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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1878堀:医療従事者が見る王都について

医療従事者が見る王都について



Side:エノラ



「まったく、驚いたわ。いきなり呼ばれたかと思ったら、即座に部隊をまとめてギアダナに向かえとか」

『まあまあ、元々ギアダナのクリアストリーム教会の醜聞の件は伝えていただろう? だから間に合ったってことだ』


ちっ、事前に伝えていたと言えばそうか。

相変わらず口が上手い。

とはいえ……。


「シアナ男爵たちが出発してまだ2日目よ? 戻ってくるとかないわけ?」


そう、シアナ男爵たちがクリアストリーム教会の偉い人たちを連れて、オーエに戻ってからわずか2日だ。

下手をしなくても、クリアストリーム教会の醜聞が広がれば戻るべき距離になる。


『そこは話を合わせてある。知らずにオーエまで到着して、その場で拘束されるって手はずだ。それまでにクリアストリーム教会の連中から通常の状態で情報を引き出す』

「……表と裏を見るわけね」

『ま、捕まえた後で断罪するにも公平さは見失っちゃいけないだろう?』

「確かにその通りだけど……」


ユキを相手にしたのが不幸ってやつね。

いえ、普通にクリアストリーム教会の連中であってもまともな人がいればいいだけの話だし、それを見極めるためにも必要なことか。


『それで、エノラの方は変装はちゃんとしているんだろうな?』

「しているわよ。といっても、耳としっぽを全員魔術で見えなくしているだけだから。別に違和感もないし」


これを変装と言っていいのか疑問だけど。

分かる人にはわかってしまうモノでしょう。


『ならいい。どうせ、助ける際には耳やしっぽを見せる必要もあるから、凝った変装は逆に問題だしな』

「そうね。それで私は具体的にはどうしたらいいのかしら? 予定の教会近くで待機していればいいの?」

『いや、先にエマを通じてギアダナ王、ダエダ宰相と顔を合わせておいてくれ』

「は? 本気?」


向こうから見れば、まだ得体のしれない国であるウィードの人物と会うというリスクがあるはず。

下手すれば、ウィードとギアダナの間に亀裂が入りかねないんだけど……。


『本気も本気だ。今回は亜人の好感度を上げる必要もあるからな。事前に顔を合わせておかないと、敵って判断されかねない』

「エマに私たちの写真でも渡しておけばいいじゃない」

『それだけじゃダメなんだよ。ギアダナ王にお礼を言われる必要があるからな。事前に安全だと示しておかないといけない。そして、俺の奥さんだってことを伝えている』

「はぁ!?」


今日一番の驚きだ。

それを伝えるってことは……。


「ウィードの代表として話し合えってこと?」

『そういうこと。とはいえ、俺はコール画面で話せるからエノラが絶対必要ってわけじゃない』

「ならなんで……って、そうか。私たちの担保であり、安全確保も兼ねているわけね」

『そういうことだ。人質っていうとおかしいが、相応の立場の人物が会わないとギアダナ王の方もこれからのやり取りに困るからな』

「向こうが信じるかどうかって話になってくるとは思うけど、ユキがそう説明するなら、まず嘘だとは思わないか……」

『実際奥さんだしな』

「向こうはそれだけ、自分たちを信頼しているとも取れるわけか。というか、それなら私にもっと事前の説明をしてほしかったんだけど?」


これ、かなり大事な外交の話じゃない。

いきなり現地に到着して聞かされるとか、ありえないんだけど。


『まあ、そこは悪いと思っている。とはいえ、こっちとしても見極めがいるしな。そして、思ったよりもヴィリアたち冒険者組の出世が早かったこともある』

「確かに、3日で二段階も上がるとは思わなかったわね。それだけイアナ王国の状況が悪いってことなんでしょうけど」


まさか、実力はあるかもしれないけど、冒険者になって3日目の新人に激戦地に向かえとか普通は言うとは思わないわよ。


『そういうイレギュラーもあったってことだ。まあ、別に顔を合わせて色々交渉しろって話じゃないしな。まあ、多少は回復の魔術を使って有用性を示すぐらいで良いだろう』

「元々そういう予定だったものね」


そう、当初の予定では亜人である私たちが相応の回復魔術を使ってクリアストリーム教会に隠されている人たちを治療をするということで、亜人の印象を少しでも良くするというのが目的だったわけ。

それをギアダナ王たちにも見せておけば、敵に回すよりは、味方にしておいた方が良いと思わせられるって話ね。

まあ、下手をするとその回復魔術を狙って、そのまま飼い殺しって可能性もゼロじゃないけれど、私の立場がユキの奥さんってところだから、無体な対応を取ればそれこそウィードが敵に回るし、そういう意味でも私が出ることが部下たちの安全保障に繋がるわけか。


