名前を口にしたわけじゃないし」

「そんなに動揺していたら、誰のことを言っているのか関係者ならすぐわかるでしょう。カグラを追い落としたい馬鹿はいるんだし。気をつけなさい」

「わかってるわよ」


確かに私の立場をうらやんでいる馬鹿は多い。

簡単に甘い汁を吸えていると思っている馬鹿が多いのだ。

どれだけ苦労して今の位置にいるのか、まったくわかっていない。

というか、ユキの隣をお前らなんかに渡すか。

ユキも私を手放したりしないわよ。

それだけ仲がいいのよ。

と、そこはいいとして。


「……そういえばなんでエノラがいるの? 今は新大陸のギアダナ王国での活動をしているんじゃ?」

「ええ、向こうで馬鹿をやっている連中をぶっ飛ばすってことになっているわね。とはいえ、四六時中向こうにいるわけじゃないわ。ドッペルを向かわせているだけだし、本体はこっちにいるのは知っているでしょ?」

「まあ、それはね。でも仕事の時間で顔を合わせるのはって話」


私たちは本当に文字通り体がいくつあっても足りないって感じ。

まあ、ドッペルもある程度独自で判断して動けはするんだけど、それでも重要なことに関しては私たち自身が意識を移して判断する必要があり、意外と向こうに出ずっぱりだったりする。

私だってオーエ王とか近隣国への外交もしていることもあって、こうしてウィードにいるの珍しいって感じではある。


「ああ、それはそうね。私もカグラも暇ってわけじゃないから、夜の家で顔を合わせるならともかく、こういう道でばったりは珍しいわね。しかも、危ない発言しているとか」

「それはほっといてよ」

「普通ならそうするんだけど、ほら、今回は精神的ケアも気にしないといけないところだからね」

「……ああ、そうだったわね」


助け出した亜人たちは酷い状態だったというのは聞いている。

まあ、エノラが同じ目にあっていたのだ。

それは本人としても放ってはおけないだろう。

とはいえ……。


「なに?」

「いえ、精神的にっていうのはよくわかるんだけど、エノラって意外とあの時即座に復帰したわよね?」


そう、エノラは本当に拷問を受けて、助けた時は命の灯が消える寸前だったのだ。

ルルアが一緒にいてくれたおかげで傷はあっという間に完治したけれど、精神的ダメージが消えたわけじゃない……はず。


「ああ、あれは一応ハイレ教の司教だって矜持もあったし、一応最後まで抵抗してやるっていう気概はあったからね。ほかの人たちも、あくまでもハイレ教の人たちだったし。でも、今回は違うでしょ?」