「はぁ、不可抗力なのはわかったわ。それで、どこに会いに行けばいいの?」

『エマから連絡があるはずだが……』


そう、ユキが言いかけた時、不意に私の方のコール画面から呼び出しがかかる。

そこにはエマの文字。


「噂をすればね」

『そりゃよかった』


ということでコールに出てみると。


『初めましてエノラ様。エマと申します。わざわざご足労いただいているのにお待たせして大変申し訳なく……』

「ああ、そういうのはいいわ。ユキから話は聞いたところだし、時間はそんなにないんでしょう?」

『えっと……』


私のサバサバした様子に戸惑いを見せるエマに対してユキが口を開く。


『エマ、気にするな。エノラはそういうタイプだ。別に不敬とか言わないし、俺が保証する』

「そうね。大丈夫よ。元々というか、難民の支援とかもしているんだし、不敬どんとこいよ」


普通王族とか貴族の作法を知っている平民とかの方が珍しいんだし。

エマは霧華の部下だから、その手の作法はちゃんとしているだけで、一般とはかけ離れているだけ。

難民キャンプの悪ガキなんて暴れ放題だしね。

まあ、それはまだましでほかの人に暴力振るう馬鹿もいるし、そういう相手と比べれば、エマなんて不敬どころか十分に敬意を払っているわ。


『そう、ですか。不敬というかお待たせしたことへの……。いえ、では今からご案内いたします。場所はクリア教会なのですが……』

「あら、そっちなのね。別に遠くもないし、見学しながらそっちに向かうわ。距離的に20分程度だけど、良いかしら?」

『はい。それは構いませんが、お迎えなどは……』

「いらないわ。ちょうどいいわ。教会に呼ばれているってなるとこうして目撃情報がある方がいいでしょう」


正体不明の亜人集団ではなく、クリア教会の客人としていればそこまで不安もないでしょう。


『そうだな。それで、ドドーナ大司教には話は?』

『はい。ちゃんと説明しています』


返事をしたのはヴィリアだ。

いつの間にか会話に入ってきている。


『エマさんから、会談というか事前の打ち合わせに関して相談したら、ドドーナ大司教がそれならばこの教会がちょうどよいと言いまして。元々ダエダ宰相をはじめギアダナ王の出入りもあったようなので、旧友という感じで良いらしいです』

「そういうことね。元々ドドーナ大司教もクリアストリーム教会のことは気になっていたようだし、そこら辺もあるんでしょうね」

『はい。そして、ウィードから、いえオーエから派遣されてくる人たちにも興味があるようです』

「私たちに興味ね……」


少し気になることではあるけれど、まあ、普通に考えれば亜人である私たちを見極めたいってところでしょうね。

普通じゃなければ実は裏でクリアストリーム教会と繋がっていて、私たちの排除とか……。

とはいえ、それなら元からクリア教会を維持してないわよね。

さっさとクリアストリーム教会に鞍替えしていた方がいいか。

最悪、ギアダナ王国を潰すためのスパイって線も捨てきれないんだけど……それを疑い出せばきりがないし、私たちがそういうのも含めて対処すればいいってことよね。

ユキもそのぐらいは考えているだろうし。


「わかったわ。今から向かうけど、さっきもエマに話したように歩いて町を見物しながらだから20分後ぐらいになるわ」

『はい。大丈夫です。ゆっくりというと違うかもしれませんが、町をご覧ください』


ということで、私たちは町を見ながら、クリア教会へと向かうことになる。

ギアダナ王国王都はやはり王都なだけあり活気がある。

とはいえ、どこも同じというと失礼かもしれないけれど、石造りがベースの似たり寄ったりという感じだ。

魔物という驚異が存在しているのだから、大陸は違えど、防御を考えての設計となると同じになるのかしら。


まあ、木材はどうしても脆いから、仕方がないけど。

いえ、木材もないわけじゃないけど、安全がある程度確保されているとか、石材に回す予算がないとかそういうのが理由なのよね。


あと、一番気になるのは……


「やっぱり、衛生面に関してはダメね」


酷い臭いが鼻をつく。

これは汚水だ。


『そりゃな。下水道があるわけでもなし、馬車が大通りを行き来するし、汚水の処分方法も投げ捨てるが基本だ。雨があれば流れていく。その程度だ』


そう、ユキが話しているように汚水処理が全然ダメ。

まあ、これは基本的にウィード以外は同じ。

何せ下水道というのを整備していないから。

汚水を窓から外になげるだけ。

……大陸間交流同盟に入っているところは、衛生観念がようやくわかり下水の配備や汚水の処理を厳格に決め始めて改善はしてきているけど。


「はぁ、まだまだ世界は改善の余地ありって思えばいいのかしら?」

『前向きでいいじゃないか。ついでにギアダナ王やダエダ宰相とあって衛生面について講義でもしてやればいい』

「……冗談に聞こえないわね」

『冗談な物か。向こうと共闘する時に汚水塗れの拠点を貸し与えられてもあれだろう?』

「それはいやね」


向こうとしては当然のことではあるけれど、私たちからすれば劣悪な状態とか。

衛生面の共通認識は必要不可欠か。


「せめて、スライムと汚水を集めるシステムでもあればね。そういえばこっちの大陸にはスライムとかいるのかしら?」

『どうだろうな。ヴィリアたちがやっている冒険者ギルドではスライム討伐とか聞いたことはないな』

「ならこっちにいるスライムを輸送して、汚水処理に使えばいいんじゃないかしら?」

『使える手ではあるが、未知の魔物だったら拒否感が強いだろうな。そこらへんも含めて交渉してみるか』

「お願い」


いまじゃ、雑魚スライムも立派な戦略物資の一つなのよね。

意外となんでも時間をかけて消化をしてくれるから。

そして綺麗な水を排出する。

軍需物資でもあるのよね……。


と、そんなことより、クリア教会に行かないとね。



やっぱり汚いのです。

とはいえ、現実というか地球に比べて魔術や魔物を使った浄化方法はあったりします。

まあ、使える人が限られてくるのと、汚水とかに対して魔術を使うこと自体の発想がなかったりします。



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私感で感想 石材の切り出し場が遠く木材が採れる森林が近いと、火事や魔物で倒壊損耗しても簡単に建て替えられるからと木造が増える街づくりもあるでしょうね。 石材は堅牢ですが運搬も加工増築も手間がかかりま…
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