「そういうことか」


身内の恥というわけでもなく、聖職者の意地があったわけでもなく、ただの一般人がただ被害を受けた。

それで耐えろというのは無理があるか。

まあ、それでもエノラたちハイレ教の信者たちだから大丈夫って話にはならないんだけど。

あの人たちもそれだけ強靭な精神力の持ち主だったという話。


「で、私がここにいるのは多分カグラと同じ。セラリアに報告なんでしょ?」

「エノラもって、今後の活動が決まったの?」

「いえ、とりあえず南砦に移送した患者の様子と、部隊の状態報告ね」

「患者の方は分かるけど、部隊の状態?」

「ほら、あんな状態を見たんだから士気に影響があったかどうかの確認をしたいって言われているのよ」

「あ~、言われてみればそうか。あんな状況見せられたんだから、戦意喪失したとかあるの?」


エノラが今回率いているのは衛生兵を中心とした部隊だ。

何せ人を治療するのが目的なんだから当然の話なんだけど。

それでも、あまりに悲惨な状況を目の当たりにすれば、精神的に挫ける人は別に珍しくはない。

私とミコスが頑張って戦っていたバイデ防衛線でも兵士の人たちはもちろん、学徒兵の中にも戦場には立ちたくないっていう人は相応にいた。

だから、ウィードの部隊にもそういう人がいても何の不思議もない。


「ああ、戦意喪失はないのよ。でも逆に戦意爆発しているのがいてね」

「そっちか~」


戦争ではよくあるんだけど、戦意を喪失する人、仲間を殺されて頭に血が上って命令を聞かなくなる兵士が少なからずいる。

それも一種のPTSDらしいんだけど、感情が内に向くか外に向くかっていうマイナスかプラスかってことのようだ。

とはいえ、命令を聞かない兵士というのは、戦意喪失する兵士よりたちが悪い。

なにせ、傍から見れば戦えるように見えるのだ。

とはいえ、命令を聞かないというのは全部に対してではなく、ごく一部に関してで、わかりにくい。

一番やばいのが敵の要人確保を命じてそれを無視して殺害というのだ。

戦争を止めるための人をこの手で殺してしまうなんて目も当てられない。


「それ、大丈夫なの?」

「……私は大丈夫だと思っているわ。何せ、拳だし、やりすぎるようなことはないわよ。剣とか槍、銃とは違って、手加減は本当に自分次第だもの」

「まあ、確かにそうなのかな?」


だからこそ、感情が高ぶれば威力の調整が効かなくなるとは思うんだけど……

でも、それはどの武器も同じかと思っておこう。

とりあえず、上司であるエノラがそう判断したのだから、私がどうこう言っても仕方がないことだ。


「そうよ。まあ、それをセラリアとも相談しに行くんだけどね」

「そうか。セラリアなら大丈夫かな?」

「私よりも、軍を率いていた実績はあるしね。それにセラリアが不安だって話なら、ジェシカやスタシア、フィオラもいるから」

「確かに。とはいえ、3人も忙しいわよね」

「そう、だからセラリアっていうと変だけど、私とセラリアで良しってでるなら相談することはないだろうって話」


うん、エノラの言っていることはわかる。

セラリアも女王の仕事があるから暇ではないけれど、現場で大量の管理をしているジェシカたちよりは、兵士の心情を慮る余裕はあるって話。

というか、立場が女王だから、問答無用で話を通せる。

ジェシカたちが無理を押して自分たちでどうにかするってのを避けるためってのもある。

あの3人ならやりかねないし。

私は納得して、エノラと一緒にセラリアがいる総合庁舎までの道のりをのんびり歩き始める。


「それで、なんで物騒な事を言ってたわけ? 別にキャリーがカグラと仲が悪いとは聞いていないけれど?」


ちっ、覚えていたか。

まあ、隠すと逆に変に勘繰られそうだから、素直にエノラには話しておくことにしよう。

エノラも私と同じような立場だし。


「別に仲は悪くはないわよ。ただ単に、夫婦のことで口出ししてくるから不満があるだけ」


そこまで言えば、エノラも私が言われていることを察したのか苦笑いになる。


「そっちか。確かにそれは言われると不満になるのはわかる」

「でしょ。エノラも言われているんじゃない?」

「まあ、言われてはいるけれど、そこまで酷くはないわよ。子供は授かりものなんだし」

「そうよね。こっちは最近顔を合わせるたびに言われているのよ」

「あ~、それはつらいか」

「つらいわよ。私が女として駄目みたいだし」

「流石に文句の一つも言いたくなるか」


エノラも私の気持ちが分かったようだ。


「それがセラリアの後にあるから、なおのことってわけ」

「そういうことか。面倒ね。私からも言っておこうか?」

「うーん、別に本人は嫌味で言っているつもりはないのよね。立場もあるし。ほら、もうハイデンメンバーだけじゃない。子供いないのって」

「そうね。そこら辺で上から詰められている可能性もあるか……。難しいわね。一概にキャリーが悪いってわけじゃないか」


そう、ここらへんは本当に難しい問題。

ハイデンとしても、ユキと私たちの子供というのはそれだけ意味があるもの。

なにせ、下手をするとハイデンはウィードからいつ責め立てられてもおかしくない状況だもの。

王族であるユキを呼び出して先兵として使おうとしていたんだし。

ふつう、戦争案件よね。

改めて、私は自分がしたことに寒気がする。


「と、色々考えるのはセラリアの後ね」

「そうね。まずは、目の前の仕事を終わらせましょうか」


ということで、ドアをノックしてから入ると、そこにはミコスやルルア、リュシがセラリアと話している光景があった。



ミコスと同じようにカグラも子供の悩み。

いや、キャリー姫が悪いと言えば悪いんですが、違うともいえる。

とはいえ、難しい問題ですね。

そして、エノラの部下も頑張りすぎないように調整と。


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― 新着の感想 ―
やっぱりこう為政者って人間の皮被った機械なんじゃね?って思うことの1つですね。人間の生理現象すらあげつらうのは何と言いますか………
私感で感想 キャリー姫は、姑…… _φ(・_・
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